「大王」表記の成立とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 「大王」表記の成立の意味・解説 

「大王」表記の成立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 07:38 UTC 版)

大王 (ヤマト王権)」の記事における「「大王」表記の成立」の解説

稲荷山古墳出土鉄剣国宝埼玉県立さきたま史跡の博物館展示。左は表面、右は裏面倭の五王の「済」に比定される允恭天皇は、千葉県稲荷台1号古墳から出土した王賜銘鉄剣にある「王賜□□敬□」の「王」とする説があり「大王」ではなかったとも考えられている。「武」に比定されるワカタケル王(雄略天皇)については、埼玉県稲荷山古墳から出土した鉄剣銘に「獲加多支鹵大王」とあり、また熊本県江田船山古墳から出土した鉄刀銘文には「治天下□□□大王」とあることから、国内において治天下大王称号名乗っていたと推測されこの頃5世紀後期)には治天下大王称号生まれたことを示唆している。 奈良時代編纂された『日本書紀』には、大鷦鷯天皇仁徳天皇即位前紀に「大王風姿…」と見えるが、編纂からはるか以前仁徳天皇時代から用いられていたかは定かではない大王表記はこの応神紀で初め見えその後は、允恭紀、雄略紀、顕宗紀継体紀などでみられる和歌山県隅田八幡神社所蔵人物画像鏡の銘に「癸未八月日十 大王年 男弟王 在意紫沙加宮時 斯麻 念長寿開中費直穢人今州利二人等取白上同二百旱 作此鏡」(福山俊男による)とあり、「大王」や「男弟王」などの記述見られる。このことから鏡が作製され癸未年には「大王」の称号使われいたもの推察できるが、癸未年の解釈めぐっては、383年443年503年623年などの説がある。このうち443年允恭天皇)、503年武烈天皇)が有力な説みなされ443年を採ると5世紀半ば允恭天皇の頃には「大王表記用いられていたことになる。しかし、紀年銘異体字をはじめ釈読定まらない文字多く銘文の内容について解釈多様化しており、「大王表記厳密な使用開始年代はっきりしない。 その他、『隋書』「卷八十一 列第四十六 東夷 俀國」に記述されている開皇20年600年第1回遣隋使の上奏文に「俀王姓阿毎字多利思北孤 號阿輩雞彌」とあり、俀王多利思北孤の号 「阿輩雞彌」(アハケミ)が「おおきみ」を表すと考えられている。大業3年607年第2回遣隋使の上表文国書)には、「日出處天子致書日沒天子無恙云云」とあり、対外的には「天子」の称号使われている。しかし、国内においては大王」(おおきみ)、「治天下大王」(あめのしたしろしめすおおきみ)号が使用されていたと考えられる7世紀初頭聖徳太子建立した法隆寺金堂薬師如来像光背銘(推古天皇15年西暦607年)に、「池邊大宮天下天皇」(用明天皇)、「小治田大宮治天下大王天皇」(推古天皇)とあり、治天下大王あめのしたしろしめすおおきみ)の称号用いられていたことが推定される推古朝説)。しかしこの銘文自体が、「天皇」、「東宮聖王」などの語や「大御身労賜時」といった日本的な表現使用されており、推古朝では早過ぎること、銘の書風初唐趣があること、像の作風鋳造技法などから、この薬師像の制作年代は同じ法隆寺金堂にある釈迦三尊像623年)より時代的に下るとする説があり(福山敏男など)、疑問が多い。推古朝説の他には、天智朝説、天武持統朝説などが知られている。 万葉集には「大王」の表記が最も多く57例が見られ、他に「王」「皇」「大王」「大皇」が見られる。ただしいずれもオオキミ”“オホキミ”と訓ませており、「王」単一で“キミ”と訓む例はない。“キミ”に権威背景とする君主意味する「君」の字を当てた大君」は万葉集には柿本人麻呂詠んだやすみしし我が大君…」など数例が見えるのみである。橋本達雄は、記紀歌謡万葉歌双方見られる表現考察して枕詞の「やすみしし」は全世界統治する意で、天皇称号同様に道教教理基づいて案出されたものと説いている。

※この「「大王」表記の成立」の解説は、「大王 (ヤマト王権)」の解説の一部です。
「「大王」表記の成立」を含む「大王 (ヤマト王権)」の記事については、「大王 (ヤマト王権)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「「大王」表記の成立」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「「大王」表記の成立」の関連用語

「大王」表記の成立のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



「大王」表記の成立のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの大王 (ヤマト王権) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS