《寧ろ》の正しい読み方
「寧ろ」の正しい読み方
読み方:「むし(ろ)」「寧ろ」の意味解説
二つの事柄を比較して、あちらよりもこちらを選ぶ、こちらの方が望ましいという気持ちを表す。単純にどちらか一つを選ぶのではなく、選ぶ物事に対する話者の強い気持ちや、一般的にはAだが自分はBを選ぶ、という「反対に」「あえて」というニュアンスが含まれることもある。また、ビジネスシーンにおいては、相手の謝罪やお礼の言葉に対して、謙遜の意味を込めて「寧ろ」を使うことがある。なぜ「寧ろ」と読むのか・理由
常用漢字表に「むし(ろ)」の読みはなく、漢文において「寧」を「むし(ろ)」と読み、「~する方が良い」という比較・選択の意味で用いられていたことに由来する。例えば、ことわざの「鶏口牛後」の原文にも「寧為鶏口、無為牛後」とあり、「寧(むし)ろ鶏口と為るも、牛後と為ること無かれ」と読み下し、「牛の尻となるより(大きな集団の末端にいるより)、鶏の口となった方が良い(小さな集団のトップになった方が良い)」という意味である。「寧ろ」の類語・用例・例文
「寧ろ」の類義語は、「どちらかといえば」「かえって」「いっそ」「それどころか」などがある。「寧ろ」は、二つの物事を比較して使う言葉だが、比較対象が明確な場合は省略され、選ぶ事柄のみを言及することが多々ある。以下、「寧ろ」の例文。
・今までの努力が実って優勝することができたが、これで終わりではなく、寧ろ、ここからが真のアスリートになるためのスタートだと考えている。
・今日はとても暑いが、こんな日は、私は冷たいジュースよりも寧ろホットコーヒーが飲みたい。
・幼い頃からピアノを習ってきたが、なかなか上達せず好きになれない。寧ろ、嫌いだ。
・私には弟がいるが、寧ろ弟の方が(年長者である姉の私よりも)しっかりしている。
・今回のトラブルでは、あなたが手を貸してくれて、(迷惑どころか)寧ろとても感謝している。
・(相手からの謝罪を受けて)寧ろ、謝らなければならないのは、こちらの方です。
「寧ろ」の英語用例・例文
「寧ろ」の英語は、「B rather than A」「not so much A as B」「more like B than A」「prefer B to A」(Aより寧ろB)、「instead」(代わりに)などがある。以下のように用いる。・I would rather go to the beach than to the mountains. (山に行くより、寧ろ海に行きたい。)
・Tom is not so much an elementary school teacher as a writer. (トムは小学校教師というより、寧ろ作家だ。)
・What he says sounds more like a criticism than a question.(彼の言うことは、質問というより寧ろ批判のように聞こえる。)
・I prefer an aisle seat to a window seat.(私は窓側の席より、寧ろ通路側の席の方が好きだ。)
・My sister doesn’t study. Instead, she plays with her smartphones all the time. (妹は勉強しない。寧ろ、スマートフォンをいじってばかりいる。)
《寧ろ》の正しい読み方
「寧ろ」の正しい読み方
「寧ろ」の読み方は「むし-ろ」である。平仮名で「むしろ」と表記する場合が多い。「寧」の字には「丁寧」「ねんごろ」という字義もあり、「寧ろ」と書いて「ねんご-ろ」と読ませる場合もなくはない。とはいえ、一般的な読み方とまではいえない。
「寧ろ」の意味解説
「寧ろ(むしろ)」は副詞であり、比較・選択にあたって「こちらの方が(よい)」あるいは「こちらの方を積極的に選ぶ」という気持ちを表現する場面で用いられる表現である。まず比較対象を挙げ、「(比較対象)よりはむしろ~」という形で叙述される。「AかBか」といった類似のものを比較する文脈では、「BよりはAの方がよい、ましだ」といった強調のニュアンスを含むことが多く、「する・しない」といった対立項を比較する文脈では、他方の選択肢を否定することで自らの選択を強調するような反語的ニュアンスを含むことが多い。
なぜ「寧ろ」と読むのか・理由
「むしろ」という副詞表現そのものは和語であり、これに漢語の「寧」の字が当てられた、と解釈できる。漢文の訓読では「寧」は「いずくんぞ(寧んぞ)」と読まれることが多い。
「寧ろ」の類語・用例・例文
「寧ろ」の類語・類似表現としては、比較の文脈で使われる副詞という意味では「却って(かえって)」あるいは「逆に」のような表現が挙げられる。「却って」も「逆に」も、文脈から順当に想定される内容とは食い違った結果になることを指す意味合いで用いられる。「むしろ」は必ずしも逆接の意味合いを含むとは限らない。
「寧ろ」の英語用例・例文
日本語の「むしろ」に対応する英語表現としては「rather」が挙げられる。Carpentry is not a weak field for me. Rather, it ’s something I ’m good at.(大工仕事は僕にとって苦手分野ではない、むしろ得意な作業だ)
I don't think the lack of anything in the countryside is a drawback at all. Rather, I came here from the city in search of tranquility.(田舎に何もないことはまったく欠点と思わない。むしろ、私は静けさを求めて都会からここへやって来たのだ)
The manager did not teach the soccer boys tactics. Rather, they played the second half of the game freely.(監督はサッカー少年たちに戦術を教えなかった。むしろ、そのことで彼らは後半戦をのびのびとプレイした)
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