ロシアによるスームィ州占領
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/10 14:05 UTC 版)
2022年ロシアのウクライナ侵攻中 | |
![]() スームィ州:黄色:占領されなかったウクライナの領土 青銅色:占領から解放されたウクライナの領土 | |
現地名 | Російська окупація Сумської області Российская оккупация Сумской области |
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日付 | 2022年2月26日–2022年4月7日 (1ヶ月1週5日間) |
場所 | ウクライナ・スームィ州 |
ロシアによるスームィ州の占領(ロシアによるスームィしゅうせんりょう)は、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、スームィ州の一部を占領し始めた時から始まった軍事占領である。
州都のスームィは、ロシア軍に占領されることはなかったが(スームィの戦い)、コノトプやトロスティアネッツを含む他の一部都市は占領された。4月6日、ロシア軍はスームィ州を離れ、同州の軍事占領は終わりを迎えた。
占領
コノトプ
2月25日、ロシア軍は、ロシア国境から90km離れたコノトプ市を占領した(コノトプの戦い)[1][2]。
3月2日、コノトプ市長のアルテム・セミニクヒンは、住民が抵抗する場合、ロシア軍は市を砲撃すると市内のロシア軍から警告されたと述べた。市議会の外に配備されたロシアの車両は、地元の人々に囲まれた[3]。セミニクヒンは市民に戦うのか降伏するのかどちらを望むか尋ねたところ、住民は「圧倒的に」降伏を拒否した[4][5]。その日の午後、市当局はロシア軍と12分間交渉し、ロシア軍は市政府の変更、市内への部隊の配備、交通の妨害、ウクライナ国旗の撤去を行わないことを受け入れるという合意に達し、その見返りに、市当局は住民がロシア軍を攻撃しないことに同意した[6]。
3月7日、ウクライナ軍参謀本部は、コノトプのロシア軍は、50パーセントの損失を被り、再編成と再補給を余儀なくされたと評価した[7]。3月15日、ウクライナとロシア軍は、コノトプから市民を避難させるための人道回廊の開設で合意した[8]。3月28日、ロシア軍はコノトプの橋を破壊した[9]。
4月2日、ロシア軍がコノトプ・ラヨン(地区)に回廊を維持しており、キーウとチェルニーヒウからの装備を回廊を通ってロシアに引き揚げられるようにしていると報じられた[10]。4月3日、ウクライナの国会議員オレクサンドル・カチューラは、全てのロシア軍がコノトプ地区を離れたとツイッターに投稿した[11]。2022年4月4日、スームィ州知事のドミトロ・ジビツキーは、ロシア軍はもはやスームィ州のどの町や村も占領しておらず、殆どが撤退した一方で、ウクライナ軍が残存部隊を押し出すために働いていると述べた。
4月5日、ジビツキー知事は、コノトプ地区で少なくとも3人の拷問を受けた民間人の遺体が発見されたと述べた[12]。
トロスティアネッツ
3月1日、ロシア軍はトロスティアネッツを占領し(トロスティアネッツの戦い)、同市の軍事占領を開始した。
軍事占領
ロシア軍司令部は、トロスティアネッツの主要鉄道駅に設立された[13][14]。3月中旬、一部のロシア軍がロシアが支援する分離主義者の部隊と取って代わった[15]。
約800人のロシア軍が同市を占領した[15]。占領中、ウクライナの警察官は身分を隠して市内に留まり、地元の民間人とこの地域で活動しているパルチザン部隊の両方を支援した[15]。ウクライナ軍は市の南の橋を破壊し、ロシア軍のウクライナ侵攻を遅らせた[16]。付近の村に隠れた町の市長ユーリ・ボヴァは、街に留まらないという彼の決断に批判が寄せられたが、ボヴァはロシアの陣地への砲撃を含むウクライナの抵抗を調整し続けた[16]。ロシア軍による民間人の処刑の報告が3月上旬に上がり始めた[16]。
ウクライナの反撃
3月23日からウクライナは反転攻勢に転じ、3月26日までに同市を奪還した[17][15]。戦闘中、町の病院が砲撃され、住民はロシア軍を非難した[15]。市の郊外周辺での戦闘と砲撃の後、ロシア軍はウクライナ軍の到着前に一晩で大部分が撤退した[18]。AFPの報告によると、破壊または損傷した戦車と装甲車は「1ダース」 にのぼった[14]。ニューヨークタイムズは、ウクライナが同市を奪還した時までに食料が不足していたと報じた。
4月7日、スームィ州知事のドミトロ・ジビツキーは、全てのロシア軍がこの地域を離れたが、ロシア軍が残した爆発物が多くのエリアにあり、その多くはまだ調査されていないため、依然として安全ではないと述べた[19]。
関連項目
- ロシアによるウクライナ領土の占領
- ロシアによるクリミア占領
- ロシアによるチェルニーヒウ州占領
- ロシアによるドネツク州占領
- ロシアによるハルキウ州占領
- ロシアによるヘルソン州占領
- ロシアによるキーウ州占領
- ロシアによるルハーンシク州占領
- ロシアによるムィコラーイウ州占領
- ロシアによるザポリージャ州占領
- ロシアによるジトーミル州占領
- ズミイヌイ島攻撃
- ロシアによるクリミアの併合
- ロシアによるウクライナ4州の併合宣言
脚注
- ^ Ward, Alexander (2022年2月25日). “'Almost not possible' for Ukraine to win without West's help, Ukraine official says”. Politico. オリジナルの2022年2月26日時点におけるアーカイブ。 2022年2月26日閲覧。
- ^ “Ukraine war news from February 25: Kyiv suburbs breached, Russian forces face resistance, Zelensky warns Russia will 'storm' capital”. Financial Times. (2022年2月26日). ISSN 0307-1766. オリジナルの2022年2月26日時点におけるアーカイブ。 2022年2月26日閲覧。
- ^ “As Russian invaders demand that Konotop surrender, mayor explicitly defies threats” (英語). www.ukrinform.net. 2022年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月2日閲覧。
- ^ Valeria Polischuk. “Мер Конотопа: місту поставили ультиматум – за опір накриють артилерією” (ウクライナ語). RBC Ukraine. 2022年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月25日閲覧。
- ^ Khavin, Dmitriy; Botti, David; Tiefenthäler, Ainara (2022年3月2日). “Mayor in Ukraine asks his city's residents whether they wish to fight or surrender.” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの2022年3月3日時点におけるアーカイブ。 2022年3月2日閲覧。
- ^ Natalia Gurkovskaya. “Бої на Сумщині – влада Конотопа провела переговори з окупантами після ультиматуму” (ウクライナ語). RBC Ukraine. 2022年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月25日閲覧。
- ^ “RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, MARCH 7”. Institute for the Study of War. 2022年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月8日閲覧。
- ^ “RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, MARCH 15”. Institute for the Study of War. 2022年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月8日閲覧。
- ^ “RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, MARCH 28”. Institute for the Study of War. 2022年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月8日閲覧。
- ^ “RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, April 2”. Institute for the Study of War. 2022年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月8日閲覧。
- ^ @SputnikATO (2022年4月3日). "Конотопский район освобожден от российских оккупантов. Об этом сообщил нардеп Александр Качура. Еще вчера глава Сумской областной военной администрации Дмитрий Живицкий заявлял, что армия РФ находится в районе Белополья и Конотопа" (Russian). X(旧Twitter)より。
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引数が必須です。 (説明) - ^ “Sumy Oblast Governor Dmytro Zhyvytsky has reported that in Konotop district of Sumy Oblast, the Ukrainian military found the bodies of at least three tortured civilians”. The Guardian (2022年4月6日). 2022年4月8日閲覧。
- ^ “Ukraine says it retook captured town near Russian border”. Times of Israel. (2022年3月27日). オリジナルの2022年3月26日時点におけるアーカイブ。 2022年3月27日閲覧。
- ^ a b “Russians leave behind wreckage, hunger in Ukraine town of Trostyanets” (英語). France 24. Agence France-Presse (2022年3月30日). 2022年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月30日閲覧。
- ^ a b c d e Gibbons-Neff, Thomas; Yermak, Natalia; Hicks, Tyler (2022年4月3日). “'This Is True Barbarity': Life and Death Under Russian Occupation” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの2022年4月3日時点におけるアーカイブ。 2022年4月3日閲覧。
- ^ a b c Walker, Shaun (2022年4月5日). “'Barbarians': Russian troops leave grisly mark on town of Trostianets”. The Guardian. オリジナルの2022年4月5日時点におけるアーカイブ。 2022年4月5日閲覧。
- ^ Pahulych, Roman (2022年3月30日). “Ukrainian Forces Recapture Eastern Town Near Russian Border”. Radio Free Europe. オリジナルの2022年4月1日時点におけるアーカイブ。 2022年3月31日閲覧。
- ^ Rosa (2022年3月29日). “After Russian forces pull back, a shattered town breathes” (英語). Associated Press. 2022年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月29日閲覧。
- ^ Kalatur, Anastasiya (2022年4月8日). “Sumy region liberated from Russian troops”. Ukrayinska Pravda 2022年4月15日閲覧。
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