「勅令」による戦時兵食の指示とは? わかりやすく解説

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「勅令」による戦時兵食の指示

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 22:20 UTC 版)

日本の脚気史」の記事における「「勅令」による戦時兵食の指示」の解説

海軍の兵食改革洋食麦飯)に否定的な陸軍は、日清戦争時に勅令で「戦時陸軍給与規則」を公布し戦時兵食として「1日精米6合(白米900g)、肉・150g野菜類150g漬物類56g」を基準とする日本食採用した1894年明治27年7月31日)。ただし、大本営陸軍部野戦衛生長官務め石黒忠悳陸軍省医務局長)の米飯過信副食軽視災いの大もとであった戦時兵食内容決められたものの、軍の輸送能力が低いこともあり、しばしば兵站滞った。特に緒戦朝鮮半島では、食料現地調達補給苦しみ平壌攻略戦では野津道貫第五師団長以下が黒粟などを口にする状況であった黄海海戦後、1894年明治27年10月下旬から遼東半島上陸した第二軍一部脚気患者が出ると、経験的に夏の脚気多発知られている中、事態憂慮し土岐頼徳第二軍軍医部長が麦飯給与稟議提出した1895年明治28年2月15日)。しかし、その「稟議施行せらるる筈(はず)なりしも、新作上海すこぶる頻繁なる等、種々の困難陸続発起し、ついに実行の運(はこび)に至らさりしは、最も遺憾とする所なり」と、結局のところ麦飯給与されなかった。その困難の一つは、森林太郎鴎外第二軍兵站部軍医部長が反対したとされる(もっとも上記通り勅令の「戦時陸軍給与規則」に麦はなく、また戦時兵食変更する権限野戦衛生長官にあり、当時戦時衛生勤務令では、土岐のような軍の軍医部長は「戦況上……野戦衛生長官連絡ヲ絶ツ時」だけ、同長官と同じ職務権限与えられた)。 下関条約日清講和条約調印後台湾平定乙未戦争)では、高温という脚気発生しやすい条件の下、内地から白米十分に送られても副食貧弱であったため、脚気流行した。しかも、1895年明治28年9月18日付けの『時事新報』で、石神海軍軍医が同紙に掲載されていた石黒談話文「脚気をせん滅するのは、はなはだ困難である」(9月6日付け)を批判し、さらに11月3日5日付けの同紙には、斎藤有記海軍軍医による陸軍衛生当局批判する文が掲載された。両名とも、麦飯給与しない陸軍衛生当局厳しく批判していた。しかし、11月に「台湾戍兵(じゅへい)の衛生について意見」という石黒意見書陸軍中枢提出されており、同書石黒兵食基本白米飯)を変えてならないとした。そうした結果、かつて遼東半島麦飯給与動いた土岐台湾着任し1896年明治29年1月16日)、独断麦飯給与踏み切るまで、脚気流行鎮まる兆候がなかった。ただし、その越権行為明白な軍規違反であり、土岐陸軍軍医総監序列第三位)は帰京即日休職)を命じられ5年後そのまま予備役編入された(軍法会議などで公になると、石黒(同・序列第一位)の統率責任軍規違反経緯など問われかねなかった)。

※この「「勅令」による戦時兵食の指示」の解説は、「日本の脚気史」の解説の一部です。
「「勅令」による戦時兵食の指示」を含む「日本の脚気史」の記事については、「日本の脚気史」の概要を参照ください。

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