ウクライナ国家安全保障・国防会議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/06/09 05:37 UTC 版)
| ウクライナ国家安全保障・国防会議 | |
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| Рада національної безпеки і оборони України | |
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| 組織の概要 | |
| 設立年月日 | 1996年 8月30日 |
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| 本部所在地 | 01601, м. キエフ, вул. Петра Болбочана, 8 |
| 行政官 |
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| 上位組織 | ウクライナ大統領 |
| 主な文書 |
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ウクライナ国家安全保障・国防会議（ウクライナこっかあんぜんほしょう・こくぼうかいぎ、ウクライナ語: Рада національної безпеки і оборони України、略称: РНБОУ、英略称:NDSC）は、国家安全保障分野において組織・調整活動を行うウクライナ大統領附属の合議制機関である。列国の国家安全保障会議に相当する。国家安全保障・国防会議は、主要閣僚と関係機関のトップで構成されており、大統領が議長を務め、国家安全保障・国防会議長官（書記）が統括している。2014年以降、国家安全保障・国防会議（NSDC）は制裁の導入を含む権限を拡大された。特にウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権下において、2021年からウクライナ市民に対する制裁が積極的に活用されており、これは法の支配の原則に反し、政治的動機に基づいた措置であるとして、人権団体や法律専門家から批判を受けている[1][2][3][4]。
歴史
ウクライナ大統領附属安全保障会議は、1992年8月23日に設置された。
1994年10月10日、レオニード・クチマ大統領によりウクライナ大統領附属国家安全保障会議規程が承認された。同日、国家戦略研究所が会議に従属した。同年12月、核政策・生態学的安全問題委員会が会議に従属し、1995年3月から会議書記局が同委員会の組織・技術活動を保障している。
ウクライナ市民に対する制裁
ウクライナ国家安全保障・国防会議（NSDC）による制裁政策は、裁判所の判決なしに個人に対して制裁を課すという手法のため、ウクライナ憲法および法の支配の原則に違反していると、専門家や人権団体から批判されている[1][2][3]。
制裁は2014年制定の「制裁に関する法律」[5] に基づいており、ウクライナ大統領が ウクライナ国家安全保障・国防会議 の決定を承認することで発動される。しかし、このプロセスには司法機関の関与がなく、ウクライナの憲法および欧州連合加盟候補国としての法的基準と整合しないとの批判がある[6][7]。
市民自由センター[4]、ウクライナ・ヘルシンキ人権連合、ハリコフ人権保護グループ などは、国家安全保障会議は政治機関であり、司法権を持たないにも関わらず、個人に法的結果をもたらす決定を下していることを非難している[2][3]。
2025年2月には、複数の人権団体が共同声明を発表し、この制裁制度が政敵の排除やメディアの抑圧、経済的圧力のために使われていると主張した[2][4]。
制裁対象には、ペトロ・ポロシェンコ前大統領[8]、オリガルヒの イホール・コロモイスキー、ゲンナジー・ボゴリュボフ、ジャーナリストの スヴィトラナ・クリューコワ[9]、元大統領顧問のオレクシー・アレストビッチ[10]、コスチャンティン・ジェバゴ[11]などが含まれる。
アムネスティ・インターナショナルなどの国際的な人権団体も、この制度を「政治的報復の道具」として批判している[12]。
国家安全保障・国防会議
構成員
- ウクライナ大統領（議長） - ウォロディミル・ゼレンスキー
- 国家安全保障・国防会議長官 - オレクサンドル・リトビネンコ
- エネルギー大臣 - ヘルマン・ガルシチェンコ
- 大統領府長官 - アンドリー・イェルマーク
- 国立科学アカデミー会長 - アナトリー・ザゴロドニー
- 対外情報庁長官 - オレグ・イワシチェンコ
- 戦略産業大臣 - ゲルマン・スメタニン
- 内務大臣 - イゴール・クリメンコ
- 外務大臣 - アンドリー・シビハ
- 保健大臣 - ヴィクトル・リャシコ
- 保安庁長官 - ヴァシーリー・マリューク
- 財務大臣 - セルヒー・マルチェンコ
- 国立銀行総裁 - アンドリー・ピシュニー
- 国家金融監視局長 - フィリップ・プロニン
- 第1副首相兼経済発展貿易大臣 - ユリヤ・スヴィリデンコ
- ウクライナ軍総司令官 - オレクサンドル・シルスキー
- 欧州・ユーロ大西洋担当副首相兼法務大臣 - オリハ・スティファニシナ
- ウクライナ最高議会議長 - ルスラン・ステファンチュク
- 国防大臣 - ルステム・ウメロウ
- イノベーション・教育・科学技術担当副首相兼デジタル変革大臣 - ミハイロ・フェドロフ
- 首相 - デニス・シュミハリ
（出典:[13]）
歴代国家安全保障・国防会議長官（書記）
| No. | 氏名 | 在任期間 |
| 1 | ヴォロドィームィル・ホルブリン | 1994年8月30日 — 1999年11月10日 |
| 2 | イェヴヘーン・マルチューク | 1999年11月10日 — 2003年6月25日 |
| 3 | ヴォロドィームィル・ラドチェンコ | 2003年9月2日 — 2005年1月20日 |
| 4 | ペトロ・ポロシェンコ | 2005年2月8日 — 2005年9月8日 |
| 5 | アナトリー・キナフ | 2005年9月27日 — 2006年5月16日 |
| 臨時 | ヴォロドィームィル・ホルブリン | 2006年5月24日 — 2006年10月10日 |
| 6 | ビタリー・ハイダック | 2006年10月10日 — 2007年5月12日[14] |
| 7 | イヴァン・プルーシェフ | 2007年5月12日 — 2007年11月26日 |
| 8 | ライサ・ボガチロファ | 2007年12月24日 — 2012年2月14日 |
| 9 | アンドレイ・クリューイェフ | 2012年2月14日 — 2014年1月24日[15] |
| 10 | アンドレイ・パルビイ | 2014年2月27日 — 2014年8月7日[16][17] |
| 11 | オレクサンドル・トゥルチノフ | 2014年12月16日[17] — 2019年5月19日[18] |
| 12 | オレクサンドル・ダニリュク | 2019年5月28日[19] — 2019年9月27日[20] |
| 13 | オレクシー・ダニーロフ | 2019年10月3日[21] — 2024年3月26日 |
| 14 | オレクサンドル・リトビネンコ | 2024年3月26日[22] — 現職 |
国家安全保障・国防会議事務局
幹部構成員
- 長官
- 第一副長官
- 国家安全保障問題担当副長官
- 対外政策分野安全保障問題担当副長官
- 経済・社会・生態学的安全保障問題担当副長官
- 副長官
- 副長官
- ウクライナ大統領附属軍事技術協力・輸出監督政策委員会委員長
- 長官局長
附属機関
- 国家国際安全保障問題研究所
- 国家安全保障問題研究所
脚注
- ^ a b UBA calls for reform of Ukraine's sanctions mechanism（ウクライナ弁護士協会、2024年10月17日）
- ^ a b c d Human rights groups denounce Ukraine's sanctions as unconstitutional（ハリコフ人権保護グループ、2025年2月15日）
- ^ a b c ウクライナ市民に対する制裁：法的分析と人権上の懸念（ZMINA人権センター、2023年10月）
- ^ a b c 人権団体がNSDC制裁リストを批判（市民自由センター、2025年2月14日）
- ^ ウクライナ制裁法（2014年）全文（ウクライナ最高議会公式サイト）
- ^ 国家安全保障会議が裁判所に代わって制裁を課す：ウクライナの制裁メカニズム（RBC-ウクライナ、2025年5月23日）
- ^ ゼレンスキーによる個人制裁令はなぜ機能しないのか（オボズレバテル、スヴィトラナ・クリューコワ、2025年5月12日）
- ^ Sanctions against Poroshenko: Start of Ukraine's election campaign（東欧研究センター、2025年2月14日）
- ^ ゼレンスキーがボイコ、シュフリチ、クリューコワに制裁（BBCウクライナ語版、2025年1月19日）
- ^ アレストビッチに制裁：ゼレンスキーが新たなNSDC決定を承認（RBC-ウクライナ、2025年2月15日）
- ^ ジェバゴがNSDC制裁に反応（エコノミック・プラウダ、2025年2月16日）
- ^ Amnesty International: Ukraine 2023 Report（アムネスティ・インターナショナル、2023年3月）
- ^ “Рада національної безпеки і оборони України” (ua). Рада національної безпеки і оборони України. 2025年3月27日閲覧。
- ^ #12 Richest: Vitaliy Haiduk, 53, Kyiv Post (17 December 2010)
- ^ Kliuyev appointed presidential chief of staff, Interfax-Ukraine (24 January 2014)
- ^ Parubiy steps down as secretary of Ukraine's NSDC, Interfax-Ukraine (7 August 2014)
Poroshenko signs decree dismissing Parubiy as NSDC secretary, Interfax-Ukraine (7 August 2014) - ^ a b Turchynov becomes secretary of Ukraine's NSDC, Interfax-Ukraine (16 December 2014)
President Poroshenko decides to appoint Turchynov Ukraine's NSDC secretary – source, Interfax-Ukraine (16 December 2014) - ^ “Secretary of Ukraine's Security and Defense Council Turchynov resigns (Document)” (英語). www.unian.info. 2019年5月17日閲覧。
- ^ Ukraine president names ex-finance minister Danylyuk as top security official, Reuters (28 May 2019)
- ^ Inc, TV Rain (2019年9月27日). “Секретарь Совета нацбезопасности Украины подал в отставку”. tvrain.ru. 2019年9月27日閲覧。
- ^ Ex-deputy secretary of NSDC Danilov appointed its secretary – decree, Interfax-Ukraine (3 October 2019)
- ^ “ダニロフ安保会議書記を解任 ウクライナのゼレンスキー大統領”. 産経新聞. (2024年3月27日) 2024年3月27日閲覧。
関連項目
- ウクライナ軍最高司令部 - ロシア軍全面侵攻を受けて設立された戦争指導機関。
外部リンク
 ウクライナ軍 Збройні сили України
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