《寄席》の正しい読み方
「寄席」の正しい読み方
「寄席」は「よせ」と読む。「寄席」の意味解説
「寄席(よせ)」は講談や落語、義太夫などの演芸を客に見せる目的で設けた興行小屋である。辻咄や講釈を寺社の境内で行っていたのが寄席の原型であり、後に橋のたもとでよしず張りの小屋掛けを用いた演芸が主流になった。現在知られている常設小屋のイメージが確立したのは19世紀初頭で、当時は講談が主な演目だった。明治時代になると落語や浪曲なども演目として取り上げられるが、後の映画館である活動写真館の増加やラジオの普及など娯楽の多様化によって扱われる演目が減少し、現在に至るまで続く演目は落語や漫才など少数である。毎月休まず開演するのが寄席の本来の意味だが、演芸業界においては一部の演芸場のみを寄席と称し、特別視している。興行に関する法律において寄席は演芸場や劇場とは別種の扱いであり、世間一般でも落語や漫才など一部の限られた演目を専門に扱う場のイメージが定着している。また、落語家や漫才師が芸を披露する行為そのものを「寄席」と称することもある。これは寄席が落語家や漫才師が活躍する場というイメージから派生した呼び方だ。
なぜ「寄席」と読むのか・理由
「寄席」を「よせ」と読むのは「人寄せ席」の略称とされている。「ひとよせせき」を省略した「よせ」が正式な名称として定着した。「席を寄せる」と書くのは、寄席の客席は地面にむしろやござを敷いた簡素な物であり、狭いスペースに多くの人を入れるために敷き物同士を寄せたことに由来している。一部の文献では「悪所」「悪場所」とかいて「よせ」と読ませている物もあるが、これは江戸時代に寄席がしばしば取り締まりの対象になったためだ。講談や落語などの娯楽は人を堕落させると考えられていた他、一部の寄席では裏で売春や賭博などの違法行為を手掛けていたのが理由である。「寄席」の類語・用例・例文
「寄席」の類語には「舞台」「劇場」「演芸場」などがあり、それぞれ「ぶたい」「げきじょう」「えんげいじょう」と読む。いずれも本来の意味は講談師や落語家、踊り子などの芸人が持ち芸を披露するために設けた場だが、現在では芸人の種類や施設の構造などによって区別されている。「真打ちの芸は寄席で観るのが最高」「舞台で活躍する俳優」「古い劇場をリフォームする」「長い歴史を持つ演芸場」などの例文がある。「寄席」の英語用例・例文
「寄席」に合致する英単語は存在しないが、歌や踊り、手品などの演芸を披露する簡易的な舞台の意味を持つ「vaudeville」が用いられるのが普通だ。例文としては「高名な芸人が寄席に出演した」を英訳した「Famous entertainer appeared in a vaudeville.」がある。《寄席》の正しい読み方
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