『ハルモニア原論』とは? わかりやすく解説

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『ハルモニア原論』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 00:04 UTC 版)

アリストクセノス」の記事における「『ハルモニア原論』」の解説

アリストクセノス著書『ハルモニア原論』は、音楽理論の完全かつ体系的な解説試みたのである第1巻では当時ギリシア音楽のゲノス(四弦タイプキタラの間の2弦の調律に基づく分類のこと)について説明した上でそれぞれのゲノスに属すエイドス又はスケーマ(上記調律をした四弦琴テトラコルド)で作る音階のこと)についても解説加えられている。この解説続いて、音、音程、シュステーマ(それらの組み合わせ方)などに関する用語の定義述べられる第2巻アリストクセノス音楽を、ゲノス、音程、音、シュステーマ、音色又は旋法変調、メロポエイア(melopoeia)という7つ要素分解する。『ハルモニア原論』の残り部分には、先述各要素に関する議論多く割かれる 現代学者の間では、算術的規則音程定め絶対的な基準となり、調和していると言えるシュステーマならば、そのすべてに数学的な偶然が存在しなければならないというピュタゴラス派の説に対してアリストクセノスが異を唱えていたという学説がほとんどの場合支持されているが、種々のゲノスについてのアリストクセノス説明においては、特に様々な半音定義するために、算術的な用語と理論広範囲わたって用いていることは注意しなければならないアリストクセノスは、第2巻で「聴くことによって、音程の大きさ判断すること、そして考えることによって、その大きさ音程の力を理解すること」を主張した。さらに、「音楽知識楽器研究により得られるという意見肯定する者もいるが」「感覚による知覚こそが、旋律本質発見する最良の手段であり、記憶にも残る。音楽を知るに至る手段として、この他にはない。」と書いた。第2巻アリストクセノスは、「韻脚算術的比率気を付けるためにイアンボス短長格)を書く必要はないのであるから、プリュギア調の歌を作る際にもその歌に含まれる音の数比に気をつける要はないのである。」といったことも語っている。しかしながら、このことは、彼が現代十二音技法などの和声体系単純化したものを想定していたと解釈されるべきではない。とりわけ平均律和声体系同等のものを想定していたという解釈は、してはならないアリストクセノス読者に、「いったい、ゲノスの〔違いによる〕ニュアンス〔の違い〕について議論する人々意見が一致することがあるだろうか?皆がみな、半音四分音に音を合わせる際に同じ〔オクターヴの〕分割をするわけではないのだから、メゼから全音2つ分離れた音が『〔半音四分音いくつか足した〕和よりも高い音』ではなく、リカノスと呼ばれるべきなのは、なぜだろうか?」と問いかけるアリストクセノス音階とゲノスの本質的なところは、先人のものから鋭く逸脱していると評されることがあるアリストクセノス音階作成するにあたって依拠するモデルトポス概念音域のこと)を用いたというのは事実である。しかしながらこのようなことをしたのは彼が初めての人物であると信じ根拠はなく、彼自身そのように主張していない。実際に固定点により定義されるある程度の幅を持った不定ピッチという概念は、バロック時代音楽理論にも見られるように、現代固定ピッチ体系ができあがるまでは、よく知られ概念であった多少正確ではなくなるが、アリストクセノス主張別の言い方表現するなら、アリストクセノスは、2つ音の間隔定める際に離散的な数比を用い代わりに連続的に変化する数量用いた。 これがアリストクセノステトラコルド構成するだろう、音階もう一つ協和音価値を持つようになるだろうという仮定は、アリストクセノス解説者や、単純化され十二音技法を好む凝り固まった視点を持つ現代人何度も繰り返す矛盾だらけの解説依拠したままでは説明不能な仮定である。アリストクセノス自身は、「(...) 次に述べ2つ事柄見逃してならない多くの人がこれまで言っていた階調旋律の中で等し3つの部分分かれるという説が間違いであるということ一つ目である。彼らは、階調第3の部分使用することと、階調3つの部分分割し3つ全部を歌うということとが同じことを意味するということ気づいていないため、この誤り犯した二つ目は、純粋的に抽象的な視点から、決し軽視できない2音間の間隔は存在するということ私たち受け入れているということである。」という考え述べた第3巻では、連続的な旋律に関する28個の法則解説されており、古典ギリシア音楽旋律的構造関心がある者の強い関心を呼ぶ部分である。

※この「『ハルモニア原論』」の解説は、「アリストクセノス」の解説の一部です。
「『ハルモニア原論』」を含む「アリストクセノス」の記事については、「アリストクセノス」の概要を参照ください。

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