「境界人」説とは? わかりやすく解説

「境界人」説(村井説、他)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 03:43 UTC 版)

倭寇」の記事における「「境界人」説(村井説、他)」の解説

倭寇正体について村井は、当時国概念が明確ではなく日本九州朝鮮半島沿岸中国沿岸といった環東シナ海人々国家枠組み超えた一つ共同体有しており、村井は彼らを「倭人」という「倭語」「倭服」といった独自の文化をもつ「日本」とはまた別の人間集団だとし、境界生きる人々マージナル・マン)と呼んでいる。村井によれば倭寇本質国籍民族超えた人間集団であり、日本人朝鮮人といった分別意味がない述べている。ほかに、高橋公明倭寇構成について済州島海民倭寇加わっていった可能性唱え倭寇活動が「国境をまたぐ地域」で繰り広げられ国家枠組み越えた性格のものと述べている。 東郷隆前期倭寇首領のひとり、阿只抜都について赤星氏相知比氏(松浦党)といった九州武士、あるいはモンゴル系島嶼人や高麗人といった様々な推測をしている。 村井説の教科書記載への批判 2007年日韓歴史通教材は、村井説が作為的に利用されているとして扶桑社中学歴史教科書挙げ、同教科書における「(倭寇は)朝鮮半島中国沿岸出没していた海賊集団のことである。彼らには朝鮮人多く含まれていた。」「16世紀中ごろ、再び倭寇盛んになったが、その構成員は殆ど中国人であった」といった記述について、倭寇占め日本人の数を低くみせるために村井理論利用した上で、「日本人」「朝鮮人」「中国人」と国籍強調していると批判した村井説への批判 濱中昇は倭寇特徴である領主制日本には存在するが、中世朝鮮には相当するもの存在しないため倭寇主体朝鮮国内には求めるのは難しいとし、朝鮮賤民倭寇偽って略奪働いたとする高麗史記録についても、倭寇襲撃がまずあり、それから若干遅れて賎民の乱暴が発生していると指摘し倭寇とは別のそれに乗じた泥棒の類とした。また、朝鮮半島南部海民高麗末期倭寇加わっていたとしても、倭寇主力日本人であることには変わらないし、多数騎馬や船を擁することについては現地での略奪によってその数を増やしたともした。ほかにも、村井の言う「倭」と「日本」の違いについても、朝鮮日本国家意識した場合そうでない場合蔑視の心がある場合)との使い分け九州地方近畿地方文化的な差異に過ぎないとし、「倭」と「日本」は事物本体としては同じもので、「倭」と中世日本別個のものではないとした沈仁安北京大学教授)は、村井説のように倭寇国境をまたぐ海上勢力とすることも全体的にみれば可能だが、13世紀から16世紀にかけて発生形成発展変遷過程変化している倭寇概括的に解釈することは、具体的な歴史過程隠し具体的な問題対す具体的な分析の方法論の原則符合しない批判した。また沈は、前期倭寇主力日本人領主武士商人)であることは間違いなく後期倭寇他国人が加わっても、主力果たしたではなく倭寇起源活動初期日本人と関係があるため、「日本古代呼び方である『倭』寇命名」したと批判するまた、古代の「倭」呼称日本列島以外の地域の呼称としても使われており、「日本」とは別の概念だとする村井に対して、沈は、千数百以後歴史的事実紀元前後に形成された「倭」で解釈することは不適当とし、更に、古代中国における「倭」は日本のことであり、「『倭』『倭人』が、日本日本人古代呼び方であることは、中国学界では、疑問はない」とした。 高麗前期には見られなかった「倭」という呼称高麗後期になって現れて「日本」と併用されていることについて武田幸男は、「倭」という呼称現れ原因倭寇だと述べている。武田高麗日本国家レベル意識、または正式な通交相手認識した場合は「日本」とし、国家レベル意識せず「敵対者」と認識した時は「倭」と記しているとした。なお、武田14世紀倭寇首領装備について典型的な中世日本武士」だとしている。

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