《緑青》の正しい読み方
「緑青」の正しい読み方
「緑青」に使用されている漢字は、どちらも小学校一年生で習う漢字である。「緑」という漢字は「みどり」「りょく」「ろく」などと読むことができ、「青」は「あお」「せい」「しょう」などと読む。この2つの漢字を組み合わせた熟語である「緑青」の正しい読み方は、「ろくしょう」である。一般的には「ろくしょう」と読むのが正しいと言われているが、文学作品の中には「緑青」という漢字に「ろくしよう」「ろくしやう」というルビが振られていることもある。
「緑青」の意味解説
銅像や10円玉硬貨などの金属が青色に変色している青錆のことを「緑青」と呼んでいる。銅や銅合金が空気中に含まれる水分や塩分と化学反応を起こして青色の錆が発生することである。メッキ加工していない金属は、水分や塩分と反応して酸化すると赤褐色に変色する。その後、さらに酸化反応が進行していくと、褐色がどんどん暗くなっていき、最終的に緑青色に変化する。実は、「緑青」は昭和の前期頃までは毒性があり、身体に悪影響を及ぼすと考えられていた。しかし、その後の研究で無害であることが正式に表明された。
銅は銅像などに使用されている金属であるが、青緑色をしている銅像は自由の女神像の印象が強いのではないだろうか。緑青は表面の酸素が触れる部分にのみ発生するが、金属の表面に酸化反応が発生したときに被膜が生じる性質を持つため、内部が腐食するのを防いでくれる効果があることがわかっている。1886年に彫像された自由の女神像が、長きに渡って元の姿を留めることができているのは、緑青の効果によるものだと言われている。
なぜ「緑青」と読むのか・理由
「緑青」の「緑」「青」という漢字をそれぞれ音読みし、「ろくしょう」と読むようになったと考えられる。ちなみに、「青」を「ろく」と読むことは常用漢字表にも記載されているが、「緑青」以外にこの読み方をすることはほとんどないと言われている。「緑青」の類語・用例・例文
「緑青」は、銅が長時間空気中、または水にさらされてできる青錆のことである。したがって、類語には青銅や炭酸水酸化銅、水酸化炭酸銅などがある。あまり日常的に使用する言葉ではないが、銅像などを想像させる美しい青緑色を指すことが多い。「緑青」の用例・例文は、「緑青色に覆われていた鎌倉大仏は、とても美しい色味をしている」や「顔に吹きかける緑青色のペイント顔料を購入した」「貯金箱から古い10円玉硬貨を取り出したたら、緑青色に変色していて驚いた」などの使い方がある。「緑青」の英語用例・例文
「緑青」を英語で表記すると、「patina」「verdigris」「green rust」「copper rust」など様々な表記をすることができる。この中で「verdigris」という単語は、「緑青色」のことも指している。「緑青」の英単語を使用した英文の用例・例文には、一例として「Patina refers to things whose copper has oxidized to bluish green(緑青とは、銅が酸化して青緑色になったもののことを言う)」や「Copper green rust-colored rust attaches to a figure in bronze(ブロンズ像に青緑色の錆が付着している)」、「Of the name called the copper rust(緑青と言う名の錆)」などがある。
《緑青》の正しい読み方
「緑青」の正しい読み方
「緑青」の正しい読み方は「ろくしょう」である。「緑(ろく)」と「青(しょう)」は、呉音という漢字の古い読み方。緑青は古来「緑青(ろくしょう)」として定着している語である。今さら「りょくせい」とか「みどりあお」などと読むことはまずない。
「緑青」の意味解説
緑青は、銅や真鍮などの金属が酸化することで発生する、青緑色の錆のことである。いわゆる青サビ。字面のとおり青緑がかった色を呈する。緑青が銅像や銅製品の表面に生じると、これが皮膜となって腐食の進行を防ぐ効果が生まれる。また、その独特な色合いが審美的にも好まれた。
孔雀石(マラカイト)を原料とする顔料(岩絵の具)は「岩緑青(いわろくしょう)」と呼ばれる。この岩緑青を指して単に「緑青」と呼ぶ場合もある。岩緑青は日本画の画材として古来珍重された。
青サビを指す「緑青」、孔雀石を原料とする「岩緑青」は、成分が同じである。そのため、人工的に金属に「緑青」を発生させ、そこから顔料を作る、といったことも行われた。
なぜ「緑青」を「ろくしょう」と読むのか・理由
漢字の読み方(音読み)には、漢音・呉音・唐音といった種類がある。今日一般的な漢字の音読みは「漢音」である。そして「ろくしょう」という読み方は呉音に基づく。呉音は、中国大陸から仏教が伝来した時代に漢語と共に伝わった音である。今日でも仏教に関する語彙などに多く呉音の言葉が残っている。たとえば「声明(しょうみょう)」、「女性(にょしょう)」、「供花(くげ)」等。ちなみに「和尚(おしょう)」は唐音であり、呉音では「和尚(わじょう)」である。
緑青は古くから日本文化に根付いており(飛鳥時代に大陸から伝来したとされる)、建築や美術を通じて仏教文化とも関わりが深い。呉音で読まれることに特に不思議はない。
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