ウイグルのムカム音楽とは? わかりやすく解説

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ウイグルのムカム音楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/08 14:55 UTC 版)

マカーム」の記事における「ウイグルのムカム音楽」の解説

ウイグル族のムカム(マカム、マカームとも)は長大一連の曲の集まり楽曲体系音楽様式。「新疆ウイグル大曲(ムカム)芸術」としてユネスコ無形文化遺産登録されている。 10世紀から13世紀にかけて、突厥族の間でその基礎固められ14世紀になって天山山脈南北地方広がり15世紀には「ムカム」の語も、ムカムとしての構造も一応整ったといわれている。 ムカムを構造的に不動のものとして確立させたのは、16世紀ヤルカンド汗国2代目君主アブドヴァシデの妃、アマンニサが時の優れたムカムの演唱家、カディールと協力して民間散逸散在していたムカムのチョンラクマン(チョン・ナグマとも)、ダスタン、マイシュラップ(マシュラップとも)を整理し体系化したことに因るものとされている。(楽師伝 - ウイグル古典音楽家の詳細について書いてある) ウイグル族の住むそれぞれの都市伝承されている。 カシュガル・ムカム - 別名12ムカムとも。全部演奏するには1日かかるといわれている。 ハミ・ムカム タラン・ムカム イリ・ムカム ヤルカンド近くにある小さなバスで大体1時間半程)、メリケット(メルキット)には12ムカムの古い形、12ムカムより歴史の古い?ドラン・ムカム Dollan Muqamが残っているという。 12ムカムの名前 アラブのマカームなどと、同じ様な名前が散見されるラック RAK チャビアット CHABBIAT ムシャーヴラク MUSAVIRAK チャリガー CHARIGAHペルシア語(チャハールガーフ;「第4番目」の意)が語源?。イランダストガーフにチャハールガーフ、東アラブ古典音楽マカームにジハールカーフ、アルジェリアのトゥブーウにジャールカ、トルコのマカームにチャールギャーフ、イランダストガーフにチャハールガーフがある。 パンジガ PANJIGAHペルシャ語語源?トルコのマカームにペンチギャーフ、イランダストガーフにラーストパンジュガーフ、東アラブ古典音楽マカームにパンジュガーフがある。 オザール OZ'HALトルコのマカームにウッザールがある。 アジェム AJAM「ペルシャ人」の意。アラビア語語源チュニジアのトゥブーウにアジャムトルコのマカームにアジェム、イラクマカームアジャムがある。 ウッシャーク OSHSHAQトルコのマカームにウッシャーク、モロッコのトゥブーウにウッシャーク(アル・ウッシャーク)、チュニジアのトゥブーウにウッシャーク、サフィー・アッディーンの論文にマカーマート・ウッシャークがある。 バヤット BAYATアラブのバヤーティーにあたる?トルコのマカームにベヤーティー、イランのアーヴァーズにバヤーテ・エスファハーン、バヤーテ・トルク、イラクマカームにバヤートがある。 ナーヴァ NAWA「旋律」。ペルシャ語語源イランダストガーフにナヴァー、チュニジアのトゥブーウにナワー、リビアのトゥブーウにナワー、サフィー・アッディーンの論文にマカーマート・ナヴァー、ジャミーの「音楽論第1部作曲論)」に記述されているマカームにナヴァー、トルコのマカームネヴァーウズベキスタンやタジキスタンのシャシュマカームにナヴァー(Navo)、東アラブ古典音楽マカームにナワーがある。 セガー SIGAH「第3番目」。ペルシャ語語源イランダストガーフにセガーフ、モロッコのトゥブーウにシーカ(アル・スィーカ)、アルジェリアのトゥブーウにシーカチュニジアのトゥブーウにシーカ(スィーカ)、リビアのトゥブーウにシーカトルコのマカームにセギャーフ、ウズベキスタンやタジキスタンのシャシュマカームにセガーフ(Segokh)、東アラブ古典音楽マカームにシガーフ(スィカー、セガー、シカ)、イラクマカームにスィガーフ、セガーフがある。 イラーク IRAQイラク」の意。モロッコのトゥブーウにイラーク・アルアラブ、イラーク・アルアジャム、アルジェリアのトゥブーウにイラークチュニジアのトゥブーウにイラークリビアのトゥブーウにイラーク、サフィー・アッディーンの論文にマカーマート・イラーク、ジャミーの「音楽論第1部作曲論)」に記述されているマカームイラークトルコのマカームにウラーク、ウズベキスタンやタジキスタンのシャシュマカームイラーク(Irok)がある。 ムカムの構造 ムカムとは楽曲体系。曲の集合体。1ムカム分演奏すると大体2時間はかかる。12ムカム全てとなると丸々1日はかかる。12ムカム全曲聴け機会今日はまずない。大概はあるムカムのごく一部断片的に演奏したりする場合がほとんどで、それも合奏ではなく単独楽器演奏されたり、多少演奏されやすく手が加えられ簡易版演奏する場合も多い。経験をつんだウイグル音楽家でも、1ムカム分を覚えるのは至難の業で、12ムカムの内1ムカムだけでも覚えて演奏出来れば賞賛値するとされる。東アラブ古典音楽における「ワスラ」、トルコにおける「ファスル」といった組曲形式(あるいは組歌形式いくつも声楽器楽曲集めたもの。能でいう「番組」)にあたる?また西アラブ古典音楽における「ヌーバ」、「マアルーフ」、ウズベキスタンタジキスタンにおける「シャシュマコーム;6つのマコーム」も曲の集合体というので、ムカムに似ているかもしれないイランにおける「ラディーフ」も同様のもの? チョン・ナグマ部 Chon Naghmaチョンは「大きな」という意味。ナグマは「楽曲」(アラビア語ナグマ旋律の意;が語源?)。字句通り、かなり規模大きく、中は細部別れている。ムカムによっては、チョン・ナグマ部に含まれるヌスカがなかったり、ジュラがなかったりもする バス・ムカム Bas muqamバス・ムカムは、ちょうど1つのムカムの序奏部に当たるところで、拍子がなく、浪々語られる感じうたわれる。この部分だけで延々何分もある。アラブのタクスィーム(マカーム基づいた器楽即興演奏)、ラヤーリー(マカーム基づいた声楽即興演奏)にあたる? ヌスカ Nuskaヌスカは、アラビア語語源。ムカムによってはない場合もある。 タイゼ Taziタイゼも、アラビア語語源。 サリクァ Saliqa ジュラ Julaムカムによってはない場合もある。 セネム Senam タキット Takit ダスタン部分 Dastanダスタンは物語叙事詩意味する。(中央アジアトゥルクメニスタンには「デスタン」と呼ばれる物語弾き語りがある。) ダスタン部も、マシュラップ部と同様に第2ダスタンまでだけのムカムがあったり、第7ダスタンまであるものがあったり、と曲数は様々。 チャビアットムカムのダスタンは非常に長い時間要するため、最近では第1ダスタンのみ演奏し終わらせることが多い。(本当は第2ダスタン、マシュラップ・・・と、曲が続いている) 第1ダスタン 第2ダスタン 第3ダスタン ・・・ マシュラップ部 Mesrap第2マシュラップまでだけのムカムがあったり、第7マシュラップまであるものがあったり、と曲数は様々。マシュラップはチョン・ナグマやダスタンよりも、歌詞大衆的に書かれているせいなのか、ウイグル祭り収穫の時期などに、これ単独演奏され踊りの曲として使用される場合が多い。基本的にマシュラップは、第1マシュラップが8分の7拍子となっているものがほとんどで、第2、第3マシュラップとなるに連れ2拍子系の拍子変化していき、テンポ段々と速くなって行く。全てのマシュラップの最後には、最初序奏バス・ムカームを連想させる無拍子旋律奏され終了する形式明確なのも特徴。 第1マシュラップ 第2マシュラップ 第3マシュラップ ・・・ 名前はチョンラクマン、ダスタン、マイシュラップとも。

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