形而上学とは? わかりやすく解説

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形而上学

読み方:けいじじょうがく
別表記:形而上學

形而上学(けいじじょうがく)とは、存在そのもの宇宙根本原理探求する哲学一分野である。物事本質真理実在といった抽象的な概念扱い物理的な現象超えた領域考察する。形而上学は、古代ギリシャの哲学アリストテレス始まりその後西洋哲学大きな影響与えてきた。 形而上学は、存在論実在論などの概念を含む。存在論は「存在とは何か」を問い実在論は「実在とは何か」を問う。これらの問いは、形而上学が探求する根本的なテーマである。

けいじじょう‐がく〔ケイジジヤウ‐〕【形×而上学】

読み方:けいじじょうがく

metaphysics自然学のあとの((ギリシャ)ta meta ta physika)書の意。後世ロードスのアンドロニコスがアリストテレス著作編集に際して採った配列由来

アリストテレスでは、あらゆる存在者を存在者たらしめている根拠探究する学問。すなわち第一哲学または神学

現象世界超越した本体的なものや絶対的な存在者を、思弁思惟知的直観によって考究しようとする学問主要な対象は魂・世界・神など。


形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/06 04:08 UTC 版)

形而上学(けいじじょうがく、: metaphysics)は、感覚ないし経験を超え出でた世界を真実在とし、その世界の普遍的な原理について理性(延いてはロゴス)的な思惟認識しようとする学問ないし哲学の一分野[1][注釈 1][注釈 2]世界の根本的な成り立ちの理由(世界の根因)や、物や人間の存在の理由や意味など、感覚を超越したものについて考える[2]。対する用語は唯物論[1]。他に、実証主義不可知論の立場から見て、客観的実在やその認識可能性を認める立場[1]や、ヘーゲルマルクス主義の立場から見て弁証法を用いない形式的な思考方法[1]


注釈

  1. ^ アリストテレスは形而上学を「第一哲学」と位置づけていた。それは個別の存在者ではなく、存在するもの全般に対する考察であり、だからこそ形而上学という語は「meta」と「physics」の合成語として成り立っている。
  2. ^ 形而上学の「形而上」とは元来、『易経』繋辞上伝にある「形而上者謂之道 形而下者謂之器」という記述の用語であったが、明治時代に井上哲次郎がmetaphysicsの訳語として使用し広まった。中国ではもとmetaphysicsの訳語に翻訳家の厳復による「玄学」を当てることが主流であったが、日本から逆輸入される形で「形而上学」が用いられるようになった。牧田英二「中国語・日本語の漢字をめぐって―中国語のなかに移入された外来語としての日本語―」『講座日本語教育』第10号、早稲田大学語学教育研究所、1971年7月、162-169頁、NAID 120000785141 
  3. ^ 印欧諸語のmetaphysics、Metaphysikなどの訳語として、日本語をはじめとする漢字文化圏では、「形而上学」を当てており、これは『易経』繋辞上伝の“形而上者謂之道、形而下者謂之器”(形よりして上なる者これを道と謂い、形よりして下なる者これを器と謂う)という表現にちなんだ造語である。印欧語のmetaには、「〜の背後に」のほかにも「〜を超えた」という意味があり、自然を規定する超越者の学という意味では(語源を表現しきれていないことを除いては)学の内容をよくあらわしている。

出典

  1. ^ a b c d 『岩波哲学小事典』「形而上学」の項目
  2. ^ 竹田青嗣著『中学生からの哲学「超」入門』ちくまプリマー新書、2009年 pp74-76
  3. ^ a b c d 後掲加藤
  4. ^ 「書評:ヴィクトル・クラーフト「ウィーン学団」-科学と形而上学」大垣俊一(関西海洋生物談話会Argonauta7:20-30.2002)[1][2]
  5. ^ 黒河内晋「近代産業主義の起源--フランシス・ベーコン像の再評価」『ソシオサイエンス』第6号、早稲田大学大学院社会科学研究科、2000年、263-276頁、ISSN 13458116NAID 120000792656 
  6. ^ 毛沢東「矛盾論」
  7. ^ 唯物辩证法终将代替形而上学 ——毛泽东哲学思想浅谈



形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 16:37 UTC 版)

チャールズ・サンダース・パース」の記事における「形而上学」の解説

パースの形而上学は1878年の「自然の秩序」などにその萌芽がすでに見られるが、その輪郭はっきりしてくるのは1884年の「デザインチャンス」および1887-1888年の「謎への挑戦」においてである。パース初めての体系的な形而上学の著作は、1891-1893年にかけて『モニスト』誌上掲載された「モニスト形而上学シリーズ」(Monist Metaphysical Series) である。その内容以下の通りである。 「理論建築学」(The Architecture of Theories;1891) 「必然性教説再考」(The Doctrine of Necessity Examined;1892) 「精神法則」(The Law of Mind;1892) 「人間ガラスのような本性」(Man's Glassy Essence;1892) 「進化的愛」(Evolutionary Love;1893) また1898年行われたケンブリッジ連続講演推論事物論理」(Reasoning and the Logic of Things)も、パースの形而上学が体系的にまとまっているテクストである。以下、これらのテクスト沿ってパースの形而上学の主要な教説概観する

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形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 07:35 UTC 版)

シャルトルのベルナルドゥス」の記事における「形而上学」の解説

ベルナルドゥスによれば実在には三つ範疇がある: 神、質料イデアである。神は至上実在である。質料は神の創造の業によって無からもたらされイデア結合することで感覚的事物世界構成するイデアはそれによって世界神意対す永久の現在から生まれてきた元型である; イデア摂理世界構成しており("in qua omnia semel et simul fecit Deus")、永遠存在ではあるが神と共に永遠というわけではないソールズベリーヨハネスによれば質料と共に創造されイデアコピーである土着の形相存在し、それが質料結合するのだともベルナルドゥス説いていたという。しかしながら、この問題に関してベルナルドゥス本当に主張していたのはどういうことであったかを決定するのは難しい。彼は自身形而上学的教説の中で多くのプラトニズム・ネオプラトニズムに特徴的な主張イデア居留地としての知性宇宙霊魂永遠質料不完全性淵源たる質料など―を再生産していたのだと述べれば十分である。

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形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 06:55 UTC 版)

エクステンション」の記事における「形而上学」の解説

延長空間占めること。

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形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 04:37 UTC 版)

エトムント・フッサール」の記事における「形而上学」の解説

フッサールは、近代科学と古い形而上学を厳しく批判して生活世界取り戻すことを主張した。そして、そのことによって近代科学支え物理学経験基盤となる、感覚理性を含む「生活世界経験」が可能になる見た。これは、客観的存在先立つだけでなく、これを可能にするものである。そのため、「超越論的経験」とも呼ばれる。これは、近代科学客観性先立つ限りで、主観的なのであるが、同時に基盤的なものである。そして、その最下層には、最も基礎的な「原事実」がある。この原事実は、世界・私・他者存在であり、これらは絡み合って大きな歴史的存在形作っている。これを研究解明するのが、新しい形而上学であるとした。

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形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 08:15 UTC 版)

中世哲学」の記事における「形而上学」の解説

12世紀半ばアリストテレス『形而上学』再発見の後、多くスコラ学者(特にトマス・アクィナスドゥンス・スコトゥス)がこの作品対す注釈書著した普遍論争はこの時代関心を惹いた主な問題一つである。他の主題は以下: ヒュロモーフィズム(形相質料理論) - 個々のものは質料形相からなるというアリストテレス教義拡張(彫像花崗岩とそれに彫られたところの形相からなる) 存在 - 存在としての存在 因果性 - 因果性議論はほとんどアリストテレス中でも主に『自然学』、『天について』、『生成消滅について』の注釈終始した。この主題領域対すアプローチ中世独特な、神にアプローチする方法みなされ普遍理性的研究であったドゥンス・スコトゥスによる神の存在証明因果性考え基づいている。 個別化原理個別化原理は人が何らかの与えられた類に属するものを個別化、つまり数的に区別する方法説明である。問題は、それが同類天使互いに区別される方法説明する際に生じる。天使非物質的であり、数的な違いは彼らが別の物質でできているからというように説明できない。この議論対す重要な貢献者はトマス・アクィナスドゥンス・スコトゥスである

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形而上学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 19:32 UTC 版)

ジェグォン・キム」の記事における「形而上学」の解説

キムの形而上学研究最大焦点出来事性質にある。 キム出来事同一説を展開させたが、最近ではそれを擁護していない。出来事同一説立場によれば出来事同一と言えるのは、同じ時間同じ場所でそれが起こっており、しかも同一性質持っている場合に限る。例え10本の指を振った場合いくつかの出来事が起こる。偶数本の指を振ることや、5の倍数の数の指を振るという出来事や、10倍数の数の指を振るという出来事もある。もっとも、この考え方に従うと出来事の数が増えすぎてしまうと批判する意見もある。 またキムの説によれば出来事構造化されている。キム出来事性質例化に訴えた説明によって有名である。出来事対象性質時間ないし時刻系3つから構成されている。出来事は[x ,P, t]という演算用いて定義される一つ出来事は、存在条件同一性条件という2つ原理によって定義される存在条件とは、「[x, P, t]が存在するのは、対象xが時間tにおいて性質P体現している場合であり、またその場合に限る」ということである。この条件満たされなければ一つ出来事とは言えない。同一性条件とは、「[x, P, t]が[y, Q, t`]であるのは、x=y, P=Q, t=t`の場合であり、またその場合に限る」ということである。

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形而上学

出典:『Wiktionary』 (2021/10/20 01:22 UTC 版)

発音

  • (東京) ーじじょーがく [kèéjíjóꜜògàkù] (中高型 – [4])
  • IPA(?): [ke̞ːʑiʑo̞ːɡa̠kɯ̟ᵝ]

名詞

形而上 (けいじじょうがく)

  1. (哲学) 思惟直感によって世界根本原理について研究ようとする学問

翻訳


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