アイルランド語 アイルランド語の概要

アイルランド語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 23:39 UTC 版)

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アイルランド語
Gaeilge
話される国 アイルランド
北アイルランド
地域 ヨーロッパ
話者数 35万5千人
(うちアイルランドに26万人)[1]
言語系統
表記体系 ラテン文字
公的地位
公用語 アイルランド
北アイルランド
欧州連合
統制機関 Foras na Gaeilge
言語コード
ISO 639-1 ga
ISO 639-2 gle
ISO 639-3 gle
消滅危険度評価
Definitely endangered (UNESCO)
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各カウンティにおけるアイルランド語話者の割合

現代のアイルランド人の多くは英語を母語とするが(2002年の国勢調査によると、41.9%がアイルランド語話者)、アイルランド語と英語は、同じインド・ヨーロッパ語族(ヨーロッパから南アジア、北アジア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、オセアニアにかけて話者地域が広がる語族)であり、言語学上、言語系統的には同じ語族に分類されるが、ケルト語派であるアイルランド語とゲルマン語派である英語とは、完全に別言語であり意思の疎通はできない。

現況

アイルランド語は元来はアイルランド人の固有の言語であり、被支配民の下層階級が中心とはいえ、アイルランドの人口の大部分をアイルランド語話者が占めていた。しかし、イギリスによってアイルランド島全土のほとんどが植民地化されていた時代に英語にとって代わられ、話者の数が激減した。これにはジャガイモ飢饉の影響も大きい。19世紀のアイルランド民族運動の高揚の中で、ゲール語連盟および初代大統領ダグラス・ハイドらによる復興活動がおこなわれた。

今日ではこの言語を日常的に使う人の数は非常に少なく、アイルランド国内においても「ゲールタハト」(Gaeltacht) と呼ばれる一部の地域に限られるが、公共向けの掲示や交通標識の多くにはアイルランド語の併記が行われている。また政府の公職(首相議会、政党、議員など)の名称をアイルランド語で表記し、国防軍においては号令にアイルランド語を使用するなど、民族主義的な観点からも使用が推奨されている。

アイルランド共和国では義務教育においてアイルランド語は必修となっており、ゲールタハトに英語禁止の修学旅行に行き、うっかり英語を使った生徒を一人で自宅に帰らすという厳しい措置をとった学校も存在したほどである[4]。また、公務員試験などにおいてもアイルランド語の試験が必須とされるため、学習者は多いものの、ゲールタハトを除くほとんどの地域においては義務教育終了後、または就職後には忘れ去られ、使われなくなってしまうことが多い。

アイルランド政府は様々な保護策を採っており、ゲールタハトのネイティブなアイルランド語話者の家庭には、その土地に居住し続けることを条件に政府から補助金などが支給されている。しかし、すでに英語がアイルランドの優勢言語であり、英語に長けていない者は社会的に不利・不便な立場にあるという現実から、アイルランド語を母語とする親も子供の将来を考え、子供にはあえて英語で話しかける傾向にある[5]。このような状況から、西部の一部の海岸地域に点在するゲールタハトを除いては、アイルランドの日常生活においてアイルランド語の会話はほとんど聞かれないのが実情である。またゲールタハトも人口過疎の僻地に偏っており、比較的話者が多いと思われる唯一の都市(シティ)は西部のゴールウェイのみである。

多くのアイルランド国民にとってアイルランド語は、ヨーロッパ世界の古典語であるラテン語の学習と同様に、非常に退屈なものである。英語化が進行していく過程においては辺境の言語・貧者の言語・劣等者の言語とまで貶められていたアイルランド語であるが、母語・日常語としては絶滅寸前となった近現代になってから国策的に保護される対象となると、状況は一変した。今日では、ゲールタハト以外であえてアイルランド語を用いるのは、むしろ権威主義的な、やや衒学的で気取った人間だという偏見さえある。

アイルランド語におけるアルファベット

本来のゲール語のアルファベットは、A、B、C、D、E、F、G、H、I、L、M、N、O、P、R、S、T、U の18文字であり、一般的にはこれに V を加えた19文字が日常的に使用される。


  1. ^ Gordon, R. G., Jr. 編 (2005) Ethnologue: Languages of the World, Fifteenth edition, "Gaelic, Irish". SIL International(2008年3月23日アクセス)
  2. ^ : Irish Gaelic
  3. ^ 駐日欧州委員会代表部 編 (2007) 『ヨーロッパ』通巻第248号、22頁
  4. ^ 国情報 > アイルランド”. Studybooking.com. 2018年4月11日閲覧。
  5. ^ ディクソン, R・M・W (2001) 『言語の興亡』 (ISBN 4-00-430737-6ISBN 978-4-00-430737-2) 大角翠 訳、岩波書店〈岩波新書〉、152頁
  6. ^ ここでいう「軟音」は、スラヴ語学におけるそれとは用法が異なることに注意。音声の項を参照。


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