OECDの対日勧告
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「ワーキングプア」の記事における「OECDの対日勧告」の解説
経済協力開発機構 (OECD) は、日本の労働市場における正規雇用と非正規雇用の二重構造を問題点として挙げている。日本では、企業が労働コストの節約をするために社会保険料の企業負担が少ない非正規労働者を多く雇用しており、非正規雇用者比率は1990年の20%から2008年の38%に上昇した。正規雇用者に比べて非正規雇用者の賃金は低いため、非正規雇用者の増加は平均賃金と民間消費を低下させている。企業の非正規雇用者に対する訓練の投資は少ないため、長期的な生産性にも悪影響を与えている。経済協力開発機構は日本に対して以下の包括的な方法により労働市場を改善していくことを求めている。 社会保障制度の非正規雇用に対する適用範囲の拡大 正規労働者の雇用保護を引き下げる 非正規雇用者の就業機会を増やすよう職業訓練をする 女性によるフルタイム就業を阻害する制度の廃止 育児支援施設の量的、質的改善 2009年の雇用見通しのなかで、日本では現在の景気低迷以前から、ワーキングプア(働く貧困層)が、貧困層の80%以上を占めていたと指摘した。OECD加盟国の平均は63%であり、これを大きく上回っている。また、日本では職に就いている人が最低1人以上いる家計に属する人の11%が貧困だと指摘した。これはOECD加盟国のなかでトルコ、メキシコ、ポーランド、アメリカに次いで5番目の高さとなっている。そして、日本の税と所得再分配制度は、「労働者の貧困緩和にはほとんど効果をあげていない」と述べている。これは所得移転が、ほぼ高齢者へ割り当てられ、低所得の若年層への補償がないことを意味している。
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OECDの対日勧告
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「正規社員の解雇規制緩和論」の記事における「OECDの対日勧告」の解説
OECD(経済協力開発機構)は日本における労働市場の二極化について、度々、これを是正するよう求めている。 2006年の対日審査報告書では、「所得格差問題」に一章が費やされている。日本は従来、所得の不平等度が少ない社会と見られてきたが、「最近は所得格差が拡大している」と警告している。その理由として、日本は解雇に関する法制が未整備で、正社員の解雇が困難な点をあげている。「正規雇用への保護が手厚すぎる」がために、企業は非正規雇用への依存を強める結果となり、「所得の低い非正規雇用者の増大から、所得格差が拡大した」と指摘した。「日本はもはや平等な国ではない」と締めくくっている。 以降も連年、同様の指摘が行われているが、その骨子は「日本はOECD加盟国のなかで実質的には最も解雇規制がきびしい国の一つである」「雇用の柔軟性を目的として企業が非正規労働者を雇用するインセンティブを削減するため、正規労働者の雇用保護を縮小せよ」というものである。 2008年には、特に若年層における失業や貧困の拡大を問題視し、『Japan could do more to help young people find stable jobs.(日本は若者が安定した仕事につけるよう、もっとやれることがある)』と題した報告書を発表。その中で「正規・非正規間の保護のギャップを埋めて、賃金や手当の格差を是正せよ。すなわち、有期、パート、派遣労働者の雇用保護と社会保障適用を強化するとともに、正規雇用の雇用保護を緩和せよ」と勧告を行っている。
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