fate/Zero 登場人物

fate/Zero

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/05/14 04:38 UTC 版)

登場人物

セイバー陣営

衛宮 切嗣(えみや きりつぐ)
声:小山力也 / 入野自由(子供時代)
身長:175cm、体重:67kg、血液型:AB型、誕生日:11月11日
本作の主人公。セイバーのマスター。「正義の味方」に憧れた理想主義者。聖杯に託す望みは「戦いの根絶」「恒久的な平和の実現」。
魔術師殺し」と呼ばれる殺し屋。衛宮六代目の魔術師でありながら、魔術を目的遂行のための手段としか見なさず、本来なら魔術師が忌避する近代兵器を躊躇いなく使用する。聖杯戦争の切り札としてアインツベルン家に婿養子に迎えられた。
少年期に父親の研究によって惨劇が起こったことをきっかけに、事件の再発を防ぐため父親を殺害。このことから「多数を救うために少数を切り捨てる」ことを絶対の信条とするようになる。愛情や友情を尊び、他者の悲喜に共感できる正常な感性を持ちながら、心と指を切り離して引き金を引くことができる暗殺者の天性を持ち合わせてしまったために、罪の意識と喪失の痛みに苛まれ続けながらも信条に徹した生き方を続けている。
戦争を始めとするありとあらゆる闘争を軽蔑し、戦いを肯定し人々を戦場に駆り立てる「英雄」という概念を激しく憎悪する。自身のサーヴァントであるセイバーとは召喚前から性格的に相容れないと判断し、アイリと組ませ、おとりとし、その裏から奇襲する方針で召喚を決断していたが、それ以上にセイバーに対しても前述の理由から彼女を徹底して無視し[注釈 2]、最後まで令呪による命令以外での会話を行うことはなかった(実は他のサーヴァントとも一切口を利いていない)。
言峰綺礼には調査した参加者の資料の経歴を知っただけで、綺礼の内心を見抜き彼の評価で最上の「危険」の評価を付け、最重要危険人物として常に注意することになり、さらに内心では綺礼を恐れてもいた。
ワルサーWA2000キャリコM950Aといった銃器、ナイフに爆発物などを用いた戦闘術のほか、背中に刻まれた魔術刻印に因り継承した「時間操作」を応用し、固有結界を体内に限定して展開し、自らの時間流を加速・減速させることで、通常の数倍の運動能力や時間遅延による状況の先延ばしを得る魔術「固有時制御(タイムアルター)」を使いこなす。ただし世界からの修正に因り身体に相当の負担がかかるために通常は2倍速か3倍停滞程度にとどめている。
切り札は魔術礼装として改造された銃トンプソン・コンテンダー[注釈 3]から放たれる「起源弾」。切嗣自身の第12肋骨をすり潰した粉を霊的工程をもって凝縮し、.30-06スプリングフィールド弾の芯材とした概念武装としての側面も持つ魔弾で、これに撃ち抜かれた対象には切嗣の起源である「切断と結合」が発現し、不可逆の変質[注釈 4]がもたらされる。特に対魔術師戦においては非常に効果的で、魔術的手段をもって防御した対象の魔術回路を変質させることでその魔術回路に通っていた魔力を行き場を失わせて暴走させ、魔術回路、ないしそれと密接に関わっていた肉体を破壊する。対象が魔力を使用していればいるほど魔術回路・肉体に与えるダメージは深刻になるという点から、切嗣は挑発を重ねて相手に本気を出させたところで起源弾を撃ち込むという戦法を取り、一発で相手を無力化、ないし死亡させるように立ち回っている。[注釈 5]
戦争終盤に綺礼と相対し、アイリから受け取った「全て遠き理想郷」の回復力を利用し固有時制御を3~4倍速と引き上げる策で迎え撃つ。その最中、聖杯より溢れだした泥を満身に浴び、アイリの皮を被った『この世全ての悪』と対話する。自身の持ち得る方法での峻別でしか願いを叶えられない事実を知らされ絶望し、『この世全ての悪』の怒り憎しみを受け、泥に汚染される。その後、自身より後に目覚めた綺礼を射殺し、二つの令呪を使用し強制的にセイバーに聖杯を破壊させた。聖杯の泥が溢れ出し冬木市に大火災が起こる中、人命救助を試みるものの生存者を見出だせずにいたが、失意のうちにようやく見つけ出した士郎に対して歓喜の涙を流し、感謝の言葉を告げる。そして士郎を養子として引き取り、拠点として使った屋敷で暮らし始める。そして二度と聖杯戦争を起こさないために、最後の魔術を施す[注釈 6]。また士郎に旅に行くと偽って何度かイリヤの救出に向かうが、結界に阻まれ会うことも叶わなかった。それから五年後、『この世全ての悪』の呪いに蝕まれ死期を悟る中、屋敷の縁側で士郎に何気なく正義の味方に憧れていたこと話す。それを聞いた士郎から「正義の味方になる夢は自分が継ぐ」という言葉を聞き、かつて自分はシャーレイにできなかった『大切な相手への誓い』の思い出が胸にある限り士郎は大丈夫だと思い、「そうか。ああ――安心した」と呟き眠るように息を引き取った。
『Fate/stay night』においては主人公・衛宮士郎の養父として、回想シーンに登場した。また五次のアーチャーがマスターである遠坂凛に願いを聞かれた際に恒久的な世界平和と彼と同じ願いを提案している。その際凛からは爆笑されながらも、「最悪の願い。争いのない世界は動きを止め、腐っていくだけ」と持論を述べている。
アイリスフィール・フォン・アインツベルンIrisviel von Einzbern
声:大原さやか
身長:158cm、体重:52kg、スリーサイズ:B85/W56/H84、血液型:不明、誕生日:2月1日
愛称はアイリ。衛宮切嗣の妻。セイバーと別行動を取る切嗣に代わり、おとりとしてセイバーのマスターを演じる。
外界を知らずに育った箱入りのため世間知らずで非常に好奇心旺盛。強い意志の持ち主。切嗣を心から愛し、彼の理想に身を捧げる覚悟とともに絶対の信頼を寄せている。「姫君」の気質を備える貴婦人であるため、「騎士」であるセイバーとは非常に相性がいい。車の運転が大好きで、スピード狂の気がある。
アインツベルンの得意とする、治癒も可能な錬金術に長ける。中でも貴金属の変形はアインツベルンの得意中の得意となっており、を用いた針金細工を戦闘に使用する。
切嗣の指示で、体内に「全て遠き理想郷(アヴァロン」を埋め込んでおり、セイバーに触れられるだけで重傷でも瞬時に回復できる。前回の聖杯戦争でアインツベルンの用意した聖杯が破壊されてしまったため、それを教訓に聖杯を体内に内蔵した、聖杯を守るための殻として造られたホムンクルスである。そのためサーヴァントが消滅し聖杯が本来の機能を取り戻していくごとに、アイリとしての生体機能・人格は塗り潰され消失していく。
聖杯戦争終盤に綺礼の策略によりその身を誘拐される。その後彼に切嗣の聖杯に託す望みを説き、その結果に激昂した綺礼により命を絶たれる。絶命後、聖杯として機能し「この世全ての悪(アンリ・マユ」と同化した形で切嗣に邂逅し、自身を破壊しようとする切嗣に呪いをかけた。
アイリ師匠
「おねがい!アインツベルン相談室」では弟子ゼロ号ととともに弁護士として登場。立ち位置としては原作の「タイガ師匠」で、ゼロ号からも「アイリ師匠」と呼ばれている。
正装は和服でたまに薙刀を持ち出す。「タイガー道場」よろしく作中で脱落した人物の相談が目的であるらしい。
セイバーSaber
声:川澄綾子
身長:154cm、体重:42kg、スリーサイズ:B73/W53/H76、血液型:不明、誕生日:不明、属性:秩序・善
パラメータ: 筋力:B 耐久:A 敏捷:A 魔力:A 幸運:D 宝具:A++
クラス別能力:対魔力:A:騎乗:A / 保有スキル:直感:A:魔力放出:A:カリスマ:B
黒スーツに身を包んだ男装の華麗な少女。
真名はアルトリア。伝説の騎士王アーサー・ペンドラゴンである。故国を救うために聖杯を目指す。『世界』との契約の1巡目として冬木に呼び出された。
宝具は、風の魔術で大気を圧縮し光を屈折させることで所持する剣を不可視にする「風王結界(インビジブル・エア)」と、魔力を変換し絶大な出力の“光”の斬撃として放つ聖剣「約束された勝利の剣(エクスカリバー」。召喚の媒体としては聖剣の全て遠き理想郷(アヴァロン」が用いられたが、召喚された当人は切嗣やアイリが鞘を所持していることを知らないままだった。
一方的な攻撃と殺害を良しとする「暗殺者」切嗣の戦闘方針と、真っ向から堂々たる戦いと勝利を求める「騎士」セイバーの誇りは決して相容れることはなく、最後までマスターとの信頼関係が醸成されることはなかった(実際にセイバーがランサーを止めなかったことで「相手の策で僕が死んだらどうしていた!」と切嗣を憤慨させた)[注釈 2]。聖杯戦争中、切嗣からは三度のみ(全て令呪による命令)しか話しかけられていない。
本作ではクラス特有スキル「騎乗」を思う存分に発揮する。切嗣がアイリに与えたメルセデス・ベンツ 300SL、さらにこの騎乗スキルが機械に有効なことを知った切嗣が彼女自身に手配した、人間が乗ることを度外視したチューニングを施したYAMAHA V-MAX[注釈 7]を風王結界でさらに強化し変貌させ[注釈 8]、限界を超えたレベルで乗りこなした。(ちなみにアニメ登場時のナンバーは「冬木 て 52-41」)
召喚当初はブリテン王として故国での治世をなかったことにしやり直すことを聖杯に願う算段だったが、死してなお臣下に慕われ続けるライダーに自らの王道を否定されたことと、生前共に戦ったバーサーカーが自らを恨んでの狂化と誤解してしまったことから、『自分が王になったこと自体が間違いだった』と失意の淵に沈んでしまう。最終盤においてアーチャーと対峙して劣勢を強いられた際に、切嗣の令呪に拠って最後の希望であった聖杯を自らの手で破壊させられてしまい、悲憤と絶望のなかで退場、カムランの丘へと引き戻されてしまう。そして一人嘆き涙ながら、「ごめんなさい」と懺悔し続けるのだった。
『Fate/stay night』ではメインヒロインの一人であり、再び聖杯戦争にセイバーのサーヴァントとして召喚され、切嗣の養子である衛宮士郎と契約。彼のサーヴァントとして剣を執る。なお、召喚場所は衛宮邸の土蔵で、アイリスフィールがセイバーに描かせた魔法陣が偶然にも儀式の役割を果たしている。
久宇 舞弥(ひさう まいや)
声:恒松あゆみ
身長:161cm、体重:49kg、スリーサイズ:B75/W58/H77、血液型:A型、誕生日:7月7日
衛宮切嗣の助手であり、愛人であり、弟子である女性。感情を表に出さず淡々と作業をこなす。
使用武器は切嗣と同じくステアーAUGと、キャリコM950。使い魔を使役する程度の魔術も体得している。
貧国の出身。『久宇舞弥』という名前は切嗣が最初に作った彼女の偽造パスポートに書かれた名前であり、彼女は自分の本名を知らない。幼少から兵士として訓練を受け、昼は戦い、夜は兵士による輪姦を受ける[注釈 9]という凄絶な日々を過ごす中で人間性を失った。その後、戦場で切嗣と出会い拾われ、以後「衛宮切嗣」という戦闘機械を完成させるパーツとして働いてきた。いつかアイリを切り捨てることになる切嗣が、裏切りの予行演習として彼女と肉体関係を持っている。内実はとても幼く純粋無垢で、共に戦う同じ陣営に献身を尽くす。その一途さが切嗣やアイリ、セイバーの信頼を勝ち得た。アイリの護衛任務中にライダーに扮したバーサーカーの襲撃に遭い、駆けつけた切嗣の腕の中で息を引き取る。
切嗣も知らない隠れ甘党で、オフの時はケーキバイキングに入り浸っているという裏設定が存在する[注釈 10]
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンIllyasviel von Einzbern
声:門脇舞以
愛称はイリヤ。切嗣とアイリの娘。ホムンクルスと人間のハーフであり、厳密な意味でのホムンクルスとは違った存在。次の聖杯となるべく胎内にいる時から様々な調整を受けている。それが原因で成長が第二次性徴で止まっている。
後の第五次聖杯戦争が舞台である『Fate/stay night』にて、主人公である衛宮士郎を執拗に狙うマスターとして登場。ルートによってはサブヒロインとして扱われる。
ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン
声:藤本譲
アインツベルン第八代の頭主。「八」を捩って、アハト翁と通称されている。実は200年以上生きており、第二次聖杯戦争のときから参戦している。
前回の敗北を教訓に、純潔を守ってきた歴史を破り、切嗣を雇い形振り構わぬ姿勢で聖杯戦争に臨む。しかし「最優」と信じて準備したサーヴァントがマスターである切嗣との相性が最悪であったなど、その行為のほとんどが裏目にでるものだった。第三次におけるルール違反が結果として聖杯を永遠に遠ざけてしまった事態は、その最たるものであると言える。
『Fate/stay night』では存在が語られるのみで登場はしていないがアインツベルン陣営の黒幕的に語られている。

アーチャー陣営

遠坂 時臣(とおさか ときおみ)
声:速水奨
身長:177cm、体重:68kg、血液型:O型、誕生日:6月16日
アーチャーのマスター。聖杯に託す望みは「根源に至る」。遠坂凛と間桐桜の父親。
宝石魔術を体得している火属性の魔術師であり才能は凡庸であったが、人より数倍の努力を重ね魔術師としての実力は第四次聖杯戦争においてはケイネスに次いで優秀である。凄まじい克己心を持つ本物の貴族といえる人物だが、揺るぎない信念ゆえに自らの方針・行動を自省したり他者の心情や状況を考慮することができず、肝心なところで足元を見ない先祖代々の悪癖を持つ。
魔道を奉じ、常識的な家族としての幸せを低俗と考える生粋の魔術師。自他ともに厳しく、愛する妻や娘を甘やかすこともない。自身の価値観と間桐家の実情への無知から、魔道に背を向けた旧友・雁夜に対しては激しい侮蔑を露にする。桜を養子に出したことは、魔術の天性の素質を持ちながら魔術師になれない桜の身を怪異や魔術協会から守るため[注釈 11]の自分なりの苦渋の選択であり、立派な魔術師へ成長させてくれると思い込み、間桐の養子に出した。しかし桜の現状と間桐の醜悪な内情を詳しく知らないまま下したその決断が雁夜との決定的な対立を招くこととなった。
聖杯戦争の監督役である璃正と裏で繋がり、万全の準備を持って聖杯戦争に挑んだ。サーヴァントであるアーチャーを「高貴なる者」として敬い、臣下の礼をとって接するが、アーチャーを含めたサーヴァントの規格外の能力や振る舞いに振り回されることになる。キャスター討伐後、聖杯戦争の最後に時臣は令呪を使って自分を殺す[注釈 12]と綺礼に聞かされ時臣を見限ったアーチャーと共謀した綺礼の裏切りによって殺害される。
アニメ版『Fate/stay night』から声優が変更されている(変更前のキャストは同作の音響監督を務めた辻谷耕史でゲスト出演に等しい)。
アーチャーArcher
声:関智一
身長:182cm、体重:68kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:混沌・善
パラメータ: 筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:A 宝具:EX
クラス別能力:対魔力:C :単独行動:A / 保有スキル:黄金率:A:カリスマ:A+:神性:B(A+)
真名はギルガメッシュ。バビロニアの英雄王。遙か昔、世界の全てを有した「人類最古の英雄」。
伝承・伝説の「原典」を貯蔵した宝物庫を開く鍵剣「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン」は、財宝を自在に喚びだして使用、または弾丸のように射出することができる。事実上、すべての英雄に対し有利に立ち回ることを可能とする最強のサーヴァント。さらに切り札として「乖離剣エア」による時空切断、「天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ」を持つ。
性格は傲岸不遜、自らを唯一無二の王と称してはばからないが、独自ながら「王」としての哲学と価値観を持つ。マスターと離れても行動できる「単独行動」のスキルとその性格ゆえに、時臣を意に介さず自らの望むままに行動する。
聖杯に願いを託すわけでなく、自分の財(この地平のすべて)を奪わんとする賊を裁くという異例の理由で聖杯戦争に参加する。自分に礼を尽くす時臣に王として協力していたが、あまりにも魔道に忠実な人格や鈍重な作戦に退屈と不興を感じ、屈折した精神と理性のせめぎあいに苦しむ綺礼に興味を移していき、諭していく。結果、『Fate/stay night』における綺礼を形作る要因となった。また人の限界を極めたライダーを自らが裁くにふさわしい賊と決め、身に余る大望を望み嘗ての友を思い起こさせるセイバーに興味を示すようになる。ライダー戦においては、ライダーを「王」と認め、「天地乖離す開闢の星」によってライダーの宝具「王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)」を破壊するなど圧倒的な差を見せつけ、彼の消える間際に再戦の約束を交わし、また「臣としての忠義」を示したウェイバーの在り方を認め見逃すなど、「王」らしい振る舞いも見せた。
姿を現した聖杯の前で、対バーサーカー戦で精神的にも疲弊したセイバーと対戦、嬲りながら求婚するものの、セイバーによって破壊された聖杯から漏れ出た泥に飲み込まれてしまう。しかしその圧倒的な自我で以て「この世全ての悪」の怨嗟から脱出、その結果として受肉した。
前述の経緯から、『Fate/stay night』に謎のサーヴァントとして登場した。
遠坂 葵(とおさか あおい)
声:伊藤葉純
身長:160cm、体重:50kg、スリーサイズ:B78/W57/H82、血液型:O型、誕生日:9月5日
遠坂時臣の妻。遠坂凛と間桐桜の実母。時臣を熱愛している。時臣の指示で聖杯戦争開始直前に凛と共に冬木から鉄道で二駅先にある実家に避難していた。
魔術回路こそ持たないが、配偶者の血統における潜在能力を最大限引き出すという特異体質(凛の才能と素質がずば抜け、桜の稀有な属性を持ったのは、そのため)を持つ禅城(ぜんじょう)家の娘。禅城家もかつては魔術師の家系であったが、現在は一般人の家系となっている。間桐雁夜からは好意を寄せられているが、彼女は雁夜を幼馴染の友人としか見ていない。控えめな性格の持ち主であり、自己主張があまりできない人物。自身の娘である桜を養子に出したのは夫である時臣に従ったための行動で、それを悲しみながらも桜のことを雁夜に頼んだことが雁夜参戦の発端となった。聖杯戦争終盤に綺礼の裏切りにより時臣を殺害され、さらに彼の策謀により、雁夜と屍となった時臣に引き合わされてしまう。結果、葵は夫を殺したのが雁夜だと思い込み、彼に激昂し感情のままに暴言を吐き、状況が理解できず自身の思いを貶められて錯乱した雁夜に首を絞められてしまう。その際の酸素欠乏の後遺症により病床に伏せることになり精神も崩壊してしまった。
『Fate/stay night』開始時点までに病没していることが語られている。
遠坂 凛(とおさか りん)
声:植田佳奈
身長:124cm、体重:29kg、血液型:O型、誕生日:2月3日
遠坂時臣の娘。五大元素使い(アベレージ・ワン)。すでに初歩魔術を行使できる天才。遠坂の血族であることに誇りを持つ、幼き貴族。父親である時臣とは師弟としてしか接されたことが無く、それが当たり前だと思っていた。また時臣の魔術師ゆえの歪みを知らず、立派な父と尊敬している。
戦後は時臣の葬儀を経て遠坂の家督を継ぐ。その際、綺礼の気まぐれから、綺礼が時臣から魔術の修了の餞別として授かり、直後に彼を殺害するのに用いた因縁のアゾット剣を授かる。
アニメ版10話では主役を務め、龍之介にさらわれた友人と十数人の子供達を助ける活躍を見せる。
『Fate/stay night』ではメインヒロインのひとり。

アサシン陣営

言峰 綺礼(ことみね きれい)
声:中田譲治
身長:185cm、体重:82kg、血液型:B型、誕生日:12月28日
アサシンのマスター。聖杯戦争の監督役である言峰璃正の息子。妻子がいたが、妻とは死別している。
聖堂教会に所属し、若くして代行者[注釈 13]を務めた実力の持ち主。第四次聖杯戦争の3年前(本来はありえないほど早い時期)に令呪の兆候が現われてからは、教会と遠坂時臣の思惑により魔術協会に「転属」して時臣の弟子となり、聖杯戦争時には表向きは対立を装いつつも、時臣を援護して勝利させる役を担うことになる。
代行者の用いる特殊な投擲剣黒鍵の使い手であり、我流の殺人拳にまで昇華された八極拳の使い手でもある。非常に高い戦闘能力の持ち主。魔術師の家系でないことと後述の理由から全ての魔術の鍛錬を修了の一歩手前でやめてしまっていることから魔術師としては見習いの修了程度だが、治癒魔術に関してだけは師の時臣をも凌駕する能力を持つ(彼の魔術適性が「傷を開く」ことに特化しているため)。
普通の人間が美しさや喜びを感じる対象を、そうと感じることができない破綻者。しかし常人以上に道徳と倫理感を理解しているため自らの破綻と歪みに苦しみ、これを正すために代行者に任命されるほどの修身や、様々な試みに明け暮れたが、聖杯戦争に至るまでに何の成果も得られていない。聖杯戦争で衛宮切嗣に己に似た何かを感じ、執拗に彼を付け狙う。一方でアサシンによる諜報で無意識に雁夜だけ身内の事情まで突っ込んだことを調べさせており、アーチャーにそれを「愉悦のための徒労」と指摘される。
当初は与えられた使命を全うするために聖杯戦争に参加していたが、切嗣や雁夜への興味ゆえに独断行動を行うことが多々あり、後に自らの性質をいち早く見抜いたアーチャーに唆され共謀するようになる。戦争終盤、邪魔者となった時臣を暗殺しアーチャーと再契約した後に、雁夜に対しては自らの愉悦を追い求めるために凶行を教唆し、また切嗣に対してはアイリから告げられた『衛宮切嗣が自分が求める人物とは正反対だった』という事実に激昂、アイリを殺害して後、その怒りと憎しみを果たすために切嗣との決戦に打って出る。自身の魔術回路は不充分のため父親から受け継いだ予備令呪を魔力源として術を高めるのだが、これが功を奏し彼自身知らなかった切嗣の起源弾を防ぎ(但し術が強制的に解けてしまう)、切嗣との死闘を演じるが、聖杯の泥を被り勝負は中断され、先に意識を取り戻した切嗣に殺害される。
アーチャーの受肉によって聖杯の泥を受けて命を永らえさせ、また、何気なく願った『戦いの邪魔となる住民が消えればいい』という願いが成就され、冬木大火災を引き起こす。その光景を見て自らの葛藤の答えに至り、答えに至った過程を求めるための新たな生き方を始めることとなる。
『Fate/stay night』では正式に監督役として登場しており、その生存の経緯も詳しく語られている。
アサシンAssassin
声:阿部彬名[注釈 14](女性) / 徳本英一郎 / 高間陽一郎 / 図師晃佑 / 島﨑信長 / 村上裕哉 / 松本忍 / 佐々木啓夫 / 山本格 / 野坂尚也 / 佐々木義人 / 桑畑裕輔 / 野間田一勝(男性)[注釈 15]
属性:秩序・悪
パラメータ: 筋力:C 耐久:D 敏捷:A 魔力:C 幸運:E 宝具:B
クラス別能力:気配遮断:A+ / 保有スキル:蔵知の司書:C:専科百般:A+
言峰綺礼に召喚された暗殺者の英霊。真名は暗殺教団の指導者ハサン・サッバーハ
歴代のハサンのうち、多重人格障害であった「百の貌のハサン」。複数の人格を持った魂は死後肉体から離れることで人格ごとに分割され、現界の際には必要に応じて精神を分割し個別の身体を得るという宝具「妄想幻像(ザバーニーヤ」を持つ。ただし、分割された個体はそれぞれ性格や得手不得手が異なるため、中には命令無視をしたり、不意打ちに失敗するような個体もいる。また、群体とはいえ総数が「1体」であることに変わりがないため、分裂すればするほど個々のパラメータは低下する。
聖杯に託す願いは人格の統合。
遠坂に内通する綺礼の策略で、ザイードを捨て駒に最初の脱落者を装いながら陰で諜謀活動に徹する。聖杯問答の後、令呪による指示を受けすべての群体を率いてセイバーとライダーを討つため登場するもライダーの「王の軍勢」によって蹂躙され消滅した。
作者である虚淵いわくアサシンは「反則ギリギリ」の能力で、マスターに恵まれていたならばかなり有望な優勝候補になっていたでしょうとのこと。
ザイード
声:川村拓央
アサシンの人格の内の一つ。男性。
厳重な警戒を施されている遠坂邸に単身潜入するなど、アサシンとしては申し分のないスキルを発揮しているが、他の人格からは「取り立てて得手のない」と一蹴されている。その潜入の際、綺礼と時臣の策謀の捨て駒として、アーチャーによって倒された。
『お願い!アインツベルン相談室』の記念すべき最初の相談客として登場。自分の不遇さと上司の不平不満を発露するが、師匠と弟子の回転説得で自らの非を改め、第四の王「暗殺王」になるために自分の勤めるブラック企業に足取り軽く出向するも、その道中で「影」に呑まれ昇天した。
言峰 璃正(ことみね りせい)
声:広瀬正志
身長:179cm、体重:88kg、血液型:B型、誕生日:12月29日
言峰綺礼の父親。聖堂教会・第八秘蹟部[注釈 16]所属。第三次聖杯戦争に引き続き、第四次聖杯戦争の監督役を務める。
謙虚かつ真面目な信徒。息子の苦悩については全く知らず、息子が修行に没頭するのは敬虔な信仰心からだと信じている。綺礼の八極拳の師であり、こと純粋に拳法の腕前では綺礼を凌駕する。
冬木の聖杯を下賎の輩から遠ざけ本来の用途に用いるため、古くから親交のある遠坂と共謀して時臣を聖杯戦争の勝者へ導かんと画策する。
私情を挟んでる一面もあるが迅速な証拠隠滅やキャスターの対策を考えるなど監督としての手腕は確かである、また過去の聖杯戦争においてリタイアした者が使い残した令呪を有しており、彼の判断でその令呪をマスターに委譲する権利を持っている。しかしその権利をケイネスに行使した際、彼によって射殺され、残った令呪は息子・綺礼が受け継いだ。

ライダー陣営

ウェイバー・ベルベットWaver Velvet
声:浪川大輔
身長:157cm、体重:50kg、血液型:B型、誕生日:10月3日
ライダーのマスター。19歳の青年。自身の貧弱な体躯にコンプレックスがある。聖杯に託す望みは「自分を見下した連中に己の沽券を示す」こと。
魔術師としては三代目であるがそれも名ばかりで[注釈 17]、正式に魔術を学ぶのは彼の代が初めてという、お粗末な魔術回路を継承した落ちこぼれ魔術師。両親の死後、家財一式を売り払い「時計塔」[注釈 18]の門を叩く。「時計塔」において自分の講師であるケイネスに他の生徒の前で馬鹿にされたことを根に持って、偶然手に入れたケイネス宛の聖遺物を盗み出し、冬木の地で令呪を授かって無鉄砲に聖杯戦争に参加する。
独学で「時計塔」に入学を果たした自信から自らを優秀と信じて憚らないナルシストだが、一般人への催眠暗示すら完璧にはこなせない未熟で非才な少年(魔術師は悪く言えば殺人鬼や犯罪者に近い心理があり一般人で実際に非情や冷酷さがないウェイバーでは、その時点で既に向いてなかったと思われる)。魔術師としての常識的な感性を備える一方、現代の技術の便利さを許容する柔軟性も併せ持ち、他の魔術師たちが軽蔑する機械、携帯電話なども使う。一方で栄養ドリンク使い捨てカイロ[注釈 19]の値段に衝撃を受け、魔術師としてのプライドをどうしようもなく損ね、魔術師として生まれた時代の悪さについて考え込む一面もある[注釈 20]
聖杯戦争の拠点として、宿代をケチるために、無軌道に選んだマッケンジー夫妻に対し、自らが孫であるという暗示をかけてその住居に居候する。本人にはそのつもりがなかったが、このことが他勢力に対しての撹乱、および一般人の家であるということが危機回避の原因となった。
順調に戦争を勝ち進むが、ライダーに勝たせてもらうという戦局の動きに自らの未熟さを殊更に自覚。一度は卑屈になって当たり散らすこともあったが、ライダーに認められたこともあり、少しずつ人間的な成長を見せていく。戦争終盤、令呪を全てライダーのために使いマスターの権利を放棄するものの、ライダーが友として臣下としてのウェイバーに同行を求め、これを承諾。「生きて後世に自らの王の伝説を語り継ぐ」という役目を負い、対アーチャー戦においてライダーの消滅を目の当たりにするものの、アーチャーに対しては一歩も怯まなかったことから、彼に忠道に対する賞賛を向けられ、生還した。
ライダーやギルガメッシュなど規格外の者からは評価されるが、彼自身が評価して欲しいと願うケイネスや時臣などの普通の魔術師には評価されなかった。本編中にもその片鱗を見せたが、「理論の解釈と再構築」、「他人の才能を見抜き、それを開花させ伸ばす」ことに関しては天才。ライダーとの短くも波瀾万丈な一時は人生への大きな糧となり、本作には書かれていないが後に時計塔の名物講師ロード=エルメロイII世[注釈 21]と称されるほどに彼を成長させた。後にケイネスの死亡によって起きたアーチボルト家のお家騒動を自らの責任と感じて、末席の少女を跡取りに担いで再興を果たす[注釈 22]。そして本作の20年後、遠坂家の現当主とともに冬木の大聖杯を解体する。『Fate/stay night』より後の時期にも生き残っている唯一の第四次聖杯戦争のマスターである。
ライダーRider
声:大塚明夫
身長:212cm、体重:130kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:中立・善
パラメータ: 筋力:B 耐久:A 敏捷:D 魔力:C 幸運:A+ 宝具:A++
クラス別能力:対魔力:D:騎乗:A+/ 保有スキル:カリスマ:A:軍略:B:神性:C
真名はイスカンダル。豪放磊落を地で行く偉丈夫。
他者を省みない暴君でありながら、その欲望が結果的に民を幸せにする奔放な「征服王」。アルトリアやギルガメッシュとは違い「人のまま王になった男」とされている。聖杯に託す願いは受肉で、その後に聖杯に頼らない自らの力で世界を征服することを望んでいる。ギルガメッシュの好敵手として競い合う一方で、セイバーは戦士としては評価しているものの対等の王としては認めずに最後まで『小娘』としてむしろ憐れむように扱い続けた。
身体がある方が心地よいとして霊体化を拒み、真名を公に名乗ったり他のサーヴァントを自らの軍門に降るよう勧誘したりなどの破天荒な振る舞いを見せる。ホメロスを尊敬し、『イリアス』をいかなる時も手放さない。反面現代文化への順応も早く、ビル・クリントンを難敵と見定めたり、欲しがるものは近代兵器からゲーム機など多岐に及ぶ。後に『アレクセイ』を名乗り、ウェイバーの友人としてマッケンジー宅に居候の身となる。
所有する宝具は、雷を纏う二匹の神牛が牽引する大型戦車神威の車輪(ゴルディアス・ホイール』。それによる蹂躙走法『遙かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)』の他にも、高速の走行や飛行を可能としている、ライダークラスとしてのイスカンダルを象徴している宝具。また、切り札として臣下と共有する心象風景を展開し、臣下をサーヴァントとして独立召喚する固有結界『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ』を持つが、こちらは発動のために膨大な魔力を消費するため、ウェイバーの負担をライダー自身の魔力で肩代わりしている事情もあり乱用することはできない。
終始ウェイバーの行動も併せて聖杯戦争を撹乱しつづけるものの、言峰の奸計によってセイバーと交戦することになった折に『神威の車輪』を失い、アーチャーの最後の決戦では残った『王の軍勢』をも『天地乖離す開闢の星』によって破られ、単騎突撃の果てにアーチャーに一矢報いることも叶わず敗北、王たる生き様をウェイバーに残して消滅した。
『Fate/stay night』の初回特典の用語集により当初から存在が記載されており、ギルガメッシュに拮抗する宝具の持ち主であることと、彼の最期が記されている。また原作である奈須きのこは彼のクラスはエキストラクラスを予定していたが、著者の虚淵玄が彼のクラスはライダーとの意見により変更した。
2012年のTYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票結果発表では6位にランクインしており、本作のみに登場するキャラクターの中では最も高い人気を誇る[3]
作中作となテレビゲーム『Admirable大戦略』とプリントされているTシャツを着ているシーンが描かれているが、元ネタは『大戦略シリーズ』の一つである『現代大戦略シリーズ』である[注釈 23]

ランサー陣営

ケイネス・エルメロイ・アーチボルトKayneth El-Melloi Archibald
声:山崎たくみ
身長:181cm、体重:62kg、血液型:B型、誕生日:4月11日
ランサーのマスター。時計塔降霊科の一級講師でロード=エルメロイという敬称で呼ばれる。魔術師としての経歴に「武功」という箔を付けるため、聖杯戦争に参加する。
九代を数える魔術の名門アーチボルト家の嫡男であり、様々な功績を作り上げた天才魔術師。優れた魔術師であることが他人への優越であると疑わない典型的な魔術師の一型だが、その自信に違わず魔術師としては第四次聖杯戦争に参加するマスターの中でも最強。失敗を知らないために自分の非を認められず、疑り深くヒステリックな気性の持ち主(ただし彼が激昂したのはソラウがランサーの話だけを聞く嫉妬や正々堂々と戦わない切嗣に対する怒りなど明らかに度を越えた状況であり日常的には些細なことで怒ることはなかった)で、裏切りの伝承を持つランサーとは信頼を作るどころかソラウのこともあり、不信を強めてしまっている。許嫁のソラウには頭が上がらず、政略結婚の一環である婚約にもかかわらず彼女に入れ込んでいる。
聖杯戦争のサーヴァント召喚・契約の仕組みを解析した上で、魔力の供給を婚約者であるソラウが、令呪を自らが受け持つ分担戦術をとる[注釈 24]。風と水の二重属性。降霊術召喚術錬金術に通じ、切札として魔力の込められた水銀を変幻自在の魔術礼装として扱う「月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)」を駆使する。
最初のキャスター討滅戦と並行して切嗣に勝負を挑むものの、起源弾によって魔術師どころか一般人としても再起不能になったうえにマスターの権限と令呪をソラウに奪われてしまう。その後に財を投じて人形遣いに腕の機能を回復させた後は車椅子で移動し、璃正からキャスター討伐の報酬である令呪を受領した後に他者にアドバンテージを渡すまいと、切嗣に濡れ衣を着せるために拳銃を用いてこれを殺害する。しかし切嗣にソラウを人質に取られた後、『全ての令呪とサーヴァントを手放せば衛宮切嗣はケイネスとソラウにいかなる危害も加えられない』という自己強制の魔術的な契約を結び、令呪によってランサーを自害させてマスターとして事実的な敗北を迎える。その直後に切嗣の指示によって魔術契約の対象となっていなかった舞弥にソラウともども銃撃を受け、死にきれずに介錯を求める姿を見かねたセイバーによって命を絶たれた。
ランサーLancer
声:緑川光
身長:184cm、体重:85kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:秩序・中庸
パラメータ: 筋力:B 耐久:C 敏捷:A+ 魔力:D 幸運:E 宝具:B
クラス別能力:対魔力:B / 保有スキル:心眼(真):B:愛の黒子:C
長短2本のを持つ、二刀ならぬ二槍の使い手。
騎士道に非常に忠実で、名誉ある戦いを重んずる誇り高き英霊。類稀なる美丈夫で、頬にあるほくろには異性を魅了する魔力(呪い)がある[注釈 25]。ケイネスが時計塔の備品係の手違い[注釈 26]のせいでウェイバーにイスカンダルの聖遺物を奪われたため、急遽手配した聖遺物を使って召喚された。聖杯には何も望んでおらず、生前の不義への無念と後悔から、マスターへの忠義を果たすことだけが望みであるが、生前の逸話を含めて、その人生においてある意味どのような人物とも信頼を勝ち得ることの叶わなかった孤高の騎士。
所持する宝具は、接触している物の魔力を打ち消す長槍「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」と、決して治癒のできない傷を与える呪いの短槍「必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)」。ゲイ・ボウはキャスター掃討戦の際、エクスカリバーをセイバーに使わせるためランサー自らが折って消滅した[注釈 27]また伝承ならさらに二本の剣も扱うのだが、著者の虚淵玄曰く空気を読んで出さなかったと述べている。ちなみにアニメ版の彼の過去では、槍と剣を同時に装備している姿が確認出来る。
真名はディルムッド・オディナ。フィオナ騎士団の随一の戦士で、“輝く貌”の異名を持つ。彼の不義と悲恋の逸話はケルト神話フェニアンサイクルに詳しい。生前、騎士としての忠誠を貫けなかったことを心残りにしており、二度目の人生があるのなら今度は忠誠を貫く生き方をしたいと、その舞台を聖杯戦争に求めた。聖杯戦争ではセイバーを好敵手と定め、互いに騎士としての決闘を望み、その決着を邪魔する者に対しては共闘もした。しかしマスターとの相性はすこぶる悪く、最後まで信頼関係を築くことはできなかった(マスターの安全を考えてはいたが事情は全然重視しておらず、最後の戦いでも「戦いよりもマスターを遠くに逃がすべきだ!」とケイネスを憤慨させるなどランサーにも不備はあった)[注釈 28]。最期はキャスター討伐直後にランサー陣営の本拠に乗り込んだセイバーとの一騎打ちの最中に切嗣の策により令呪による強制自害を強いられ、自らがただ一つ抱いた祈りさえ叶わなかったことへの怨嗟を叫びながら消滅した。[注釈 29]
ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリSola-Ui Nuaba-Re Sophia-Ri
声:豊口めぐみ
身長:165cm、体重:52kg、スリーサイズ:B88/W56/H84、血液型:O型、誕生日:8月19日
ケイネスの許嫁。時計塔の降霊科学部長を歴任する家の生まれの魔術師。
兄にブラムがいるが、勢力争いの只中に生まれた彼女は、万一に備えて基礎的な魔術を教えられてきた。結局、魔術刻印はブラムが無事に継承し、不要となった彼女は政略結婚のために利用され、ケイネスの許婚となる。気高く我侭な面が目立つが、それは幼い頃から刷り込まれた処世術に過ぎず、実際には好悪すら理解できない冷めた性格で、政略結婚の道具とされたこともケイネスのことも何とも思っていない。
ケイネスによるランサーの召喚にともない、ランサーへの魔力の供給を担当。ランサーのチャームによって彼に恋し、それに敢えて抵抗せずに生まれて初めて感じた恋慕に身を任せることを選択した。聖杯戦争にて戦闘不能に陥ったケイネスからマスターの権限と令呪を脅しとったが、ランサーが離れている時に舞弥に襲われて右手ごと令呪を切り落とされ、さらわれる。切嗣の尋問によりアジトを自白したと思われ、最期は意識がないまま切嗣にケイネスとのランサー排除の交渉材料として連れてこられ、ランサー消滅後、ケイネス共々舞弥によって銃弾を浴びせかけられ、痛みすらなく即死した。
原作者である奈須きのこがZeroで一番好きなキャラクターであり、「Fate/Zero material」の虚淵氏とのチャット式対談でその愛情の深さが伺えるやりとりがある。

バーサーカー陣営

間桐 雁夜(まとう かりや)
声:新垣樽助
身長:173cm、体重:55kg、血液型:AB型、誕生日:3月22日
バーサーカーのマスター。『Fate/stay night』の間桐慎二の叔父にあたる。
魔術の素養に関しては兄・鶴野より上でありながら、臓硯の支配する間桐の家と間桐家固有の魔術を嫌って11年前に出奔、以来フリージャーナリストとして海外を飛び回り一般人として生きてきた。幼馴染であった禅城葵に好意を寄せていたが、彼女を幸せにできるのは自分ではなく遠坂時臣だと信じたため、思いを告げることもなく身を引いた。偶然、時臣が下の娘・桜を間桐の家に養女として出したことを葵から知るや否や激昂、桜を救いだすことを目的に間桐の魔術師として聖杯戦争に参加。葵の悲しみと桜の惨状をもたらした時臣を憎悪する。
今まで魔術の鍛錬を積んでこなかったため、体内に「刻印虫」を宿すという処置によって即席の魔術師となる。その代償はあまりに大きく、命を大幅に削られて死人のような容貌となってしまい、半身不随で食物の嚥下も不可能という状態。魔術を使うだけで文字通り血を吐くほどの苦痛を伴い余命もせいぜい数週間しかないと宣告されている。
時臣を殺すつもりはなかった(あくまでも何らかの形で破滅をさせるのが目的だった)がキャスター掃討戦の裏で時臣から目的のためなら家族を犠牲にしても問わない言動に怒りを覚え戦いを挑むも惨敗し[注釈 30]、重度のヤケドを負い瀕死になるも綺礼によって蘇生され、間桐邸の前に運ばれて放置され、臓硯から、桜の精を吸った虫を飲まされる。終盤、綺礼によって時臣殺害の犯人に仕立て上げられ、それを葵に痛罵されて暴走し、葵の首を絞め昏倒させ、彼女を再起不能に追いやることとなった。その後、バーサーカーの宝具発動によって魔力を全て吸い上げられたあげく、刻印虫も食い尽くされる。戦後は奇跡的に生還するものの体が持つはずがなく、最後の執念と贖罪で桜の下まで辿り着くが間桐邸の蟲蔵で桜を救出し、葵と凛のもとに返し彼自身も家族へと迎えられる幻想を見ながら横死。その骸は桜の目の前で魂もろとも蟲に喰われ、その凄惨を極める様を目の当たりにした桜の精神を、更に深い闇へと導くこととなる。
バーサーカーBerserker
声:置鮎龍太郎
身長:191cm、体重:81kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:秩序・狂
パラメータ: 筋力:A 耐久:A 敏捷:A+ 魔力:C 幸運:B 宝具:A
クラス別能力:狂化:C / 保有スキル:対魔力:E:精霊の加護:A:無窮の武練:A+
間桐雁夜に召喚された英霊。傷だらけの黒いフルプレートを纏った謎の騎士。保有スキル「無窮の武練」により、狂化してなお本来の武芸の冴えを損なっていない規格外の特性を持つ。セイバーに対し強烈な執着を見せ、その姿を認めれば、他のサーヴァントとの戦闘中であっても、周囲の状況お構いなくマスターの制御をも撥ね退け彼女に襲いかかる。その暴れ様からアーチャーからは「狂犬」と言われる。
その正体はアーサー・ペンドラゴンとして生きていた頃のセイバーの盟友、円卓の騎士の一人、「湖の騎士」サー・ランスロット。ギネヴィアとの不義の恋とモードレッドの思惑によってカムランの落日を招いた「裏切りの騎士」とも呼ばれる。確かな忠誠心を抱いていたものの、死の瞬間まで抱いた裏切りへの悔恨の念は「英霊の座」にまで持ち越され、雁夜の召還により、かつての願いを呼び起こされ、無念を晴らすため、正気を失うことに救いを求めたために狂気の徒となって現界する。
宝具は三つ。一つ目は黒い霧によって己の正体を隠蔽する「己が栄光のためでなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)」(本来は変身能力の宝具だが、狂化によってパラメータなどの隠蔽に劣化している。令呪を使用することで本来の変身能力も使える)。二つ目はおよそ武器と認識する万物(現代の兵器や戦闘機、そこら辺にある鉄パイプなども含む)、相手の宝具さえも己の宝具として支配下に置く「騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)[注釈 31]」。それ故、宝具をただ投げつけるアーチャーに対しては相性がいい一方、魔力を打ち消すゲイ・ジャルクをもつランサーとの相性は悪い。さらに二つの宝具を封印することで使用できる魔剣「無毀なる湖光(アロンダイト」が三つ目の宝具。この剣を抜いている間は、すべてのステータスは1ランクアップし、龍属性の存在に対する特効の恩恵を得る。
セイバーとの最後の戦いで彼女を圧倒するが、マスターの魔力供給を食い潰して自滅。最期の瞬間に正気を取り戻し、セイバーの腕の中で消滅した。
セイバーに執着した理由や、最後の言葉などから、作者である虚淵に「(ランスロットの)起源はさしずめはた迷惑」と冗談交じりに評されている。
間桐 臓硯(まとう ぞうけん)
声:津嘉山正種
(戸籍上では)間桐雁夜の父。その実は冬木の最初の聖杯戦争の時から生きている魔術師、マキリ・ゾォルケン。
その肉体を大量の虫の力で延命しているが魂はほぼ腐っており、同調して腐敗する肉体を定期的に再構築しなければならない。
魔術師としての才能がなくなった間桐家を見限り、魔術師を産む装置として遠坂家から桜を養子に迎えた。
自陣営の貧弱さから今回の聖杯戦争は様子見とするつもりだったが、雁夜の懇請により参加を決める。
だが、今回勝利できるとは最初から考えておらず(あくまで本命は桜の子、ないし孫)、裏切り者・雁夜の苦しむ様子を見ることだけを楽しみにしている。また過去の聖杯戦争をずっと見てきた彼は、関係者の中で唯一、今回の聖杯戦争の異常性に気付いている。
聖杯戦争終結後に戦場跡に赴き、聖杯の欠片を入手。それを蟲に変えて桜の体内に埋め込み、彼女を「黒い聖杯」に仕立て上げた。
『Fate/stay night』においてあるルートのみ表舞台に出てきた。
間桐 桜(まとう さくら)
声:下屋則子
身長:120cm、体重:25kg、血液型:O型、誕生日:3月2日
遠坂時臣の娘で凛の妹。世にも珍しい虚属性の持ち主であるが遠坂の家を継げるのは一人だけのため、古くからの盟約により時臣によって間桐家の養子に出され、間もなく遠坂家とは全く異なった拷問にも等しい間桐特有の魔術の鍛錬を受け、髪や瞳の色などの容貌が著しく変わってしまった。ちなみに、時臣の意図とは異なり臓硯自身は桜を魔術師として育てる気はなく、間桐をもう一度魔術師の家系として復興させるための母体として体そのものを作り変えて間桐家のものにしようとしている。間桐家に来て以来、本来子供では到底耐えられないような凄惨な状況下に追いやられたことで、養子に来る以前とは別人のように感情が稀薄な状態となっており、雁夜が外で何をしているのかも理解していなかった模様。
雁夜が目の前で無様に死ぬのを見たことで、臓硯に逆らえばこうなると思い、皮肉にもより間桐の家に縛られることになる。
『Fate/stay night』のメインヒロインのひとり。
間桐 鶴野(まとう びゃくや)
声:鳥海勝美
間桐雁夜の兄で慎二の父。(名目上の)間桐家現頭主。容姿や性格は、慎二と酷似している。臓硯の命令で桜を間桐の魔術に染めていた。
聖杯戦争への恐怖と自らへの無力感から、夜ごと酒に逃避している。なお息子の慎二は海外に遊学させている。
今回の聖杯戦争とは直接関係しないが、誘拐されたアイリを捜す切嗣によって捕まり、尋問されている。

キャスター陣営

雨生 龍之介(うりゅう りゅうのすけ)
声:石田彰
身長:174cm、体重:65kg、血液型:B型、誕生日:1月31日
キャスターのマスター。「」を知るために殺人を行うシリアルキラー。外見は優男。
殺害方法にマンネリを覚えた頃、実家で見つけた古書の記述通りに儀式を行い、偶然キャスターを召喚する。その際に龍之介の魔術回路も開放された。雨生家に伝えられていた異形の力は、知識としては忘れ去られたものの、魔術回路は一族の血によって受け継がれていたようである。
当初からキャスターを殺人の師と仰ぎ、キャスターからも理解あるマスターと意気投合する。信仰心は無いが「世界の脚本を書いている存在」としての存在を確信し「神は人間賛歌も絶望も等しく愛しており、故に礼賛も冒涜も信仰として受け止め、そんな世界を延々と創り続けているのだから、この世界は神の愛に満ちている」という独自の哲学を持っており、神に絶望したキャスターをも敬服させた。芸術的殺害という共通目的があるため、最も凶悪であるにも関わらず、聖杯戦争に参加する7組の中で最もマスターとサーヴァントの結束が固いという皮肉な結果となる。キャスターが「海魔」を召喚した際、海浜公園で野次馬に混じって見物していたところを切嗣に狙撃され、はじめて実感できた「死」に満足して死んでいく。
キャスターCaster
声:鶴岡聡
身長:196cm、体重:70kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:混沌・悪
パラメータ: 筋力:D 耐久:E 敏捷:D 魔力:C 幸運:E 宝具:A+
クラス別能力:陣地作成:B:道具作成:- / 保有スキル:精神汚染:A:芸術審美:E-
龍之介が遊び混じりで行った儀式により、はからずも呼び寄せてしまったサーヴァント。
龍之介には「青髭」や「旦那」と慕われる一方、キャスター自身も独特の世界観を持つ龍之介に対し敬意を評している。殺人に対し異常な美学や行動様式を持ち合わせており、その贄を材料にして吐き気を催すような工芸品を創作している。
真名は英仏百年戦争のフランス軍の元帥、ジル・ド・レェ。セイバーのことを、生前共に戦ったジャンヌ・ダルクと錯覚し、彼女の記憶が改竄されていると思い込んで彼女を付け狙う狂人[注釈 32]。マスターの龍之介共々正式な魔術師ではないため、自分たちの存在を一般に隠そうともせず、児童の誘拐・殺人などの凶行を繰り返す。そのため監督役の璃正から危険視され、各マスターに討伐の対象とさせられた。
宝具能力に特化した召喚魔術師(サモナー)で、宝具「螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)[注釈 33]を持つ。それそのものが魔力炉となっているために、そもそも魔術師でないキャスターでも魔術(深海の水魔の類の召喚・使役など)の行使が行える。さらに、召喚した怪魔が倒されても、その血肉を魔力に還元し、再び召喚、すなわち無限に召喚し続けることが可能。
未遠川にて人目も憚らずに巨大な「海魔[注釈 34]」を召喚、自身は「海魔」の体内に潜り、聖杯戦争そのものを無為に帰そうとする。セイバーの「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」によって海魔もろとも消滅する間際、かつて一人の騎士であった自分を思い出し、涙した。
『お願いアインツベルン相談室』では、二人目の相談者として登場。しかし、本編にて最高のマスターと新たな啓示に出会い、かつての栄光を思い出す光に包まれ狂気から解放されるなど非常に幸福のまま消滅したため悩み事が無い。ゼッちゃんをナンパしたりジョークを言ったりと狂気が幾分薄くなっているためか、本編以上に明るくなっている。汚名を着せられ処刑させられたジャンヌのことを思い狂気を再発しかけるが、アイリ師匠の目潰しを喰らい憑物が堕ちたかのようにサッパリした。生前から興奮すると眼球が飛び出しやすかったようで、その度にジャンヌの目潰しで引っ込めてもらっていた模様。最終的に、アイリ師匠とゼッちゃんからジャンヌは死後名誉を回復し様々な形で信仰されていると説得され、爽やかなまま相談室を後にした。

冬木市の人々

グレン・マッケンジー
声:西川幾雄
オーストラリア出身の在日カナダ人の老夫。商社マンとして家族と冬木にやってきたが、冬木を気に入って永住することにしている。その後は貿易会社を立ち上げて生計を立て、老後は英会話学校の非常勤講師などを務めている。息子のクリスとその家族は日本に馴染めず、カナダに帰ってしまっている。
暗示によってウェイバーを孫と思い込まされ、ウェイバーの寄宿先となっている。しかし、過去の記憶との齟齬(孫は家の屋根に上ったことがないのに「お前と屋根に上って星を見た」という話しかけをウェイバーが否定しなかった、等)によりウェイバーが自分の孫でないことに気づく。しかし、彼やライダーの存在でマーサが明るくなったことなどに礼をいい、彼らのことを暖かく受け入れる。決戦に赴こうとするウェイバーに「命と秤に掛けられる物は、結局のところ何も無い」と語った。
マーサ・マッケンジー
声:峰あつ子
グレンの妻。暗示によってウェイバーを孫と思い込まされる。以前は息子や孫たちが日本を離れてしまったためかやや塞ぎ込んでいたが、ウェイバーがやってきてからは少し明るくなった。
コトネ
声:小林桂子(ドラマCD) / 瀬戸麻沙美(テレビアニメ)
遠坂凛のクラスメートで、親友。男子からいじめられているのを凛に助けられたりしていた。
雨生龍之介とキャスターが跋扈する中で行方不明となってしまい、悲惨な末路を辿ることとなる。
テレビアニメ版では原作と異なり、龍之介の手にかかる直前で凛によって救出される。
仰木(おおぎ)
声:川村拓央(ドラマCD) / 井上剛(テレビアニメ)
航空自衛隊の一等空尉。「ディアボロI」というコールサインでF-15戦闘機を操縦する。
冬木市警察に要請され「海魔」騒動に赴くが、バーサーカーの「騎士は徒手にて死せず」によって戦闘機をバーサーカー配下の宝具とされ、急激なGに耐え切れず死亡。
小林(こばやし)
声:高橋伸也(ドラマCD) / 奥村翔(テレビアニメ)
航空自衛隊の三等空尉。「ディアボロII」というコールサインでF-15戦闘機を操縦する。
仰木とともに冬木市に赴く。「海魔」に遭遇し、接近して確認しようした所でその餌食となってしまう。
藤村 大河(ふじむら たいが)
声:伊藤美紀
穂群原学園に通う女子学生。藤村家は冬木市でも指折りの大家で、聖杯戦争後に切嗣が冬木に落ち着くことになった際の後見人になっている。切嗣に一目惚れし切嗣も彼女にシャーレイの面影を感じており、またジンクスを破った唯一の女性であるため甘やかしてしまってたらしい。『Fate/stay night』の主要登場人物のひとり。
本編には登場しないが、設定資料集に一項目が設けられているほか、ドラマCD・漫画版で登場した。クラスメイトの友人の父兄が経営する店から高級のワイン樽を盗んだライダーを追って聖杯戦争の渦中で戦争とは関係ないところで冬木の地にせまる危機を八面六臂をなして守ったりとかしたらしい。冬木市でたまたま出会ったウェイバーのアドバイスで教師を意識する様になる[注釈 35]。テレビアニメ版では、最終話エピローグの衛宮邸修繕の場に大河と思しき穂群原学園の女生徒が竹刀を持って走り回っていた。
また別のドラマCDでは衛宮家に入り浸っている様子も描かれ、切嗣に剣道の稽古を付けてもらってもいた。また切嗣から士郎に魔術を教えるか否かの参考に剣道で例えた問答をかけられており、彼女は出鱈目を教え役に立たないと騙し諦めさせると答え、それでも気づかず続ければむしろ立派で剣道とは違う道を行き、そんな人が間違いを犯すことはないと解き、切嗣を感服させた。
弟子ゼロ号
声:金元寿子
「おねがい!アインツベルン相談室」に登場する、穂群原学園のジャージを着た記憶喪失の少女。中学生。アイリからは最初は「ティーちゃん」と呼ばれていたが正体を知っていた彼女からは、後に「ゼッちゃん」と呼ばれる様になる。直接は語られていないが、後の「タイガ師匠」。その容姿も『Zero Material』における藤村大河そのものと同様。ポジションとしては原作における「弟子1号」。
山籠もり中に遭難していたところをアイリによって助けられたらしい。アイリのことは師匠と呼んで尊敬の姿勢を取っている。
衛宮 士郎(えみや しろう)
声:野田順子
第四次聖杯戦争終結後、言峰綺礼が聖杯で引き起こした大災害の中から、切嗣が唯一救いだすことのできた少年である。その後、切嗣は身寄りを喪った彼を引き取り養子として迎えた。なおサブタイトルのカウントダウン(テレビアニメ版ではサブタイトルの下に表示されている。)は、切嗣が彼を救い出し二人が出会うまでの時間を示してる。
彼は自分を救ってくれた切嗣に対して異常な憧れを抱いており、切嗣はずっとその歪みを危惧していた。だが最期の夜、彼が、「正義の味方になる」という切嗣の夢を自分が引き受けると言った時に、切嗣は自分とは違うこの誓いの思い出があればきっと大丈夫だ、自分のように道を誤ることは無かろうと安心して、逝く。こうして養父の夢は養子に託された。
ドラマCDでは出会ってから2年後の話になっており、すでに彼が食卓を取り仕切っている様子が描かれている。彼は切嗣や大河の健康を考えて和食メインの献立にしているが、ジャンクフードを好む切嗣には不満を持たれている。身体に埋め込まれた「全て遠き理想郷」は子供には強すぎるらしく、耐性を付けるため魔術で造った薬を服用している。そして魔術回路を造る訓練の際には、切嗣から、魔術はつまらないからいつでも辞めていいと言われ、また魔術師の覚悟と、自分のためではなく他人のために使え、魔術使いになれ、と説かれている。この時、切嗣が説明に用いた「トレース」の言葉が後に彼の呪文「トレース・オン」に繋がっていく。
アニメの最終回では士郎が切嗣に誓いをした瞬間、カムランの丘にうずくまるセイバーの頭上に光が差す描写があり、後にセイバーも彼に救われることを暗示する演出となっている。
原作『Fate/stay night』の主人公。詳しくは「Fate/stay night」を参照のこと。

衛宮切嗣の過去に関わる人物

シャーレイ
声:高垣彩陽
アリマゴ島[注釈 36]に住む才気溢れる少女。小学校すらない島で通信教育だけで13歳で修士課程を修了した。衛宮父子の家事を手伝うかたわら、矩賢に簡単な魔術の手ほどきを受けていた(矩賢も彼女の才能は認めていたが、魔術は一子相伝であるためあくまでも助手であり弟子ではなく、それは彼女自身も承知していた。)。切嗣の初恋の相手。島の人は『キリツグ』という発音が難しいからと切嗣のことを『ケリィ(ケリィトゥグ→ケリィ)』と呼ぶのだが、こう呼び出したのは彼女。
矩賢が開発した試薬を好奇心から使用してしまい、不完全な死徒化を果たす。切嗣に自らを殺すように懇願するも、彼はどうにかシャーレイを元に戻そうと奔走したため、騒ぎを聞きつけた聖堂教会の代行者と魔術教会の執行者により島の全住民の殺戮が行われてしまう。彼女の末路は描写はないが殺害されたと思われる。彼女を殺せなかったこと、そして生前彼女から向けられた「(魔術という世界を変えるだけの力を手に入れて)どんな大人になりたいの?」という質問が、切嗣の将来を大きく左右することとなる。
衛宮 矩賢(えみや のりかた)
声:千葉一伸
切嗣の父で衛宮家五代目の魔術師。小因果における時間操作の魔術を究めることで根源へ到達しようとした。
封印指定[注釈 37]を受けて潜伏中のアリマゴ島で、「根源に至る」という目的を遂げるために必要となる途方も無い時間を得るべく、死徒[注釈 38]化の研究をしていた。試薬による事故[注釈 39]を皮切りに研究が露見して魔術協会と聖堂教会双方の介入を招き、島から脱出を図ったところを切嗣によって射殺された。遺体は協会に引き渡されるが、ナタリアの交渉により、二割未満の"残り滓"ではあるものの手段として魔術を扱う分には十分な量の魔術刻印が切嗣に継承される。
魔術師らしい冷徹な性格だが、息子に向ける愛情は本物であり、他人が犠牲になっても息子を犠牲にすることは絶対に考えず死徒化の研究も魔道を継ぐ息子のために行っていた。妻は切嗣を産んで間もなく協会の執行者により殺されている。
ナタリア・カミンスキー
声:渡辺明乃
魔術協会に情報を提供したり、報奨金を目当てに執行者として封印指定の魔術師を狩るフリーの魔術師。ショートヘアの銀髪と碧眼という出で立ち。何よりも自分が生き残ることを優先する。喫煙者。
サキュバスを先祖に持ち、吸精を行うことが可能。アリマゴ島で出会った切嗣を引き取って補佐として使役し、また自らの「狩り」の技術を教え込んだ。彼が母のように慕った女性。彼女自身は異性として切嗣に惹かれていたらしい。切嗣がヘビースモーカーになったのはナタリアの影響である。テレビアニメ版で彼女が吸っていた「焔龍」という架空の煙草は「空の境界」の蒼崎橙子が吸っていたものと同様である。
オッド・ボルザーク殺害を遂行した際、ボルザークが持ち込んだ死徒蜂によって空飛ぶ死都となった飛行機内に一人取り残されてしまう。自分が生き延びるために飛行機を着陸させようとするが、切嗣は屍食鬼(グール)の上陸を防ぐために、スティンガーミサイルで彼女もろとも旅客機を撃墜する。
テレビアニメ版では、切嗣に起源弾を作って譲り渡したのは彼女ということになっている。また、最期に旅客機が撃墜される際には笑みを浮かべており、切嗣の選択を予期していたかのような描写がある。
シモン
声:ふくまつ進紗
アリマゴ島にある教会の神父。
温厚な性格ではあるが、魔術師である衛宮家を常に警戒しており、シャーレイに対しては衛宮邸に出入りしないようにとたびたび注意していた。シャーレイの死徒化事故の際、切嗣の通報を受けて聖堂教会に事態への対応を問い合わせたために代行者の介入を招くことになり、結果島は火の海に沈む。
テレビアニメ版では死徒に襲われて自身も死徒化してしまい、後にナタリアによって射殺されている。
オッド・ボルザーク
声:坂巻学
「魔蜂使い」と呼ばれる魔術師。限定的ながら死徒化にも成功している。
人間を屍食鬼にする毒針を持った「死徒蜂」を使い魔として使役しており、協会からも危険視されている人物。偽の容姿と名前を用いて長年行方を晦ましていたが、パリニューヨーク行きのエアバスA300に搭乗するという情報を得たナタリアによって捕捉され、機内で殺害された。しかし機内に死徒蜂を体内に隠して持ち込んでおり、死後もその猛威を振るったために、機内のナタリアを除く乗客乗員300名を屍食鬼に変貌させた。

英霊たちの過去に関わる人々

ギネヴィア
アーサー王(セイバー)の妻。アーサー王の同盟者レオデグランス王の娘。
アーサー王ことアルトリアの正体は女性であったが、彼女の理想と信念に共感し、ブリテンに王国としての体裁をもたらすためにアルトリアに嫁いだ。後に謁見によりランスロット(バーサーカー)と出会い、恋を知る。恋と理想との葛藤の果てにランスロットへの愛を選ぶが、二人の不義はアーサー王を追い落とそうとする者によって暴かれ、ランスロットと共に背徳者として弾劾されることになる。アルトリアを敬愛し、憧憬し、その生き方に倣おうとしながらも、それを貫き通すにはあまりにも普通の女性だった。
モードレット
アーサー王(セイバー)の不貞の子で、円卓の騎士の1人。後にアーサー王に対して反乱を起こし、王国崩壊の原因を作った。
元はアニメ版『Fate/stay night』で初登場したキャラクターであり本作では登場しないが、アニメ版の一期のエンディングでアルトリアに討たれるカットがある。
エルキドゥ
声:高橋伸也
ギルガメッシュ(アーチャー)の唯一無二の朋友で、当代で彼と比肩しえた唯一の存在。
泥から作られた人だったが、知性と理性を得てギルガメッシュと出会い友となり、共に様々な冒険を行った。しかし、二人の増長は神の怒りに触れ、エルキドゥは衰弱死してしまう。ギルガメッシュのただ一人の理解者である自分の死が彼を孤独にしてしまうことを悔やみながら息を引き取り、それがギルガメッシュの人に対する価値観を決定づけた。
ギルガメッシュにとって生前のエルキドゥとの出会いや共に歩んだ人生は何よりも変えがたい宝物であり、その生き様はいまもなお心に刻まれている。その存在は、己が持つ全ての財を持ってしてなおも眩しく輝くものとされる。
グラニア
声:中川里江
コーマック・マック・アートの娘で、エリン(アイルランドの古い呼び名)の王女。ディルムッド(ランサー)の妻。
フィン・マックールと婚約していたが、その宴の夜にフィンの部下だったディルムッドと出会う。魅惑の黒子によってディルムッドに恋焦がれ彼に聖誓を課し、ディルムッドを背徳の騎士へと駆り立ててしまった。
フィン・マックール
声:楠見尚己
ディルムッド(ランサー)が名を連ねる、フィオナ騎士団の首領。
アイルランドにおいて大王に勝るとも劣らない功績と勇名を誇る老雄で、その手に触れた湧水に癒しの力を与えるなど、数々の奇跡の能力を所持している。同じく騎士のクーアルの子で、息子に詩人のオシーン、孫に騎士のオスカーがいる。大王の娘・グラニアと婚約を結んでいたが、彼女がディルムッドを唆して逃亡を図ると、彼らに幾人もの追手を遣わした。後にディルムッドとは和解するものの、狩場にて重傷を負った彼を過去の恨みから見殺しにした。
伝説では当初は美しい金髪で後に呪いを受けて銀髪になったとされるが、本作では黒髪である。
コーマック・マック・アート
声:大木民夫
ケルト神話におけるエリン(アイルランドの古い呼び名)の上王。
ディルムッド(ランサー)やフィンにとっては主筋に当たる。娘のグラニアをフィンに嫁がせることを決め、盛大な祝宴を催した。
王の軍勢
かつてイスカンダル(ライダー)と共にユーラシア大陸を駆け巡った、マケドニアの将兵たち。各個が英雄たる逸話を持つ英霊である[注釈 40]。イスカンダルの宝具「王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)」によって固有結界内に召喚される。
ドラマCD版では声の出演に虚淵玄や奈須きのこが参加している。
ブケファラス
イスカンダルの愛馬。性別は雌。馬ではあるが、神格を与えられた英霊であり、王の軍勢の一員である。
ミトリネス
声:川村拓央(ドラマCD) / 橋詰知久(テレビアニメ)
イスカンダルの親衛隊の一員。キャスター戦では、結界外にいるウェイバーへの伝令を務めた。
ジャンヌ・ダルク
英仏百年戦争の英雄で救国の乙女と謳われた少女。
信仰心に篤く、神がかり的な統率力でフランスの危機を幾度も救った。しかしコンピエーニュの戦いでイギリス軍に捕らわれ、あらゆる人権を剥奪された扱いを受けたうえに宗教裁判によって魔女の烙印を捺され、火刑に処された。ジル・ド・レェ(キャスター)とは戦友にあたる間柄だが、ジルからは「聖処女」と崇拝に近い恋慕を向けられており、彼女の悲惨な最期がジルを狂気に誘っている。
Fate/Apocrypha』ではメインキャラクターとして登場している人物。また『空の境界』において「抑止力の加護を受けた英雄」の例として名前を挙げられている。本作においては、原作では名前が登場するのみだが、アニメ版の第15話のラストシーンでは『Fate/Apocrypha』に準拠したキャラクターデザインで姿を見せている。



注釈

  1. ^ 連載開始当初は「アルティマエース」。
  2. ^ a b 英雄という概念を心から憎悪し、少年兵である舞弥を保護してもいる切嗣にとって、外見はまだいたいけな少女であるアルトリアがそのような役割を与えられた事態は許せることではなかった。
  3. ^ 劇中では.30-06スプリングフィールド弾を用いているが、. 30-06に対応する部品はなく、切嗣が魔術的行程で鍛造した銃身に換装したカスタムモデルである。
  4. ^ 作中で「切れたロープをつなぐとロープとしての用は成すが、その結び目の部分だけ太さが変わる」と喩えられている。精密に設計された機器にとってその変質は致命的であり、この起源を持つ切嗣は手を加えれば加えるほど致命的に壊れていくという理由で、精密機器の修理ができない。
  5. ^ 対象が魔術に頼らず、物理的手段をもって防御すれば起源弾はただの弾丸と変わりない威力・効果しかないが、切嗣の使用している.30-06スプリングフィールド弾はボトルネック構造のライフル用カートリッジで、いわゆるハンドキャノンクラスのマグナム弾をもはるかに凌駕する火力を有しており、個人装備で物理的に防御するにはNIJ規格でレベルIVクラスの防弾装備が必須となる。切嗣の起源弾は元々六十六発作成されており、第四次聖杯戦争の直前までに三十七発が使用済で、かつ全弾を相手に外すことなく撃ち込んでいる。つまり切嗣はこれまで三十七の魔術師を完全破壊しているということになり、ケイネスは三十八発目の犠牲者にあたる。犠牲になった魔術師の誰もが、.30-06の物理的パワーを想定していなかった結果である。実際、ケイネスに放った1発目は起源弾ではなかったのだが、月霊髄液の防壁を貫通している。ただし、魔術回路を要せず術者から独立した魔力で運用する魔術に対しては効果が薄い。
  6. ^ 爆薬で細工をし洞窟内に瘤を発生させ、そこに堆積したマナが30年から40年の間に破裂し龍洞を崩落させ聖杯を封印する仕掛けだが、切嗣の予想に反して聖杯戦争が早まったために不発に終わる。だが、聖杯が出現した際にそれは発動し洞窟を崩壊させた。
  7. ^ 1200ccの排気量をボアアップで1400ccに引き上げることをはじめ様々なチューニングを施し、エンジン出力は250PS以上、最高速度は400km/hに迫り、常人にはクラッチを繋ぎ後輪にトラクションを掛けることすら至難とされている。なお、現実世界においては量産市販車ベースの改造車両と競技専用車両のカテゴリー違いではあるものの、2000年代以降のmotoGPに参戦する車両はV-MAXと同じエンジン形式(水冷DOHC4バルブV型4気筒)で最高出力約240PS、最高速度350km/h以上の性能を1000cc以下の排気量で技術的に達成している。
  8. ^ 1/1スケールの実車モデルが造られた際にセイバー・モータード・キュイラッシェと名付けられた。
  9. ^ 初潮を迎えてまもなく父親が誰なのか分からない子供を授かったが、その子供もすぐに引き離されて少年兵にさせられた。
  10. ^ 冬木市でのお気に入りは冬木ハイアットホテルのレストランで、黙々とケーキを食べている姿が従業員の間で話題になった。しかし、このホテルはランサー陣営が拠点にしていたため、切嗣に爆破されてしまう。
  11. ^ 魔道の家門を継げるのは原則1人だけであり、そうでない者で桜のような希少で特異な能力を持つ者は日常生活を送るのが困難になる可能性が高い上に、魔術協会に囚われ標本モルモットにされる恐れも高いため。
  12. ^ 時臣の願望である『根源に至る』ためには7名全てのサーヴァントの魂を聖杯に捧げる必要があるため。
  13. ^ 聖堂教会における異端審問員で、神の代行と称して教義に存在しない異端を狩る殺し屋。死徒や禁を犯した魔術師を主な標的とする。「TYPE-MOON#共通した世界観」も参照。
  14. ^ ドラマCDでは旧名の「阿部幸恵」で参加。
  15. ^ 徳本・高間はドラマCD版のみ / 図師・島﨑・村上・松本・佐々木・山本はテレビアニメ版のみの出演。
  16. ^ 聖堂教会に属し、聖遺物の管理・回収を行う機関。聖杯という聖遺物が絡む以上、聖杯戦争の監督役である冬木教会の神父には第八秘蹟部の構成員が赴任することになっている。
  17. ^ 彼の母方の祖母が魔術師の愛人だったことがあり、彼女がその時に遊び半分で簡単な魔術を覚えたのが魔術師としてのベルベット家の始まりである。
  18. ^ ロンドン大英博物館にある魔術協会の総本部であり、魔術師の学校。魔術師のご多分に漏れず、そして、数ある魔術協会の中でも特に血筋や権威主義による縛りがきつく、新参が幹部に入ることができない不健全な状態。
  19. ^ ホッカイロ徳用10パック400円
  20. ^ これらの品を魔術的に代用しようとすると数十倍のコストが要るため。
  21. ^ Character materialにて本作より先行して紹介さられており、彼の正体こそ伏せているが日本のゲームが趣味と大戦略のTシャツ姿があるなど、ライダーの影響と言えることがウェイバーと暗示を示している。また、本編とは並行世界の物語である『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』のドラマCD・テレビアニメでも浪川が声を担当している。
  22. ^ アーチボルト家がウェイバーにロード=エルメロイII世の称号を与えたのはこの功績への賞賛と同時に、ウェイバーをアーチボルト家に縛り付けて監督するためでもある。
  23. ^ アニメ版においては、実際にスタッフロールの協力の項目で開発元でもあるシステムソフト・アルファーの名前が記載されている。
  24. ^ 但し、聖堂教会のマスター登録にはケイネスの名前しか登録していない。
  25. ^ この『魅惑(テンプーション)』の呪いは比較的軽微なもので、ある程度の力がある魔術師なら対処可能
  26. ^ 直接ケイネスに渡すように指示してあったケイネス宛の荷物をウェイバーに託してしまった。
  27. ^ エクスカリバーを放つには両腕での振りぬきが必要だが、セイバーはランサーとの初戦でゲイ・ボウに左手の親指のを切られて左手が使えない状態だった。そこで切嗣はランサーに「セイバーの左腕には対城宝具(対人、対軍と3段階ある宝具の攻撃範囲で最も上)がある」と伝え(実際に電話を受けてランサーにこのことを伝えたのは、アイリの代わりに携帯電話を操作したウェイバー)ランサーは騎士道精神から自らゲイ・ボウを折った。実はこの時、切嗣はキャスター陣営討伐と同時進行で他のマスターを始末するべく動いており、この連絡はランサー陣営を倒すための一環としてでもあった。
  28. ^ ケイネスはランサーを「ただの道具」としか見なしておらず、またランサーの忠義はケイネスの価値観からすれば理解しがたいもので、真意を隠しているという疑いを抱かせてしまった。ランサーの方でも「自分の忠誠を受け止めてくれるなら誰でもいい」と考えていた節があり、ケイネス個人に心酔していたわけではないため、相互理解が醸成されなかった。
  29. ^ この時、ランサーはセイバーさえも自身を陥れる策に加担していたと思い込んだため、彼女に対しても呪いの言葉を浴びせた。
  30. ^ 虫使いが火属性に挑むなど本来愚の骨頂ともいえる不利なことなのだが、このときすでに雁夜はそんなことを考える判断能力と冷静さを失っていた。
  31. ^ 使用者の認識よって作用するため、逆に武器と認識しない物、例えば空母は武器を輸送するものと認識され効果はない。
  32. ^ 聖杯にも本来はジャンヌ・ダルクの復活を願うつもりであったが、既に願いは叶っていると勘違いしたため聖杯戦争はすでに決着していると考えた。
  33. ^ 作中では「盟友プレラーティの遺した魔道書」であると言及されている。「螺湮城」は中文で『ルルイエ』のことであり、本書の正体はジル・ド・レェが親交を持っていたとされるフランソワ・プレラーティが訳者であると設定され、クトゥルフ神話のフィクション作品に登場する架空の書物『イタリア語版ルルイエ異本』であることが強く示唆されている。
  34. ^ 海魔自体キャスターは制御はできず、自滅行為の何物でもない。また海魔は独自に周囲の生命を糧として取り込み肥大化し、最終的に消滅する。
  35. ^ Fateの原作者である奈須きのこは、切嗣に英語を教わっていたからとも述べている。
  36. ^ 熱帯気候の島。『アリマゴ』という単語は沢蟹を意味し、『昔、この島は海の神に供物を捧げる場所だったが、病気の母親に食べさせるものがなくなった少女が供物に手を付け神の怒りを買って沢蟹の姿に変えられた。以来、この島の沢蟹を食べると病気が治るようになったとされ、彼女の母親の病気もそれで治った』という言い伝えがある。
  37. ^ 学問では習得の不可能な、一代限りの希有な才能に対し、魔術協会がサンプルとして保護する旨を伝える令状。封印指定された術者は保護の名の下に一生涯幽閉されることになる。魔術師にとっての最高の誉れであり、同時に最大の災難。大半の者は逃亡することを選ぶ。
  38. ^ 吸血鬼のうち、他の吸血鬼にかまれたり、魔術による方法で後天的に吸血鬼になった者のこと。血の摂取により維持される不完全な不老不死を得ている。
  39. ^ 島に潜伏して1年ほどたった頃に起きた
  40. ^ 中には、自分の仕える王イスカンダルよりも強い英霊も含まれているが、マスターや知名度などの恩恵がなく宝具も持たないという不利な条件のために通常のサーヴァントに比べて弱体化している。
  41. ^ 一部のサブキャラクターなど声優が異なっている場合もある。
  42. ^ 第25話のみAパートラスト(切嗣が士郎と出逢った瞬間)にカウントダウン00:00:00を表示し、終了した。(Bパートはエピローグでありstay nightの序章)
  43. ^ a b 18・19話は切嗣の過去回想編であり、この2話のみ英題が付けられている。
  44. ^ 放送対象地域はNOTTVを参照。
  45. ^ ノンテロップOP/ED、本アニメのPV/CM、本製品のCM、奈須きのこ書き下ろしショートシナリオ「おねがい!アインツベルン相談室」全3話を収録。
  46. ^ ノンテロップOP/ED、本アニメのPV/CM、本製品のCM、奈須きのこ書き下ろしショートシナリオ「おねがい!アインツベルン相談室」を収録。

出典

  1. ^ Introduction 「Fate/Zero」とは”. 星海社文庫公式サイト. 星海社. 2011年10月7日閲覧。
  2. ^ a b オトナアニメ』vol.20、洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年5月9日、18頁。ISBN 978-4-86248-711-7
  3. ^ TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票結果発表”. TYPE-MOON. 2013年1月1日閲覧。
  4. ^ “新作アニメ『Fate/Zero』最新話 8ヶ国語字幕付きで全世界へ同時配信” (プレスリリース), アニプレックス, (2011年9月21日), オリジナルの2011-09-26時点によるアーカイブ。, http://web.archive.org/web/20110926025216/http://www.aniplex.co.jp/company/press110921.html 2011年9月21日閲覧。 
  5. ^ 2012.01.02※いよいよ本日!※「Fate/Zero」ファーストシーズン全13話 お正月一挙放送!”. 2012年1月2日閲覧。[リンク切れ]
  6. ^ a b “秋の大型アニメ「Fate/Zero」 国内放送時差の短縮に挑戦”. アニメ!アニメ!ビズ (アニメアニメジャパン). (2011年9月10日). http://www.animeanime.biz/all/119101/ 2011年10月9日閲覧。 
  7. ^ 【オリコン】『Fate/Zero』が“ハルヒ”超え! BD初週売上歴代1位を記録ORICON STYLE 2012年3月14日
  8. ^ 坂東新悟. “歌舞伎芸人 芸の眼差し、遊の素顔 第7回 坂東新吾 3/4”. 歌舞伎美人. 2014年5月8日閲覧。
  9. ^ a b c Magica Quartet(原作) 『魔法少女まどか☆マギカ公式ガイドブック you are not alone.』 まんがタイムきらら(編)、芳文社2011年9月11日ISBN 978-4-8322-4061-2
  10. ^ 娘TYPE』Vol.16、角川書店2011年1月29日、 45頁、 雑誌07010-03。



Fate/Zero

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/24 15:23 UTC 版)

登場人物

セイバー陣営

衛宮切嗣(えみや きりつぐ)
声 - 小山力也 / 入野自由(子供時代)
  • 身長:175cm、体重:67kg、血液型:AB型、誕生日:11月11日[6]
本作の主人公。セイバーのマスター。魔術師の家系である衛宮家の5代目。傭兵でもあり、様々な謀略を駆使して、数々の暗殺や魔術師の殺害を成し遂げた過去を持つ「魔術師殺し」と呼ばれた元殺し屋。
聖杯戦争の切り札としてアインツベルン家に婿養子として迎えられた。
聖杯に託す望みは「戦いの根絶」「恒久的な平和の実現」。
「起源」は「切断と結合」で、先祖から受け継いだ「魔術刻印」による魔術は時間操作(しかし元々父が封印指定を受けていたため、その大部分は時計塔に押収されている)。
少年期に、父の研究が発端で住んでいた島が滅び、再発防止になると信じて父を殺害する。しかしその後の数年で同様の惨劇は日常茶飯事に起きており、父殺しで抑制できた被害などたかが知れていると思い知らされる。父達の死を無駄にしたくない余り、「(自分に関係がなかろうと)多数を救うために(愛するものが含まれても)少数を切り捨てる」ことを行動原理にする様になる。愛情や友情を尊ぶ人間らしい感性を持ちながら、冷徹な信条に徹した生き方を続け、孤独に苛まれている。闘争を軽蔑しており、戦いを肯定し人々を戦場に駆り立てる「英雄」という概念を激しく憎悪するため、戦場に価値を見出すセイバーとは相容れないと判断しアイリと組ませおとりとする方針を決め、召喚後も令呪による自分からの発言以外はセイバーを徹底して無視した。大成しているにも関わらずどの仕事も辞めている言峰綺礼の経歴を知り、彼の本質を「失うものがあっても恐れず、自ら放棄する虚無」と見抜いたことで、失うものに執着する自分とは正反対の強さを持つ彼を危険視するとともに恐れてもいた。特に、舞弥から襲われた旨の報告を受けた時には、過去のトラウマが蘇るとともに、妻子を得たことでアイリとイリヤを失うことを恐れる余りに全てを投げ出し、イリヤを連れて3人で逃げ出したいとアイリに告げるなど弱気になることもあった。
魔術師が忌避する近代兵器を躊躇なく使用する合理主義者として、 ワルサーWA2000キャリコM950Aといった銃器、ナイフにクレイモア地雷などの爆発物を自在に扱う。戦闘に使用する魔術は、自らの時間流を加速・減速させる「固有時制御(タイムアルター)」と、魔術礼装として改造したトンプソン・コンテンダーから放たれる「起源弾」である。起源弾は自身の第12肋骨を磨り潰し.30-06スプリングフィールド弾の芯材とした魔弾で、相手とした魔術師の魔術回路を変質させて魔力を暴走させ破壊する。これによって肉体と魔術回路を破壊された人間は魔術師として再起不能となり、仮に命は助かったとしても身体機能の大半を失う羽目になる。ただし、起源弾の効果は魔術師の魔力の強弱に比例し、魔力が強ければ強いほど効果は上がるが、魔力が弱ければ効果は薄まり、そもそも魔術自体に干渉されなければ真価を発揮しない。その対策として、グレードIVクラスの防弾装備でなければ防げない大口径の.30-06弾を使用することで、物理手段による防御を封じてより相手に魔術による防御をさせるよう誘導している。
戦争の終結後は養子として引き取った士郎とともに冬木市で暮らし始め、二度と聖杯戦争を繰り返させないために、円蔵山の地下洞窟に隠された聖杯の源である大聖杯を封印する最後の魔術として爆薬で細工をして洞窟内に瘤を発生させ、そこに堆積したマナが30年から40年の間に破裂し龍洞(天然の大空洞)を崩落させ聖杯を封印する仕掛けを施すが、切嗣の予想に反して聖杯戦争が早まったために不発に終わる。また士郎に旅に行くと偽って何度かイリヤの救出に向かうが叶わなかった。
5年後、「この世全ての悪」の呪いに蝕まれ、息を引き取る。死の間際、士郎にかつて正義の味方に憧れていたことを話し、士郎が代わりにその夢を叶えると誓うのを聞く。かねてから士郎の将来を危ぶんでいたが、この誓いで士郎が苦悩することになっても原点に立ち帰れると思い、「安心した」と士郎に言い残した。享年34。
『Fate/stay night』では、主人公・衛宮士郎の養父として回想に登場する。
Fate/Grand Order』では、並行世界の第四次聖杯戦争を経験していない切嗣が守護者となった上でアサシンのサーヴァントとして登場しており、真名は第五次聖杯戦争のアーチャーと同じく「エミヤ」となっている。
アイリスフィール・フォン・アインツベルン(Irisviel von Einzbern
声 - 大原さやか
ユーブスタクハイトが鋳造したホムンクルス。衛宮切嗣の妻でイリヤスフィールの母。愛称はアイリ。
ホムンクルスである為、生まれた時から大人の姿であり、作中の時点で9歳である。生まれつきアインツベルンが積み重ねて来た知識と理性を備えている一方、潜在的に好奇心旺盛でもあり、切嗣の情操教育で表面化した。切嗣が外界から持ち込んだ自動車の運転を好み、外界そのものにも憧れを抱いている。ユーブスタクハイトから領地外に出ることを禁じられて来た反動で、作中で初めて外界に出た時は童女の様にはしゃぐ一面を見せる。
切嗣に代わり、おとりとしてセイバーのマスターを演じる。セイバーとは姫と騎士の様な関係を築き、両人とも美貌の持ち主だったことで周囲の耳目を集めていた。同じく共闘する舞弥のことは、自分の知らない切嗣を知っている女性として苦手意識を抱いていたが、互いの内面を知っていく中で友人関係となる。
アインツベルンの者として錬金術に長け、治療も移植手術の形でなら可能。戦闘にはを用いた針金細工を使用する。
実はその内臓に聖杯の器を溶かし込んでいる。サーヴァントが脱落する度に、聖杯の器は本来の機能を取り戻し、引き換えにアイリとしての機能は失われていく。切嗣はその抑制を目的に「全て遠き理想郷」を彼女に託した。これによりセイバーが触れることで彼女の傷は瞬時に回復し、セイバーが近くにいることで彼女自身の崩壊を防ぐことも出来るが、セイバーが近くにいてもサーヴァント1体が消滅した時点で既に車の運転など手を使った作業をほとんどこなせなくなり、サーヴァント3体が消滅した時点では起き上がることすら辛くなっている。4体脱落した時点で、聖杯の器が器としての姿を取り戻し、残ったアイリの肉体は焼却される。この仕様は、前回の聖杯戦争で聖杯の器が破壊されたことへの対策として実装された。
切嗣を愛し彼の理想を肯定しているが、真の意味では理解していない。彼の理想も理解できないまま死ぬ女で居るより、同じ理想に殉じる理解者のふりをした方が切嗣にとって負担にならないだろうと考えてのことである。一方でアインツベルンの悲願からも既に心は離れており、自分が持つ願いとしてイリヤスフィールを聖杯戦争から解放することを望んでいる。
聖杯戦争が折り返しに入ると時臣との休戦を受諾し、「全て遠き理想郷」を切嗣に渡す。その後、綺礼の策略によって誘拐され、切嗣に関する問答の末に激昂した綺礼により命を絶たれる。死後、大聖杯の中に居た「この世全ての悪アンリマユ)」が黒いドレスを纏った彼女の姿で登場し、切嗣に自身の誕生を促すが、彼がそれを拒絶して自身を破壊しようとすると死に至る呪いをかけた。
Blu-ray Disc Box I付属のドラマCDでは、切嗣との馴れ初めが語られた。生まれて間もなくの頃は感情が無いに等しい機械的な受け答えしかせず、思想も切嗣とは相容れなかった。器に自立防衛として人間のような肉体や自我を持たせたことに文句を言った切嗣にプライドを傷つけられたユーブスタクハイトによって、器としての耐久性を証明するために裸のまま狼や悪霊がいる吹雪の森に放り込まれたところを切嗣に助けられた。死に瀕することになった元凶であるアハトと切嗣に怒りを覚えない在り方に切嗣は反発。怒りの感情を覚えさせる事を決めた。この件がきっかけで切嗣から写真や映画、音楽、車の運転等、自分が知らなかった物を見せて貰い、その過程で感情を獲得。彼と惹かれ合い、愛することを学び、切嗣の未来を想い彼の子供を産む決意を告げた。
TVアニメ版『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』では、ホムンクルスとして繋がっているイリヤのもとに、彼女の殻を被った聖杯の泥が切嗣への憎悪と彼の息子と殺し合える悦びを伝え、イリヤの切嗣への憎悪をかき立てることとなる。但し脚本草案ではアイリの姿ではなく、廃棄されたホムンクルスがイリヤを唆している。
『Fate/Grand Order』ではキャスターのサーヴァントとして登場している。コラボイベントではサーヴァントの彼女とは別に、正式なマスターになっているアイリも登場し、彼女の存在が特異点を生み出す原因になっていた。
アイリ師匠
「おねがい!アインツベルン相談室」では弟子ゼロ号とともに弁護士として登場。
立ち位置としてはSNのミニコーナー「タイガー道場」に登場する「タイガ」にあたる。タイガが弟子から師匠と呼ばれていたのと同様に、ゼロ号から「アイリ師匠」と呼ばれている。
アレンジの加えられた袴姿で、たまに薙刀を持ち出す。タイガー道場よろしく作中で脱落した人物の相談が目的であるらしい。
セイバー(Saber
声 - 川澄綾子
  • 身長:154cm、体重:42kg、スリーサイズ:B73/W53/H76、血液型:不明、誕生日:不明、属性:秩序・善
  • パラメータ: 筋力:B 耐久:A 敏捷:A 魔力:A 幸運:D 宝具:A++
  • クラス別能力:対魔力:A、騎乗:A / 保有スキル:直感:A、魔力放出:A、カリスマ:B
切嗣が召喚したサーヴァントで、真名はアルトリア・ペンドラゴン。『Fate/stay night』と同じくアーサー王が実は少女であったという設定で、滅びに瀕した故国を救うために聖杯を目指す。
宝具は、風の魔術で剣の刀身を不可視にする「風王結界(インビジブル・エア)」と、絶大な“光”の斬撃を放つ聖剣「約束された勝利の剣エクスカリバー)」。 本作ではセイバーのスキル「騎乗」を発揮する見せ場が用意され、メルセデス・ベンツ・300SLヤマハ・VMAXを乗りこなす。
召喚の触媒に使われた「全て遠き理想郷アヴァロン)」は、生前の彼女が失った鞘であり、彼女の魔力が注がれると回復効果を発揮する。彼女自身は召喚された時に視認しただけで、その後の行方は『Fate/stay night』に至るまで知らずじまいである。
マスターの暗殺(セイバーとアイリを囮役として全てのマスターを狙撃するつもりであった[注釈 1])を狙う切嗣と、サーヴァント同士の真っ向勝負を求めるセイバーとは相容れないものとして描写されており、最後まで切嗣との信頼関係が醸成されることはなかった。聖杯戦争中、切嗣からは三度の令呪による命令でしか話しかけられていない。ブリテン王としての治世のやり直しを聖杯に願う算段だったが、ライダーに自らの王道を否定されたことと、生前共に戦った騎士がバーサーカーとして狂乱するさまを目の当たりにして、「自分が王になったことが間違いだった」と失意に沈む。アーチャーとの最終対決の最中に切嗣の命令により、最後の希望であった聖杯を自らの手で破壊させられ、悲憤と絶望のなかで退場して、生前のカムランの丘へ戻っていく。
『Fate/stay night』では再びセイバーとして召喚され、切嗣の養子である衛宮士郎と契約し剣を執る。なお召喚場所は衛宮邸の土蔵で、アイリスフィールがセイバーに描かせた魔法陣が役割を偶然にも果たすことになる。この魔法陣は原作小説では二重の六芒星などサーヴァント召喚陣に似た意匠だが、TVアニメ版ではルーン文字などで構成された別物になっている。
久宇舞弥(ひさう まいや)
声 - 恒松あゆみ
  • 身長:161cm、体重:49kg、スリーサイズ:B75/W58/H77、血液型:A型、誕生日:7月7日
暗殺者時代からの衛宮切嗣の弟子であり、愛人でもある女性。
切嗣のサポート役として参戦し、感情を表に出さず淡々と任務をこなす。
物心ついた頃には少年兵になっており、夜な夜な兵士達に強姦され、初潮を迎えてすぐに出産した。第四次聖杯戦争の11年前に切嗣に拾われて以降は彼だけをよりどころに生きてきた。
自身の本名や家族すら全く知らず、「久宇舞弥」は切嗣が用意した最初の偽造パスポートの名前である。
アイリの護衛中にライダーに扮したバーサーカーの襲撃に遭って致命傷を負い、駆けつけた切嗣の腕の中で息を引き取る。
Fate/strange Fake』に登場するシグマは彼女の子供である。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(Illyasviel von Einzbern
声 - 門脇舞以
切嗣とアイリスフィールの娘。愛称はイリヤ。
ホムンクルスと人間のハーフであり、厳密な意味でのホムンクルスとは違った存在。次の聖杯の器となるべく胎内にいる時から肉体改造を施されている。
切嗣とアイリが聖杯獲得に失敗した時に備え、第五次聖杯戦争の聖杯の器を準備できる様に、アインツベルンの城に1人留め置かれる。
『Fate/stay night』ではサブヒロイン。主人公である衛宮士郎を執拗に狙うマスターとして登場する。
ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン(Jubstacheit von Einzbern
声 - 藤本譲
アインツベルンの8代目頭主。「8」を捩って、アハト翁と通称されている。
その正体は、第三魔法の魔法使いの弟子によって作られたアインツベルン城の中枢制御用人工知能「ゴーレム・ユーブスタクハイト」。1000年以上稼働しており、第二次聖杯戦争から現在まで全ての聖杯戦争に関わっている。人間型端末筐体の姿は、滝の様な白髭の束と落ち窪んだ眼窩から放たれる強烈な眼光が特徴の老人。
前回の敗北を教訓に切嗣を雇い、また優れた英霊を召喚するためエクスカリバーの鞘をコーンウォールで発見させるなどの用意を重ねて聖杯戦争に臨む。
『Fate/stay night』などではイリヤスフィールに「お爺さま」として言及されている。TVアニメ版『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』にも姿を現す。

アーチャー陣営

遠坂時臣(とおさか ときおみ)
声 - 速水奨[注釈 2]
  • 身長:177cm、体重:68kg、血液型:O型、誕生日:6月16日
アーチャーのマスター。遠坂家当主で葵の夫、凛と間桐桜の父。聖杯に託す望みは根源に至ること。
属性は火で、宝石魔術を体得している。魔道を奉じる生粋の魔術師であり、魔道に背を向けた旧友・雁夜に対しては侮蔑を露にする。魔道の家門を継げるのは原則1人だけのため、魔術の素質を持ちながら、遠坂を継げない次女の将来を案じて、間桐に望まれたまま桜を養子に出したことが雁夜との対立を招く。
雁夜からは憎悪されながらも、かつて家督を継ぐか否かの選択肢があった自分に対し、凛と桜には魔術師としての人生以外の選択の余地が無かったことへの本人なりの哀れみや後ろめたさも抱く家庭人としての面を持つ。魔術師、父親としては立派な人物であると共に、一般人の価値観では人でなしである。綺礼からも後述するアーチャーの件を含め「骨の髄まで魔術師」と形容される。
自分の父の盟友であり、聖杯戦争の監督役である璃正と裏で繋がり、万全の準備を以って聖杯戦争に挑むが、アーチャーの規格外の能力や振る舞いに翻弄される。アーチャーに対しては臣下の礼を取っていたが、「英雄王ギルガメッシュ」は崇拝していても「アーチャーのサーヴァントとして召喚された英雄王」はあくまでも道具として見ており、根源への到達のために最終的に自決させるつもりであった。キャスター討伐後に前述の「骨の髄まで魔術師」であったその鈍重で退屈な姿勢と不忠が原因でアーチャーに見限られる。綺礼によって起こったアインツベルンとの戦いは綺礼を日本から退去させることで休戦を取り付け、決戦に臨む前に凛の後見人として綺礼を指名すると共にアゾット剣を贈呈するが、退室しようとしたところを綺礼のアゾット剣によって背中を刺されて即死した。そのあまりにもあっけない最期はアーチャーからも心底呆れられ、「間抜けた死に顔」を足で小突かれた。その後、彼の遺体は綺礼が描いた雁夜と葵の愛憎劇に舞台装置として利用される。
アーチャー(Archer
声 - 関智一
  • 身長:182cm、体重:68kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:混沌・善
  • パラメータ: 筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:A 宝具:EX
  • クラス別能力:対魔力:C、単独行動:A / 保有スキル:黄金率:A、カリスマ:A+、神性:B(A+)
時臣が召喚した英霊で、真名はギルガメッシュ
遙か昔、世界の全てを有した「人類最古の英雄」「バビロニアの英雄王」とされる。聖杯に願いを託すわけでなく、自分の財を奪わんとする賊を裁くという異例の理由で聖杯戦争に参加する。宝具は、宝物庫から無数の財宝を自在に呼び出す鍵剣「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」、ドッグファイトさえ可能な飛行装置「天翔る王の御座(ヴィマーナ)」、時空切断「天地乖離す開闢の星エヌマ・エリシュ)」を放つ「乖離剣エア)」のほか数多く、極めて強力な英霊として設定されている。
傲岸不遜で、自らを唯一無二の王と称してはばからず、マスターと離れても行動できる「単独行動」のスキルゆえに、時臣を意に介さず自らの望むままに行動する。魔道に忠実な時臣の性格や鈍重な作戦に退屈を感じ、屈折した精神を持つ綺礼に興味を移し、時臣殺害へと導く。
綺礼から時臣の真意を知らされたことで兼ねてから抱いていた不満が遂に不忠者の処刑を決意させ、時臣の処刑を見届けた後に綺礼と同盟や共犯という形で再契約する。ライダー戦においては、ライダーを「王」と認め、乖離剣エアによってライダーの固有結界「王の軍勢」を破り、唯一無二の朋友の名を冠した「天の鎖エルキドゥ)」で雁字搦めにし、消えゆく彼と再戦の約束を交わした。また、ライダーのマスターではなく、臣下としてのあり方を貫く覚悟を見せたウェイバーを王の臣下の1人として認め、見逃している。姿を現した聖杯の前でセイバーと対戦し、嬲りながら求婚するも、破壊された聖杯から漏れ出た泥に飲み込まれるが、脱出して受肉し、聖杯戦争が終結した後も冬木にとどまることになる。
彼の召喚には、生前彼が求めた「不老不死の薬草を食べて彼の目の前で脱皮した蛇の抜け殻の化石」が触媒として用いられた。
前述の経緯から、『Fate/stay night』には存在しないはずの8人目のサーヴァントとして登場している。
遠坂葵(とおさか あおい)
声 - 伊藤葉純
  • 身長:160cm、体重:50kg、スリーサイズ:B78/W57/H82、血液型:O型、誕生日:9月5日
時臣の妻で、凛と間桐桜の実母。旧姓は「禅城ぜんじょう」。
時臣の指示で聖杯戦争が始まる直前に凛と共に冬木から鉄道で二駅先にある実家に避難していた。
魔術回路こそ持たないが、かつては魔術師の家系であった禅城家の娘で、才能ある子供を産む体質を持つ。間桐雁夜とは幼馴染の友人同士で、雁夜より3歳年上。雁夜からは好意を寄せられているが、彼の気持ちには全く気付いていなかった。夫に従う控えめな性格で、時臣の決定通り桜を間桐に養子に出したことが雁夜参戦の発端となった。魔術師に嫁ぐ以上は人並みの幸せを望めないと言いつつ、内心では間桐家に桜を奪われたと思っていた。
時臣を裏切った綺礼の策謀により、時臣の死体の傍らに立ち尽くす雁夜に引き合わされ、雁夜が夫を殺害したと思い込んで激昂し、娘に続いて夫を奪った間桐の人間である雁夜を罵倒した上に自身の思いを貶められて逆上した雁夜に首を絞められ気絶する。
その後は酸素欠乏の後遺症と、夫と次女を失った精神的ショックで、現実を正しく認識出来なくなり、妄想の中で時臣、凛、桜と幸せに暮らし続けた。『Fate/stay night』より前に没している。
遠坂凛(とおさか りん)
声 - 植田佳奈
  • 身長:124cm、体重:29kg、血液型:O型、誕生日:2月3日
時臣と葵の長女。五大元素使い(アベレージ・ワン)。すでに初歩魔術を行使できる天才。遠坂の血族であることに誇りを持つ、幼き貴族。
父親である時臣とは師弟としてしか接されたことが無く、それが当たり前だと思っていたために頭を撫でられたこともなかった。また時臣の魔術師ゆえの歪みを知らず、立派な父と尊敬しているが、桜の件に関しては母と同様に割り切れておらず、両親が死亡した10年後も桜のことは気にかけている。兄弟子である綺礼には当初から不信感を持っており、敵愾心や警戒心を隠さない。
聖杯戦争が終結した後は時臣の葬儀を経て遠坂の家督を継ぐ。その際、綺礼の気まぐれから、綺礼が時臣から魔術の修了の餞別として授かり、直後に彼を殺害するのに用いた因縁のアゾット剣を授かった際には涙を流している。
TVアニメ版第10話では主役を務め、原作と違って龍之介にさらわれた友人と十数人の子供達を助ける活躍を見せる。
『Fate/stay night』ではメインヒロインのひとり。

アサシン陣営

言峰綺礼(ことみね きれい)
声 - 中田譲治
アサシンのマスターで、言峰璃正の息子。
父同様に聖堂教会の第八秘蹟会に所属していたが、聖杯戦争の3年前に令呪の兆候が現われてからは、教会と遠坂時臣の思惑により魔術協会に「転属」して時臣の弟子となり、時臣を援護して勝利させる役を担うことになる。
吸血鬼や教義に抵触した魔術師などを狩る異端審問員である「代行者(「TYPE-MOON#共通した舞台設定」も参照)」を若くして務めていた実力の持ち主。代行者の用いる特殊な投擲剣黒鍵と、殺人拳にまで昇華された八極拳の使い手。魔術師の家系でないことと魔術の鍛錬を修了の一歩手前でやめてしまったことから魔術師としての腕前は見習い修了程度である。
頭脳や身体をはじめ能力的には抜きんでて優秀な人物である。反面、理想も願望も欲求も持ちあわあせておらず、普通の人間が目的意識と感じる美しさや喜び、充実感を感じることが全くないという精神的に空虚な性格破綻者で、宗教的環境からの高い倫理観から自らの破綻と歪みに苦しみ、様々な激しい修行に明け暮れたが、聖杯戦争に至るまでに何ら充足を得ることができずにいた。
開戦後は使命を忠実に全うして時臣を補佐するが、破滅的な人生を歩んできた衛宮切嗣に己に似た何かを感じ付け狙う一方で、絶望の淵に立たされている雁夜には執拗な諜報を仕掛けている。実は他人の苦痛や絶望にのみ愉悦を感じる性質であることをアーチャーに見抜かれ、彼の教唆に従って時臣を暗殺しアーチャーと再契約する。再契約後に雁夜を教唆してアイリを確保すると共に、時臣の遺体を用いた愛憎劇を鑑賞した際には一度飲んだ酒を以前より美酒と感じ、悪の悟りを開き始めている。その後、完全な手駒となった雁夜とバーサーカーをセイバーにけしかけておき、自身は父親から受け継いだ予備令呪を魔力源として術を高めることで切嗣との死闘を演じるが、聖杯の泥を浴びて意識を失い、目覚めた直後に切嗣によって殺害されるが、聖杯が破壊された後にアーチャーが受肉すると契約によるつながりで彼も泥の影響を受けて復活する。そして、冬木の大災害を見た瞬間に、生粋の聖人である父から生まれた自身を涙ながらに「邪悪、鬼畜、歪み、汚物」と称しながらも自らの答えを得るが、過程を通り越した結末に納得がいかず、今度はその方程式を求めるべく「この世全ての悪」の誕生を見届ける決意を固める。
聖杯戦争が終結した後には、時臣の葬儀を進めた後、気まぐれで凛にアゾット剣を渡している。
『Fate/stay night』では正式に監督役として登場しており、『Zero』は『stay night』の彼が持っている「悟りと余裕」を剥奪し「迷いと葛藤」を付加したキャラクター。『Zero』における彼は自らを内省するにあたって、妻に関する記憶など、かなり過去の記憶や事実関係をねじ曲げて語っているため、10年後の達観した自己分析の方が、自らの内面を語る上ではより的を射ている。
TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票では言峰は『stay night』版と『Zero』版で2つ枠が用意されている。
ドラマCD『アーネンエルベの一日』ペンフレンドのネコアルク・カオスに呼ばれた事で臨時ウェイターで登場 、遠坂凛が放ったガンド乱れ撃ちを受けてもビクともしなかったが、カレン・オルテンシアが差し入れたどくだみ茶に混入されていた毒が回り殺される。
アサシン(Assassin
声 - 阿部彬名[注釈 4] / 川村拓央 / 豊崎愛生 / 徳本英一郎 / 高間陽一郎 / 図師晃佑 / 島﨑信長 / 村上裕哉 / 松本忍 / 佐々木啓夫 / 山本格 / 野坂尚也 / 佐々木義人 / 桑畑裕輔 / 野間田一勝[注釈 5]
  • 属性:秩序・悪
  • パラメータ: 筋力:C 耐久:D 敏捷:A 魔力:C 幸運:E 宝具:B
  • クラス別能力:気配遮断:A+ / 保有スキル:蔵知の司書:C、専科百般:A+
言峰綺礼に召喚された暗殺者の英霊。真名は暗殺教団の指導者ハサン・サッバーハ。複数居るハサンの内、多重人格障害を武器とした「百の貌のハサン」。生前、肉体は1つだったが、宝具「妄想幻像ザバーニーヤ)」により人格ごとに固有の肉体を得られる様になる。但しそれはあくまで1人分の体を分割するものであり、分割する程に弱体化する。聖杯に託す願いは人格の統合。
遠坂に内通する綺礼の策略で、ザイードを捨て駒に最初の脱落者を装いながら陰で諜謀活動に徹する。聖杯問答の後、令呪による指示を受けすべての個体を率いてセイバーとライダーを討つため登場するもライダーの「王の軍勢」によって消滅した。
能力自体はさほど優れてはいないが偽装を始めとして様々な用途で活用が可能な非常に強力な宝具を持ち、切嗣のような諜報戦を重視するマスターと組んでいれば勝者となり得たサーヴァントという評価を後に公式で得ている。実際に切嗣自身も騎士道精神を重視する英霊が喚ばれやすいセイバーよりも結果のみを求める策略向きのキャスターかアサシンを求めていた。
ザイード
声 - 川村拓央
アサシンの人格の内の一つ。男性。
厳戒態勢の遠坂邸に単身潜入するなど、アサシンとしては申し分のないスキルを発揮しているが、他の人格からは「取り立てて得手のない」と一蹴されている。その潜入の際、綺礼と時臣の策謀の捨て駒として、アーチャーによって倒される。
アサ子
声 - 阿部彬名
アサシンの人格の一つ。女性。
グラマーでありながらも筋肉質、長髪のポニーテールに両耳に大きいイヤリングをつけている。
名称は『とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』でのもの。
文庫版のイラストや『Fate/Grand Order』などでは、メインの人格として扱われている。
ちびアサシン
声 - 豊崎愛生
アサシンの人格の一つ。女性。他のアサシンとは違い、黒ずくめではなく、普通の褐色の少女。
生前のハサンが拷問を受ける際に表層化させていた、記憶と会話能力を持たない人格。
『Fate/Zero material』で没ネタとして紹介され、『とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』や『Fate/Grand Order』で実際に登場した。
でかアサシン
アサシンの人格の内の一つ。男性。
名称は『カプセルさーばんと』でのもの。かなりの巨体の人格。
言峰璃正(ことみね りせい)
声 - 広瀬正志
  • 身長:179cm、体重:88kg、血液型:B型、誕生日:12月29日
言峰綺礼の父。聖堂教会の中でも聖遺物の管理・回収を行う第八秘蹟会に属する神父だが、代行者ではない。
第三次聖杯戦争から監督役を務めている。冬木の聖杯がキリスト教とは無縁の物とは既に確証が取れているが、その桁違いの性能は無視できるものではなく、監視を続けている。
謙虚かつ真面目な信仰者で、息子の苦悩については全く知らず、息子が修行に没頭するのは敬虔な信仰心からだと信じている。綺礼の八極拳の師であり、こと純粋に拳法の腕前では綺礼を凌駕する。
冬木の聖杯を下賎の輩から遠ざけ本来の用途に用いるため、古くから親交のある遠坂と共謀して時臣を聖杯戦争の勝者へ導かんと画策する。過去の聖杯戦争においてリタイアした者が使い残した令呪を有しており、彼の判断でその令呪をマスターに委譲する権利を持っている。しかしケイネスに令呪を譲渡した際に、彼によって射殺され、残った令呪は息子・綺礼が遺言を読み取り受け継ぐことになる。
『Fate/hollow ataraxia』、『Fate/Apocrypha』、『Fate/strange Fake』でもその存在が言及されている。

ライダー陣営

ウェイバー・ベルベット(Waver Velvet
声 - 浪川大輔
  • 身長:157cm、体重:50kg、血液型:B型、誕生日:10月3日
ライダーのマスターで、19歳の青年。
聖杯戦争に加わる動機は自分を見下した連中に己の沽券を示し、魔術師として正当な評価を得ること。
魔術師としては三代目と新参に入るものの、両親の死後に祖母のコネで「時計塔」の学生となる。保守的な魔術師の世界で評価されない不遇に遭っていると、根拠のない自信をもって考えている。魔術師の能力を持つだけの一般家庭に生まれ育ったため、魔術師の常識と伝統に縛られない反面、魔術刻印や魔術回路はお粗末かつ経験も未熟で、そのことに強い劣等感を抱く。彼の一族「ベルベット家」は1800年頃に当時の「ベルベット家」の長男(ウェイバーの高祖父)が魔術師として開花し、地元では天才と言われていた。しかしその後は、一族が魔術師としての資質に恵まれず、ウェイバーの代になるまでは、「ベルベット家」に魔術師は、二人(高祖父とその孫娘の祖母)しか生まれていない。
時計塔の講師であるケイネスに「魔術の才能に、家系と塁代は絶対ではない」という内容の論文を馬鹿にされたことを恨み、ケイネス宛の聖遺物を盗み出して、冬木の地で令呪を授かり聖杯戦争に参加する。聖杯戦争の拠点として、冬木市在住の外国人マッケンジー夫妻に、自らが孫であるという暗示をかけて居候する。このことは未熟故の苦肉の策であったが、魔術師の常識を逸脱するため他勢力にとって予想困難な行動であり、長期間の生き残りに寄与することになった。
順調に戦争を勝ち進むが、ライダーに勝たせてもらうという戦局の動きに未熟さを自覚し、人間的な成長を見せていく。戦争終盤、ライダーを自身の王と認め令呪を全てライダーのために使いマスターの権利を放棄するが、ライダーの求めに応じて対アーチャー戦に同行する。ライダーの宝具を出し切り、勝敗が決した時に臣下に勧誘され、それに答えた。これはウェイバーが求めていた正当な評価そのものだった。ライダーが敗れたのちも、アーチャーに対しては一歩も退かずにライダーへの忠義から戦わないと告げたことを、アーチャーがその忠道を「大義」と評して見逃したため、聖杯戦争から生還することになる。
翌朝、マッケンジー夫妻に旅をしたくなった旨を告げ、その資金稼ぎのために暫くは時計塔を休校してアルバイトをすることになる。その後、ライダーが遺した生活の後を眺めつつ、自分が未熟である事を痛感しながらも、彼が買ったゲームを始めることでウェイバーの戦いは終わりを告げた。
後に時計塔の名物講師「ロード・エルメロイII世」となり、ケイネスの死後に起こった混乱を自らの責任と感じ、アーチボルト家の再興に尽力する。本作の20年後、遠坂凛とともに冬木の大聖杯を解体する。『Fate/stay night』より後の時期にも生き残っている唯一の第四次聖杯戦争のマスターである。
『Fate/Zero』で作られたキャラクターだが、同作の出版を遅らせている間に出した資料集、『Character material』にて、ウェイバーとしてより先にエルメロイII世として紹介されている。『大戦略』のTシャツ姿で日本のゲームが趣味。エルメロイII世として多くのシリーズ作品に登場しており、『ロード・エルメロイII世の事件簿』では主人公となっている。
『Fate/Grand Order』では諸葛孔明の依代として疑似サーヴァントとなっている(人格はエルメロイⅡ世)が霊基第三まで霊基再臨をするとライダーのマントを羽織った第四次聖杯戦争期の姿になる。
ライダー(Rider
声 - 大塚明夫
  • 身長:212cm、体重:130kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:中立・善
  • パラメータ: 筋力:B 耐久:A 敏捷:D 魔力:C 幸運:A+ 宝具:A++
  • クラス別能力:対魔力:D、騎乗:A+ / 保有スキル:カリスマ:A、軍略:B、神性:C
真名はイスカンダル。豪放磊落を地で行く偉丈夫である。宝具は、2匹の神牛が牽引する大型戦車神威の車輪ゴルディアス・ホイール)」による蹂躙走法「遙かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)」と、生前の遠征軍の豪傑たちをサーヴァントとして独立召喚する固有結界「王の軍勢アイオニオン・ヘタイロイ)」。ホメロスを尊敬し『イリアス』を肌身離さず持ち歩くが、現代文化への順応も早く、ビル・クリントンを難敵と見定め、近代兵器やゲーム機なども欲しがる。
後にアレクセイを名乗り、ウェイバーの友人としてマッケンジー宅に居候の身となる。
聖杯に託す願いは受肉で、その後は自らの力で再び世界を征服することを望んでいる。ギルガメッシュの好敵手として競い合う一方で、セイバーを戦士としては評価するものの対等の王としては認めず、その禁欲的で利他的な悲愴な王道を哀れんでいる。初戦で真名を公に名乗ったり、他のサーヴァントを自らの軍門に下るよう勧誘したりするなど、破天荒な振る舞いで聖杯戦争を撹乱しつづける。綺礼の計略によってセイバーと交戦して「神威の車輪」を失い、アーチャーとの最後の決戦では残った「王の軍勢」をも「天地乖離す開闢の星」によって破られ、単騎突撃の果てに敗北し、王たる生き様をウェイバーに遺して消滅する。
マッケンジー夫妻にはアレクセイは急遽イギリスに帰らなけらばならなくなったと伝えられ、彼がキャスター討伐の日の昼に買ったゲームは初回特典のTシャツとゲーム機共々ウェイバーが持つこととなり、以降日本のテレビゲームは後に成長したウェイバーの趣味となる。
『Fate/stay night』の用語集(『Fate/side material』、PS Vita版SNなどに収録)にて存在が言及されていた。ギルガメッシュの宝具と拮抗する宝具の持ち主であることと、彼の最期が記されている。また原作者である奈須は、彼のクラスはエキストラクラスを予定していたが、著者の虚淵玄の「彼のクラスはライダー」との意見により変更したと語っている。
2012年のTYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票結果発表では6位にランクインしており、本作のみに登場するキャラクターの中では最も高い人気を誇る[7]
作中作であるテレビゲーム『Admirable大戦略』のタイトルがプリントされているTシャツを着ているシーンが描かれているが、元ネタは『大戦略シリーズ』の一つである『現代大戦略シリーズ』である[注釈 6]
『Fate/Grand Order』では、本作での姿の他に少年時代の姿「アレキサンダー」が別サーヴァントとして登場する。

ランサー陣営

ケイネス・エルメロイ・アーチボルト(Kayneth El-Melloi Archibald
声 - 山崎たくみ
  • 身長:181cm、体重:62kg、血液型:B型、誕生日:4月11日
ランサーのマスター。時計塔では鉱石科のロードかつ降霊科の一級講師。ロード・エルメロイという敬称で呼ばれる。
魔術師としての経歴に「武功」という箔を付けるため、聖杯戦争に参加する。
風と水の二重属性。降霊術召喚術錬金術に通じ、魔力の込められた水銀を変幻自在の武器として扱う「月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)」を駆使する。
9代を数える魔術の名門アーチボルト家の嫡男であり、様々な実績を持ち、魔術に絶対的な自信を持つ優れた魔術師であるが、それゆえに疑り深くヒステリックな気性の持ち主で、裏切りの伝承を持つランサーには不信を強める。許嫁のソラウにだけは惚れ込んでいて頭が上がらない。
聖杯戦争のサーヴァント召喚の仕組みを解析した上で、魔力の供給を婚約者であるソラウが、令呪を自らが受け持つ分担戦術をとるが、聖堂教会のマスター登録にはケイネスの名前しか登録していない。
切嗣に勝負を挑むものの、彼の戦術と挑発に嵌り、魔力を最大限に開放したところを、起源弾によって敗れる。魔術回路と魔術刻印を失った上に全身不随となり、ソラウに脅迫される形で彼女にマスターの権限と令呪を委譲する。キャスターが討伐されると、その報酬として言峰璃正に令呪を要求し、受領直後、他のマスターに令呪を渡さぬため璃正を射殺する。最後となるランサーとセイバーの対戦中、ソラウを人質にとった切嗣に、ランサーを自害させる代わりに切嗣によるケイネス、ソラウへの加害を禁じる契約を結ぶか、自害させず契約も結ばないかを迫られる。屈辱に苛まれつつケイネスはランサーを自害させるが、契約によって禁止されていない舞弥からソラウ共々銃撃を受け瀕死になり、見兼ねたセイバーに介錯される。
彼の認識する戦いが「貴族の児戯」程度の域を出ていなかった上に聖杯戦争が魔術師同士の秘術を競い合う決闘という表向きの情報を鵜呑みにした結果、単純な殺し合いである事を承知していた切嗣や御三家のマスター達の策略にはまり、アーチボルト家の没落という結果を招く。TVアニメ版『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』でも、同じ協会から参戦したアトラム・ガリアスタに「遊び半分で参加していた」と蔑まれている。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』などで言及されている他、『Fate/Grand Order』のコラボイベントや『カプセルさーばんと』には本人が登場する。
ランサー(Lancer
声 - 緑川光
  • 身長:184cm、体重:85kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:秩序・中庸
  • パラメータ: 筋力:B 耐久:C 敏捷:A+ 魔力:D 幸運:E 宝具:B
  • クラス別能力:対魔力:B / 保有スキル:心眼(真):B、愛の黒子:C
騎士道に忠実で、名誉ある戦いを重んずる英霊。
真名はケルト神話フェニアンサイクルに現れるディルムッド・オディナフィオナ騎士団の随一の戦士で、“輝く貌”の異名を持つとされる。美丈夫で、泣きぼくろには異性を魅了する呪いがある。二槍の使い手で、所持する宝具は貫いた物の魔力を打ち消す長槍「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」と、決して治癒できない傷を与える短槍「必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)」。ゲイ・ボウはキャスター掃討戦の際、セイバーの手傷を癒すため自ら折って消滅させる。
ウェイバーにイスカンダルの聖遺物を奪われたケイネスが、急遽手配した聖遺物を使って召喚されている。聖杯には何も望んでおらず、生前の不義への無念と後悔から、マスターへの忠義を果たすことだけを望む。セイバーを好敵手と定め、互いに騎士としての決闘を望んだ。しかし、ケイネスのことは只二度目の忠義を果たす相手としてしか見なかったために最後まで信頼関係を築くことはできなかった。最期はセイバーとの一騎討ちの最中に切嗣の策により令呪によって自害を強いられ、怨嗟と呪詛を叫びながら消滅する。
『Fate/Grand Order』では「憤怒の波濤(モラ・ルタ)」と「激情の細波(ベガ・ルタ)」の双剣を宝具とするセイバークラスで登場、『騎士』としての自覚と自己肯定感が強くなっている。ただし召喚に対するコスト・難易度はランサー時よりも高い。
ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ(Sola-Ui Nuada-Re Sophia-Ri
声 - 豊口めぐみ
  • 身長:165cm、体重:52kg、スリーサイズ:B88/W56/H84、血液型:O型、誕生日:8月19日
ケイネスの許嫁。時計塔の降霊科学部長を歴任する家に生まれる。
兄ブラムが家督を相続したため、政略結婚のためにケイネスの許婚となる。気高くわがままな面が目立つが、それは処世術としての振る舞いに過ぎない。実際の彼女は自分というものが無く、ケイネスのこともどうとも思っていない。わざとランサーのチャームにかかることで彼への恋心という激情を手に入れ、ランサーのマスターとして彼の忠誠を得るべく、戦闘不能に陥ったケイネスから令呪を脅しとり、聖杯によるケイネスの治療を方便にランサーにマスター権の委譲を納得させた。キャスター消滅直後に舞弥に襲われて右手ごと令呪を切り落とされ拉致される。最期は意識を失ったまま切嗣にケイネスとの交渉材料とされ、ランサー消滅後、ケイネス共々舞弥に銃撃されて死亡した。ランサーを消滅させるだけならソラウを拉致せずとも殺すだけで良かったのだが、切嗣はランサーが新たなマスターと契約を結ぶことがないよう、念の為にケイネスともども皆殺しにする策をとった。
魔術師ならば本来ランサーの黒子の呪いを回避することは可能なのだが、彼女の場合はわざとこの呪いにかかっている。また、令呪のある右手を切り落とされた際にも、「ランサーに愛させる」命令を出来ない絶望の方が、右手を失った痛みや出血よりも上回っていた。
原作者である奈須がZeroで一番好きなキャラクターであり、対談ではことあるごとにその愛を語っている[8]
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』では父のルフレウスに言及されている。

バーサーカー陣営

間桐雁夜(まとう かりや)
声 - 新垣樽助
  • 身長:173cm、体重:55kg、血液型:AB型、誕生日:3月22日
バーサーカーのマスター。間桐臓硯の戸籍上の次男で、『Fate/stay night』の間桐慎二の叔父にあたる。
臓硯の支配する間桐の家と間桐家固有の魔術を嫌って11年前に出奔し、以来フリーのジャーナリストとして一般人と同様に生きてきた。幼馴染であった禅城葵に好意を寄せており、葵が遠坂家へ嫁いだ後も親しく交際していた。時臣が桜を間桐家に養女として出したことを知って憤慨し、桜を救いだすことを目的に間桐の魔術師として聖杯戦争に参加する。
魔術師としての能力は兄の鶴野よりはマシ程度で、底上げの為に体内に「刻印虫」を宿すことで魔術回路を補強し、その代償に死人のような容貌に加え、多くの臓器の機能を損ない魔術を使うだけで血を吐くほど衰弱し余命幾ばくかの状態となる。時臣に戦いを挑んで惨敗し瀕死となるが、綺礼によって蘇生される。その後、綺礼によって時臣殺害の犯人に仕立て上げられ、葵に痛罵されて錯乱し、葵の首を絞めるが殺す直前に我に返った。その後は完全に綺礼の手駒となり、彼に教唆されバーサーカーをセイバーにけしかけ、暴走するバーサーカーとセイバーの対戦で魔力を失って力尽き、最後の執念で間桐家の桜の下まで辿り着くが、桜を救出して葵と凛のもとに迎えられる幻想を抱きながら息絶える。
TVアニメ放送時に「雁夜おじさん」としてインターネット上で人気になり、制作したアニプレックスの公式ホームページに急遽イラストが掲載された。「この画像を求められている気がした」という説明が付いていた[9]
バーサーカー(Berserker
声 - 置鮎龍太郎
  • 身長:191cm、体重:81kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:秩序・狂
  • パラメータ: 筋力:A 耐久:A 敏捷:A+ 魔力:C 幸運:B 宝具:A
  • クラス別能力:狂化:C / 保有スキル:対魔力:E、精霊の加護:A、無窮の武練:A+
傷だらけの黒いフルプレートを纏った謎の騎士で、真名は円卓の騎士サー・ランスロットである。
保有スキル「無窮の武練」により、狂化してなお武芸の冴えを損なっていない規格外の特性を持つ。宝具は、黒い霧によって己の正体を隠蔽する「己が栄光のためでなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)」で本来は変身能力の宝具だが、狂化によってパラメータなどの隠蔽に劣化しているものの、令呪を使用することで本来の変身能力も使える。もうひとつは単なる鉄パイプから現代の兵器や戦闘機まで、武器と認識する万物を己の宝具として使用する「騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)」。この能力故、宝具をただ投げつけるアーチャーに対しては善戦し、またキャスター討伐においては駆けつけた自衛隊機を操ってアーチャーと空戦を繰り広げる見せ場が与えられている。セイバーに対し強烈な執着を見せ、その姿を認めれば、他のサーヴァントとの戦闘中でも彼女に襲いかかる。最後の戦いで前述の二つの宝具を封印する代わりに解放した、切り札にしてランスロットの真の宝具「無毀なる湖光(アロンダイト)」でセイバーを圧倒するが、それによって魔力消費が激増し、マスターの魔力供給と自身の貯蔵魔力を瞬く間に食い潰して自滅する。
かつて故国の滅亡とセイバーの死の原因となった罪悪感から、生前セイバーの手によって裁かれることを望んでいたが、セイバーから罪を不問にされたことで却って苦しんでいた。狂化が解けた消滅の間際に本心を告げたが、それが皮肉にもセイバーにとっての呪いとなる。
『Fate/Grand Order』では円卓の騎士としての彼がセイバークラスで登場。
間桐臓硯(まとう ぞうけん)
声 - 津嘉山正種
間桐鶴野と雁夜の戸籍上の父。正体は冬木の聖杯戦争を創立した魔術師の1人、マキリ・ゾォルケン
延命の為に肉体を大量の蟲に置き換えている。魔術師としての素質が枯渇した間桐の血統を見限り、魔術師を産む装置として遠坂桜を養子に迎えている。自陣営の貧弱さから今回の聖杯戦争は様子見とするつもりだったが、雁夜の懇請により参加を決める。今回勝利できるとは最初から考えておらず、裏切り者・雁夜の苦しむ様子を見ることだけを楽しみにしている。
また、綺礼にも接触して彼が自分と同類である事も見抜いていた。
聖杯が破壊された後に入手した欠片を蟲に変えて桜の体内に埋め込み、「黒い聖杯」に仕立て上げる。『Fate/stay night』では桜ルートでのみ登場する。
間桐桜(まとう さくら)
声 - 下屋則子
  • 身長:120cm、体重:25kg、血液型:O型、誕生日:3月2日
遠坂時臣と葵の次女で凛の妹。第四次聖杯戦争の1年前には間桐鶴野の養女になっている。義理の叔父にあたる雁夜とは「遠坂桜」の頃から交流がある。
間桐家ではその魔術を体に刻む為、蟲による性的暴行を受けており、以前とは別人のように感情表現に乏しくなっている。時臣の意図に反して臓硯に桜を魔術師として育てる気はなく、強力な手駒を生み出すための母体としての利用価値しか認められていない。
雁夜が何をしているのかは理解していない。彼の蟲に食い尽くされる最期を目の当たりにした事で、臓硯に逆らった者の末路を思い知らされ、雁夜の目的とは裏腹に、その死は更に桜の心を間桐家に縛り付ける事となった。
凛でなく桜が養子に出されたのは、次女であることと「架空元素・虚数」という属性が希少すぎて時臣が適切な指導ができないためである。
『Fate/stay night』のメインヒロインのひとり。
間桐鶴野(まとう びゃくや)
声 - 鳥海勝美
間桐雁夜の兄で慎二の父。名目上は間桐家の五代目にして当代の頭主。臓硯の命令で桜を蟲で嬲っていた。
本来であれば自分よりも魔術の素養が上である弟の雁夜が家督を継ぐはずであったが、その雁夜が出奔したために仕方がなく当主の座に収まっている。それ故に「自分に全ての責任を押し付けた」と雁夜を恨んでいるために兄弟愛は皆無であり、彼が間桐家に戻って以降も関係は断絶したままとなっている。
今回の聖杯戦争とは直接関係しないが、聖杯戦争への恐怖と自らへの無力感から夜ごと酒に逃避していたところを、誘拐されたアイリスフィールを捜す切嗣に捕まり、右手を失った。
聖杯戦争終了後には生き延びていたが、『Fate/stay night』では3年前の回想を最後に登場しない。

キャスター陣営

雨生龍之介(うりゅう りゅうのすけ)
声 - 石田彰
  • 身長:174cm、体重:65kg、血液型:B型、誕生日:1月31日
キャスターのマスターで、美を追求して殺人を繰り返すシリアルキラー。外見は優男である。
実の姉を含め既に40人を超える殺人に手を染めているが、卓越した証拠隠滅と捜査撹乱の才能によって警察の捜査を逃れており、中には事件として発覚・立件すらされていないケースまである。
殺人に対するマンネリズムとモチベーション低下に悩んでいたところ、実家の倉で見つけた「悪魔を呼び出す」という古文書の記述を用いて儀式殺人を行い、偶然にもキャスターを召喚する。自身の家系がかつて魔術師であったことは全く知らなかったが、召喚によって魔術回路も開かれている。
キャスターを殺人の師と仰ぎ意気投合する。信仰心は無いが「世界の脚本を書いている存在」としての存在を確信し「神は人間賛歌も絶望も等しく愛しており、故に礼賛も冒涜も信仰として受け止め、そんな世界を延々と創り続けているのだから、この世界は神の愛に満ちている」という独自の哲学を持っており、キャスターを敬服させる。享楽的芸術的殺害という共通目的があるため、最も凶悪であるにも関わらず、聖杯戦争に参加する7組の中で最もマスターとサーヴァントの結束が固いという皮肉な結果となる。キャスターが「海魔」を召喚した際、野次馬の中で騒いでたところを切嗣に狙撃され、求めていた死というものが他でもない自分自身の中にあったという答えを見いだし、自身の死に深い満足を覚えながら死ぬ。
キャスター(Caster
声 - 鶴岡聡
  • 身長:196cm、体重:70kg、血液型:不明、誕生日:不明、属性:混沌・悪
  • パラメータ: 筋力:D 耐久:E 敏捷:D 魔力:C 幸運:E 宝具:A+
  • クラス別能力:陣地作成:B、道具作成:- / 保有スキル:精神汚染:A、芸術審美:E-
龍之介が遊び半分で行なった儀式によりはからずも召喚してしまったサーヴァント。
真名は英仏百年戦争のフランス軍の元帥、ジル・ド・レェ
触媒を用いない召喚であったことから、龍之介の精神性に近い人を殺すことに異常な美学を持っており、犠牲者を材料にして吐き気を催すような工芸品を創作する龍之介には「青髭の旦那」と慕われ、キャスターもまた殺人鬼である龍之介に敬意を表している。
宝具能力に特化した召喚師(サモナー)で、キャスターのクラスが保有する道具作成のスキルと引き換えに顕現し、それ自体が魔力炉の役割を担う宝具「螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)」。「螺湮城」は中文で『ルルイエ』のことであり、本書の正体はジル・ド・レェが親交を持っていたとされるフランソワ・プレラーティが訳者であると設定され、クトゥルフ神話のフィクション作品に登場する架空の書物『イタリア語版ルルイエ異本』であることが強く示唆されている。これにより、海魔の魔力を循環させた無制約な召喚魔術が可能であり、事実上底なしの魔力を有する。
キャスターのクラスである陣地作成の能力は保有しているが、生前は魔術師でなかったために魔術の秘匿については無頓着であり、ウェイバーの初歩的な錬金術によって工房を発見されている。
敬愛し崇拝し、再会することが自身の宿願であったジャンヌ・ダルクがセイバーであると思い込んで付け狙う。聖杯戦争のルールを無視して大っぴらに児童の誘拐・殺人を繰り返したため、監督役の璃正から危険視され、各マスターの討伐対象となる。工房をライダーに破壊された後、龍之介の独特の哲学と信仰に感銘を受け、冬木市中心部の未遠川にて巨大な「海魔」を召喚し暴走する。龍之介の死後も彼との約束である「最高のCOOL」を手向けるため暴走するが、セイバーの「約束された勝利の剣」によって海魔もろとも消滅する。
最後に受けたセイバーの剣の光が、かつてジャンヌと共に歓喜の祝福を受けた光と重なり、かつての高潔な精神を涙と共に思い出しながら消滅していく。
実は2人の殺人の趣向は噛み合っておらず、下手をすれば出会い頭に龍之介が殺されていたという旨が奈須により語られている。
『Fate/Grand Order』では百年戦争期の騎士としての姿であるセイバークラスとペロー童話などに伝わる殺人鬼「青髭」としての要素だけを抽出したキャスタークラスのサーヴァント「青髭」(姿はセイバー時のジルに似ている)が登場。

冬木市の人々

グレン・マッケンジー(Glen Mackenzie
声 - 西川幾雄
冬木市に在住する老人。来歴は原作小説と『Fate/Zero material』で大きく変更されている。
『Fate/Zero material』によると、元はオーストラリア人で、40年以上前に商社マンとして家族と冬木に引っ越す。冬木を非常に気に入って永住を決意し、脱サラして貿易会社を立ち上げて無難に経営し、引退後は英会話学校の非常勤講師などを務めている。息子のクリスとその家族は日本に馴染めず、カナダのトロントに移住している。
暗示によってウェイバーを孫と思い込まされ、ウェイバーの寄宿先となっている。しかし、過去の記憶との齟齬によりウェイバーが自分の孫でないことに気づく。しかし、彼やライダーの存在でマーサが明るくなったことなどに礼をいい、彼らを暖かく受け入れる。決戦に赴こうとするウェイバーに「命と秤に掛けられる物は、結局のところ何も無い」と語った。
ドラマCD『アーネンエルベの一日』や『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』でも言及されている。
マーサ・マッケンジー(Martha Mackenzie
声 - 峰あつ子
グレンの妻。暗示によってウェイバーを孫と思い込まされる。
以前は息子や孫たちが日本を離れてしまったためかやや塞ぎ込んでいたが、ウェイバーがやってきてからは少し明るくなった。
コトネ
声 - 小林桂子(ドラマCD) / 瀬戸麻沙美(テレビアニメ)
遠坂凛のクラスメートで、親友。男子からいじめられているのを凛に助けられたりしていた。
雨生龍之介とキャスターが跋扈する中で行方不明になり、惨死したことが示唆されている。
TVアニメ版では原作小説と異なり、龍之介の手にかかる直前で凛によって救出される[10]
仰木(おおぎ)
声 - 川村拓央(ドラマCD) / 井上剛(テレビアニメ)
航空自衛隊の一等空尉。「ディアボロI」というコールサインでF-15戦闘機を操縦する。
冬木市警察に要請され「海魔」騒動に赴くが、バーサーカーの「騎士は徒手にて死せず」によって戦闘機をバーサーカー配下の宝具とされる。F-15Jがアーチャーとの戦闘に使用され、本来のF-15Jには不可能な急機動のGに耐え切れず死亡。
小林(こばやし)
声 - 高橋伸也(ドラマCD) / 奥村翔(テレビアニメ)
航空自衛隊の三等空尉。「ディアボロII」というコールサインでF-15戦闘機を操縦する。
仰木とともに冬木市に赴く。遭遇した「海魔」に接近して確認しようした所で捕獲されてしまい、機体ごと捕食される。
藤村大河(ふじむら たいが)
声 - 伊藤美紀
穂群原学園に通う女子学生。
藤村家は冬木市でも指折りの大家で、聖杯戦争後に切嗣が冬木に落ち着くことになった際の後見人になっている。切嗣に一目惚れし、切嗣も彼女にシャーレイの面影を感じていた為、甘やかしてしまった。切嗣に惹かれながらも破滅しなかった唯一の女性でもある。
原作小説には登場しないが、用語集で一項目が設けられているほか、TVアニメ版・漫画版で登場した。Blu-ray Disc Box II付属のドラマCDでは、衛宮家に入り浸っている様子も描かれ、切嗣に剣道の稽古を付けてもらっていた。切嗣から士郎に魔術を教えるか否かの参考に剣道で喩えた問答をかけられると、彼女は出鱈目を教え役に立たないと騙し諦めさせると答え、それでも気づかず続ければむしろ立派で剣道とは違う道を行き、そんな人が間違いを犯すことはないと解き、切嗣を感服させている。
『Fate/stay night』には主人公の姉貴分として登場する。
弟子ゼロ号
声 - 金元寿子
「おねがい!アインツベルン相談室」に登場する、記憶喪失の女子中学生。髪をポニーテールにし、穂群原学園のジャージを着ている。少女時代の大河と違い、耳は髪で隠れている。
正体を知るアイリ師匠からは最初「ティーちゃん」、後に「ゼッちゃん」と呼ばれる様になる。
山籠もり中に遭難していたところをアイリ師匠に助けられたらしい。このこともあって彼女を尊敬し、師匠と仰いでいる。直接は語られていないが、後の「タイガ師匠」。ポジションとしてはSNにおける「弟子1号」。
衛宮士郎(えみや しろう)
声 - 野田順子
『Fate/stay night』の主人公。
終盤で切嗣が令呪によってセイバーに聖杯を破壊させたで引き起こした大災害の中から、切嗣が唯一救いだすことのできた少年である。その後、切嗣は身寄りを喪った彼を引き取り養子として迎えた。作中に挿入されるカウントダウンは、切嗣が彼を救い出し2人が出会うまでの時間を示している。
彼は自分を救ってくれた切嗣に対して異常な憧れを抱いており、切嗣はずっとその歪みを危惧していた。だが最期の夜、彼が「正義の味方になる」という切嗣の夢を自分が引き受けると言った時に、切嗣は自分とは違うこの誓いの思い出があればきっと大丈夫だ、自分のように道を誤ることは無かろうと安心して逝く。こうして養父の夢は養子に託された。
Blu-ray Disc Box II付属のドラマCDでは出会ってから2年後の様子が描かれている。すでに食卓を取り仕切っており、切嗣や大河の健康を考えて和食メインの献立にしているが、ジャンクフードを好む切嗣には不満を持たれている。身体に埋め込まれた「全て遠き理想郷」は子供には強すぎるらしく、耐性を付ける為(という名目で実際はトラウマを和らげる為)、切嗣が魔術で造った薬を服用している。2年、切嗣に魔術を教えて欲しいと請い続け、ドラマCDの最後で魔術回路を造る訓練に入る。この時、切嗣から、魔術はつまらないからいつでも辞めていいと言われ、また魔術師の覚悟と、自分のためではなく他人のために使え、魔術使いになれ、と説かれている。この時、切嗣が説明に用いた「トレース」の言葉が後に彼の呪文「トレース・オン」に繋がっていく。

衛宮切嗣の過去に関わる人物

シャーレイ(Shirley
声 - 高垣彩陽
アリマゴ島という熱帯気候の島に住む才気あふれる少女。切嗣の初恋の相手。彼の愛称、「ケリィ」の名付け親でもある。島民が切嗣を「ケリトゥグ」と訛らせて発音していたところ、彼女が縮めて呼び始め、島民にも定着した。
「アリマゴ」は蟹を意味する単語で[注釈 7]、「昔、この島は海の神に供物を捧げる場所だったが、病気の母親に食べさせるものがなくなった少女が供物に手を付け神の怒りを買って沢蟹の姿に変えられた。以来、この島の沢蟹を食べると病気が治るようになったとされ、彼女の母親の病気もそれで治ったという言い伝えがある。
小学校すらない島で通信教育だけで13歳で修士課程を修了した。衛宮父子の家事を手伝うかたわら、矩賢に簡単な魔術の手ほどきを受けていた。矩賢も彼女の才能は認めていたが、魔術は一子相伝であるためあくまでも助手であり弟子ではなく、それは彼女自身も承知していた。
矩賢が開発した試薬を好奇心から使用し、不完全な死徒化を果たす。切嗣に自らを殺すように懇願するも、彼はどうにかシャーレイを元に戻そうと奔走したため、騒ぎを聞きつけた聖堂教会の代行者と魔術教会の執行者により島民は皆殺しにされる。彼女の末路は描写はないが殺害されたと思われる。彼女を殺せなかったこと、そして生前彼女から向けられた「(魔術という世界を変えるだけの力を手に入れて)どんな大人になりたいの?」という質問が、切嗣の将来を大きく左右することとなる。
衛宮矩賢(えみや のりかた)
声 - 千葉一伸
切嗣の父で衛宮家4代目の魔術師。小因果における時間操作の魔術を究めることで根源へ到達しようとした。
学問では習得の不可能な、1代限りの希有な才能に対し、魔術協会がサンプルとして保護する旨を伝える令状である「封印指定」を発布されている身であり、封印指定された術者は保護の名の下に一生涯幽閉されるという、魔術師にとっての最高の誉れであり、同時に捕まることで魔術師として絶対不可欠な研究が出来なくなる最大の災難ため、魔術師としての矜持から大半の者は逃亡することを選ぶとされているように、逃亡潜伏中のアリマゴ島で、「根源に至る」という目的を遂げるために必要となる途方も無い時間を得るべく、死徒[注釈 8]化の研究をしていた。島に潜伏して1年ほどたった頃に起きた試薬による事故を皮切りに研究が露見して魔術協会と聖堂教会双方の介入を招き、島から脱出を図ったところを切嗣によって射殺された。遺体は協会に引き渡されるが、ナタリアの交渉により、2割未満の"残り滓"ではあるものの手段として魔術を扱う分には十分な量の魔術刻印が切嗣に継承される。
魔術師らしい冷徹な性格だが、息子に向ける愛情は本物であり、他人が犠牲になっても息子を犠牲にすることは絶対に考えず、死徒化の研究も魔道を継ぐ息子のために行っていた。妻は切嗣を産んで間もなく魔術協会からの追っ手に殺されている。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』では彼の魔術が利用される。
ナタリア・カミンスキー(Natalia Kaminski
声 - 渡辺明乃
短い銀髪と碧眼という出で立ちの魔術使い。魔術協会には属していないが、情報を提供したり、報奨金を目当てに執行者として封印指定の魔術師を狩ったりして取引をしている。何よりも自分が生き残ることを優先する。喫煙者。
サキュバスを先祖に持ち、吸精を行うことが可能。アリマゴ島で出会った切嗣を引き取って補佐として使役し、また自らの「狩り」の技術を教え込んだ。彼が母のように慕った女性。彼女自身は異性として切嗣に惹かれていたらしい。切嗣がヘビースモーカーになったのはナタリアの影響である。TVアニメ版で彼女が吸っていた「焔龍」という架空の煙草は『空の境界』の蒼崎橙子が吸っていたものと同様である。
オッド・ボルザーク殺害を遂行した際、ボルザークが持ち込んだ死徒蜂によって、乗員乗客が屍食鬼(グール)となった飛行機内に1人取り残される。自分が生き延びるために飛行機を着陸させようとするが、切嗣は屍食鬼の上陸を防ぐために、ブローパイプ(TVアニメ版ではスティンガーミサイル)で彼女もろとも旅客機を撃墜する。
TVアニメ版では、切嗣に起源弾を作って譲り渡したのは彼女ということになっている。また、最期に旅客機が撃墜される際には笑みを浮かべており、切嗣の選択を予期していたかのような描写があり、漫画版では完全に切嗣ならそうすると認めたうえで恨まずに受け入れた。
シモン
声 - ふくまつ進紗
アリマゴ島にある教会の神父。
温厚な性格ではあるが、魔術師である衛宮家を常に警戒しており、シャーレイに対しては衛宮邸に出入りしないようにとたびたび注意していた。シャーレイの死徒化事故の際、切嗣の通報を受けて聖堂教会に事態への対応を問い合わせたために代行者の介入を招くことになり、結果島は火の海に沈む。
TVアニメ版では死徒に襲われて自身も死徒化し、ナタリアに射殺されている。
オッド・ボルザーク(Odd Borzak
声 - 坂巻学
「魔蜂使い」と呼ばれる魔術師。限定的ながら死徒化にも成功している。
人間を屍食鬼にする毒針を持った「死徒蜂」を使い魔として使役しており、協会からも危険視されている人物。偽の容姿と名前を用いて長年行方を晦ましていたが、パリニューヨーク行きのエアバスA300に搭乗するという情報を得たナタリアによって捕捉され、機内で殺害された。しかし機内に死徒蜂を体内に隠して持ち込んでおり、死後もその猛威を振るったために、機内のナタリアを除く乗客乗員300名を屍食鬼に変貌させた。
『Fate/strange Fake』では彼の縁者、ハルリ・ボルザークが登場している。

英霊たちの過去に関わる人々

ギネヴィア
アーサー王(セイバー)の妻。アーサー王の同盟者レオデグランス王の娘。
アーサー王ことアルトリアの正体は女性であったが、彼女の理想と信念に共感し、ブリテンに王国としての体裁をもたらすためにアルトリアに嫁いだ。後に謁見によりランスロット(バーサーカー)と出会い、恋を知る。恋と理想との葛藤の果てにランスロットへの愛を選ぶが、2人の不義はアーサー王を追い落とそうとする者によって暴かれ、ランスロットと共に背徳者として弾劾される。
モードレッド
アーサー王(セイバー)の不貞の子で、円卓の騎士の1人。後にアーサー王に対して反乱を起こし、王国崩壊の原因を作った。
本作ではアーサー王に槍で刺し殺された姿で登場する。アニメ版の一期のエンディングでも同様の姿が絵画に準えた形で描かれている。
キャラクターとしての設定は『Fate/stay night』のアニメ化に際して起こされた。『Fate/Apocrypha』では女性として設定し直された上で、セイバーのサーヴァントとして登場している。
エルキドゥ
声 - 高橋伸也(ドラマCD)
ギルガメッシュ(アーチャー)の唯一無二の朋友で、当代で彼と比肩しえた唯一の存在。
泥から作られた人だったが、知性と理性を得てギルガメッシュと出会い友となり、共に様々な冒険を行った。しかし、2人の増長は神の怒りに触れ、エルキドゥは衰弱死してしまう。ギルガメッシュのただ1人の理解者である自分の死が彼を孤独にしてしまうことを悔やみながら息を引き取り、それがギルガメッシュの人に対する価値観を決定づけた。
ギルガメッシュにとって生前のエルキドゥとの出会いや共に歩んだ人生は何よりも変えがたい宝物であり、その生き様はいまもなお心に刻まれている。その存在は、己が持つ全ての財を持ってしてなおも眩しく輝くものとされる。
『Fate/strange Fake』などでランサーのサーヴァントとして登場する他、『Fate/EXTRA CCC』でも詳しく言及されている。
グラニア
声 - 中川里江
コーマック・マック・アートの娘で、エリン(アイルランドの古い呼び名)の王女。ディルムッド(ランサー)の妻。
フィン・マックールと婚約していたが、その宴の夜にフィンの部下だったディルムッドと出会う。魅惑の黒子によってディルムッドに恋焦がれ彼に聖誓を課し、ディルムッドを背徳の騎士へと駆り立てた。
フィン・マックール
声 - 楠見尚己
ディルムッド(ランサー)が名を連ねる、フィオナ騎士団の首領。
アイルランドにおいて大王に勝るとも劣らない功績と勇名を誇る老雄で、その手に触れた湧水に癒しの力を与えるなど、数々の奇跡の能力を所持している。同じく騎士のクーアルの子で、息子に詩人のオシーン、孫に騎士のオスカーがいる。大王の娘・グラニアと婚約を結んでいたが、彼女がディルムッドを唆して逃亡を図ると、彼らに幾人もの追手を遣わした。後にディルムッドとは和解するものの、狩場にて重傷を負った彼を見て、過去の恨みを思い出して見殺しにした。
伝説では当初は美しい金髪で後に呪いを受けて銀髪になったとされるが、TVアニメ版と漫画版では黒髪で描かれた。『Fate/Grand Order』では伝説通り金髪のランサーとして登場する。
コーマック・マック・アート
声 - 大木民夫
ケルト神話におけるエリン(アイルランドの古い呼び名)の上王。
ディルムッド(ランサー)やフィンにとっては主筋に当たる。娘のグラニアをフィンに嫁がせることを決め、盛大な祝宴を催した。
王の軍勢
かつてイスカンダル(ライダー)と共にユーラシア大陸を駆け巡った、マケドニアの将兵たち。
各個が英雄たる逸話を持つ英霊である[注釈 9]。イスカンダルの宝具「王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)」によって固有結界内に召喚される。
ドラマCD版では声の出演に虚淵玄や奈須きのこが参加している。
ブケファラス
イスカンダルの愛馬。性別は雌。
馬ではあるが、神格を与えられた英霊であり、王の軍勢の一員である。
ミトリネス
声 - 川村拓央(ドラマCD) / 橋詰知久(テレビアニメ)
イスカンダルの親衛隊の一員。
キャスター戦では、結界外にいるウェイバーへの伝令を務める。
ジャンヌ・ダルク
英仏百年戦争の英雄で救国の乙女と謳われた少女。
信仰心に篤く、神がかった統率力でフランスの危機を幾度も救った。しかしコンピエーニュの戦いでイギリス軍に捕らわれ、あらゆる人権を剥奪されたうえに宗教裁判によって魔女の烙印を捺され、火刑に処された。ジル(キャスター)とは戦友にあたる間柄だが、ジルからは「聖処女」と崇拝に近い恋慕を向けられており、彼女の悲惨な最期がジルを狂気に誘っている。
Fate/Apocrypha』などではルーラーのサーヴァントとして登場する。

注釈

  1. ^ 時臣と雁夜を狙撃できなかったのは、ビルの死角に入ったため。
  2. ^ TVアニメ版『Fate/stay night』では辻谷耕史だったが、これは同作の音響監督が間に合わせで務めた形であり、専任の声優ではない。
  3. ^ SNから8cm縮んでいる。虚淵は執筆当初、SNでの身長を意識し過ぎた表現(「巨漢」「デカイ」「雲を衝くような」など)を連発させ、タイプムーン首脳会議で「これ(本作の)綺礼のイメージじゃないよねぇ」という話になった結果、身長が縮むことになった。[要出典]
  4. ^ ドラマCDでは旧名の「阿部幸恵」で参加。
  5. ^ 徳本・高間はドラマCD版のみ / 図師・島﨑・村上・松本・佐々木・山本はテレビアニメ版のみの出演。
  6. ^ TVアニメ版のスタッフロールでは、協力として開発元のシステムソフト・アルファーがクレジットされている。
  7. ^ タガログ語の「アリマンゴ」が元と思われる。
  8. ^ 吸血鬼のうち、他の吸血鬼にかまれたり、魔術による方法で後天的に吸血鬼になった者のこと。血の摂取により維持される不完全な不老不死を得ている。
  9. ^ 中には、自分の仕える王イスカンダルよりも強い英霊も含まれているが、マスターや知名度などの恩恵がなく宝具も持たないという不利な条件のために通常のサーヴァントに比べて弱体化している。
  10. ^ 一部のサブキャラクターなど声優が異なっている場合もある。
  11. ^ 放送対象地域はNOTTVを参照。
  12. ^ ノンテロップOP/ED、本アニメのPV/CM、本製品のCM、奈須きのこ書き下ろしショートシナリオ「おねがい!アインツベルン相談室」全3話を収録。
  13. ^ ノンテロップOP/ED、本アニメのPV/CM、本製品のCM、奈須きのこ書き下ろしショートシナリオ「おねがい!アインツベルン相談室」を収録。

出典

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  2. ^ a b オトナアニメ』 第20巻、洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年5月9日。ASIN 4862487114ISBN 978-4-86248-711-7全国書誌番号:22108898 
  3. ^ a b 奈須茸(奈須きのこの別名義)「解説」『Fate/Zero』第1巻、TYPE-MOON、2006年12月29日、402-405頁。
  4. ^ 川澄綾子さん&下屋則子さんの溢れるセイバーと間桐桜への愛 今だから聞いてほしい『Fate』のあれこれ。『Fate/stay night UBW』声優インタビュー アニメイトタイムズ
  5. ^ 少数派を切り捨てて多数派を生かす、「最大多数の最大幸福」を繰り返し続ける人生を送ってきた切嗣へ与えられる奇跡は、その無限の繰り返しによって「人類の絶滅」に至ってしまうことになる。
  6. ^ ufotableのツイート(1326511818462777345)
  7. ^ TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票結果発表”. TYPE-MOON. 2013年1月1日閲覧。
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  9. ^ 「雁夜おじさん」がネットで爆発的人気に 「フェイト/ゼロ」が「まどか☆マギカ」超えた J-CASTニュース 2011年10月6日付 2020年7月6日閲覧。
  10. ^ アニメ10話
  11. ^ a b c d e f 角川書店(編) 編『Fate/Zero アニメビジュアルガイド I』角川グループパブリッシング、2012年3月26日、139-153頁。ASIN 4041101298ISBN 978-4041101292OCLC 816913603全国書誌番号:22064376 
  12. ^ a b c d 角川書店(編) 編『Fate/Zero アニメビジュアルガイド II』角川グループパブリッシング、2012年11月7日、176-187頁。ASIN 4041103088ISBN 978-4041103081OCLC 825193075全国書誌番号:22163488 
  13. ^ a b c d Magica Quartet(原作) 著、まんがタイムきらら(編) 編『魔法少女まどか☆マギカ公式ガイドブック you are not alone.』芳文社、2011年9月11日。ASIN 4832240617ISBN 978-4-8322-4061-2全国書誌番号:22096752 
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  31. ^ 近藤光による2016年3月9日の発言2017年1月10日閲覧。
  32. ^ 田村民子 (2011年6月29日). “歌舞伎芸人 芸の眼差し、遊の素顔 第7回 坂東新吾 3/4”. 歌舞伎美人. 2014年5月8日閲覧。
  33. ^ 娘TYPE』第16巻、角川書店、2011年1月29日、45頁、商品コード:07010-03。 






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