グリーンランド語
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|
グリーンランド語 カラーリット語 |
|
---|---|
Kalaallisut | |
話される国 | ![]() |
地域 | 北アメリカ、![]() |
民族 | カラーリット |
話者数 | 約5万7000人 |
言語系統 |
エスキモー・アレウト語族
|
表記体系 | ラテン文字 |
公的地位 | |
公用語 | ![]() |
少数言語として 承認 |
![]() |
統制機関 | Oqaasileriffik (The Greenland Language Secretariat) |
言語コード | |
ISO 639-1 | kl |
ISO 639-2 | kal |
ISO 639-3 | kal |
消滅危険度評価 | |
Vulnerable (Moseley 2010) |
グリーンランド語(グリーンランドご、Greenlandic, Greenlandic Inuktitut)はエスキモー・アレウト語族の言語のひとつ。デンマーク領グリーンランドのカラーリット(グリーンランド・イヌイット)によって話されておりカナダのイヌクティトゥット語などと同族である。
イヌクティトゥット語のうちグリーンランドで話される諸方言をグリーンランド語と呼ぶことと、イヌクティトゥット語の一方言のカラーリット語 (Kalaallisut) をグリーンランド語と呼ぶこととがある。広義のグリーンランド語は、西方言のカラーリット語 (Kalaallisut)、東方言のトゥヌミート語 (Tunumiutut)、北方言のイヌクトゥン語 (Inuktun) があり、話者数ではカラーリット語が約5万7千人と群を抜いており他のエスキモー・アレウト語族の全言語の話者よりも多い。学校などで学習するのはこの西方言である。
概要
グリーンランド語はグリーンランドで約5万7千人のカラーリット(グリーンランドに住むイヌイット)によって話されているエスキモー・アレウト語族の一言語である。イヌクティトゥット語などのカナダのイヌイット語と密接な関係がある。主たる方言であるカラーリット語(西グリーンランド語)は2009年6月以来グリーンランド自治領の公用語となっているが、これは植民者の言語であるデンマーク語に対抗してグリーンランド語を強化すべくグリーンランド政府 (Naalakkersuisut) によって行われた運動である。第2位の方言はトゥヌミート語 (Tunumiit oraasiat) ないし東グリーンランド語である。グリーンランドのトゥーレのイヌイット語であるイヌクトゥン語 (Inuktun) もしくは極地エスキモー語 (Polar Eskimo) は最近の到来でありイヌクティトゥット語の一方言である。
グリーンランド語は複統合的言語 (polysynthetic language) で、語根と接尾辞をつなぎあわせることによって長い単語を作ることが可能である。その形態統語的アラインメントは能格型であり、自動詞の項(「主語」)を他動詞の目的語のように扱う(格標識する)のに対して、他動詞の動作主(「主語」)を区別して扱う。
名詞は8つある格の1つと所有に応じて屈折する。動詞は8つある法と、主語および目的語の数と人称に応じて屈折する。名詞・動詞ともに複雑な派生形態論をもつ。他動詞節における基本的な語順は主語−目的語−動詞である。節の従属は特別な従属法 (subordinate mood) を用いることでなされる。いわゆる四人称の範疇によって、異なる主語をもつ主節と従属節とのあいだの転換指示 (switch-reference) が可能である。グリーンランド語は文法的時制の体系を欠くことで著名であり、時間的関係はふつう文脈によって、「昨日」や「今」といった時間的小辞を用いてか、ときには異なる動詞の意味論的アクチオンスアルト (aktionsart) をもつアスペクト的な意味のある派生接尾辞または接辞の組みあわせによって示される。しかし、グリーンランド語では未来時制の標識が義務的であると提案する言語学者もいる。べつの問題として、名詞の抱合があるかどうか、すなわち名詞語根を含む複雑な述語を作るプロセスが本性上派生的なのかどうかがある。
新しい概念や技術を受けいれるさい、グリーンランド語は通常新語をグリーンランド語の語根から構成するが、現代グリーンランド語はデンマーク語および英語からも多くの借用をしている。グリーンランド語は1700年代に始まったデンマークによる植民地化以来ラテン文字で書かれている。最初の正書法は1851年にサムエル・クラインシュミット (Samuel Kleinschmidt) により考案されたが、それから百年のうちに数々の音変化のために話し言葉から著しく異なってしまった。1973年に行われた広範な正書法改革によって、学習しやすくなった文字はグリーンランドの識字率の増大をもたらし、今日では世界でも最高水準となっている。
歴史
グリーンランド語は1200年代にトゥーレの民 (Thule people) の到来によってグリーンランドにもちこまれた。それ以前のサカク文化 (Saqqaq culture) やドーセット文化 (Dorset culture) でどんな言語が話されていたかは知られていない。
グリーンランド語の最初の記述は1600年代にさかのぼり、1700年代はじめのデンマークの宣教団の到来とデンマークによるグリーンランドの植民地化の始まりにともなって、辞書の編纂と文法の記述が始まった。宣教師パウル・エーイェゼ (Paul Egede, エゲデとも) は1750年に最初のグリーンランド語辞書を、1760年に最初の文法を書いた[2]。

1700年代のデンマークによる植民地化から1979年のグリーンランドの自治開始まで、グリーンランド語はデンマーク語からの増大する圧力を経験してきた。1950年代にはデンマークの言語政策が、グリーンランド語をデンマーク語で置きかえることに向けられた。うち第一に重要だったのは初等以降の教育と公的な職務がデンマーク語で行われたことである[3]。
1851年から1973年までのあいだ、グリーンランド語は宣教師・言語学者サムエル・クラインシュミットによって考案された複雑な正書法で書かれた。1973年に新たな正書法が導入され、クラインシュミットの時代以来顕著に変化していた話し言葉の標準に書き言葉をより近づけることが意図された。この改革が功を奏し、それ以降の年にはグリーンランドの識字率は押し上げられた[3]。
グリーンランド語の勢力を強めたもうひとつの発展は、1979年の自治合意に始まるグリーンランド社会の「グリーンランド化 (greenlandization)」政策であった。この政策はグリーンランド語を教育の公的な言語とすることで、それ以前にあったグリーンランド語を周辺化 (marginalization) する傾向を逆転させる働きをした。グリーンランド語が初等教育で使われる唯一の言語になったという事実は、今日グリーンランドにおいてデンマーク語を話すモノリンガルの両親が子どもをデンマーク語とグリーンランド語のバイリンガルとして育てることを意味している[4]。今日グリーンランド語は専用のニュースメディアをいくつかもっている。グリーンランド国営ラジオ Kalaallit Nunaata Radioa はグリーンランド語でテレビ・ラジオ番組を提供している。新聞 Sermitsiaq 誌は1958年以来発刊されており、2010年に他紙 Atuagagdliutit/Grønlandsposten と合併して Sermitsiaq.AG 社となっている。この AG 社は早くも1861年に、グリーンランド語の独立した大きな出版社を作るべく設立されていたものである[5][6]。
2009年6月以前には、グリーンランド語はグリーンランドにおける公用語としての地位をデンマーク語と分かちあっていた[note 1]。この時点以来、グリーンランド語は単独の公用語となっている[1]。このことによってグリーンランド語はアメリカ先住民諸語のなかで、準独立国 (semi-independent country) の単独の公用語として法によって認められているただひとつの例となっている。それにもかかわらず、グリーンランド語はいまだに国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の危機言語レッドブックによって「脆弱 (vulnerable)」な状態と評価されている[7]。グリーンランドの識字率は100%である[8]。西グリーンランド語の標準が支配的になっていくにつれて、ユネスコの報告はその他の方言を危機とラベルづけするようになり、現在では法令が東部グリーンランド方言を保護しているとみなされている[9]。
分類
カラーリット語 (Kalaallisut) ならびにその他のグリーンランドの方言はエスキモー・アレウト語族に属し、カナダとアラスカのイヌイット語と密接に関連している。前節の図はグリーンランド語の3つの主要方言を含むさまざまなエスキモー語の配置を示している。
日本語 | 西部方言 | 北部方言 | 東部方言 |
---|---|---|---|
人間 | inuit | inughuit[10] | iivit[11] |
もっとも有力なグリーンランド語の方言は西グリーンランド語(カラーリット語)で、グリーンランドの公用語となっている。カラーリット語 (Kalaallisut) という名前はしばしばグリーンランド語全体をカバーする用語としても用いられる。カーナーク市近郊で話されている北部方言のイヌクトゥン語 (Inuktun, Avanersuarmiutut) はとりわけカナダのイヌクティトゥット語に密接に関連している。アンマサリク島 (Ammassalik Island) およびイトコルトルミット (Ittoqqortoormiit) 近郊で話されている東部方言のトゥヌミート語 (Tunumiit oraasiat) はグリーンランド語の諸方言のうちもっとも革新的で、西グリーンランド語に比べてもかなりの程度、同化した子音連結と母音連続を有している[12]。カラーリット語はさらに4つの下位方言に分割される。ウペルナヴィク周辺で話されているひとつは東グリーンランド語に一定の類似性があり、これはおそらく以前の東部グリーンランドからの移民のためである。第2の方言はウマナックとディスコ湾の一帯で話されている。標準語は、北はシシミウト、ヌーク周辺から南はマニーツォクまでで話されている中央カラーリット語(中央西部グリーンランド語)にもとづいている。南部カラーリット語は南のナルサークおよびカコトック周辺で話されている[2]。表は3つの主要方言で「人間 (humans)」にあたる語の発音の差異を示している。北部方言がもっとも保守的で、西部方言では省略されている gh を維持しており、東部方言はもっとも革新的で /n/ をも省略することで構造をさらに単純化している。
エスキモー・アレウト語族およびチュクチ・カムチャツカ語族の専門家であるマイケル・フォーテスキュー (Michael Fortescue) は、Language Relations Across Bering Strait (1998) においてウラル諸語、ユカギール諸語、チュクチ・カムチャツカ語族およびエスキモー・アレウト語族のつながりを論じている。彼は提唱したこのまとまりをウラル・シベリア語族と呼んでいる。
音韻
スラッシュ / / ではさまれた文字は音素表記、角括弧 [ ] ではさまれた文字は音声表記、三角括弧 ⟨ ⟩ ではさまれた文字は標準的なグリーンランド語の正書法を示す。
母音

/i/, /u/, /a/ からなるグリーンランド語の3母音体系はエスキモー・アレウト語族では典型的である。二倍母音 (double vowel) は2つのモーラに分析され、音韻論的には母音連続 (vowel sequence) であって長母音 (long vowel) ではない。正書法でも2つの母音として書かれる[14][15]。この言語にある唯一の二重母音 (diphthong) は /ai/ で、単語の末尾においてのみ現れる[16]。口蓋垂子音 ([q] または [ʁ]) の前では、/i/ は異音的に [e], [ɛ] もしくは [ɐ] として、また /u/ は異音的に [o] もしくは [ɔ] として実現し、この2つの母音はそれぞれ e, o と書かれる(ケチュア語やアイマラ語と同様)[17]。同じ環境で /a/ は後舌化して [ɑ] になる。唇音の前で /i/ は円唇化して [y] になる[17]。2つの舌頂音のあいだで /u/ は前舌化して [ʉ] になる[17]。
口蓋垂子音の前における /i/ と /u/ の異音的低め (allophonic lowering) は、現代の正書法では口蓋垂音 ⟨q⟩, ⟨r⟩ の前で /i/ と /u/ をそれぞれ ⟨e⟩, ⟨o⟩ と書くことで示されている。例として、
- /ui/「夫」は [ui] と発音される。
- /uiqarpuq/「彼女は夫をもつ」は [ueqaʁpɔq] と発音され ⟨ueqarpoq⟩ と書かれる。
- /illu/「家」は [iɬːu] と発音される。
- /illuqarpuq/「彼は家をもつ」は [iɬːoqaʁpɔq] と発音され ⟨illoqarpoq⟩ と書かれる。
子音
グリーンランド語の子音は5つの調音点をもつ:唇、歯茎、硬口蓋、軟口蓋、口蓋垂である。音素的な有声無声の対比はもたないが、むしろ閉鎖音か摩擦音かで区別する。グリーンランド語では唇・歯茎・軟口蓋・口蓋垂の調音点で閉鎖音・摩擦音・鼻音を区別する[note 2]。かつての硬口蓋摩擦音 [ʃ] は少数の方言を除いてすべて [s] に融合している[18]。唇歯摩擦音 [f] は借用語においてのみ対照的である。歯茎閉鎖音 [t] は前舌高母音 /i/ の前では破擦音 [t͡s] として発音される。しばしばデンマーク語の借用語は、たとえば ⟨baaja⟩「ビール」や ⟨Guuti⟩「神」のようにデンマーク語の有声閉鎖音字 ⟨b d g⟩ で書かれるが、グリーンランド語ではこれらの閉鎖音は正確に /p t k/ として、すなわち [paːja], [kuːtˢi] と発音される[2]。
唇 | 歯茎 | 硬口蓋 | 軟口蓋 | 口蓋垂 | |
---|---|---|---|---|---|
閉鎖音 | /p/ ⟨p⟩ | /t/ ⟨t⟩ | /k/ ⟨k⟩ | /q/ ⟨q⟩ | |
摩擦音 | /v/ ⟨v⟩[note 3] | /s/ ⟨s⟩ | (/ʃ/)[note 4] | /ɣ/ ⟨g⟩ | /ʁ/ ⟨r⟩ |
鼻音 | /m/ ⟨m⟩ | /n/ ⟨n⟩ | /ŋ/ ⟨ng⟩ | /ɴ/ ⟨rn⟩ | |
流音 | /l/ ⟨l⟩ ~ [ɬ] ⟨ll⟩ | ||||
半母音 | /j/ ⟨j⟩ |
音韻論的制約
カラーリット語の音節は単純であり、(C)(V)V(C) の音節を許す。ここで C は子音、V は母音で、VV は二倍母音 (double vowel) または語末の /ai/ である[19]。本来語 (native word) の語頭に立ちうるのは母音または /p, t, k, q, s, m, n/ だけであり、語末は /p, t, k, q/ とまれに /n/ だけである。子音連結は音節境界上にだけ現れ、その発音は逆行同化に従い二重子音 (geminate) に変わる。クラスタにおける鼻音以外のすべての子音は無声である[20]。
韻律
グリーンランド語の韻律 (prosody) は自律的範疇としては強勢 (stress) を含まない。そのかわりに、韻律が声調 (tone) および持続時間のパラメータによって決定される[15]。抑揚 (intonation) は音節の重さ(長さ)によって影響され、重い音節は強勢として知覚されうるようなしかたで発音される。重い音節 (heavy syllable) とは長母音を含む音節と子音連結の前の音節である。4音節以下で長母音または子音連結を含まない単語では、最終音節が強調される。4音節より多くそのすべてが軽い音節である単語では、最後から3番めの音節 (antepenultimate) が強調される。多数の重い音節を含む単語では、長母音をもつ音節のほうが子音連結の前の音節よりも重いものとみなされる[21]。
二重子音は長く、ほぼ正確に単子音の2倍の持続時間で発音される[22]。
直説法の節における抑揚は通常、最後から3番めの音節で上がり、2番めの音節で下がり、最終音節で上がる。疑問の抑揚は最後から2番めで上がり最終音節で下がる[21][23]。
形態音韻論
グリーンランド語の音韻論は一連の同化現象によって他のイヌイット語から音韻論的に区別される。
グリーンランド語の音韻論は子音連結を許すが、2つの異なる子音からなる連結はその前者が /r/ でないかぎり許されない。連結の第1子音はつねに第2子音に同化しており、結果として二重子音となる。二重化した /tt/ は [ts] と発音され ⟨ts⟩ と書かれる。二重化した /ll/ は [ɬː] と発音される。二重化した /ɡɡ/ は [çː] と発音される。二重化した /ʁʁ/ は [χː] と発音される。二重化した /vv/ は [fː] と発音され ⟨ff⟩ と書かれる。/v/ は /r/ の後では [f] とも発音されそう書かれる[24]。
こうした同化の意味するところは、もっともよく知られたイヌクティトゥット語の単語のひとつである iglu(「家」)がグリーンランド語では illu であり、イヌクティトゥット語の /ɡl/ という子音連結が同化して無声歯茎側面摩擦音になるということである。そして Inuktitut という単語それじたい、カラーリット語に移されると Inuttut となる。古グリーンランド語 (Old Greenlandic) の二重母音 /au/ は同化して /aa/ となっている。
子音 /v/ は /u/ と /i/ または /a/ とにはさまれるとき消失している。これはつまり -va または -vi で始まる接辞は /u/ に終わる語幹に接尾されるとき [v] のない形をとるということである。
現代グリーンランド語の母音 /i/ は、エスキモー・アレウト祖語 (Proto-Eskimo–Aleut) の母音 *i と *ɪ との歴史的融合の結果である。第4の母音〔*ɪ のこと〕は古グリーンランド語ではまだ存在していたことがハンス・エーイェゼ (Hans Egede) によって証言されている[25]。現代の西グリーンランド語では本来あったこの2つの母音の差異は特定の環境において形態音韻論的に識別されうるのみである。本来 *ɪ であった母音はべつの母音に先行するときには [a] という変種をもち、特定の接尾辞の前では消失することがある[26]。
子音連結の同化が発生するその度合は、現在でも二重化しない若干の子音連結を許している極地エスキモー語(イヌクトゥン語)を、西ならびに東グリーンランド語から分離する重要な方言的特徴である。東グリーンランド語(トゥヌミート語)はたとえば [ɬː] から [tː] へのように、いくつかの二重子音を移行させている。トゥヌミート語ではたとえば、カラーリット語なら Illoqqortoormiut になるであろう町の名前が Ittoqqortoormiit となっている[11][12]。
文法
形態論
グリーンランド語の文法の大枠は、形態論的にも統語論的にも、他のエスキモー諸語と似ている。
グリーンランド語の形態論は合成的で、接尾辞のみである(もはや使われていない単一の指示接頭辞を除く)。語幹に接尾辞の文字列を付加することによって、非常に長い単語を作る。原理的にはグリーンランド語の単語の長さは無制限だが、実際には6つ以上の接尾辞を持つ単語はそれほど頻繁でなく、1単語あたりの接尾辞は3~5である。この言語には400~500の派生接尾辞と約318の屈折接尾辞がある。
複合語は少ないが、派生語は多い。文法は主格と従属格の混在を用いる。グリーンランド語の完全名詞句の主な格配列は能格型であるが、動詞形態論は対格型に従い、代名詞は統語的に中立である。
グリーンランド語は、4つの人称と2つの数、8つの法、8つの格を区別する言語であり、エスキモー諸語の中で唯一、双数形を失っている。
- 人称
- 1人称
- 2人称
- 3人称
- 4人称(3人称再帰形)
- 数
イヌクティトゥット語のような双数はない
- 単数
- 複数
- 法
- 直接法
- 疑問法
- 命令法
- 希求法
- 条件法
- 使役法
- 同時代法
- 分詞法
- 格
- 主格
- 生格
- 道具格
- 方向格
- 起点格
- 場所格
- 通過格
- 疑似格
格変化
格 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
主格 | +∅ | +t |
生格 | +p | |
道具格 | +mik | +nik |
方向格 | +mut | +nut |
起点格 | +mit | +nit |
場所格 | +mi | +ni |
通過格 | +kkut | +tigut |
疑似格 | +tut |
動詞は、主語と目的語に二重人称の屈折を伴う。所有格の名詞句は、所有者と格の両方について屈折する(再帰形)。
この項では、形態素の境界をハイフンで示す以外は、グリーンランド語の正書法で記述する。
文法
形態論

グリーンランド語の文法の概略は、形態論的、統語論的な面で他のエスキモー諸語と類似している。 グリーンランド語の形態論は非常に抱合語的であり、もっぱら接尾辞的である[27](ただし、非常に限定的で化石化した指示詞の接頭辞が一つだけ存在する)。この言語は、語幹に一連の接尾辞を付加することによって非常に長い語を形成する。[注 1] 原理的にはグリーンランド語の語長に制限はないが、実際には6つ以上の派生接尾辞を持つ語はそれほど頻繁ではなく、一語あたりの平均形態素数は3から5である。[28][注 2] この言語には400から500の派生接尾辞と、約318の屈折接尾辞がある。[29] 複合語は少ないが、派生語は多い。[30] 文法は主要部標示と従属部標示が混在した形式をとる。動作主と被動者は共に述語に標示され、所有者は名詞に標示され、従属名詞句は格に応じて屈折する。カラアリスット語の完全な名詞句の主要なアラインメントは能格・絶対格であるが、動詞の形態論は主格・対格のパターンに従い[要出典]、代名詞は統語的に中立である。 この言語は4つの人称(一人称、二人称、三人称、および第四人称または三人称再帰(離接と指示対象の切り替えを参照))、2つの数(単数と複数。イヌクティトゥット語とは異なり、双数はない)、8つの法(直説法、疑問法、命令法、願望法、条件法、原因法、同時法、分詞法)、そして8つの格(絶対格、能格、同等格、具格、場所格、向格、奪格、経過格)を区別する。グリーンランド語(東部のトゥヌミースット方言を含む)は、双数を失った唯一のエスキモー言語である。
曲用
格 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
絶対格 | -∅ | -t |
能格 | -p | |
具格 | -mik | -nik |
向格 | -mut | -nut |
奪格 | -mit | -nit |
場所格 | -mi | -ni |
経過格 | -kkut | -tigut |
同等格 | -tut |
動詞は主語と目的語の二人称屈折を持つ。所有名詞句は所有者と格の両方について屈折する。[31] この節では、例文はグリーンランド語の標準正書法で書かれているが、形態素の境界はハイフンで示されている。
統語論
グリーンランド語は3つの開いた類の語、すなわち名詞、動詞、不変化詞を区別する。動詞は主語と目的語の人称と数、および法に応じて屈折する。名詞は所有と格に応じて屈折する。不変化詞は屈折しない。[32]
! 動詞 | ! 名詞 | ! 不変化詞 | |
---|---|---|---|
語 |
Oqar-poq 言う-三人称単数/直説法 「彼・彼女は言う」 |
Angut 男.絶対格 「一人の男」 |
Naamik いいえ 「いいえ」 |
動詞は文中で唯一必須の語である。動詞は主語と目的語の両方の数と人称に応じて屈折するため、動詞は事実上それ自体で一つの節となる。したがって、すべての参与者が独立した名詞句として表現される節はかなり稀である。[32] 以下の例は、動詞の項を省略する可能性を示している。
Sini-ppoq
眠る-三人称単数/直説法
「彼・彼女は眠る」
Angut
男.絶対格
sinippoq
眠る-三人称単数/直説法
「その男は眠る」
Asa-vaa
愛する-三人称単数/三人称単数
「彼・彼女は彼・彼女・それを愛する」
Angut-ip
男-能格
asa-vaa
愛する-三人称単数/三人称単数
「その男は彼・彼女・それを愛する」
Arnaq
女.絶対格
asa-vaa
愛する-三人称単数/三人称単数
「彼・彼女はその女を愛する」
形態統語的配列
グリーンランド語は、文中の参与者間の文法関係を表現するために格を用いる。名詞は2つの核格または6つの斜格のうちの1つで屈折する。[33] グリーンランド語は能格・絶対格言語であり、英語や他のほとんどのインド・ヨーロッパ語族のように文法関係を扱うのではなく(これらの言語では文法的な主語は主格で、目的語は対格で標示される)、グリーンランド語の文法的役割は異なって定義される。その能格は他動詞の動作主と所有者に用いられる。絶対格は他動詞の被動者と自動詞の主語に用いられる。[34] 若い世代が用いるグリーンランド語の研究によれば、カラアリスット語における能格配列の使用は廃れつつある可能性があり、そうなればこの言語は対格言語へと変化することになる。[35]
Anda
アンダ.絶対格
sini-ppoq
眠る-三人称単数/直説法
「アンダは眠る」
Anda-p
アンダ-能格
nanoq
熊.絶対格
taku-aa
見る-三人称単数/三人称単数
「アンダは熊を見る」
語順
目的語と主語が独立した名詞句として表現される他動詞節において、基本的な語用論的に中立な語順はSOV / SOXVであり、Xは斜格のいずれかを取る名詞句である。しかし、語順はかなり自由である。主題的な名詞句は節の冒頭に現れる。新しい情報や強調される情報は一般に最後に置かれ、それは通常動詞であるが、焦点的な主語や目的語である場合もある。また、口語では、「後から思いついた」事柄や明確化が、通常は低いピッチで動詞の後に続くことがある。[36] 一方、名詞句は、句の主要部がすべての修飾語の前にあり、所有者が被所有者の前に来るという厳格な順序によって特徴づけられる。[37][出典無効] コピュラ節では、語順は通常、主語-コピュラ-補語である。
Andap
アンダ
S
tujuuluk
セーター
O
pisiaraa
買った
V
「アンダはそのセーターを買った」
属性語はその主要部名詞の後に現れる。
Andap
アンダ
S
tujuuluk
セーター
O
tungujortoq
青い
X
pisiaraa
買った
V
「アンダは青いセーターを買った」
組み込まれた名詞の属性語は動詞の後に現れる。
Anda
アンダ
S
sanasuuvoq
大工-である
V
pikkorissoq
熟練した
APP
「アンダは熟練した大工である」
等位接続と従属接続
統語的な等位接続と従属接続は、上位の法(直説法、疑問法、命令法、願望法)の述語と、下位の法(条件法、原因法、同時法、分詞法)の述語を組み合わせることによって構築される。同時法は文脈に応じて、等位接続的機能と従位接続的機能の両方を持つ。[38] 主節とその等位節または従属節の相対的な順序は比較的自由であり、主に語用論的な配慮に左右される。[39]
離接と指示対象の切り替え
グリーンランド語の代名詞体系には、離接(obviation)[40]または指示対象の切り替え(switch-reference)[41]として知られる区別が含まれている。いわゆる第四人称[42]という特別な人称があり、従属動詞の三人称主語や、主節の三人称主語と共指示的な名詞の所有者を示すために用いられる。[43] 以下に三人称と第四人称の違いの例を示す。
;三人称 illu-a
家-三人称.所有
taku-aa
見る-三人称単数/三人称単数
「彼・彼女は(他人の)家を見た」
Ole
オーレ
oqar-poq
言う-三人称単数
tillu-kkiga
殴る-一人称単数/三人称単数
「オーレは私が(他人を)殴ったと言った」
Eva
エヴァ
iser-pat
入ってくる-三人称単数
sini-ssaa-q
眠る-だろう-三人称単数
「エヴァが入ってくると(別の誰かが)眠るだろう」
;第四人称 illu-ni
家-四人称.所有
taku-aa
見る-三人称単数/三人称単数
「彼・彼女は自分の家を見た」
Ole
オーレ
oqar-poq
言う-三人称単数
tillu-kkini
殴る-一人称単数/四人称
「オーレは私が彼(オーレ自身)を殴ったと言った」
Eva
エヴァ
iser-uni
入ってくる-四人称
sini-ssaa-q
眠る-だろう-三人称単数
「エヴァが入ってくると彼女は眠るだろう」
不定性構文
グリーンランド語には定性のカテゴリーがなく、参与者が聞き手にとって既知であるか、談話において新しいものであるかという情報は、他の手段によって符号化される。一部の著者によれば、逆受動態(antipassive)[44][45]または自動詞目的語(intransitive object)[46]と呼ばれる構文の使用など、他動性に関連する形態論が、非主題的な名詞句の名詞組み込み戦略と共に、そのような意味を伝えるとされる。[47][48] しかし、その見解には議論がある。[49]
Piitap
ピーター-能格
arfeq
クジラ
takuaa
見る
「ピーターはそのクジラを見た」
Piitaq
ピーター-絶対格
arfermik
クジラ-具格
takuvoq
見る
「ピーターは(一頭の)クジラを見た」
動詞
グリーンランド語の動詞の形態論は非常に複雑である。主なプロセスは屈折と派生である。屈折形態論には、法、人称、態に関する義務的な屈折のプロセスが含まれる(時制と相はカラアリスット語では屈折カテゴリーではない)。[50][51][52] 派生形態論は、英語の副詞と同様に動詞の意味を修飾する。このような派生接尾辞は何百も存在する。その多くは意味的に非常に顕著であるため、特にエスキモー文法のアメリカの伝統では、接尾辞というよりも後置語基(postbase)と呼ばれることが多い。[53] このような意味的に「重い」接尾辞は、「持つ」「である」「言う」「思う」などの概念を表現することがある。グリーンランド語の動詞は、語根、それに続く派生接尾辞/後置語基、そして屈折接尾辞から構成される。時制と相は、派生接尾辞と屈折接尾辞の間に置かれる任意の接尾辞によって標示される。
屈折
グリーンランド語の動詞は、動作主と被動者との一致、法、態に応じて屈折する。8つの法があり、そのうち4つは独立節で、残りは従属節で用いられる。4つの独立法は直説法、疑問法、命令法、願望法である。4つの従属法は原因法、条件法、同時法、分詞法である。動詞語根は他動詞、自動詞、または否定の屈折をとることができ、したがって8つの法接尾辞すべてにこれら3つの形式がある。[54] 他動詞接尾辞は動作主と被動者の両方を単一の形態素で符号化するため、屈折体系はさらに複雑であり、8つの他動詞パラダイムそれぞれについて、動作主と被動者のすべての可能な組み合わせをカバーする最大48の異なる接尾辞が存在する。一部の法はすべての人称の形式を持たないため(命令法は二人称のみ、願望法は一人称と三人称のみ、分詞法は第四人称を持たず、同時法は三人称を持たない)、動詞の屈折接尾辞の総数は約318となる。[55]
直説法と疑問法
直説法はすべての独立した叙述節で用いられる。疑問法は疑問小辞 immaqa「たぶん」を含まない疑問文に用いられる。[56]
napparsima-vit?
病気である-二人称単数/疑問法
「病気ですか?」
naamik,
いいえ,
napparsima-nngil-anga
病気である-否定-一人称単数/直説法
「いいえ、病気ではありません」
以下の表は、動詞 neri-「食べる」の直説法と疑問法における自動詞屈折を示している(疑問符は疑問のイントネーションを示す。疑問文は、上昇イントネーションで示される英語や他のほとんどのインド・ヨーロッパ語族とは異なり、最後の音節で下降イントネーションを持つ)。直説法と疑問法の両方に他動詞と自動詞の屈折があるが、ここでは自動詞屈折のみを示す。フィンランド語のように子音階程交替[要出典]が動詞活用に現れるようである(三人称複数で pp に強化され、他では v に弱化する)。
直説法 | 疑問法 |
---|---|
nerivunga 「私は食べています」 | nerivunga? 「私は食べていますか?」 |
nerivutit 「あなたは食べています」 | nerivit? 「あなたは食べていますか?」 |
nerivoq 「彼・彼女・それは食べます」 | neriva? 「彼・彼女・それは食べていますか?」 |
nerivugut 「私たちは食べています」 | nerivugut? 「私たちは食べていますか?」 |
nerivusi 「あなたたちは食べています」 | nerivisi? 「あなたたちは食べていますか?」 |
neripput 「彼らは食べています」 | nerippat? 「彼らは食べていますか?」 |
以下の表は、動詞 asa-「愛する」の一人称、二人称、三人称単数主語の他動詞直説法屈折を示している(アスタリスクは、その形がそのままでは現れず、異なる再帰屈折を用いることを意味する)。
一人称単数主語 | 二人称単数主語 | 三人称単数主語 |
---|---|---|
* |
asavarma 愛する-二人称単数/一人称単数 「あなたは私を愛している」 |
asavaanga 愛する-三人称単数/一人称単数 「彼・彼女・それは私を愛している」 |
asavakkit 愛する-一人称単数/二人称単数 「私はあなたを愛している」 |
* |
asavaatit 愛する-三人称単数/二人称単数 「彼・彼女・それはあなたを愛している」 |
asavat 愛する-二人称単数/三人称単数 「あなたは彼・彼女・それを愛している」 |
asavaa 愛する-三人称単数/三人称単数 「彼・彼女・それは彼・彼女・それを愛している」 |
|
* |
asavatsigut 愛する-二人称/一人称複数 「あなた(単・複)は私たちを愛している」 |
asavaatigut 愛する-三人称/一人称複数 「彼・彼女・それ・彼らは私たちを愛している」 |
asavassi 愛する-一人称/二人称複数 「私・私たちはあなたたちを愛している」 |
* |
asavaasi 愛する-三人称/二人称複数 「彼・彼女・それ・彼らはあなたたちを愛している」 |
asavakka 愛する-一人称単数/三人称複数 「私は彼らを愛している」 |
asavatit 愛する-二人称単数/三人称複数 「あなたは彼らを愛している」 |
asavai 愛する-三人称単数/三人称複数 「彼・彼女・それは彼らを愛している」 |
以下の表は、直説法と疑問法におけるすべての屈折接尾辞の基本形を示している。直説法と疑問法の形が異なる場合、疑問法の形は括弧内に2番目に示されている。自動詞と共に用いられる接尾辞はイタリック体で、他動詞と共に用いられる接尾辞は無印である。
rowspan="4" colspan="3" | colspan="6" | 他動詞の目的語または自動詞の主語 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一人称 ! colspan="2" | 二人称 ! colspan="2" | 三人称 | |||||||||||
単数 | 複数 | 単数 | 複数 | 単数 | 複数 | ||||||||
vunga | vugut | vutit [vit?] | vusi [visi?] | voq [va?] | pput [ppat?] | ||||||||
rowspan="6" | 他動詞の主語 | rowspan="2" | 一人称 | 単数 | rowspan="2" | rowspan="2" | vakkit | rowspan="2" | vassi | vara | vakka | ||
複数 | vatsigit | vagut | |||||||||||
rowspan="2" | 二人称 | 単数 | varma [vinga?] | rowspan="2" | vatsigut [visigut?] | rowspan="2" | rowspan="2" | vat [viuk?] | vatit [vigit?] | ||||
複数 | vassinga [visinga?] | varsi [visiuk?] | vasi [visigit?] | ||||||||||
三人称 | 単数 | vaanga | rowspan="2" | vaatigut | vaatit | rowspan="2" | vaasi | vaa | vai | ||||
複数 | vaannga | vaatsit | colspan="2" | vaat |
太字で強調された形の類似性に加えて、以下の点が注目される。 三人称複数自動詞形を除き、すべての基本形は v- で始まる。 すべての基本的な自動詞直説法形は、最初の母音が /u/ である(voq は音素的には /vuq/)。 すべての基本的な他動詞直説法形は、最初の母音が /a/ である。 疑問法に固有のすべての基本形は、三人称自動詞形を除き、最初の母音が /i/ である。 さらに、他動詞の主語が三人称である場合、接尾辞は(一つの例外を除き)vaa- で始まる。 目的語が一人称または二人称単数である場合、三人称単数主語の形は、二番目の子音を長くすることで(三人称)複数主語の形に変わる: /vaːŋa/ → /vaːŋŋa/、/vaːt͡sit̚/ → /vaːtt͡sit̚/。主語または目的語が二人称複数である場合、接尾辞には -si(-) が含まれる。主語または目的語が一人称複数である場合、目的語が二人称複数である場合を除き、接尾辞は -t で終わる。 疑問法は、主語が二人称または自動詞の三人称である場合にのみ別個の形を持つ。それ以外の場合、疑問法の形は直説法の形と同一である。vi- で始まるすべての接尾辞は、主語が二人称である。疑問他動詞に固有の形(すべて二人称主語を持つ)では、(二人称)単数主語の形は、最初の vi- の後に -si- を加えることで(二人称)複数主語の形に変わる(ただし目的語が一人称複数の場合は除く。この場合、単数・複数主語ともに同じ形が用いられ、これは目的語が一人称または二人称複数であるすべての疑問法およびすべての直説法の形に当てはまる)。 最初の v- は、規則に従って p- に変化するか、削除される。 接尾辞 -nngil-「ない」の後では、v- は削除され(一方、三人称複数自動詞形の pp- は l- に変わる)、最初の母音 /u/ は /a/ に変わる(例: suli+vugut「私たちは働く」だが suli-nngil+agut「私たちは働かない」)。自動詞二人称は -nngil- の後に別個の疑問法形を持たない。したがって、例えば: suli+vutit 「あなた(単)は働く」 suli-nngil+atit 「あなた(単)は働かない」 suli+vit? 「あなた(単)は働きますか?」 suli-nngil+atit? 「あなた(単)は働かないのですか?」(期待される *suli-nngil+it? の代わりに) 未来接尾辞 -ssa- の後では、vu- と vo-(どちらも /vu/)は a- に変わる。(Va-, vi-, ppu-, ppa- は変わらない。) 接尾辞 -qa- の後では、vu-, vo-, va-, vi-, ppu-, ppa- はすべて a- に変わる(ただし、これが aaa になる場合は aaa は aa に短縮される)。-qa- + vai は qaai ではなく qai になる。(規則に従い、aau は aaju になるため、-qa- + viuk は qaauk ではなく qaajuk になる。)接尾辞 -qa- は歴史的には -qi- であった。
命令法と願望法
命令法は命令を発するために用いられ、常に二人称と組み合わされる。願望法は願望や勧告を表現するために用いられ、二人称とは決して用いられない。禁止を発するために用いられる否定命令形がある。願望法と命令法の両方に、他動詞と自動詞のパラダイムがある。他動詞の肯定命令法には2つのパラダイムがある。標準的なものと、失礼とみなされ、通常は子供に対して用いられるものである。[57]
sini-git!
眠る-命令法
「眠れ!」
sini-llanga
眠る-一人称.願望法
「眠らせてくれ!」
sini-nnak!
眠る-否定.命令法
「眠るな!」
条件法
条件法は、「もし」または「〜とき」を意味する従属節を構築するために用いられる。[58]
seqinner-pat
日が差す-条件法
Eva
エヴァ
ani-ssaa-q
外出する-だろう/三人称単数
「もし日が差せば、エヴァは外出するだろう」
原因法
原因法(時に「接続法」とも呼ばれる)は、「〜なので」「〜だから」「〜とき」を意味する従属節を構築するために用いられ、また「〜ということ」を意味するためにも時々用いられる。原因法はまた、何らかの根底にある原因を暗示するために主節でも用いられる。[59]
qasu-gami
疲れる-原因法/三人称単数
innar-poq
寝る-三人称単数
「彼・彼女は疲れていたので寝た」
matta-ttor-ama
獣脂-食べる-原因法/一人称単数
「獣脂を食べた(だからお腹が空いていない)」
ani-guit
外出する-条件法/二人称単数
eqqaama-ssa-vat
覚えておく-未来-命令法
teriannia-qar-mat
キツネ-いる-原因法
「もし外出するなら、キツネがいることを覚えておきなさい」
同時法
同時法は、同時性を意味する従属節を構築するために用いられ、従属節の主語と主節の主語が同一である場合にのみ用いられる。もしそれらが異なる場合、分詞法または原因法が用いられる。同時法は、話したり考えたりする動詞の補文節を形成するためにも用いられる。[60]
qasu-llunga
疲れる-同時法.一人称単数
angerlar-punga
帰宅する-一人称単数
「疲れていたので、私は帰宅した」
98-inik
98-具格.複数
ukio-qar-luni
年-持つ-同時法.四人称.単数
toqu-voq
死ぬ-三人称単数
「98歳で、彼・彼女は死んだ」、「彼・彼女が死んだとき98歳だった」
Eva
エヴァ
oqar-poq
言う-三人称単数
kami-it
ブーツ-複数
akiler-lugit
支払う-同時法.三人称複数
「エヴァはブーツの代金を支払ったと言った」
分詞法
分詞法は、ある活動を行っている状態の主語を記述する従属節を構築するために用いられる。主節と従属節が異なる主語を持つ場合に用いられる。関係詞節のような同格句でしばしば用いられる。[61]
atuar-toq
読む-分詞法/三人称単数
taku-ara
見る-一人称単数/三人称単数
「私は彼女が読んでいるのを見た/私は彼女が読んだことを見た」
neriu-ppunga
望む-一人称単数
tiki-ssa-soq
来る-だろう-分詞法/三人称単数
「私は彼・彼女が来ることを望んでいる/来るだろうことを望んでいる」
派生
動詞の派生は非常に生産的であり、グリーンランド語には数百もの派生接尾辞がある。しばしば、一つの動詞が複数の派生接尾辞を用い、結果として非常に長い語が生まれる。以下に、派生接尾辞が動詞の意味をどのように変えるかの例をいくつか示す。
|taku-katap-para
見る-うんざりする-一人称単数/三人称単数
「私はそれ/彼/彼女を見るのにうんざりしている」
-ler-
"〜し始める/〜しようとしている"
neri-ler-pugut
食べる-始める-一人称複数
「私たちは食べようとしている」
-llaqqik-
"〜するのが上手である"
erinar-su-llaqqip-poq
歌う-習慣的に-上手に-三人称単数
「彼・彼女は歌が上手だ」
-niar-
"〜するつもりだ/〜したい"
aallar-niar-poq
旅行する-つもりだ-三人称単数
「彼・彼女は旅行するつもりだ」
angerlar-niar-aluar-punga
帰宅する-つもりだ-けれども-一人称単数
「帰宅するつもりだったのだけれど」
-ngajak-
"ほとんど"
sini-ngajap-punga
眠る-ほとんど-一人称単数
「私はほとんど眠りかけていた」
-nikuu-nngila-
"一度も〜したことがない"
taku-nikuu-nngila-ra
見る-一度もない-否定-一人称単数/三人称単数
「私はそれを一度も見たことがない」
-nngitsoor-
"結局〜しなかった"
tiki-nngitsoor-poq
到着する-結局しなかった-三人称単数
「結局彼・彼女は到着しなかった」
時間指示と相
グリーンランド語の文法には、近い過去と遠い過去を区別するための形態論的な手段があるが、その使用は任意であるため[62]、それらは時制標識の体系というよりは、グリーンランド語の広範な派生システムの一部として理解されるべきである。固定された時間的距離は、形態論的な標示によってではなく、時間的な副詞によって表現される。[63]
他のすべての条件が同じで、明示的な副詞がない場合、直説法は動詞の語彙的アスペクトに応じて、完了または未完了として解釈される。[64]
しかし、非完結相の動詞句を持つ文が過去の時間の物語の文脈に埋め込まれている場合、それは過去として解釈されるだろう。[65] グリーンランド語には、「習慣性」を表す sar や、「〜するのをやめる」を表す ssaar など、相や語彙的アスペクトに関連する意味を表現するための純粋に派生的な手段がいくつかある。[66] また、少なくとも2つの主要な完了マーカー sima と nikuu がある。sima は明らかに異なる機能を持ついくつかの位置に現れることがある。[67] 最後の位置は証拠性の意味を示すが、これはいくつかの接尾辞が存在する場合にのみ決定できる。
非完結相動詞では、sima によって標示される間接的な証拠性と、nikuu によって標示される目撃された証拠性との間に規則的な対立がある。[69] その証拠性の意味により、一人称と sima の組み合わせは時に不自然になることがある。[70]
qia-sima-voq
泣く-sima-三人称単数/直説法
「彼・彼女は泣いた(目が腫れている)」
書き言葉では[62]、そして最近では話し言葉でも、特に若い話者によって、sima と nikuu は副詞と共に用いられ、過去の特定の時点を指すことがある。[71] つまり、それらは時間指示を標示することができるが、まだ体系的にはそうしていない、と論じることができる。
グリーンランド語が過去時制を体系的に標示しないのと同様に、この言語には未来時制もない。むしろ、未来の意味を表現するために3つの異なる戦略を用いる。Ilimaga-ara
期待する-一人称単数/三人称単数/直説法
aasaq
夏
manna
この
Dudley
ダドリー
qujanar-tor-si-ffigi-ssa-llugu
楽しい-cn-得る-期待-同時法/三人称単数
「この夏、ダドリーから楽しみを得られると期待している。」
Aggiuti-ler-para
持ってくる-始める-一人称単数/三人称単数/直説法
「私は彼・彼女・それを持ってき始めた。」
完了マーカーの相としての地位はあまり議論の的ではないが、一部の学者はグリーンランド語には未来と非未来の間の基本的な時間的区別があると主張している。特に、接尾辞 -ssa といくつかの他の接尾辞が義務的な未来マーカーであると主張されている。[74][75] しかし、少なくとも文学的なグリーンランド語については、これらの接尾辞は他の意味論を持ち、それが今説明した戦略によって未来を指すために用いられることが示されている。[76]
態
グリーンランド語には逆受動態があり、これは能格の主語を絶対格の主語に、絶対格の目的語を具格の項に変える。これは主に動詞にマーカー -(s)i- を付加することによって形成され(子音の有無は主に音韻論的に決定されるが、語彙的に決定される分布も少数ある)、また小さな語彙的に制限された動詞のセットでは -nnig- または -ller- を付加することによって形成される(ただし、後者は一般的な動詞要素 -gi/ri-「〜として持つ」によって選択されるため、より頻繁である)。[44] また、受動態構文を持つとも分析されており、これは要素 -saa-(受動分詞接尾辞 -sa- と -u-「である」から成る)、-neqar-(動名詞接尾辞 -neq- と -qar-「持つ」から成る)、そして -tit-(より上位の有生性を持つ参与者を降格させるためだけ。再帰的な使役の意味「(誰かに自分に何かを)させる」でも用いられる)で形成される。加えて、自動詞からの「非人称受動態」-toqar-(自動詞動作主接尾辞 -toq- と -qar「持つ」から成る)が特定されている。[77]
名詞抱合
グリーンランド語が名詞抱合を持つかどうかについては、言語学の文献で議論がある。この言語は、他の多くの言語で一般的な、名詞の語根がほとんどすべての動詞に組み込まれて新しい意味の動詞を形成するような種類の抱合を許さない。一方で、グリーンランド語はしばしば名詞の語根を含む動詞を形成する。そこで問題となるのは、そのような動詞形成を抱合と分析するか、それとも動詞の名詞からの派生と分析するかである。グリーンランド語には、ホストとして名詞語根を必要とし、典型的な名詞抱合を持つ言語でしばしば見られるものと意味が密接に対応する複合述語を形成する多くの形態素がある。グリーンランド語が抱合を持っていたと提案する言語学者は、そのような形態素は実際には動詞の語根であり、文法的な節を形成するためには名詞を抱合しなければならないと主張する。[45][78][79][80][81][82] この議論は、名詞派生動詞を形成する派生形態素の多くが、典型的な名詞抱合とほとんど同じように機能するという事実によって支持されている。それらは、動詞、主語、目的語を持つ完全な英語の節に対応する意味内容を持つ語の形成を可能にする。もう一つの議論は、名詞派生動詞を派生させる形態素が、化石化した歴史的な名詞抱合構文に由来するというものである。[83] 他の言語学者は、問題の形態素は単に名詞派生動詞の形成を可能にする派生形態素であると主張する。この議論は、形態素が常に名詞要素に付加されるという事実によって支持されている。[84][85][86] 以下の例は、グリーンランド語が名詞の語根を含む複合述語をどのように形成するかを示している。
qimme-
犬
-qar-
持つ
-poq
三人称単数
「彼・彼女は犬を飼っている」
illu
"家"
+
-lior-
"作る"
illu-
家
-lior-
作る
-poq
三人称単数
「彼・彼女は家を建てる」
kaffi
"コーヒー"
+
-sor-
"飲む/食べる"
kaffi-
コーヒー
-sor-
飲む/食べる
-poq
三人称単数
「彼・彼女はコーヒーを飲む」
puisi
"アザラシ"
+
-nniar-
"狩る"
puisi-
アザラシ
-nniar-
狩る
-poq
三人称単数
「彼・彼女はアザラシを狩る」
allagaq
"手紙"
+
-si-
"受け取る"
allagar-
手紙
-si-
受け取る
-voq
三人称単数
「彼・彼女は手紙を受け取った」
anaana
"母"
+
-a-
"である"
anaana-
母
-a-
である
-voq
三人称単数
「彼女は母である」
名詞
名詞は常に格と数について、そして時には所有者の数と人称について屈折する。単数と複数が区別され、8つの格が用いられる:絶対格、能格(相対格)、具格、向格、場所格、奪格、経過格(vialisまたはprolativeとも呼ばれる)、同等格。[87] 格と数は単一の接尾辞によって標示される。名詞は、動詞や他の名詞から多くの接尾辞によって派生することができる:atuar-「読む」+ -fik「場所」は atuarfik「学校」となり、atuarfik + -tsialak「何か良いもの」は atuarfitsialak「良い学校」となる。 名詞の所有格一致接尾辞と動詞の他動詞一致接尾辞がいくつかの場合に類似または同一の形を持つため、グリーンランド語が動詞と同様に他動詞名詞と自動詞名詞を区別するという理論さえある。[88][注 3]
代名詞
一人称、二人称、三人称の単数と複数の人称代名詞がある。それらは主語や目的語としては任意であるが、それは動詞の屈折がそのような項を指示する場合に限られる。[89]
illit
あなた
nere-qu-aatit
食べる-言う-三人称単数–二人称単数-直説法
「彼・彼女はあなたに食べるように言った」
格
文法的な核格である能格と絶対格の両方が、参与者名詞句の文法的・統語的役割を表現するために用いられる。斜格は動きや様態に関する情報を表現する。
angut-Ø
男-絶対格
neri-voq
食べる-三人称単数
「その男は食べる」
anguti-p
男-能格
puisi
アザラシ-絶対格
neri-vaa
食べる-三人称単数/三人称単数
「その男はアザラシを食べる」
具格は多機能である。ある行動が実行される道具、自動詞(逆受動態動詞とも呼ばれる)の斜格目的語[45][90][91]、そして他動詞の第二目的語に用いられる。[92]
nanoq-Ø
ホッキョクグマ-絶対格
savim-mi-nik
ナイフ-自身の-具格
kapi-vaa
刺す-三人称単数/三人称単数
「彼・彼女は自分のナイフで熊を刺した」
Piitaq-Ø
ピーター-絶対格
savim-mik
ナイフ-具格
tuni-vara
与える-一人称単数/三人称単数
「私はピーターにナイフを与えた」
名詞が組み込まれている場合、格標示はない。多くの文は、斜格目的語と組み込み目的語の両方で構築できる。
kaffi-sor-tar-poq
コーヒー-飲む-習慣的に-三人称単数
「彼・彼女は習慣的にコーヒーを飲む」
kaffi-mik
コーヒー-具格
imer-tar-poq
飲む-習慣的に-三人称単数
「彼・彼女は習慣的にコーヒーを飲む」
また、「〜をくれ」の意味を表現したり、名詞から副詞を形成するためにも用いられる。
imer-mik!
水-具格
「水を(くれ)」
sivisuu-mik
遅く-具格
sinip-poq
眠る-三人称単数
「彼・彼女は遅くまで寝た」
illu-mut
家-向格
「家の方へ」
また、数詞や疑問詞 qassit と共に用いられ、時刻や「単位あたりの量」の意味を表現する。
qassi-nut?
いつ-向格
–
pingasu-nut.
三-向格
「何時に?」 – 「三時に」
kiilu-mut
キロ-向格
tiiva
20
krone-qar-poq
クローネ-持つ-三人称単数
「1キロあたり20クローネです」
場所格は空間的な位置を記述する。[93]
illu-mi
家-場所格
「家の中で」
Rasmussi-mit
ラスムス-奪格
allagarsi-voq
手紙を受け取る-三人称単数
「彼・彼女はラスムスから手紙を受け取った」
経過格は何かを通り抜ける動きや、筆記の媒体、体の一部位の場所を記述する。[94]
matu-kkut
ドア-経過格
iser-poq
入る-三人称単数
「彼・彼女はドアを通って入った」
su-kkut
どこ-経過格
tillup-paatit?
殴る-三人称単数/二人称単数
「彼・彼女は(体の)どこを殴ったのか?」
経過格語尾 "-kkut" は、名詞とその仲間、例えばある人物とその友人や家族を指す接辞 "-kkut" とは異なる。[95]
palasi-kkut
司祭-とその仲間
「司祭とその家族」
同等格は様態や質の類似性を記述する。また、国籍を表す名詞から言語名を派生させるためにも用いられる:「x国籍の人のように(話す)」。[94]
nakorsatut
医者-同等格
suli-sar-poq
働く-習慣的に-三人称単数
「彼・彼女は医者として働いている」
Qallunaa-tut
デンマーク人-同等格
「デンマーク語(デンマーク人のように)」
所有
Anda-p
アンダ-能格
illu-a
家-三人称単数/所有
「アンダの家」
Anda-p
アンダ-能格
illu-ni
家-四人称/所有
taku-aa
見る-三人称単数/三人称単数
「アンダは自分の家を見る」
Anda-p
アンダ-能格
illu-a
家-三人称単数/所有
taku-aa
見る-三人称単数/三人称単数
「アンダは(他人の)家を見る」
正書法
グリーンランド語はラテン文字で書かれる。使われるアルファベットは、
- A E F G H I J K L M N O P Q R S T U V
他の言語、とくにデンマーク語および英語からの借用語のつづりには、追加的に B, C, D, X, Y, Z, W, Æ, Ø, Å の文字が使われる[97][98]。グリーンランド語は引用符として "..." と »...« の記号を用いる。
1851年から1973年までのあいだ、グリーンランド語はサムエル・クラインシュミットによって発案されたアルファベットで書かれていた。このアルファベットはクラー (kra) という特別の文字 (Κʼ / ĸ) を用いていたが、これは1973年の改革で q に置きかえられた[99]。クラインシュミットのアルファベットでは、長母音と二重子音は母音の上にダイアクリティカルマークを載せることで示された(子音の二重化の場合は、その子音に先行する母音の上にダイアクリティカルマークが置かれた)。たとえば、Kalaallit Nunaat というこの名前は Kalâdlit Nunât とつづられた。この方式では曲アクセント ( ˆ ) は長母音を表し (旧:ât, ît, ût → 新:aat, iit, uut)、鋭アクセント ( ´ ) は後続する子音の二重化 (á(k), í(k), ú(k) → a(kk), i(kk), u(kk))、そして著者によってチルダ ( ˜ ) または重アクセント ( ` ) が母音の長さと後続子音の二重化を同時に示していた (ãt, ĩt, ũt または àt, ìt, ùt → aatt, iitt, uutt)。グリーンランド語では ê と ô の文字は r と q の前でのみ用いられ、現在では er/eq, or/oq と書かれている。カナダのラブラドール地方北東部ヌナーツィアヴト (Nunatsiavut) で話されている Nunatsiavummiutut(イヌクティトゥット語のカナダ方言のひとつ)のつづりの体系は、古いグリーンランド語の体系から派生している。
専門的には、クラインシュミットの正書法は形態論に焦点をあてたものであり、同一の派生接辞 (derivational affix) がたとえ異なる文脈では別様に発音されるとしても同じように書かれるべしとしたものである。これは1973年の改革で音韻体系に沿うよう置きかえられ、これによって書かれた形から発音へのつながりが明確になると同時に、同一の接尾辞が異なる文脈では別様に書かれている。この違いは音韻変化によるものである。したがって旧正書法から新正書法に移行することは容易であるが(オンラインの変換器 [100] を見よ)、逆の方向は完全な語彙分析を必要とする。
文例
Inuit tamarmik inunngorput nammineersinnaassuseqarlutik assigiimmillu ataqqinassuseqarlutillu pisinnaatitaaffeqarlutik. Silaqassusermik tarnillu nalunngissusianik pilersugaapput, imminnullu iliorfigeqatigiittariaqaraluarput qatanngutigiittut peqatigiinnerup anersaavani.
「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」(世界人権宣言第1条)
脚注
注釈
- ^ Namminersornerullutik Oqartussat / Grønlands Hjemmestyres(グリーンランド自治政府)によると、「言語。公用語はグリーンランド語およびデンマーク語……。グリーンランド語は学校で用いられ、大部分の町や居住地で支配的な言語である」(« Language. The official languages are Greenlandic and Danish... Greenlandic is the language [that is] used in schools and [that] dominates in most towns and settlements ») という。[1](2016年11月5日現在はリンク切れ)
- ^ 口蓋垂鼻音 [ɴ] はすべての方言では見られず、音素としてのその地位には方言的差異がある (Rischel 1974:176–181)。
- ^ ⟨ff⟩ は無声化した重子音 /vv/ の書きかたであり、それ以外では ⟨f⟩ は借用語にのみ現れる。
- ^ /ʃ/ は若干の方言でのみ見られ、標準語にはない。
出典
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関連項目
- イヌイット語
- イヌイット語の文法
- イヌイット語の音韻
外部リンク
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グリーンランド語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/21 23:24 UTC 版)
旧正書法で、ĸ (kra) の大文字として Κʻ のように180度回転したコンマ(U+02BB)を書いていた。現在の正書法では Q と書くが、旧正書法はカナダのヌナツィアブトで今も使われている。
※この「グリーンランド語」の解説は、「コンマアバブ」の解説の一部です。
「グリーンランド語」を含む「コンマアバブ」の記事については、「コンマアバブ」の概要を参照ください。
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