ゴート語の古文書群とは? わかりやすく解説

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ゴート語の古文書群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 05:18 UTC 版)

ゴート語」の記事における「ゴート語の古文書群」の解説

ゴート語再建するには十分でないものの、いくつかの文書現在に至るまで保存されている。 最も規模大き保存文書群は、アリウス派教父ウルフィラUlfilas または Wulfila, 311-382年)によって書かれ聖書と、その写本である(以下、ウルフィラ聖書記述)。ウルフィラは、ローマ帝国行政区モエシア現在のブルガリアセルビア一部)の西ゴート族キリスト教徒コミュニティ指導者であった。彼はギリシア語七十人訳聖書元にゴート語翻訳する取りまとめ行ったこのうち新約聖書の約4分の3と、旧約聖書若干断片が遺っている。銀泥写本(en)または銀文字写本(Codex Argenteus) およびシュパイアー断片(Speyer fragment):188 最も保存状態良い写本6世紀北イタリア東ゴート族送られ保存されいたもの。四福音書大部分を含む。ギリシア語から翻訳されたものであるため、ギリシア語借用語語法多数含まれている。構文は、部分的にはしばしギリシア語からそのまま転用されている。 アンブロシアヌス写本(Codex Ambrosianus)およびタウリネンシス写本(Codex Taurinensis):5分冊合計193 新約聖書福音書と書簡の一部を含む)と旧約聖書ネヘミヤ記)、およびSkeireins(ゴート語による解説)として知られる注解からなるテクスト一部写字生によって幾分修正され可能性あり得るギーセン写本(Codex Gissensis):1 ルカ福音書23-24の断片1907年エジプト発見されたが、1945年水害破損したカール写本(Codex Carolinus) :4 ローマ書11-15断片。 バチカン・ラティヌス写本5750(Codex vaticanus Latinus 5750):3 Skeireinsの57-58ページ59-60ページ61-62ページ少数古文書アルファベットカレンダーいくつかの文書で見つかる語彙注記また、実体ゴート語であると思われるルーン文字いくつかの碑文一部学者は、これらの碑文のすべてがゴート語であるとは考えていない(Braune/Ebbinghaus "Gotische Grammatik" Tübingen 1981)。 用語集16世紀フランドル外交官で、クリミア半島住んだオージェ・ギスラン・ド・ブスベック によりトルコ語編集された、数十語の用語集。これらの用語は記述時点から約1世紀前のものであり、ウルフィラ時代ゴート語ではなくクリミア・ゴート語関連がある。 ウルフィラ聖書の他の部分についての、証明されていない発見報告がある。ハインリッヒ・メイは1968年に、マタイ書を含む12重ね書き羊皮紙(Palimpsest, いったん書かれたものを薄く削り新たに書き入れたもの)をイギリスにおいて発見した主張した。しかし、この主張決し受け入れられていないゴート語文献のうち、翻訳され聖書断片だけが保存された。ウルフィラ聖書以外の翻訳明らかにギリシア人キリスト教徒文化的に近い、バルカン半島人々によってなされたゴート語聖書は、7世紀頃まではイベリア半島イタリア西ゴート族人々や、バルカン半島現在のウクライナにあたる地域東ゴート族人々によって使われたようである。 アリウス派異端弾圧に伴う根絶運動があったため、ゴート語多くテクストはおそらく削られて、元の字句消した上で他の言語上書きされたか、あるいは焚書されたものと考えられている。聖書はその対象とはならなかったため、ゴート語の相当長いテクスト Skeireins として残されている。これはヨハネ福音書とその解説含んでいる。 ゴート語極めて希少な二次史料8世紀後頃にあるが、おそらくその時代にはゴート語使われなくなっていた。中世ゴート族言及するテクスト評価する際には、多く著者東部ヨーロッパにおけるどんなゲルマン語族類でも「ゴート語」として扱った可能性注意する必要がある。これは当時ラテン系国家におけるゲルマン語への理解不足による。ゴート語聖書からは、当時多く人々ゴート語使っていた訳ではないことが伺える。一部著者は、スラヴ語派を話す人々さえゴート族として言及している。 クリミア・ゴート語ウルフィラゴート語との関係は不透明である。16世紀以降クリミアゴート語語彙断片は、聖書ゴート語有意な差が見られる。しかし、いくつかの語彙、たとえば "ada"(卵)のような言葉引き継がれている。 通常、「ゴート語」とは4世紀頃、ウルフィラゴート族言語意味するが、ウルフィラの死のずっと後、6世紀頃まで使われていたことが証明されている。上記古文書群のリストは完全ではない。より広範囲リストはWulfilas Projectウェブサイト(英語)で閲覧可能である。

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