国際手配
別名:インターポールノーティス
英語:Interpol notice
ICPO(国際刑事警察機構)およびICPO加盟各国が行う、国外に逃亡した犯罪被疑者や行方不明者などの捜査・捜索を行うための制度。
国際手配された被疑者が海外で発見・拘束された場合、手配された国へ身柄が引き渡され、そこで逮捕される。
国際手配には複数の種類がある。逮捕の要請、行方不明者の手配、身元不明の死体の手配などがあり、色の区別によって通称されている。
2011年8月末に、リビアの元・最高指導者であるカダフィ大佐が、カダフィ政権の実質的崩壊に伴い居場所が分らなくなっている。ICPOは9月8日、カダフィ大佐を国際手配に指定したと発表した。
関連サイト:
ICPOの活動 - 警察庁
国際手配
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 04:55 UTC 版)
国際手配(こくさいてはい)または国際指名手配とは、国際刑事警察機構(以下ICPO)が加盟国(190か国[1])の各政府を通じて被疑者、行方不明者等を捜索するための制度である[2]。
制度における伝達方法としては国際手配書(9種別[注釈 1])及びディフュージョンの2種類がある[2]。
一般的には、ある国で発生した事件の被疑者や、外国にいるが行方不明である者を捜索するために行う。しかし、被疑者が外国で逮捕されてもそれぞれの国の間で犯罪人引渡し条約を締結しているかの有無に関わらず、容疑者の身柄は事件を起こした国に送還され、逮捕される[要出典]。
国際手配されていない場合は、犯罪人引渡し条約によって、身柄を送還するか、滞在国で不法入国等の犯罪を犯し、その国の政府によって被疑者の国籍の国に強制送還されるか[注釈 2]などして、事件を起こした国に身柄を送還される。しかし、それらができない場合は被疑者が滞在する国の政府に代理処罰を申請することになる。
また、国際手配中の容疑者は公訴時効は停止となる。
歴史
1946年にフランスのパリ郊外サン=クルーで赤、青、緑、黄、黒、紫の6つの手配書の作成が決定され、2004年にはオレンジが追加される[4]。2005年にはテロ対策強化のための国際連合安全保障理事会決議1617を受けてICPO国際連合特別手配書が作成された[5]。
手配方法
国際手配書
国際手配書には以下の8種別および、これらに準じた盗難美術品手配書がある[2][注釈 1]。
名称と色 | 日本語通称 | 内容 | 備考 |
---|---|---|---|
RED NOTICE | 赤手配書[2] | 国際逮捕手配書[6] | |
BLUE NOTICE | 青手配書[2] | 国際情報照会手配書[6] | |
GREEN NOTICE | 緑手配書[2] | 国際防犯手配書[6] | |
YELLOW NOTICE | 黄手配書[2] | 国際行方不明者手配書[6] | |
BLACK NOTICE | 黒手配書[2] | 国際身元不明死体手配書[6] | |
ORANGE NOTICE | 橙手配書[7] | 武器等警告手配書[6] | 2004年追加 |
PURPLE NOTICE | 紫手配書[7] | 国際特殊手口手配書 | |
ICPO-UN SPECIAL NOTICE | 特別手配書 | ICPO国際連合特別手配書[2][6] | 2005年追加 |
- | - | 盗難美術品手配書[2] |
ディフュージョン
ディフュージョン (Diffusion) は国際協力要請又は国際警告のこと[7]。この要請と警告は、国家中央事務局又は国際機関の間でICPO通信網を用いて国家中央事務局へ直接送付されると共に、事務総局のデータベースへ情報登録がなされる[7]。
被疑者が国際逮捕手配されている主な事件
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この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2014年1月)
|
日本
事件発生日 | 事件名 | 被疑者 | 容疑 |
---|---|---|---|
1970年代 - 1980年代 | 北朝鮮による日本人拉致問題 | 辛光洙、金世鎬、チェ・スンチョル等 | 国外移送目的略取・国外移送 |
1971年12月 - 1972年2月 | 山岳ベース事件 | 坂東國男 | 殺人・傷害致死・死体遺棄 |
1970年3月31日 | よど号ハイジャック事件 | 赤木志郎・若林盛亮・魚本公博・岡本武・小西隆裕 | 強盗致傷・国外移送目的略取 |
1972年2月19日 | あさま山荘事件 | 坂東國男 | 殺人・殺人未遂・銃刀法違反 |
1974年8月 - 1975年5月 | 連続企業爆破事件 | 大道寺あや子・佐々木規夫 | 殺人・殺人未遂・殺人予備・爆発物取締罰則違反 |
1985年3月 | 西新井事件 | チェ・スンチョル | 旅券法違反等 |
1992年5月30日 | 多摩市パチンコ店強盗殺人事件 | 強盗殺人 | |
2003年9月 | 中国珠海市・集団買春事件 | 性犯罪 | |
2003年10月24日 | 下連雀薬局内強盗殺人事件 | 強盗殺人 | |
2004年1月31日 | 茨城女子大生殺害事件 | 殺人・強姦致死 | |
2006年 | 近未來通信事件 | 石井優 | 詐欺 |
2009年6月 | 横浜港バラバラ殺人事件 | 強盗殺人・殺人・死体遺棄等 | |
2010年2月12日 | シーシェパード調査捕鯨妨害事件 | ポール・ワトソン | 傷害・威力業務妨害・器物損壊等 |
2012年9月2日 | 六本木クラブ襲撃事件 | 殺人・凶器準備集合 | |
2019年12月31日 | カルロス・ゴーン事件 | カルロス・ゴーン | 特別背任罪、出入国管理及び難民認定法(出入国管理法)違反など |
日本以外
事件発生日 | 事件名 | 被疑者 |
---|---|---|
1972年5月30日 | テルアビブ空港乱射事件 | 岡本公三[注釈 3] |
1974年9月13日 | ハーグ事件 | 奥平純三 |
1975年8月4日 | クアラルンプール事件 | 奥平純三 |
1977年9月18日 | ダッカ日航機ハイジャック事件 | 坂東國男・佐々木規夫 |
1975年・1977年 | 日本赤軍事件 | 坂東國男・佐々木規夫・松田久・奥平純三・大道寺あや子・仁平映 |
1983年7月 | 欧州における日本人女性拉致事件 | 魚本公博 |
- ヤン・マルサレク ‐ ドイツで最大規模の詐欺事件を2020年に起こし、ロシアの諜報員として活動した疑いから RED NOTICE が出ている[8][9][10]。
- 佘智江 - 東南アジアで違法なオンラインカジノを経営し、インターポールからは2021年5月に RED NOTICE が出されていた[11]。2022年にバンコクで逮捕された[12]。
脚注
注釈
出典
- ^ 警察庁 2016, p. 11.
- ^ a b c d e f g h i j 警察庁 2016, p. 13.
- ^ 朝日新聞GLOBE デジタル版 2016, p. 1.
- ^ “INTERPOL creates new international alert notice” (Press release). Lyon, France: Interpol. 24 February 2004. 2015年12月9日閲覧.
INTERPOL already issues a series of colour-coded notices, including the famous Red Notice for wanted international fugitives
- ^ “The United Nations Security Council's request to Interpol to assist the UN's anti-terrorism fight” (PDF). Interpol (2005年9月). 2015年12月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g kotobank-国際手配.
- ^ a b c d 警察庁 2016, p. 14.
- ^ “View Red Notices” (英語). www.interpol.int. 2025年3月8日閲覧。
- ^ “How six Bulgarians did Russia's dirty work from the UK” (英語). www.bbc.com (2025年3月7日). 2025年3月8日閲覧。
- ^ “Wirecard fugitive Jan Marsalek: from financial fraudster to Russian spymaster?”. ロイター. 2025年3月8日閲覧。
- ^ “Chinese gambling kingpin taken into custody in Bangkok”. AFP. (2022年8月13日)
- ^ “Detained tycoon She Zhijiang, who says he spied for China, alleges abuse in Thai jail”. ロイター. 2025年3月8日閲覧。
参考文献
- “2016国際刑事警察機構パンフレット” (PDF). 警察庁 (2016年). 2016年10月16日閲覧。
- “[Part1] 赤・青・オレンジ…国際手配さまざま” (PDF). 7種類の手配書. 朝日新聞GLOBE デジタル版 (2016年10月16日). 2016年10月16日閲覧。
- 知恵蔵mini. “国際手配”. コトバンク. 2016年10月16日閲覧。(日付:2013-7-9)
関連項目
外部リンク
- 国際犯罪対策 - 警察庁
- View Red Notices - 国際刑事警察機構(以下ICPO)の国際逮捕手配書(RED NOTICE)が出された指名手配の一覧。
国際手配
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 15:47 UTC 版)
「東京・山梨連続リンチ殺人事件」の記事における「国際手配」の解説
Aの事件について、共犯者の残りの3人がすでに南アフリカ共和国へ逃亡しており、国際刑事警察機構を通じて国際手配された。2004年4月12日に警視庁は主犯格の男を含む逃亡中の3人に対し、逮捕状を取り、Bに対する殺人・死体遺棄・死体損壊容疑で指名手配した。3人のうち2人はAの事件でも国際手配されている。 Aに対する殺人罪等で国際手配されていた3人のうち1人は、2004年6月4日にクレジットカード不正利用でアメリカハワイ州の刑務所に服役していたが、刑期を終えたために、警視庁がアメリカ政府に身柄の引き渡しを求め、アメリカ政府がそれに応じ、日本に強制送還され、その後逮捕された。 2020年(令和2年)8月下旬、南アフリカに逃亡していたうちの別の1人が南アフリカの日本大使館に出頭し「日本に帰りたい。金がなくなり逃げられなくなった。奥多摩の事件は自分がやった」と話し、9月3日日本に帰国し成田空港でPCR検査を受けた後に逮捕された。 3人のうちリーダー格とされる最後の一人については、2016年(平成28年)12月頃に南アフリカの海岸で木から首をつって死亡しているのが発見されており、自殺と見られている。
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