ティーパーティーと2010年中間選挙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 07:38 UTC 版)
「ティーパーティー運動」の記事における「ティーパーティーと2010年中間選挙」の解説
2010年5月〜9月、まず中間選挙にむけてアメリカ各地では予備選が行われた。ティーパーティーは独自の投票行動を見せて共和党内部での勢力を拡大した。このようにティーパーティーが予備選において候補者の保守度合いを測るリトマス試験紙となるのは共和党にとっては必ずしも好ましいことではないが、彼らの動向は注目された。ギャラップの世論調査によると、有権者の63%は現職議員の大半は再選に値しないと答えており、再選に値すると答えた32%を大きく上回る。アウトサイダーの新人有利の風が吹く選挙戦となった。 2010年9月28日のNBCとWSJ紙の共同世論調査によると、11月の中間選挙に最も強い投票意欲を示している有権者の3分の1がティーパーティー支持者で占められていることがわかって政界での影響力の拡大を誇示した。しかし共和党内では71%がティーパーティー参加者であるが、全体でみると、ティーパーティーの支持不支持は30%前後でほぼ拮抗しており、鍵となる無党派層の42%は運動を好意的に評価しているものの、同時にその61%がティーパーティー支持者ではないと答え、議会でティーパーティーが大きな勢力になることについては41%が否定的な見解を示した。中間選挙での出口調査でも全体ではティーパーティー候補かどうかは気にしなかったという投票者が大多数を占めたが、結果的には政治的地滑りが起こった。 2010年11月2日の中間選挙は、オバマ民主党の大敗、共和党の特に下院での大躍進という結果に終わった。ティーパーティーはやはり選挙で大きな力となったという印象が強かったが、一部の選挙区では、(特に州外の)ティーパーティー勢力によって保守分裂となったり、ティーパーティー候補自身の敗北も見られ、オバマ大統領の元の上院議席であったイリノイ州では共和党が勝利したが、その候補は共和党穏健派であったなど、すべての結果でティーパーティーが好影響を与えたわけではなかったこともわかっている。後述のオドネルのような資質を疑問視される人物をティーパーティーが担いだことで、共和党は上院で2〜4議席を失った可能性があり、これによって上院でも多数派となる共和党の夢は潰えたからだ。結果論であるが、諸刃の剣になるのではないか、という戦前の予想もまた正しかったことになる。アメリカの有権者は、今回の中間選挙の結果を69%が好意的に評価したが、73%はそれがアメリカの進路に大きな変化をもたらすことはない、とみていた。 ところで、ニュースソースによってティーパーティー候補の数が異なることには十分な注意が必要である。日経ビジネスの(保守系を元にした)記事では、ティーパーティーが支持した候補者は、上院で17人で、フロリダ州で三つ巴の戦いを制したデミント候補をはじめ11人が当選し、下院では103人の候補が支持され、そのうち52人が当選、35人が落選(残り16人は当落が報道時点で未決)し、州知事選では、フロリダ、ニューヨークなど8州で推薦・支持候補を立て、結果は3勝5敗(記事に未決とあるものは敗北)だったとしているが、これが同じ日付のNBCニュースの記事では、ティーパーティー候補の選挙結果は上院10人(5勝4敗)・下院130人(40勝82敗8未決)で、当選したのは32%に過ぎず、61.4%は落選したという記事になるからである。50%と32%では大きな違いだが、民主党の大敗という明確な結果であったにもかかわらず、保守・リベラルのメディア間で選挙分析に相違が見られたのは興味深いが、この運動が中間選挙にどのような影響を与えたかを正確に分析するのは容易ではない。 一方、サラ・ペイリンは、自分が中間選挙に出馬したわけではないのだが、多くの共和党議員の推薦・支援をして、応援で全米を飛び回り、選挙資金を積み上げて影響力を見せつけた。彼女がテコ入れした候補は、マスコミの注目を浴び、共和党予備選段階から躍進した。彼女は独自に「ママ・グリズリー」と自ら名付けた保守派の女性候補者グループを重点的に応援した。ペイリンとティーパーティーの支持不支持は一部重複し一部対立したが、本選では、ペイリンが支援した候補は61名(このほか3名の州司法長官や州農務長官候補も支持)で、上院で6勝5敗(2名予備選敗退)、下院で19勝13敗(5名予備選敗退)、州知事選で6勝2敗(3名予備選敗退)となった。このうちでティーパーティー候補は39名で、エスタブリッシュが22名と意外にもペイリンは支持のバランスを取っていたことが分かる。勝率はほぼ半々で、アラスカ州、デラウェア州、ネバダ州などペイリンがごり押しした注目選挙区の敗北がどう評価されるかだろう。批判的な意見もあったが、注目度という点において彼女が政界マップで急浮上したのも事実で、終わってみれば、2012年の大統領選で共和党の有力候補になりうるという”期待感”を一段と高めるのに成功した。(関連話は前述) 以下はティーパーティー関連候補の結果。 2010年の上院選挙の改選州 民主党現職2人の改選州 民主党現職の州 民主党現職の引退/予選敗退 共和党現職の州 共和党現職の引退/予選敗退 選挙の結果 民主党が1議席以上保持した州 共和党が保持した州 共和党が獲得した州 非改選州
※この「ティーパーティーと2010年中間選挙」の解説は、「ティーパーティー運動」の解説の一部です。
「ティーパーティーと2010年中間選挙」を含む「ティーパーティー運動」の記事については、「ティーパーティー運動」の概要を参照ください。
- ティーパーティーと2010年中間選挙のページへのリンク