エピジェネティクス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:40 UTC 版)
静止期幹細胞の多く、特に成体幹細胞には、類似したエピジェネティックなパターンもみられる。その例として、bivalentドメインを形成する2つの主要なヒストンメチル化パターンである、ヒストン3のK4とK27のトリメチル化(H3K4me3とH3K27me3)が挙げられる。このドメインは転写開始部位の近傍に位置し、クロマチン状態の調節を介して胚性幹細胞での細胞系譜の決定や、毛包や筋の幹細胞での静止期状態の制御を調節することが判明している。
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エピジェネティクス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:31 UTC 版)
ゲノムインプリンティングは、妊娠期間における母親由来の遺伝子と父親由来の遺伝子の利害の対立によって生じたものであると推測されている。妊娠中、父親は母親が胎児の成長(利益)のためにできるだけ多くの資源を投入することを望む。一方母親は、現在身ごもっている胎児の健康を損なうことなく、将来の出産に向けてできるだけ資源を節約したいと考える。 H19の2つのコピーにはメチル化パターンの異なる領域が存在し、この領域はインプリンティング制御領域(imprinting control region)でもある。インプリンティング制御領域は、どちらの親から受け継がれたかによってCpG配列のメチル化パターンが異なる。通常、父親由来のコピーはメチル化されサイレンシングされているが、母親由来のコピーは低メチル化または非メチル化状態であり発現が行われている。H19プロモーターのメチル化は、H19の発現と負の相関関係にある。 プロモーターのメチル化が100%に達すると、そのプロモーターからのH19の発現は0となる。H19の発現が低下すると同時に、11番染色体上で隣接する遺伝子IGF2の発現は増加する。 脱メチル化試薬AzaDで処理された細胞は、AzaDが存在しない培地の細胞よりも生育が大幅に低下する。またAzaDの存在下では、H19の発現は増加するとともに、IGF2の発現は低下する。IGF2の発現の低下は、AzaD処理細胞の生育の遅さの原因である可能性がある。同様にマウス膀胱癌細胞株では、ヒトH19のDNAコンストラクトのトランスフェクションによってH19は高発現するが、H19プロモーターのメチル化によってH19の発現は低下する。出生後にはサイレンシング状態となる父親由来のH19のアレルは、妊娠期間とともにプロモーターのCpGのメチル化が増大していく。H19遺伝子はメチル化によってエピジェネティックに制御されており、一方のアレル上やその近傍でのメチル化によってそのアレルからの発現が妨げられると結論づけることができる。また、H19のインプリンティングは胎盤の発生初期に行われていると考えられる。 さらに、不妊男性の精液試料中では、インプリンティングを受けたH19遺伝子でのメチル化の喪失がメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子のプロモーターの高メチル化と関係していることが観察されている。MTHFR遺伝子プロモーターが高メチル化状態となるともに、H19のCTCF結合部位6(CTCF-binding site 6)と呼ばれる領域が低メチル化状態となる。
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エピジェネティクス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 21:03 UTC 版)
詳細は「エピジェネティクス」を参照 高等生物では、各器官・組織へと分化した細胞が、それぞれの役割に応じて正常に機能する必要がある。各組織構成の基盤となっている多能性幹細胞ひとつひとつは、自己の遺伝子発現プロファイルの変化を「記憶」しながら、次第にその終末的姿へと分化してゆく。 多細胞生物の各細胞における個々の遺伝子発現パターンの差異は細胞分裂を経ても維持され(細胞記憶)、細胞分裂停止後もその記憶は長期に渡り維持される必要がある。この細胞の「記憶」が何らかの原因で破綻すれば生物体は甚大な障害に直面するので、生物はその進化の過程において、この「記憶」を整理し、維持してゆくためのシステムを獲得したものと考えられている。 ただし、その「記憶」については、従来は「遺伝子発現プロファイル」そのものの研究ばかりが行われてきており、一体どのようなメカニズムで細胞の「記憶」として整理しているのかは、未だ解明されていない。最近になって、細胞が「遺伝子発現プロファイル」の「変化」をどのように「記憶」するのかということを明らかにしようとする研究が始まった(国立遺伝学研究所など)。こうした研究者は、細胞の記憶メカニズムを理解し、誤った細胞記憶の修正や操作の方法を確立することで、将来的にはそれを医学・医療に応用することを目標としている。 最近では前述の細胞による記憶のメカニズムを「エピジェネティクス」「エピジェネティクス制御システム」などと総称するようになってきている。
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