myotonic dystrophyとは? わかりやすく解説

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エム‐ディー【MD】

読み方:えむでぃー

《myotonic dystrophy》⇒筋強直性ジストロフィー


筋緊張性筋ジストロフィー症

同義/類義語:筋強直性ジストロフィー
英訳・(英)同義/類義語:myotonic dystrophy

筋収縮長く続き筋萎縮を伴うトリプレット病のひとつ。

筋ジストロフィー(進行性筋ジストロフィー) ( myotonic dystrophy )

骨格筋変性生じ遺伝性の疾患。ディシュエンヌ型、顔面肩甲上腕型、肢帯型、眼型あるいは眼咽頭型、その他6種類ほどに分類されていますが、いずれも進行性でまだ根本的な治療はありません。

筋強直性ジストロフィー

学名:myotonic dystrophy

筋強直ミオトニー現象:myotonia)とは筋肉一度収縮した後に弛緩しにくい(もとの静止状態になるのに時間がかかる)ことを言います。たとえば患者さんに手をしっかりと握り速やかに手を開くように命じても、手は急に開かないゆっくりとしか指が伸びません(把握筋強直: grip myotonia)(図39)。診察時に母指球筋を打腱器(診察ハンマー)で叩くと、母指内転し、すぐにはまっすぐにならないのです(percussion myotonia)。このような筋強直主症状とする疾患はいくつかの種類ありますが、最も代表的な疾患が筋強直性ジストロフィーです。
図39:筋強直 握る図39:筋強直 開く
39筋強直
手をぐっと握りしめ(左)、すぐにパッと開くように命令して
指(特に母指)がすぐに元に戻らない(右)。

a.病因病態・病理
本症は常染色体優性遺伝をとり、第19染色体長腕(19q13)に遺伝子座あります遺伝子クローニングされていて、その遺伝子産物新しく見つかった酵素でミオトニンキナーゼ(myotonin kinase)(蛋白燐酸化活性化させる酵素)と命名されました。この酵素病気発症どのように関与しているかはまだよく分かっていません。
患者さんではこの遺伝子3'側非翻訳領域にあるCTGシトシンチミングアニン塩基)の繰り返し配列増加してます。正常な人ではこのCTG繰り返し配列は5−30回ですが、患者さんでは50-2,000 回にも達しますこのように3つの塩基繰り返し増える病気いくつかつかっていて、それは3塩基繰り返し病(triplet repeat disease)と呼ばれてます。全て常染色体優性遺伝病気です。この繰り返しの数と臨床症状相関するといわれています。また親より子ども、子どもより孫へと世代を経るに従ってこの繰り返しの数が増加し症状重くなる傾向あります。このことを表現促進(anticipation)といいます
筋肉顕微鏡でみると筋ジストロフィーのような壊死とそれに続く再生所見はほとんどありません。筋線維細くなり、特にタイプ1赤筋線維萎縮します。

b.臨床症状
筋強直現象筋力低下先立ってみられることが多いといわれています。手がこわばってなかなかスムース開かない口の開閉話しはじめに滑らかでない歩行開始円滑にいかないなどが主症状です。筋強直現象同一動作繰り返す次第軽減し、また精神的緊張寒冷によって増悪ます。
筋力低下あきらかになる年齢一定していませんが、普通子どもではあまり目立ちません。顔面筋高頻度侵され表情乏しく、頬がこけたような顔になります(筋性顔貌:myopathic face)。ときに上まぶたが下がり(眼瞼下垂)、ものが見えにくくなります頸筋咽頭筋が侵され鼻声となったり、ものが飲み込みにくくなることもあります
筋肉症状以外にもいろいろな症状合併します。前頭優位脱毛成人男性80%、白内障高頻度にみられますので、定期的な眼科診察が必要です。内分泌系の異常(インポテンス無月経不妊など)、心筋症便秘などの消化器の異常をみることもあります

c.診断
患者さんに手をぐっと握っていただき、ぱっと手をひろげるようにお願いします。しかしすぐにひろがらず、ゆったりと時間かかります把握ミオトニア)。筋電図診断役立ちます筋肉に針電極刺入すると、刺入電位高く持続長いのが特徴的です。遺伝子診断行えば診断はより確実となります


[附] 先天性筋強直性ジストロフィー(congenital myotonic dystrophy)
先天性筋強直性ジストロフィーは筋強直性ジストロフィーの母親ごくまれに父親)から生まれた子どもに、新生時期から重い筋肉中枢神経症状をみる病気です。遺伝子解析では、CTG繰り返しの数は母親より、子供の方が圧倒的に多くなっています。
新生時期から強い筋力筋緊張低下をみとめます重症例では呼吸自立がなく、人工呼吸器が必要です。また燕下障害があると、経管栄養が必要となります筋力低下全身性で顔の筋力弱く表情乏しく、口を常に半分開けてます。乳児期死亡するうな重症例ありますが、成長とともに次第回復していきます。しかし筋力低下がなくなることはありません。全例知的障害伴います
診断はまず母親筋強直確認することです。遺伝子解析診断確定することができます

筋緊張性ジストロフィー

(myotonic dystrophy から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 14:03 UTC 版)

筋緊張性ジストロフィー(きんきんちょうせいジストロフィー、英:Myotonic dystrophy)は筋ジストロフィーの一種であり、筋肉の機能を損なう長期的遺伝性疾患に分類される[1]。症状は、徐々に悪化する筋肉の喪失や筋力の低下である[1]。筋肉を収縮してからの弛緩ができないことがよくある[1]。その他の症状には、白内障知的障害心臓伝導の障害などがあげられる[1][2]。男性の場合、早期の脱毛子供を作れないことがある[1]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u myotonic dystrophy”. GHR (2016年10月11日). 2016年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j Meola, G; Cardani, R (April 2015). “Myotonic dystrophies: An update on clinical aspects, genetic, pathology, and molecular pathomechanisms.”. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease 1852 (4): 594–606. doi:10.1016/j.bbadis.2014.05.019. PMID 24882752. 
  3. ^ Klein, AF; Dastidar, S; Furling, D; Chuah, MK (2015). “Therapeutic Approaches for Dominant Muscle Diseases: Highlight on Myotonic Dystrophy.”. Current Gene Therapy 15 (4): 329–37. doi:10.2174/1566523215666150630120537. PMID 26122101. 


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