複合遺産 (世界遺産)
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ユネスコが登録する世界遺産は、その特質に応じて「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」に分類されている。この項目では、そのうち「複合遺産」(ふくごういさん)について扱う。
概要
複合遺産は「文化遺産」「自然遺産」それぞれの登録基準のうち、少なくとも一項目ずつ以上が適用された物件をいう。言い換えれば、一帯の自然環境と、そこでの人間の文化的営為が、ともに顕著に普遍的な価値を有するものと認定されることが必要である。
登録基準の適用は、バンディアガラの断崖(マリ)やウィランドラ湖群地域(オーストラリア)のように、文化・自然とも一項目ずつ登録基準を満たしているにとどまるものもあれば、タスマニア原生地域(オーストラリア)や泰山(中国)のように7項目を満たすものもある。ただし、登録基準10項目全てを満たす物件は2023年時点では存在しない。
1992年以降「世界遺産条約履行のための作業指針」に盛り込まれた「文化的景観」の概念と重複する側面もあるが、一致はしない。
複合遺産の一覧
複合遺産の数は、約1,100件ある全物件数のなかで30件台と、非常に少ない。以下のリストにある「登録年」とは、「複合遺産として登録された年」を指す。文化遺産や自然遺産が後の拡大によって複合遺産になった場合、最初の登録年は括弧に入れて示してある。
画像 | 名称 | 保有国 | 登録年 | 登録基準 |
---|---|---|---|---|
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泰山 | ![]() |
1987年 | (1), (2), (3), (4), (5), (6), (7) |
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黄山 | ![]() |
1990年 | (2), (7), (10) |
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峨眉山と楽山大仏 | ![]() |
1996年 | (4), (6), (10) |
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武夷山 | ![]() |
1999年 | (3), (6), (7), (10) |
チャンアンの景観関連遺産 | ![]() |
2014年 | (5), (7), (8) | |
カンチェンゾンガ国立公園 | ![]() |
2016年 | (3), (6), (7), (10) | |
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イラク南部の湿原地域:生物多様性の保護地域とメソポタミアの都市の残存景観 | ![]() |
2016年 | (3), (5), (9), (10) |
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ワディ・ラム保護区 | ![]() |
2011年 | (3), (5), (7) |
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セント・キルダ | ![]() |
2005年 (1986年) |
(3), (5), (7), (9), (10) |
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アトス山 | ![]() |
1988年 | (1), (2), (4), (5), (6), (7) |
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メテオラ | ![]() |
1988年 | (1), (2), (4), (5), (7) |
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ラポニア地域 | ![]() |
1996年 | (3), (5), (7), (8), (9) |
モン・ペルデュ | ![]() ![]() |
1997年 | (3), (4), (5), (7), (8) | |
イビサの生物多様性と文化 | ![]() |
1999年 | (2), (3), (4), (9), (10) | |
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ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群 | ![]() |
1985年 | (1), (3), (5), (7) |
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ヒエラポリス-パムッカレ | ![]() |
1988年 | (3), (4), (7) |
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テ・ヘヌア・エナタ - マルキーズ諸島 | ![]() |
2024年 | (3), (6), (7), (9), (10) |
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オフリド地域の自然・文化遺産 | ![]() ![]() |
1980年 (1979年) |
(1), (3), (4), (7) |
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ピマチオウィン・アキ | ![]() |
2018年 | (3), (6), (9) |
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パパハナウモクアケア | ![]() |
2010年 | (3), (6), (8), (9), (10) |
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ティカル国立公園 | ![]() |
1979年 | (1), (3), (4), (9), (10) |
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カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林 | ![]() |
2014年 (2002年) |
(1), (2), (3), (4), (9), (10) |
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テワカン=クイカトラン渓谷 : メソアメリカの起源となる環境 | ![]() |
2018年 | (4), (10) |
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ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズ | ![]() |
2015年 | (3), (6), (10) |
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チリビケテ国立公園 - 「ジャガーのマロカ」 | ![]() |
2018年 | (3), (9), (10) |
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パラチーとイーリャ・グランジの文化と生物多様性 | ![]() |
2019年 | (5), (10) |
マチュ・ピチュの歴史保護区 | ![]() |
1983年 | (1), (3), (7), (9) | |
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リオ・アビセオ国立公園 | ![]() |
1992年 (1990年) |
(3), (7), (9), (10) |
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タッシリ・ナジェール | ![]() |
1982年 | (1), (3), (7), (8) |
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エネディ山地の自然的・文化的景観 | ![]() |
2016年 | (3), (7), (9) |
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ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観 | ![]() |
2007年 | (3), (4), (9), (10) |
ンゴロンゴロ保全地域 | ![]() |
2010年 (1979年) |
(4), (7), (8), (9), (10) | |
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バンディアガラの断崖(ドゴン人の土地) | ![]() |
1989年 | (5), (7) |
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マロティ=ドラケンスバーグ公園 | ![]() ![]() |
2000年 | (1), (3), (7), (10) |
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カカドゥ国立公園 | ![]() |
1981年 | (1), (6), (7), (9), (10) |
ウィランドラ湖群地域 | ![]() |
1981年 | (3), (8) | |
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タスマニア原生地域 | ![]() |
1982年 | (3), (4), (6), (7), (8), (9), (10) |
ウルル=カタ・ジュタ国立公園 | ![]() |
1994年 (1987年) |
(5), (6), (7), (8) | |
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トンガリロ国立公園 | ![]() |
1993年 (1990年) |
(6), (7), (8) |
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ロックアイランド群と南ラグーン | ![]() |
2012年 | (3), (5), (7), (9), (10) |
関連項目
- 世界遺産
- 文化遺産 (世界遺産)
- 自然遺産 (世界遺産)
- 複合遺産 (世界遺産)
- 危機にさらされている世界遺産
複合遺産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/11 04:10 UTC 版)
「第40回世界遺産委員会」の記事における「複合遺産」の解説
画像推薦名推薦国勧告決議登録基準 ピマチオウィン・アキ(英語版) カナダ 登録 情報照会 Pimachiowin Aki Pimachiowin Aki ピマチオウィン・アキはアニシナアベ(英語版)の言葉で「生命を与える土地」を意味し、彼らの伝統と密接に結びつく文化的景観を形成している。同時に北方林の生態系の面からも評価された。第37回世界遺産委員会で「登録延期」決議となっていたが、今回は文化・自然とも「登録」が勧告された。ところが、勧告後に保護・管理体制に重要な変化が生じたことから、「情報照会」決議となった。第42回世界遺産委員会で正式登録されることになる。 エネディ山地の自然的・文化的景観 チャド 登録延期 登録 (3), (7), (9) Ennedi Massif: Natural and Cultural Landscape Massif de l’Ennedi : paysage naturel et culturel チャド北西部のエネディ山地は紀元前5000年にまで遡る岩絵群と、自然美・生態系に特色のある自然環境が残されている。しかし、諮問機関は文化、自然の両面について、範囲の再考などによって当てはまる可能性を認めつつ、今回は登録延期とすることを勧告した。逆転登録を果たし、チャド2件目の世界遺産となった。 カンチェンゾンガ国立公園 インド 登録 登録 (3), (6), (7), (10) Khangchendzonga National Park Parc national de Khangchendzonga カンチェンゾンガ国立公園は世界第3位の高峰カンチェンジュンガの一部を対象としており、地元の人々にとって聖なる山として崇拝されてきた文化的価値と、自然美・生物多様性から成る自然的価値とが評価された。インド初の複合遺産である。 イラク南部のアフワール:生物多様性の保護地域とメソポタミアの都市の残存景観 イラク 登録延期 登録 (3), (5), (9), (10) The Ahwar of Southern Iraq: Refuge of Biodiversity and the Relict Landscape of the Mesopotamian Cities Les Ahwar du sud de l’Iraq : refuge de biodiversité et paysage relique des villes mésopotamiennes 対象となるのはウル、ウルク、エリドゥの古代遺跡およびマーシュ湿地帯(アフワール湿地帯)に含まれる4箇所の湿地である。しかし、ICOMOSからは、古代都市遺跡の中で上記3件に絞った理由が不鮮明であることや、湿地と文化の結びつきも十分に示されていないとされた。IUCN も自然的側面について今後価値を証明できる可能性を指摘しつつも、再検討を求めた。逆転で登録を果たし、イラク初の複合遺産となった。
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