幻の女とは? わかりやすく解説

まぼろしのおんな〔まぼろしのをんな〕【幻の女】

読み方:まぼろしのおんな

田中小実昌ミステリー小説昭和48年1973)刊。


幻の女(ファム・ファタル)

作者朝松健

収載図書比良ファイル幻の女
出版社角川春樹事務所
刊行年月1999.10
シリーズ名ハルキ文庫


幻の女

作者藤井邦夫

収載図書迷子石秋山久蔵御用
出版社ベストセラーズ
刊行年月2005.3
シリーズ名ベスト時代文庫


幻の女

作者五木寛之

収載図書物語饗宴 新装版
出版社學藝書林
刊行年月2005.6
シリーズ名全集 現代文学発見


幻の女

作者井川香四郎

収載図書冬の蝶与力吟味
出版社講談社
刊行年月2006.12
シリーズ名講談社文庫


幻の女

作者加門七海

収載図書美しい家
出版社光文社
刊行年月2007.4
シリーズ名光文社文庫


幻の女

作者難波利三

収載図書漫才ブルース
出版社双葉社
刊行年月1986.12
シリーズ名双葉文庫


幻の女

作者作者不詳

収載図書クリスマス13戦慄
出版社新潮社
刊行年月1988.11
シリーズ名新潮文庫


幻の女

作者ウィリアム・アイリッシュ

収載図書一級ミステリー名作を知る愉しみ
出版社同文書院
刊行年月1993.10
シリーズ名面白BOOKS


幻の女

作者遠藤周作

収載図書蜘蛛
出版社出版芸術社
刊行年月1996.3
シリーズ名ふしぎ文学館


幻の女

作者黒川博行

収載図書麻雀放蕩
出版社双葉社
刊行年月1997.6

収載図書麻雀放蕩
出版社双葉社
刊行年月2000.6
シリーズ名双葉文庫


幻の女

作者鳴海丈

収載図書彦六捕物帖 外道
出版社光文社
刊行年月2000.12
シリーズ名光文社時代小説文庫


幻の女

作者藤沢周平

収載図書新装版 風雪獄医立花登手控え 2
出版社講談社
刊行年月2002.12
シリーズ名講談社文庫


幻の女

作者正和

収載図書幻の女
出版社三一書房
刊行年月2004.8


幻の女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 15:10 UTC 版)

幻の女』(まぼろしのおんな、原題:Phantom Lady)は、コーネル・ウールリッチがウィリアム・アイリッシュ名義で1942年に出版したミステリー小説。アイリッシュ名義での最初の長編小説であり代表作に挙げられる。

1944年ロバート・シオドマク監督により映画化された。

日本では何度かテレビドラマが製作され放映されている。

概要

全23章で構成され、各章のタイトルには、「死刑執行前〜」となっている。第1章「死刑執行前150日午後6時」から始まり、死刑執行当日に向けて減って行く。第16章「死刑執行前8日」、第17章「死刑執行前7日」のように章題のみで本文がない章もある。

The night was young,」、稲葉明雄の翻訳では「夜は若く、」で始まる対句を使用した冒頭の一文[1]は、しばしば引用され、作家の小泉喜美子は「どれだけの人が衝撃を受けただろう」と指摘している。稲葉によれば、この文はポピュラーソング『恋人よ我に帰れ』(1928年)の詞(オスカー・ハマースタイン2世作詞)の冒頭「The sky was blue,」で始まる一文のもじりであるとのことである[2]。2015年には黒原敏行による新訳版が刊行されたが、冒頭の一文は1994年版の稲葉訳と同一である。黒原は新訳版の訳者あとがきにて、稲葉訳以外にはありえないと、稲葉の遺族から了解を得て、稲葉訳をそのまま使用している旨を記している。

日本での評価

江戸川乱歩太平洋戦争の終戦後にアメリカから流入した情報で、戦時中の新作「Phantom Lady」の評判を知り、手を尽くして1946年2月に原書を入手[3]、一読して「新しい探偵小説であり、すぐに訳すべきである」という高評価を与えた。このため1950年の黒沼健による初訳前からその存在を知られ、後年まで圧倒的な知名度を保っている[4]。1945年初頭にアメリカ軍の捕虜になった大岡昇平は、レイテ島の野戦病院で本書の原書を読んでいたという。

主な日本語訳

あらすじ

スコット・ヘンダーソンは以前からキャロル・リッチマンと愛し合っており、その日は妻のマーセラと外で食事をし、離婚を申し出るつもりだった。しかし、マーセラは話し合いを拒否する。激昂したスコットは家を飛び出して、バーで知り合った異様な帽子を冠った黒いドレスの女性(「幻の女」)を誘って、マーセラと観るはずだったブロードウェイの劇場へ行き、食事をしてから深夜前に女性と別れ、家に戻った。家にはバージェス刑事らがいて、スコットを逮捕した。家ではマーセラがスコットのネクタイで絞殺されていたのだ。

スコットは「幻の女」といっしょにいたとアリバイを主張したが、事情聴取を受けたバーテンダーらはスコットは目撃していても「幻の女」のことは知らないと証言した。このため、スコットは有罪が確定し死刑の宣告を受ける。

裁判に違和感を覚えたバージェス刑事は、スコットにスコットのために動いてくれる人間を問い、スコットの友人ジャック・ロンバートに連絡をする。ジャックはスコットに「幻の女」を探し出すことを誓う。また、スコットの愛人であるキャロルもジャックとは別に「幻の女」を探す。キャロルはスコットが一人だったと証言したバーテンダーや舞台ミュージシャンを尾行するが、関係者たちは不審な事故に遭い、次々と死んでいった。判ったのは、証言が嘘であり、証人たちは何者かに買収されたり脅されて、「幻の女」の存在を否定していたということだった。

スコットには劇場プログラムの角を折ってしまう癖があり、ショーの後に「幻の女」が今夜の記念としてスコットの持っていたプログラムを欲しがり、譲ったことを聞いたジャックは、新聞に劇場プログラムを高く買い取るという広告を掲載した。

死刑執行当日になって、ついに「角の折れたプログラム」を売りにきた女が現れた。ジャックは女を車に乗せ刑務所に向かいながら、スコットの無実を証言するよう迫った。女が証言に同意すると、ジャックは車を森の中で停め、女を降ろして銃を突きつけた。以前からジャックはマーセラと不倫関係にあり、あの夜、共に南米に行くことを提案したが、スコットと別れる気の無いマーセラはこれを拒否。ジャックは怒りにまかせてマーセラを絞殺してしまった。その後、ジャックはスコットの後を追い、バーテンダーらを買収していった。そしてスコットの無実を証言できる「幻の女」の口をふさぐために、ジャックは「幻の女」を捜していたのだった。

女が撃たれる直前にジャックの車を尾行していたバージェス刑事たちが駆けつけ、ジャックを真犯人として逮捕した。プログラムを売りに来た女は実はキャロルであった。バージェス刑事の捜査によって本物の「幻の女」は既に発見されていたが、あの夜の後に症状が悪化して今では精神病院に収容され、証言できる状態ではなかった。キャロルとバージェス刑事は、偽の「幻の女」でジャックを罠にはめたのだった。

真犯人のジャックが捕まり、スコットの死刑執行は中止となった。

登場人物

スコット・ヘンダースン
株式ブローカー
マーセラ・ヘンダースン
スコットの妻
キャロル・リッチマン
スコットの若い愛人
ジャック・ロンバート
スコットの友人
バージェス
主任刑事
幻の女
?
大きな羽根飾りのついたオレンジ色の南瓜のような帽子を被った女

映画

1944年公開のフィルム・ノワール

スタッフ
監督
ロバート・シオドマク
脚色
バーナード・ショーンフェルド英語版
原作
ウィリアム・アイリッシュ
製作
ジョーン・ハリソン
撮影
ウディ・ブレデル英語版
キャスト

日本のテレビドラマ

1962年版

1962年10月7日NETテレビ名作推理劇場」の1話として放映された。1963年3月31日に同じ「名作推理劇場」枠で再放送されている。

スタッフ
  • 脚本:田代淳二
キャスト

1966年版

1966年4月30日に「都会の顔-ウィリアム・アイリッシュ「幻の女」より」のタイトルで、NHK「テレビ指定席」の1話として放映された。

スタッフ
  • 脚本:中井多津夫
  • 音楽:桑原研郎
  • 演出:岡崎栄
キャスト

1971年版

1971年10月12日から11月16日まで日本テレビ火曜日の女シリーズ」枠で放映された。全6話。

スタッフ[5]
キャスト[5]
日本テレビ 火曜日の女シリーズ
前番組 番組名 次番組
九月は幻の海
幻の女

1981年版

1981年9月12日に『幻の女 離婚殺人の罠』のタイトルでテレビ朝日土曜ワイド劇場」枠で放映された。

スタッフ
キャスト

1993年版

1993年7月5日に「幻の女・闇に消えたアリバイ」のタイトルで関西テレビ制作、フジテレビ系列にて、「サスペンス・魔」の1話として放映された。

スタッフ[6]
キャスト[6]

漫画

わたなべまさこが本作の漫画化を行っている。描き下ろし単行本として主婦の友社「TOMOコミックス 名作ミステリー」28巻として1979年に出版された。

1992年にはホーム社より刊行されたわたなべまさこ名作集の『幻の女 10月の罌粟』として再刊されている。なお、並録の「10月の罌粟」はアイラ・レヴィンの「死の接吻」の漫画化作品である。

また、わたなべはアイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の作品から「黒衣の花嫁」を「炎のカメリア」、「死者との結婚」を「6月の花嫁」として漫画化している。

脚注・出典

  1. ^ ハヤカワ・ポケット・ミステリの初版(1955年)は黒沼健の訳(1950年に『宝石』誌に掲載されたのが初出)では「夜はまだ宵の口だった。」で始まる。1975年に稲葉明雄訳となったが、ハヤカワ・ポケット・ミステリの通し番号はNo.183のままとされた。この稲葉による冒頭訳が広く定着している。
  2. ^ 世界ミステリ全集4『ウイリアム・アイリッシュ/コーネル・ウールリッチ』(1973年、早川書房) 巻末付録の座談会における稲葉明雄の発言より。
  3. ^ 神田の古書店店頭で『雄鶏通信』編集長・春山行夫に売約済みの原書を見つけ、春山から強引に横取りしたという。
  4. ^ 早川書房編集部(編) 編『ミステリ・ハンドブック』早川書房ハヤカワ文庫〉、1991年9月30日、23,26-27,130-132,305-310頁頁。ISBN 4-15-078501-5 
  5. ^ a b 幻の女”. テレビドラマデータベース. 2023年8月26日閲覧。
  6. ^ a b 幻の女・闇に消えたアリバイ”. テレビドラマデータベース. 2023年8月26日閲覧。

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「幻の女」の関連用語

幻の女のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



幻の女のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの幻の女 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS