アイドルの心得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 03:57 UTC 版)
初出:『yom yom』vol.12〈2009年9月〉 依頼人、平瀬愛美の視点で語られる。 愛美は、子どもの頃から家族に疎まれてきたことで自信がなく、会社でも人間関係に悩んで、重度のストレスから4年前にはうつ病を発症してしまう。そんなときに、無理矢理誘われた飲み会で気分が悪くなり、同僚に路上に放置されてしまう。そして、過呼吸を起こしていたところに、人気アイドルの水城サヲリが通りかかり、介抱してくれる。それ以来、愛美はサヲリのファンになる。そのサヲリが3か月前に心不全で亡くなった。愛美は、死者と再会させてくれるという使者(ツナグ)の存在を知り、サヲリとの再会を依頼する。 使者との面談の場に現れたのは、ギャルソンのダッフルコートを着、古い大学ノートを抱えた男子高校生だった。使者は、一通り死者との面会についてのルールを説明すると、正式に依頼するか確認し、愛美は依頼すると答える。 面会当日、愛美が指定された品川の高級ホテルにやってくると、使者の少年が待っている。騙されているかもしれないと思いながらも、愛美が指定された部屋に入ると、そこにはサヲリがいた。サヲリは、愛美を路上で助けたことは憶えていなかったが、彼女が贈った手紙やプレゼントのことは憶えていると言い、手紙の中に死にたいと書いてあったのを指摘して、死ぬのを止めるために会うことにしたと言う。また、愛美にこっちに来てはだめだと言い、すぐに謝る癖は改めるようにアドバイスする。そして、自分に引導を渡してくれてありがとうと感謝し、夜明けと共にサヲリは姿を消す。 愛美がロビーに戻ると、使者が待っている。感想を求められた愛美は、「アイドルって、すごい」と答える。
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アイドルの心得
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平瀬愛美(ひらせ まなみ) 歩美が見習い使者として最初に仲介した依頼人。27歳。 親の高い期待に応えられなかったせいで、家族から存在を疎まれており、その心の痛みから何事につけて自信がない。同僚たちとの人間関係にも悩んで、4年前にうつ病を発症した。それでも休むことができず、柚木に強引に誘われた飲み会で気分が悪くなり、そのまま路上に放置されていたところを、人気芸能人の水木サヲリに介抱してもらった。それ以来彼女のファンで、彼女が亡くなった3ヶ月後に面会を依頼してきた。 サヲリと面会すると、彼女からの励ましによって生きる希望を与えられる。歩美に感想を求められると、「アイドルって、すごい」と答え、初めて笑顔を見せた。 歩美が約束の時間に現れなかった土谷功一を探しているとき、たまたま再会した。そのときには、ずっと親に比較され疎遠だった兄一家と同行しており、以前のようなおどおどした物言いは見られなかった。そして、死者に会いたいと願うのは、生者のエゴではないかと迷っていた歩美が、自分に依頼して良かったかと愛美に尋ねると、「良かったよ」と答えた。 水城サヲリ(みずしろ さおり) 3ヶ月前、急性心不全で亡くなった芸能人。享年38歳。元売れっ子キャバクラ嬢で、ワイドショーのコメンテーターなどを務め、歯に衣着せぬ率直な物言いが人気だった。幼くして両親が離婚し、母の再婚相手から受けた暴力で左耳の聴力がほとんどなく、母をその男と離婚させるために水商売に入ったという。しかし、芸能界にありがちな後ろ暗い人脈とは無縁で、恋愛スキャンダルも一度もなく、生活も質素で、芸能人仲間からの評価も高かった。 使者の交渉のためにアイ子に呼び出されたときには、自分が死んだことを十分受け入れていなかったらしく、アイ子に八つ当たりした。しかし、単なるファンの1人に過ぎない愛美からの面会依頼を聞き、彼女からもらったファンレターを思い出して、彼女が死ぬ気だと悟って依頼を受け入れた。 マナミという友人がいて、その人のことを思い出すという理由で、愛美のことを「平(ひら)ちゃん」と呼んだ。 愛美の父 国立大学の教授。兄と比べて成績が悪く、内向的な性格の愛美に対しては、あまり関心を払わなかった。 愛美の母 見栄っ張りで、自分の家や家族を自慢に思う人。東京で就職した愛美のことを、近所の人には「結婚して海外にいる」と言っており、たまに帰省しても、近所の人に見られないうちに帰るよう促す。兄の結婚式にも、間接的な言い方で出席しないよう言ってきた。 愛美の兄 愛美の3歳年上。祖父の代からの学者という家の伝統を受け継ぎ、学者として海外で働いている。昔から成績優秀で、生徒会の役職にも進んでつく活発なタイプ。そのため、両親にかわいがられた。彼自身も愛美の存在を疎んじてきた。 海外で結婚し、幼い娘がいる。 柚木 愛美の同期の女子社員。制服のスカート丈を短くし、マニキュアや髪型について上司に注意されても、相手を不快にさせないようかわすのがうまい。新入社員の頃は愛美と一緒に昼食を食べ、仲良くしていたが、次第に愛美を見下し、陰口を叩くようになる。その一方で、自分の仕事を愛美に押しつけたり、タクシー代などを立て替えさせて返さなかったりするなど、いいように利用してきた。飲み会に強引に誘ったときは、気分が悪くなった愛美を路上に放置していった。
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