HSST
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/12 03:47 UTC 版)
HSST(英: High Speed Surface Transport)は、日本で開発された磁気浮上リニアモーターカーである。頭字語を構成する元の単語を直訳すると高速度地表輸送となるが、これは当初、空港アクセスが想定されたためで、航空輸送に接続する地上側の輸送ということである。電磁石の吸引力で約1センチメートル浮上しリニアモーターで動かすことにより、軌道(線路)に接触せずに走行するため、低振動・低騒音および高速走行が可能であることが特徴である[1]。当初は日本航空、その後は名古屋鉄道が中心となり開発が進められた。運転速度および輸送能力に応じてHSST-100、HSST-200、HSST-300の3システムが開発されている。
注釈
- ^ 日本国内のAGT路線の最高速度が50 - 70 km/hに対して、愛知高速交通東部丘陵線「リニモ」の100形車両は約100 km/hである。なお、三菱重工が120 km/h対応のAGTを開発しているが、HSST-100Lの設計上の最高速度は130 km/hである。
- ^ a b ただし、これには誤解があり、一般的にリニア同期モータの場合は、地上一次式、車上一次式を問わず、二次側が永久磁石ではない場合には二次側も励磁する必要があるのに対して、リニア誘導モータは二次側は励磁する必要がないので消費電力を抑えることができる。車載の電磁石のみを励磁するので誘導式、同期式を問わず軌道上の電磁石を励磁する地上一次式のリニアモータよりは効率が高く、同種のリニア誘導モータを使用するミニ地下鉄等と同水準である。
- ^ 1980年代当時、まだ遠い未来の乗り物だと考えられていた磁気浮上式鉄道を、初めて一般の人が乗れるようになった日本の磁気浮上式鉄道の記念碑的な車両である。
- ^ 日本航空は開発から撤退し、出資のみ継続される。
- ^ 磁気浮上式の常設実用線としては世界で4番目。
- ^ 製造は鉄道模型メーカーのエンドウが担当。
出典
- ^ a b c 「HSST - 地表を飛ぶ」いばらき新時代-2-『いはらき』茨城新聞社、1985年1月3日付日刊、1面。
- ^ “リニア・インダクション・モータ高速性能試験にひずみゲージを応用” (PDF). 株式会社共和電業. 2019年2月14日閲覧。
- ^ a b c 中村信二、「HSSTの開発について」 『日本航空宇宙学会誌』 1978年 26巻 297号 p.500-509, doi:10.2322/jjsass1969.26.500
- ^ Maglev Trains: Key Underlying Technologies. Springer. (2015). ISBN 9783662456736 Google ブックス: https://books.google.co.jp/books?id=sAhJCAAAQBAJ&pg=PA6
- ^ a b 国立科学博物館 理工学関係資料移設業務 仕様書 平成23年12月2日(ウェブ魚拓)
- ^ 新交通システム. 保育社. (1990). p. 85. ISBN 9784586508037
- ^ 太田健一「モハユニ ■HSST実験線に愛知万博線の量産先行車」『RAIL FAN』第50巻第2号、鉄道友の会、2003年2月1日、19頁。
- ^ 『横浜博覧会公式記録』 財団法人横浜博覧会協会、1990年3月、238ページ
- ^ 『横浜博覧会・会場計画と建設の記録』 横浜博覧会協会、1990年3月、280ページ
- ^ 1995年に広島市企画調整局(当時)企画・編集の下で出版された漫画「2020年沙理菜の夏-ひろしま未来家族-」作中において、構想が実現したという設定でHSST方式による空港アクセス鉄道が登場する。
- ^ 「リニア海外販売へ新会社/名鉄と伊藤忠、米中に狙い」四国新聞社(共同通信社配信)、2003年10月29日
- ^ “リニアモーターカー「リニモ」の磁気浮上システム” (PDF). 富士電機. 2019年2月14日閲覧。
- ^ a b 「愛蔵版 鉄道模型考古学N : オールカラーで蘇る、Nゲージ創生期〜1990年頃の機関車モデル」 P.162、ネコ・パブリッシング、2013年4月、 ISBN 978-4-7770-5345-2。
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