ウクライナ国家親衛隊とは? わかりやすく解説

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ウクライナ国家親衛隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/05 04:42 UTC 版)

ウクライナ国家親衛隊
Національна гвардія України
ウクライナ国家親衛隊記章
創設 1991年11月4日 - 2000年1月11日
2014年3月13日[1]
国籍  ウクライナ
兵力 46,000人[2]
上級部隊 ウクライナ内務省
モットー "Честь. Мужність. Закон."(名誉、勇気、規律)
戦歴 ウクライナ紛争 (2014年-)
ドンバス戦争
ロシアのウクライナ侵攻
指揮
司令官 オレクサンドル・ピブネンコ准将
識別
国家親衛隊旗
旧国家親衛隊旗
小エンブレム
(車両等に描かれる)
バッジ
腕章
帽章
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ウクライナ国家親衛隊(ウクライナこっかしんえいたい)、またはウクライナ国家警護隊(ウクライナこっかけいごたい)[3]ウクライナ語: Національна гвардія України、Natsionalna hvardiya Ukrayiny、略称NGU)は、ウクライナ内務省に属する国内軍組織。

歴史

1991年~2000年

ウクライナ国家親衛隊は、1991年のソビエト連邦崩壊に伴い、1991年11月4日付でウクライナ国内に駐屯するソ連国内軍部隊の一部を基にして編成された(同時期にウクライナ国内軍も、同じく旧ソ連国内軍部隊を基に編成された)。

ウクライナ国家親衛隊は、1992年に発生した沿ドニエストル紛争において、ウクライナとモルドバ(および沿ドニエストル共和国)の国境付近に展開し、ウクライナへの同紛争の飛び火に備えた。

また、1992年から1994年にかけて、クリミア州議会がウクライナからの独立を宣言したことに伴うクリミア危機ウクライナ語版においても、ウクライナ国家親衛隊はウクライナ国内軍と共にクリミア共和国英語版の独立運動けん制に出動した[注 1]

1999年レオニード・クチマ大統領の政権下において、予算削減を主な理由として国家親衛隊の解散が決定された。正式には翌2000年1月11日付で解体され、配下の部隊は主にウクライナ国内軍(一部の部隊はウクライナ陸軍)に移管された。

2014年以降

2014年2月のウクライナ騒乱後、3月13日に最高議会において国家親衛隊法が成立し、ウクライナ国内軍を改編して創設された[1]。首都キーウ(キエフ)に司令部を置く。国民の生命と財産の保護、治安維持、対テロ、重要施設防護等を主な任務とし、ウクライナ軍と協力しての軍事作戦による武力侵略の撃退、領土防衛等も実施する[4]

組織

各作戦地域管区の配置
  西部作戦地域管区
  北部作戦地域管区
  中部作戦地域管区
  東部作戦地域管区
  南部作戦地域管区
  クリミア作戦地域管区

ウクライナ国家親衛隊は、西部、北部、中部、東部、南部およびクリミアの6個作戦地域管区と国家親衛隊司令部直属部隊で構成される。なお、クリミア作戦地域司令部は管轄地域(クリミア自治共和国並びにセヴァストポリ)がクリミア併合によってロシアの実効支配下に置かれているため、書類上の編成となっている。

国家親衛隊司令部直轄部隊

重要産業・外国公館警備部隊

原子力関連施設警備部隊

西部作戦地域司令部

北部作戦地域司令部

中部作戦地域司令部

東部作戦地域司令部

南部作戦地域司令部

第1軍団

第2軍団

陸軍第12軍団

第12軍団は陸軍所属であるが、陸軍と領土防衛隊だけでなく国家親衛隊からも部隊が抽出されている。以下には、国家親衛隊の部隊のみを表記。

クリミア地域作戦司令部

教育・訓練機関

廃止された部隊

装備

火砲・ロケット

名称 画像 製造国 種別 備考
DRTG-73  ブルガリア 対戦車ロケット擲弾発射器
PSRL-1 アメリカ合衆国 対戦車ロケット擲弾発射器
SPG-9 ソビエト連邦 無反動砲
82mm迫撃砲KBA-48Mウクライナ語版  ウクライナ 迫撃砲
120mm迫撃砲2S12英語版 ソビエト連邦 迫撃砲
D-30 122mm榴弾砲 ソビエト連邦 榴弾砲
ZU-23-2 ソビエト連邦 対空機関砲

ミサイル

名称 画像 製造国 種別 備考
9K38 ソビエト連邦 携帯式地対空ミサイル
RK-2 ステューフナ-P  ウクライナ 対戦車ミサイル
バリアウクライナ語版  ウクライナ 対戦車ミサイル
RK-3 コルサル  ウクライナ 対戦車ミサイル

装甲車両

名称 画像 製造国 種別 備考
T-64B/BV/B1V/B1M  ウクライナ 主力戦車
T-72B/M1 ソビエト連邦 主力戦車
BTR-7英語版  ウクライナ 装甲兵員輸送車
BTR-3  ウクライナ 装甲兵員輸送車
BTR-4  ウクライナ 装甲兵員輸送車
BTR-80 ソビエト連邦 装甲兵員輸送車 ドンバス戦争ロシア連邦軍より鹵獲[5]
KrAZ クーガー  ウクライナ 装輪装甲車
KrAZ スパルタン  ウクライナ 装輪装甲車
KrAZ コブラ  ウクライナ 装輪装甲車
コザック2ウクライナ語版  ウクライナ 装輪装甲車
ノヴァトールウクライナ語版  ウクライナ 装輪装甲車
KrAZ シュレック・ワンウクライナ語版  ウクライナ MRAP
ヴァルタウクライナ語版  ウクライナ 装輪装甲車
KrAZ-6322 NMRV-Aロシア語版  ウクライナ 装甲トラック

歴代司令官

2014年以降

歴代の国家親衛隊司令官
氏名 階級 在任期間 出身校 前職
1 ステパン・ポルトラック[6] 中将 2014.04.15 - 2014.10.14 ウクライナ国防大学校 国内軍司令官
2 オレクサンドル・クリベンコウクライナ語版 中将 2014.10.14 - 2015.02.06 オムスク高等諸兵科連合軍指揮官学校ロシア語版 国家親衛隊副司令官
3 ミコラ・バーラン英語版 中将 2015.02.06 - 2015.12.30 ウクライナ国家親衛隊士官学校ウクライナ語版 国家親衛隊副司令官
4 ユーリー・アレロフウクライナ語版 中将 2015.12.30 - 2019.05.07 ウクライナ国防大学校 南部作戦地域管区司令官
5 ミコラ・バーラン 中将 2019.05.07 - 2022.01.27 ウクライナ国家親衛隊士官学校 国家親衛隊副司令官
6 ユーリー・レビド 中将 2022.02.25 - 2023.07.08 ウクライナ国防大学校 東部作戦地域管区司令官
7 オレクサンドル・ピブネンコ 准将 2023.07.08 - ウクライナ国防大学校 東部作戦地域管区司令官

脚注

注釈

  1. ^ この時はクリミア独立を支援していたロシアが、第一次チェチェン紛争におけるチェチェン共和国の独立を断固認めない強圧姿勢と、クリミア共和国独立支援のダブルスタンダードを非難されたことで手を引いたこともあり、1995年のウクライナ憲法制定時にクリミア半島へクリミア自治共和国として自治権を付与することで双方の妥協が成立した。

出典

  1. ^ a b Ukraine: National Guard Restored”. Library of Congress (2014年4月4日). 2020年6月15日閲覧。
  2. ^ Avakov announces large-scale "cleansing" among generals UNIAN (2016-08-17)
  3. ^ 角大使 国家警護隊の訓練等を視察”. 在ウクライナ日本国大使館 (2018年6月14日). 2025年4月16日閲覧。
  4. ^ Завдання”. НАЦІОНАЛЬНА ГВАРДІЯ УКРАЇНИ. 2022年1月2日閲覧。
  5. ^ “На Донеччині бійці Нацгвардії захопили російський БТР-80”. UNIAN. (2014年6月20日). http://www.unian.ua/politics/930945-na-donechchini-biytsi-natsgvardiji-zahopili-rosiyskiy-btr-80-foto.html 
  6. ^ Parliament appoints Poltorak as commander of National Guard of Ukraine”. インテルファクス通信 (2014年4月15日). 2022年1月2日閲覧。

関連項目

外部リンク


ウクライナ国家親衛隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 23:13 UTC 版)

第12特務旅団 (ウクライナ国家親衛隊)」の記事における「ウクライナ国家親衛隊」の解説

2014年11月11日、ウクライナ国家親衛隊の創設により義勇兵部隊アゾフ大隊ドンバス大隊編入され、第17独立特殊機動大隊(第1パトロール大隊改称)から、第18特務連隊再編した2016年9月9日ドンバス大隊スラヴャンスク駐屯する、第15独立連隊編入した。 2018年3月24日ペトロ・ポロシェンコ大統領から、ウクライナ・コサックヘーチマン「ドミトロ・ヴィシネヴェツキー」の名誉称号授与された。 2019年10月部隊増員に伴い、第12特務旅団再編した

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