MCA無線システム
MCA無線システムは、 一定数の周波数を多数の利用者が共同で利用するMCA方式(※)を採用した業務用無線システムです。システムは、事業主体が設置管理する「制御局」と、利用者が設置管理する「移動局」及び「指令局」で構成され、利用者は、同じ識別符号を持った会社等のグループ単位ごとに無線通話を行うことができ、他のグループとは通話できないようになっています。

※ MCA方式とは、Multi Channel Access Systemの略 複数の周波数を多数の利用者が効率よく使える業務用無線通信方式の一つ。混信に強く、無線従事者の資格が必要ないなどの特徴がある。
2.MCA方式の特徴
3.MCA無線の活用事例
MCA無線システムは、陸上移動通信分野(運輸・物流業務、バス運行業務、製造・販売、タクシー等)において広く利用されています。さらに、最近では、地方公共団体での防災ネットワーク構築、大規模災害時等における災害復旧活動、オリンピック・万博・ワールドカップなどの大規模イベントでも利用されるなど、様々な用途においても使用されています。
地方公共団体での活用事例
○ 東北地方の地方公共団体は、10町村合併を機に本庁と支所間との災害時における災害関連情報を収集するための通信手段として導入しています。
○ 関東地方の地方公共団体では、災害対策の一環として災害時の連絡網を強化するため、避難場所として多くが指定されている公立の小中学校や私立の小中高・大学、地区防災拠点にMCAを配備し、平常時の業務連絡や災害時の緊急連絡網として活用しています。
○ 中国地方の地方公共団体では、鳥取県西部地震の際に情報収集が不十分だったことを踏まえ、MCAを導入しました。本庁に基地局を設置し、避難所に指定されている小・中・養護学校、公民館、下水道部などの各機関に配備し、普段は業務連絡に使用し、災害時は防災拠点施設との情報伝達体制に活用しています。
○ 九州地方の地方公共団体では、音声での住民への情報伝達による防災をはじめ、防犯や地域コミュニティ形成支援のための新たな情報伝達システムとしてMCAを活用しています。
災害時等における総務省の取り組み
○ 非常災害時に、地方総合通信局等又は災害対策本部等からの要請により、速やかにMCA無線及び簡易無線を貸し出す体制を構築する計画が平成18年度新規予算として認められました。この計画に基づき、災害対策用移動通信機器として、MCA及び簡易無線を購入し、民間企業と委託契約を締結して東西2ヵ所に備蓄基地を設け、保守及び運搬を委託することとなりました。
○ 平成7年に発生した阪神・淡路大震災の被災地において、通信手段を確保するため、平成6年度二次補正予算で移動通信機器を購入し、地方公共団体等に無償貸与し、災害応急復旧のために活用されました。阪神・淡路大震災から新潟県中越地震までの豪雨災害、火山噴火等の計11回の災害において活用されています。
4.MCA無線システムのサービス
MCA無線システムは、 昭和57年に財団法人移動無線センター(MRC)により800MHz帯を使用して東京地区で初めてサービスが開始されました。その後、平成7年には免許主体の拡大により、公共業務やタクシー業務でも利用が可能となり、平成10年には包括免許制度の導入で免許申請時のユーザーの負担が軽減されました。その他、公衆網との接続や専用システムの導入、デジタルMCAシステムを利用したデータ通信等様々なサービスが実現されています。
MCA無線システムを利用するには、 事業主体に利用を申し込むとともに、地方総合通信局に無線局の申請を行って免許を取得します。現在は、財団法人移動無線センター系列の8法人(全国8つのブロックでそれぞれサービスを提供)と、財団法人日本移動通信システム協会(全国でサービスを提供)がMCA無線システムの運営を行っています。総利用局数は、平成19年9月末現在で約39万局となっています。
「Multi Channel Access System」の例文・使い方・用例・文例
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