フェティシズムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 学問 > 学術 > 心理学 > フェティシズムの意味・解説 

フェティシズム

英語:fetishism

フェティシズムとは

フェティシズム(fetishism)は、元々は「呪物崇拝」を意味する語であり、通俗的には「異性の体の一部などに性的な魅力感じ嗜好(=フェチ)」の意味用いられる語である。

フェティシズムの元々の意味

フェティシズムの元々の意味は、「自然物人口物に神秘的な力があると信じ信仰儀式対象にすること」である。日本語では「呪物崇拝」あるいは「物神崇拝」とも訳される

フェティシズムにおける崇拝対象は「フェティッシュfetish)」という。「呪物」のことである。

呪物崇拝における崇拝対象教義定められるようなものではなく共同体あるいは個々人霊威感じて崇拝しはじめれば何でも、たとえば動物頭骨でも木片でも石くれでも何でも呪物物神フェティッシュとなる。

日本勾玉三種の神器も、霊威秘めた呪物であり、その意味ではフェティッシュであると言い得る。

フェティシズムの現代の主な意味

フェティシズムは心理学用語として用いられており、現在では「フェティシズム」の語は大抵の文脈においてこちらの心理学用語の意味合い用いられている。

心理学におけるフェティシズムは、人間身体のパーツ生き物物体などに惹きつけられて、性的な魅力感じる、倒錯した性的嗜好のことである。

フェチ

より通俗的な日本語の)文脈では、身体の一部特定のコスチュームに対して強く興味抱いたり、興奮したりした際に「フェティシズムを感じる」といった表現で「フェティシズム」の語が用いられる場合がある。

フェティシズム【fetishism】

読み方:ふぇてぃしずむ

呪物(じゅぶつ)崇拝

異常性欲の一。異性の髪や衣類装身具などを性的対象として愛好するもの。

物神(ぶっしん)崇拝2


フェティシズム 【fetishism 英】

呪物崇拝持てるような小さな物に神や呪力宿るとする信仰一五世紀後半ポルトガル人が、この風習アフリカ西部発見しポルトガル語でフェティソス(feiticos呪文お守の意)と呼んだのに由来例え木片石塊貝殼魚骨などに神が宿る信じ戦利狩猟をこれに祈り効果がないと捨てて別の物を選んだ日本の剣・曲玉・鏡などもこの類。ド-ブロス一七六〇年『フェティシュの神々祭儀』を著して呪物崇拝宗教の起源とした。→ 呪物崇拝

フェティシズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/22 16:27 UTC 版)

フェティシズム英語: fetishism)とは、リヒャルト・フォン・クラフト=エビングが、1886年に自身の著書『性的精神病理』(Psychopathia Sexualis)において初めて使った言葉である。もともとはフェティシズムは呪物崇拝を指す言葉であるが、現代では通常よりも強く性的興奮を引き起こす特定のものや状態を表す言葉として用いられる事が多い[1]

概要

本来、フェティシズムとは、生命を持たない呪術的な物(フェティッシュ、英: fetish: féticheという)に対しての崇拝を指し、性欲とは無関係であった[2]。原義のフェティシズムについては呪物崇拝を参照されたい。もともとは人類学、宗教学の用語であったが、19世紀後半にオーギュスト・コントアルフレッド・ビネーといった心理学者が、崇拝構造を『性欲の対象とするもの』と『対象によって惹起される性欲』との関係として流用し、ある種の性的倒錯の説明として用いた[2]。リヒャルト・フォン・クラフト=エビングは性的な物神崇拝、同性愛サディズムマゾヒズムについて著書『性的精神病理』で説いた。その後フロイトも著書『性の理論に関する三つの論文』(1905年)において、フェティシズムという用語を用いて足や髪、衣服などを性の対象とするある種の性の逸脱現象の説明として、それを幼児期の体験に基づくものとした。日本においては心理学的な用法がポルノグラフィーその他で広まった関係で呪物崇拝という原義よりも性的フェティシズムのことを指すことが一般的である。

性的フェティシズムはキンクに似ているものの、通常は性的興奮を引き起こすために何かを必要としている[3]

精神医学におけるフェティシズム

性的同意があり、著しい苦痛を生じないのであれば、フェティシズムが精神疾患として扱われることはない。

世界保健機関(WHO)の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』(ICD)では以前は「性嗜好障害」の下に「フェティシズム」を分類していたが、2019年の「ICD-11」からは「性嗜好障害」という言葉を使わずに「パラフィリア症群」という言葉を用い、「フェティシズム」の用語はカテゴリから消えた[4]

この「パラフィリア症群」は以下の内容で特徴づけられる[4]

  • 持続的かつ強烈な非典型的性的興奮パターンを有する。
  • そのパターンは、同意能力のないあるいは同意を拒む者を対象とする。
  • もしくは、そのパターンは、自身に著しい苦痛をあたえる。ただし、それはその興奮パターン自体によるものであり、単にその興奮パターンが他者から拒絶されること、または他者から拒絶されるのを恐れることによる二次的なものではない。
  • もしくは、そのパターンは、たとえ相手の同意があったとしても自身か相手に傷害・死亡に至る重大なリスクを生じさせる。

アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』(2013年のDSM-5)ではフェティシズムを以下のように扱っている。

  • 長期(少なくとも6ヶ月以上)にわたる、生命のない対象物に対する強烈な性衝動、妄想、行動が持続、反復する。
  • その性衝動、妄想、行動により著しい苦痛、または社会的、職業的な障害を引き起こしている。
  • 対象物は衣服や性具に限らない。

様々なフェティシズム

体の部位

性的フェティシズムの多くは体の部分に関するものである[5]。足(脚)へのフェティシズムは一般的とされる[3]。また、手や指、額に性的魅力を感じる人もいる[3]

服装・外見

人間が身に着けるものに性的興奮を感じる人もおり、ストッキング、スカート、履物、下着が最も人気がある事例として挙げられる[5]

西欧文化圏では拘束具としてロープよりも手枷などが発達し、そうした拘束状態を示す言葉としてボンデージ(Bondage)が定着した。SMでも用いられていたパンクファッションに見られた鋲付きの皮革・エナメルの衣装などが、1990年代初め、シャネルヴェルサーチなどがファッションに取り入れボンデージファッションと呼ばれるようになった。アメリカの歌手マドンナゴルチエのSMボンデージ風の衣装を好んで身に付けていた。これがさらに主に西欧で発展し、皮革・エナメル・ラバー(ゴム)などの素材を用いたフェティッシュファッションと呼ばれる分野で2000年代に入り多くのデザイナーが登場している。

礼服の異性若しくは服装そのものに対する偏愛・執着を見せるフェティシズム現象は、古くから男女ともに見られる。女性であれば男性の背広服タキシード・紋付袴姿に対する執着、男性であれば女性のドレス(特にウェディングドレス)・レディーススーツ・スカート姿・舞台衣装・ダンスウェアをはじめ、和装・巫女装束などの儀式衣装などに偏愛を見せるケースがある。これらのフォーマルウェアには男女を問わず独特の非日常性と社会的性(ジェンダー)を視覚的に際立たせる要素を持っているため、フェティシズムの対象となり易い。着飾った異性よりも、衣裳(更に際立ったケースとして、衣裳を形成している「布生地」)そのものに対する執着を見せるケースが多い。これも俗語的な意味でのフェティシズムとの混同に注意を要するケースである[要出典]

長髪、短い髪、赤髪など髪の毛の長さや色に執着する者も少なくない。また、女性が髪を切る過程に興奮する者も多い[要出典]

「レインコートフェティシズム」とはレインコートを着用した女性・レインコートにとくに欲情をかきたてられる性癖をさす(おもに男性。女性ではまれ)[要出典]。最近では(2009年以降)、レインコートフェティシズムをテーマにしたアダルトDVDも多数製作されている。代表的なものに「エンドレスレインコート」シリーズなどがある。

ラバーフェティシズムと呼ばれる天然ゴムやPVCの感触に対する性的嗜好の固着は欧米を中心に発達している。欧米では専門誌も多い。また全身タイツフェティシズム全身タイツを纏う事で性的嗜好を得るもので、日本で生まれ世界に広がったとされる[要出典]

風船に性的興奮を覚える人が膨らましたり、抱いたり、破裂させたり、等色々な行為をして楽しむことがあり、どうやら、破裂する寸前の洋梨形や、割ることに興奮を覚えるという。自分だけで楽しんでいる人が多く、世間には危害を与えない[要出典]

状態

ウェット&メッシーと呼ばれる、対象の濡れた姿、あるいは泥水や汚泥にまみれた姿に対する偏愛が存在する。水着姿の女性が全身を使って車を洗うという「カーウォッシュ(ガール)フェティシズム」は日本ではほぼ皆無だが、アメリカではメジャーなフェティシズムである。類似のものとして異性の衣裳を損壊させたり切り裂いたりした状態(リッピング)に対する偏愛、衣服を焼却する偏愛も存在する。いずれも「対象の状態」に注視しているフェティシズムといえる[要出典]。対象の姿のみならず、自身でそういう遊びをすることを好む者も存在する。

煙草を吸う女性、太った異性、妊娠した女性など特殊な状態の対象者に執着する嗜好が存在する[要出典]

ギターを弾く男性の手指・ピアノを弾く女性の手指・裁縫をする女性の手指・サッカーをしている男性の脚といった、特定行動下における異性への偏愛など[要出典]

脚注

注釈

出典

  1. ^ メガネフェチ、匂いフェチなど、一般に○○フェチと呼ばれる。
  2. ^ a b ウィリアム・ピーツ 『フェティッシュとは何か その問いの系譜』 杉本隆司訳 以文社 2018年 ISBN 978-4-7531-0347-8 pp.7-18.
  3. ^ a b c 48 kinks, fetishes, and terms you should absolutely know”. Cosmopolitan (2024年9月10日). 2025年2月19日閲覧。
  4. ^ a b 太田敏男「パラフィリア症群・作為症群」『精神神経学雑誌』第124巻第1号、2022年、62-66頁、2023年11月8日閲覧 
  5. ^ a b Sexual fetish research shows there are few limits to erotic desire”. The Guardian (2015年7月14日). 2025年2月19日閲覧。

関連項目


フェティシズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 06:46 UTC 版)

メンズブラ」の記事における「フェティシズム」の解説

性的嗜好としてブラジャー触感着用感、デザインの違いを楽しむ者もいる。

※この「フェティシズム」の解説は、「メンズブラ」の解説の一部です。
「フェティシズム」を含む「メンズブラ」の記事については、「メンズブラ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「フェティシズム」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

フェティシズム

出典:『Wiktionary』 (2021/08/12 01:20 UTC 版)

名詞

フェティシズム

  1. 原始宗教などで、自然物などに霊力があるとして崇拝すること。呪物崇拝
  2. 異性持ち物や体の一部などに執着性的欲望感じること。フロイト論じた。拝物性愛。
  3. 資本主義がすすむにつれて商品貨幣対し、その本質以上価値見出していってしまう現象マルクス論じた物神崇拝

関連語

訳語


「フェティシズム」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



フェティシズムと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フェティシズム」の関連用語

フェティシズムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フェティシズムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2025実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフェティシズム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのメンズブラ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのフェティシズム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS