セントラル‐ドグマとは? わかりやすく解説

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セントラルドグマ

同義/類義語:セントラル・ドグマ, 中心原理, 中心命題
英訳・(英)同義/類義語:central dogma

生物情報が、DNAからRNA、そしてタンパク質の構造伝えられることを表す。

中心教義

同義/類義語:セントラルドグマ
英訳・(英)同義/類義語:central dogma

分子生物学基本となる考え方で、DNAからRNAタンパク質方向合成の情報が伝わること。

セントラルドグマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/02 14:25 UTC 版)

セントラルドグマの流れ。DNAポリメラーゼによって複製されたDNAは、RNAポリメラーゼによって転写されてRNA (mRNA) が合成され、転写されたRNAはリボソームに結合して翻訳され、たんぱく質が合成される

セントラルドグマ: central dogma[1])とは、遺伝情報が「DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質」の順に伝達される、という、分子生物学の概念である[2]フランシス・クリック1958年に提唱した[3][4]。この概念は細菌からヒトまで、原核生物真核生物の両方に共通する基本原理だとされた[2]中心教義中心命題中心ドグマとも[5]

セントラルとは中心ドグマとは宗教における教義のことであり、セントラルドグマは、「分子生物学の中心原理」または「生物学の中心教義」と呼ばれることがある。

遺伝情報の発現

真核生物におけるセントラルドグマの過程は次のとおりである。まず、RNAポリメラーゼIIの働きにより、DNAの遺伝情報はmRNAに転写される[6]。次に、mRNAが核膜の孔を通って核から細胞質基質に出ると、細胞質基質中のリボソームに結合する[6]。リボソームにおいては、アミノ酸を運んできたtRNAが、mRNAの3つずつの塩基配列コドン)に対応して結合し、運ばれてきたアミノ酸が繋がってペプチドを作る[6]。RNAからタンパク質を作ることを翻訳と呼ぶ[7]。この、DNAからタンパク質が出来る流れの概念がセントラルドグマである[6]

通常、遺伝情報はこのようにDNAからタンパク質に一方的に伝達され発現するのであるが、例外がある。RNAを遺伝子としているウイルスの一部(レトロウイルス)は、宿主細胞内でRNAをDNAに変換するセントラルドグマの逆反応を行う。その後に、セントラルドグマに従ってDNAからRNAの転写を経てタンパク質へ翻訳され、ウイルスが作成される。

遺伝情報の複製

生物の遺伝情報はゲノムDNAに保存されている。生物の基本単位である細胞が同じ遺伝情報を持った二つの細胞に分裂するためには、細胞が分裂する前に親細胞と同じ遺伝情報をもう一揃え合成する必要がある。この遺伝情報の複製はDNA複製によって行われる。また親から子への遺伝もDNA複製によって行なわれるが、有性生殖を行う生物は減数分裂によって染色体の選択が行われた接合子接合する事で両親の遺伝情報の半分ずつを受け継ぐ。

複製は 極めて高い精度で行われるが、それでも10-9程度の割合で合成ミスが起こる。また紫外線放射線、化学物質によってDNAが傷つき、突然変異が生じることもある。

脚注

  1. ^ 文部省日本遺伝学会学術用語集 遺伝学編』(増訂版)丸善、1993年。ISBN 4-621-03805-2 [要ページ番号]
  2. ^ a b 東京大学生命科学教科書編集委員会『理系総合のための生命科学』(第3版)羊土社、2013年、77頁。 ISBN 978-4-7581-2039-5 
  3. ^ 嶋田正和ほか、数研出版編集部『高等学校理科用 生物』数研出版、2012年、105頁。 ISBN 978-4-410-81147-0 
  4. ^ Crick, F.H.C. (1958): On Protein Synthesis. Symp. Soc. Exp. Biol. XII, 139-163. (pdf, early draft of original article)
  5. ^ デジタル大辞泉セントラルドグマ』 - コトバンク。2017年5月19日閲覧。
  6. ^ a b c d 微生物の遺伝学 ~ DNAからのタンパク質合成”. 国立遺伝学研究所. 2013年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月18日閲覧。
  7. ^ Elic J. Simon, Jane B. Reece, Jean L. Dickey 著、池内昌彦, 伊藤元己, 箸本春樹 訳『エッセンシャル キャンベル生物学』丸善、2011年、201頁。 ISBN 978-4-621-08399-4 

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関連項目


セントラルドグマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 22:29 UTC 版)

生化学の歴史」の記事における「セントラルドグマ」解説

物質代謝並んで生命特徴一つに、自己複製挙げられる。すなわち遺伝学に基づき形質世代間で伝達する生体物質探究20世紀生化学における一大研究テーマであった1953年ワトソンクリックDNAの二重らせんモデル発表したDNA塩基対相補的であり遺伝学振舞い説明しうる十分な仕組み備えていた。この論に基づきクリック1958年分子生物学概念基礎となるセントラルドグマを発表した。 セントラルドグマにより、遺伝子酵素との対応関係明確になった。すなわち、どのような酵素存在するかはどのような遺伝子存在するということ意味する21世紀になるが、2003年にはヒトゲノム解読完了しヒトの細胞内で発現するタンパク質種類はおよそ2万から2万7千種程度であると推定された。

※この「セントラルドグマ」の解説は、「生化学の歴史」の解説の一部です。
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