MMRワクチンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ヘルスケア > 医療 > ワクチン > MMRワクチンの意味・解説 

エムエムアール‐ワクチン【MMRワクチン】

読み方:えむえむあーるわくちん

エム‐エム‐アールMMR


新三種混合ワクチン

(MMRワクチン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/12 10:16 UTC 版)

新三種混合ワクチン
成分一覧
麻疹ワクチン 生ワクチン
流行性耳下腺炎ワクチン 生ワクチン
風疹ワクチン 生ワクチン
臨床データ
販売名 M-M-R II, Priorix, Tresivac, Trimovax, その他
Drugs.com
法的規制
  • JP: 未承認
  • (Prescription only)
データベースID
ATCコード J07BD52 (WHO)
ChemSpider none
テンプレートを表示

新三種混合ワクチン(しんさんしゅこんごうワクチン)とは、麻疹measles)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪、mumps)、風疹rubella)の三種の弱毒化ウイルスが混合された3価生ワクチンで、頭文字からMMRワクチンと呼ばれる。日本では後述のワクチン禍を引き起こしたことから承認が取り消されたため、現在生産されている国産MMRワクチンは無い。

概要

日本では、1988年(昭和63年)から1993年(平成5年)まで予防接種が実施されていた。しかし、大阪大学微生物病研究所の占部株ムンプスワクチンによる無菌性髄膜炎発生率が高い事が問題となり、接種中止となった。1993年4月、占部株の製造企業に立ち入り調査が行われた結果、細胞培養法のみが承認されていたが、無許可で1989年1月から細胞培養法+羊膜培養法に変更していたことがわかった[1][2]。2006年(平成18年)4月から、副反応が問題となった占部株ムンプスワクチンを除いた、麻疹・風疹混合(MR)ワクチンの予防接種が開始された。世界では、グラクソ・スミスクラインの商品名 Priorix が有名なMMRワクチンである。

日本で輸入のMMRワクチンを接種することは、国立国際医療研究センター病院など薬監証明を取ったトラベルクリニックの自由診療で予防接種が可能で、日本の医薬品医療機器総合機構による医薬品副作用被害救済制度は適用されないが、輸入ワクチン副作用被害者補償制度(輸入商社による補償制度)の対象となる。

アメリカ合衆国においては、1971年から一般的に行われており、現在では改良された混合ワクチンが利用されている。さらに2005年には、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、麻疹・流行性耳下腺炎・風疹・水痘-帯状疱疹の4価ワクチン(MMRV、Vは varicella-zoster の頭文字)の予防接種を認可している。

ランセットでの自閉症論文掲載と抹消

1998年、新三種混合ワクチンの接種と自閉症の発症との間に「関係性があると指摘する論文」が、医学雑誌『ランセット』に発表され[1]、イギリス・アメリカ合衆国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドにおいて、ワクチン接種が激減し、麻疹に感染する子供が増加した。2010年1月、イギリスの医事委員会(General Medical Council)は、論文に問題があることを指摘し、ワクチンと自閉症の関連性が全否定された[2]

『ランセット』は、捏造された虚偽のデータに基づく科学における不正行為であるとして、2010年2月2日に論文を抹消し[3][4]、イギリス政府は主著者であるアンドリュー・ウェイクフィールドの医師免許を剥奪するという懲戒処分に至った[5]

2011年に追調査が行われ、詐欺であったことを裏付ける論文が発表されている[6]

関連性が全否定された後でも、論文の影響は根強く残り続けた。イタリアではワクチンを受ける子供が減少した結果、麻疹の発症が3倍に増えるという余波が見られ、それにより未接種者は義務教育を受けられない法律が施行された[7]

出典

  1. ^ Wakefield AJ, Murch SH, Anthony A et al. (28 February 1998). “Ileal-lymphoid-nodular hyperplasia, non-specific colitis, and pervasive developmental disorder in children”. Lancet 351 (9103): 637–41. doi:10.1016/S0140-6736(97)11096-0. PMID 9500320. http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673697110960/fulltext. 
  2. ^ “英医学誌、自閉症と新三種混合ワクチンの関係示した論文を撤回” (日本語). AFPBB News (フランス通信社). (2010年2月3日). https://www.afpbb.com/articles/-/2690341?pid=5270873 2017年1月18日閲覧。 
  3. ^ Harris, Gardiner (2010年2月2日). “Journal Retracts 1998 Paper Linking Autism to Vaccines”. The New York Times. オリジナルの2010年12月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101201165958/http://www10.nytimes.com/2010/02/03/health/research/03lancet.html 2011年1月6日閲覧。  {{cite news}}: 不明な引数|deadurl=は無視されます。(もしかして:|url-status=) (説明)
  4. ^ “Medical journal retracts study linking autism to vaccine”. CNN. (2010年2月2日). https://edition.cnn.com/2010/HEALTH/02/02/lancet.retraction.autism/index.html?section=cnn_latest 2010年2月2日閲覧。 
  5. ^ Meikle, James; Boseley, Sarah (2010年5月24日). “MMR row doctor Andrew Wakefield struck off register”. The Guardian (London). オリジナルの2010年5月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100527003931/http://www.guardian.co.uk/society/2010/may/24/mmr-doctor-andrew-wakefield-struck-off 2010年5月24日閲覧。  {{cite news}}: 不明な引数|deadurl=は無視されます。(もしかして:|url-status=) (説明)
  6. ^ Godlee F, Smith J, Marcovitch H (2011). “Wakefield's article linking MMR vaccine and autism was fraudulent”. BMJ 342: c7452. doi:10.1136/bmj.c7452. PMID 21209060. http://www.bmj.com/content/342/bmj.c7452.full. 
  7. ^ イタリア、予防接種を就学の条件に AFP(2017年5月20日)2017年5月20日閲覧

関連項目

外部リンク


MMRワクチン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 18:18 UTC 版)

ワクチン忌避」の記事における「MMRワクチン」の解説

詳細は「MMRワクチンと自閉症英語版)」を参照 イギリスでは、1998年アンドリュー・ウェイクフィールドらが、ワクチン投与直後発症した自閉症スペクトラム障害主とする12の子供の症例報告を『ランセット』に発表した後、MMRワクチンが論争の的となった1998年記者会見においてウェイクフィールドは、1度予防接種を行うよりも、3回分けて子供ワクチン投与した方が安全であることを示唆した。この示唆はその論文によっても支持されておらず、その後いくつかの査読済み研究論文では、ワクチン自閉症の間にいかなる関連性も示すこともできなかった。後に、ウェイクフィールドワクチン製造業者との訴訟当事者から資金受け取っていたことが判明したが、彼は自らの利益相反同僚医療機関申告していなかった。このことが知られていればランセット誌での発表行われていなかったであろうウェイクフィールドは、予防接種率の低下引き起こしたことについて科学的見地から厳しく批判され (イギリス予防接種率は研究翌年80%まで低下した)、研究実施手法についても倫理的見地から批判なされた2004年に、論文のMMRワクチンと自閉症についての解釈12人の共著者のうちの10人によって撤回がなされ、2010年にはランセット誌の編集者によって論文の完全な撤回なされたウェイクフィールドは、ランセット誌に発表された研究における意図的な改竄特定する声明とともにイギリス医師免許剥奪されイギリスでの医療行為禁止された。 CDCIOMイギリス国民保健サービスはすべて、MMRワクチンと自閉症関連についてはいかなるエビデンス存在しない結論付けたまた、コクラン・ライブラリによるシステマティック・レビューは、MMRワクチンと自閉症の間に信頼性の高い関連存在しないこと、依然として多く死者合併症もたらしている疾病をMMRワクチンが予防してきたこと、MMRワクチンに対す信頼欠如によって公衆衛生損なわれたこと、MMRワクチン研究実験デザインやその安全性に関する報告はほとんどが不適切なものであることを結論付けた2009年サンデー・タイムズ紙は、ウェイクフィールド1998年論文において患者データ操作して誤った結果報告し自閉症との見かけ上の関連性作り出した、と報じた2011年ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル記事では、研究データが予め決められ結論達するよう、ウェイクフィールドによっていかに改竄されていたかが記述された。同ジャーナル付随論説では、ウェイクフィールド仕事は、予防接種率の低下引き起こし数十万人の子供を危険にさらし、自閉症真の原因の研究からエネルギーと金銭をそらすこととなった、「手の込んだ詐欺」であると記述された。 アメリカ合衆国では、全国ワクチン被害救済プログラム英語版) (National Vaccine Injury Compensation Program) のもとで主張検討する特別法廷招集され2009年2月12日自閉症の子供の親は、特定のワクチン子供自閉症引き起こしたという主張では、補償を受ける権利がないことが示された。

※この「MMRワクチン」の解説は、「ワクチン忌避」の解説の一部です。
「MMRワクチン」を含む「ワクチン忌避」の記事については、「ワクチン忌避」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「MMRワクチン」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「MMR ワクチン」の例文・使い方・用例・文例




MMRワクチンと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「MMRワクチン」の関連用語

MMRワクチンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



MMRワクチンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの新三種混合ワクチン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのワクチン忌避 (改訂履歴)、副反応 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS