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タミル文字

(Tamil script から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/28 10:22 UTC 版)

タミル文字
類型: アブギダ
言語: タミル語
時期: 8世紀頃-現在
親の文字体系:
姉妹の文字体系: グランタ文字
Unicode範囲: U+0B80 - U+0BFF
U+11FC0-11FFF
ISO 15924 コード: Taml
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
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タミル文字(タミルもじ、タミル語: தமிழ் அரிச்சுவடி, Tamiḻ Ariccuvaḍi、: Tamil script)は、主にタミル語を表記するために使われる文字である。

現行のタミル文字は、紀元4〜5世紀に北インドで用いられたブラーフミー文字をその源とする。また同様に南インドサンスクリットを表記するため歴史的に用いられてきたグランタ文字と並行的に発展進化してきたという経緯があり、両者には非常に多くの共通点がある。

しかしサンスクリットおよび現代ヒンディー語マラーティー語ネパール語等を表記するデーヴァナーガリー文字や、グルムキー文字ベンガル文字グジャラーティー文字オリヤー文字といった、同じブラーフミー文字を起源とする北インド系の各文字とは大きく異なった印象を受ける。また同じ南インドテルグ文字カンナダ文字マラヤーラム文字などよりも北方の影響が少なく、最も南方的純粋さを残す文字と言えるであろう。また地域的に近いスリランカシンハラ文字とも、かなり形態を異にしている。

現代タミル語には12の母音字、18の子音字に加えて6の外来語用の子音字がある。ただし子音字とその発音は、必ずしも一対一対応している訳ではない。子音字が随伴母音 (通常は/a/の音価) を伴った音節として読まれるアブギダである。子音字に11種の母音符号を付加することで、随伴母音以外の母音を伴う音節を表すのが基本だが、組み合わせによって特殊な形になる場合もある。また母音を伴わない子音は子音字の上に付点を打って表現する。

文は左から右へと書かれ、各文字はデーヴァナーガリーのように頭線で繋がったりはせず個々独立する。また単語と単語の間には空白が取られるなどの点は、ラテン文字(ただし音素文字ではないが)と変わらない。

文字表

母音
a ā i ī u ū e ē ai o ō au ĥ (visarga)
  • அ a [ʌ] - 短母音「ア」
  • ஆ ā [ɑː] - 長母音「アー」
  • இ i [i] - 短母音「イ」
  • ஈ ī [iː] - 長母音「イー」
  • உ u [u], [ɯ] - 短母音「ウ」
  • ஊ ū [uː] - 長母音「ウー」
  • எ e [e] - 短母音「エ」または「イェ(ye)」
  • ஏ ē [eː] - 長母音「エー」または「イェー()」
  • ஐ ai [ʌj] - 二重母音「アイ」。ヒンディー語のような曖昧母音にはならない。
  • ஒ o [o] - 短母音「オ」
  • ஓ ō [oː] - 長母音「オー」
  • ஔ au [ʌʋ] - 二重母音「アウ」。ヒンディー語のような曖昧母音にはならない。
  • ஃ ĥ - サンスクリット由来の単語でヴィサルガ (visarga) を表現する。本来はドイツ語のchに近い、喉から出す強いhの発音。ただし普通のhのつもりで発音しても支障はない。直前の母音の口の形を保ちアハ()、イヒ()などと読む。
子音+母音記号(1)
க் கா கி கீ கு கூ கெ கே கை கொ கோ கௌ
k ka ki ku ke kai ko kau

上の表は、kaの文字に母音記号を組み合わせたもの。通常、子音字は"a"の母音を伴っているので、単独の子音のみを表す時は字上に点(புள்ளி, プッリ)を打つ。これらの母音記号は下記の子音字と組み合わせて、ちょうど日本の仮名文字と同様に子音+母音の音節を表すことができる。

子音
ka ŋa
ca ña
ţa ņa
ta na
pa ma
ya ra la va
ḻa ļa ṟa ṉa
ja şa sa ha
க்ஷ ஸ்ரீ
kşa śri
  • க ka [k], [ɡ], [x], [ɣ], [h] …… 「カ」または「ガ」。ときに「ハ」とも発音される。
  • ங ŋa [ŋ] …… 日本語でいう鼻濁音。標準語の発音で「マンガ(漫画)」と言う時の「ガ」
  • ச ca [t͡ʃ], [d͡ʒ], [ʃ], [s], [ʒ] …… 「サ」「チャ」または「ジャ」
  • ஞ ña [ɲ] …… 「ニャ」
  • ட ţa [ʈ], [ɖ], [ɽ] …… 反舌音(舌の先を硬口蓋まで反らせる)の「タ」または「ダ」
  • ண ņa [ɳ] …… 反舌音の「ナ」
  • த ta [], [], [ð] …… 歯音(舌の先を歯につける)の「タ」または「ダ」
  • ந na [n] …… 歯音の「ナ」
  • ப pa [p], [b], [β] …… 「パ」または「バ」
  • ம ma [m] …… 「マ」
  • ய ya [j] …… 「ヤ」
  • ர ra [ɾ] …… 舌の先で歯茎を弾く「ラ」。日本語のラ行音にいちばん近い子音。
  • ல la [l] …… 歯音の「ラ」
  • வ va [ʋ] …… 「ワ」または「ヴァ」
  • ழ ḻa [ɻ] …… 反舌音で、舌を浮かせて出す「ラ」
  • ள ļa [ɭ] …… 反舌音で、舌の先を硬口蓋に付ける「ラ」
  • ற ṟa [r], [t], [d] …… raと同じだが舌を強く振動させる「ラ」
  • ன ṉa [n]…… 舌の先を歯茎につけて出す「ナ」

以下はサンスクリットや英語その他からの外来語音を表記するために加えられた文字。

  • ஶ śa [ɕ], [ʃ] …… 「シャ」
  • ஜ ja [d͡ʒ] …… 「ジャ」
  • ஷ şa [ʂ] …… 「シャ」
  • ஸ sa [s] …… 「サ」
  • ஹ ha [h] …… 「ハ」
  • க்ஷ kşa [kʂ] …… 「クシャ」
  • ஸ்ரீ śri …… 「シュリ」

基本的に語頭の子音は無声音、語中では有声音(日本語でいう濁音)で読まれる。ただし同系の鼻音(上の表でtaに対するnaなど並んでいるもの)が先行した場合は必ず有声、同じ子音が重なる場合は無声に変化する。

子音+母音記号(2)
(特に注意すべき組合せ)

i

ī

u

ū
க் k கி கீ கு கூ
ங் ŋ ஙி ஙீ ஙு ஙூ
ச் c சி சீ சு சூ
ஞ் ñ ஞி ஞீ ஞு ஞூ
ட் ţ டி டீ டு டூ
ண் ņ ணி ணீ ணு ணூ
த் t தி தீ து தூ
ந் n நி நீ நு நூ
ப் p பி பீ பு பூ
ம் m மி மீ மு மூ
ய் y யி யீ யு யூ
ர் r ரி ரீ ரு ரூ
ல் l லி லீ லு லூ
வ் v வி வீ வு வூ
ழ் ழி ழீ ழு ழூ
ள் ļ ளி ளீ ளு ளூ
ற் றி றீ று றூ
ன் னி னீ னு னூ
ஜ் j ஜி ஜீ ஜு ஜூ
ஷ் ş ஷி ஷீ ஷு ஷூ
ஸ் s ஸி ஸீ ஸு ஸூ
ஹ் h ஹி ஹீ ஹு ஹூ
க்ஷ் க்ஷி க்ஷீ க்ஷு க்ஷூ

各子音にu、ūが伴う時には、それぞれ(外来語音用の文字の場合を除いて)独特の形に変化するので注意を要する。

古い文章では、ண, ற, னにおいて主に下記のように字形が変化する。

  • ணெ, றெ, னெ, ணொ, றொ, னொ に含まれる(ai) →
  • ணா, றா, னா, ,

(例:ணெ, ணொ, ணோ


また、タミル文字は他のブラーフミー系文字同様、独自の数字をもつ。

タミル数字
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 100 1000

コンピュータ

Unicode

Unicodeでは以下の位置に次の文字を収録している。

U+ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
0B80
0B90
0BA0
0BB0 ி
0BC0
0BD0
0BE0
0BF0

2019年のUnicodeバージョン12.0で追加多言語面のU+11FC0 - U+11FFFにタミル文字補助のブロックが追加され、歴史的に使用された分数のための記号や単位記号、略号などが追加された[1][2]

キーボード

Windowsのタミル語キーボードの配列は以下の通り。

赤字部分は「右Alt」を用いて入力。

脚注

関連項目

外部リンク


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