開始部位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:40 UTC 版)
「組換えホットスポット」の記事における「開始部位」の解説
DNAには、組換えが起こりやすい「脆弱部位」が存在する。脆弱部位は、CGG-CCG、CAG-CTG、GAA-TTC、GCN-NGCといったトリヌクレオチドリピートと関係している。こうした配列は哺乳類と酵母の間で保存されており、不安定性はDNAの分子構造に固有の何らかの性質によって引き起こされており、またDNA反復配列の不安定性と関係していることが示唆される。こうした部位では複製時のラギング鎖において、一本鎖DNAがトリヌクレオチドリピート内で自己対合してヘアピン構造を形成すると考えられている。ヘアピン構造はDNAの切断を引き起こし、高頻度での組換えをもたらす。 組換えホットスポットは、染色体の一部の領域を組換えのためにアクセスしやすい状態にする、染色体の高次構造によるものであるとも考えられている。マウスと酵母で二本鎖切断の開始部位が同定されており、こうした部位はヒストンH3のリジン4番のトリメチル化(H3K4me3)という共通したクロマチンの特徴を持つ。 また、組換えホットスポットはDNA配列や染色体構造によってのみ引き起こされているわけではないようであり、組換えホットスポットの開始部位の規定はゲノムにコードされている場合もある。異なるマウス系統間での組換えの比較によって、Dsbc1遺伝子座がゲノム内の少なくとも2つの組換えホットスポットの開始部位の規定に寄与している遺伝子座として同定されている。さらなる乗換えマッピングによってマウス17番染色体の12.2–16.8 Mb領域にしぼられ、この領域にはPrdm9(英語版)遺伝子が含まれている。Prdm9遺伝子はヒストンメチルトランスフェラーゼ(英語版)をコードしており、マウスでの非ランダム的な組換え開始部位の遺伝的基礎の証拠となっている。PRDM9遺伝子の迅速な進化は、ヒトとチンパンジーが高い配列同一性を持つにも関わらず、組換えホットスポットはほとんど共通していないことの説明となる。
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