セミナー内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 14:01 UTC 版)
次の三段階で開催されるセミナーが多い。 第1段階・ベーシック:3~4日、10万円前後。自己を知る。 第2段階・アドバンス:4~5日、20~30万円前後。自己の殻を破る、ブレイクスルー。 第3段階・エンロール:約3カ月間、無料~5万円前後。セミナーの成果の日常での実践の確認、新しい参加者の勧誘。無償でのセミナーの手伝いが行われることもある。 プログラムは全日で長時間ぶっ通しで行われ、精神的・肉体的に疲弊しながら、一種の酩酊状態、変性意識に近い状態になりながら、生まれ変わった自分を手に入れることを目指す。プログラムは、主にホワイトボードを使って講義する「レクチャー」、2人以上のグループでゲームなどを行い、それを通して気づきを得る「エクササイズ」、エクササイズの感想や発見を話し合う「シェア」が行われる。 エクササイズは、日常的ペルソナを壊すようなものや、人と人との温かい絆を思い出されるような、ハグや握手、言葉の掛け合いの伴うゲームもある。シェアでは、互いの発言に対して確かに聞いたという意味で拍手し合う。島薗進は参与観察の経験から、他者に情緒的に執着しないという自己啓発セミナーの厳しくドライな倫理は、逆説的なことであるが、セミナーでの一時的なあたたかい仲間との連帯感を支えに養われると評している(estの後続ランドマーク・フォーラムのセミナーリーダー経験のあるキリスト教文学研究者の神谷光信によると、島薗が参加したのは内容からライフ・ダイナミックス系統のセミナーである)。 セミナーを通じた「気づき」が強調され、詰問やエクササイズを通じた気づきのフィードバックがあり、一人を皆で徹底的に罵倒するようなネガティブ・フィードバックが行われる場合もある。本来の輝く本質を取り戻すためとして、子供のような自己表現が推奨されたり赤ん坊のころに退行させる瞑想なども行われる。 きびしく自己を問い詰められた後は、遊びの要素が入り、徹底的に無邪気に、子供のようにばか騒ぎする。エクササイズを通して、100%セミナーに参加するよう強く促される。卒業セッションでは、変容した自分を他者に認めてもらうという儀式的な面があり、参加者には秘密で紹介者が花束をもって祝福に現れる方法がよく採用されている。 第3段階は日常生活にセミナーで得たことを生かすことを目指しており、友人知人への勧誘も、「人を動かす」エクササイズの一種とされる。 参加者同士で抱き合って泣くような感傷的な雰囲気はライフ・ダイナミックス系によくみられるが、estをベースに作られたランドマーク・フォーラムはそういった面はなく、雰囲気は異なる。ロバート・キャロルは、estは部分的に禅の師のアプローチを取り入れていたが、おおむね虐待的で、冒涜的で、品性がなく、権威主義的なものだったと評している。罵詈雑言や生理的欲求である尿意の制限などの虐待的なアプローチで心身を追い詰める方法がとられていた。参加者はその中で体験を通し、「自分が源泉(Source: 自分のまわりに起こることは、 『全部』自分次第であるという考え)」にリアリティを感じるようになる。神谷光信によると、estの後続セミナーのランドマーク・フォーラムでは、トレーナーから自分たちの言うことを信じないように釘を刺されたうえで、トレーナーとの1対1の問答のゲームを通して「it is it. it isn't it isn't.」に象徴される禅を思わせる体験を探求し、一切が無(nothing)であること、希望もなくまた絶望もなく、世界がただ「在る」という「可能性」を学ぶ。神谷は、この単なる可能性である「出鱈目」な会話によってリアルな人生を相対化し、人生の縛りを緩めて自由さを作り出すという「力づけ」の手法であると述べている。集団心理療法の代わりになるものではなく、医療機関の援助が必要な健康でない人には適さないという。 塩谷智美はアーク・インターナショナル(ライフ・ダイナミックス)を、音楽やゲーム・抱擁で雰囲気を盛り上げ、最後に紹介者からの花束でドラマチックに締める「体験型セミナー」の典型、食事と睡眠を減らしてひたすら椅子に座って誘導・問答・詰問を受け自己を探求するブレイクスルーテクノロジー(ランドマーク・フォーラム)を「瞑想型セミナー」の典型と分類している。
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