JISの官報公示内容と著作権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:59 UTC 版)
「日本産業規格」の記事における「JISの官報公示内容と著作権」の解説
しかし1.については、同号の告示等は官報の掲載内容に限定されるものではない。法令公布に関する一般的規定は、法令等の公布を官報によって行う旨、第2次世界大戦前に規定していた公文式(明治19年2月26日勅令第1号)や公式令(明治40年2月1日勅令第6号)に相当するものは現在なく、最高裁判所大法廷判決において「法令の公布が、官報による以外の方法でなされることを絶対に認め得ないとまで云うことはできない」と判示しており、告示を含む法令等の効力は官報の掲載内容に拘束されない。また官報及び法令全書に関する内閣府令(昭和24年6月1日総理府・大蔵省令第1号)1条では、著作権法13条2号で規定するもののうち告示と訓令については官報の掲載内容として掲げているものの、通達については規定しないことから、同号により著作権法の保護対象とならない著作物は官報の掲載事項と連動しない。 一方で主務大臣が制定した「工業標準は制定されることが目的ではなく、それが実施されることが目的であるから、各方面への普及徹底ということが最も重要である」。この点JISの官報公示においては、規格の名称、番号、制定・確認・改正・廃止の別、その年月日のみ掲載され(工業標準化法第16条、工業標準化法施行規則第3条)、「内容省略」とした上で、備考で 内容は、日本工業標準調査会ホームページ ( https://www.jisc.go.jp/ ) において閲覧に供する。また、経済産業省産業技術環境局基準認証政策課、各経済産業局及び沖縄総合事務局経済産業部においても閲覧に供する。 と付記している。このJISの内容を著した規格票の印刷・発行は、JISC事務局の監督の下にJSAが行い、上記の官報公示と並行して、制定又は改正されるJISの原稿をJSAに回付し、JSAがその原稿に基づいてJIS規格票を印刷・発行し、その窓口を通じて同規格票を販売・配布しているところである。さらに規格票は有償で頒布されているが、法令等が掲載される官報も有料で販売され、かつ規格票は国内で広く市場に流通していることから、規格について「その内容を公表することによって国民に知らしめ、また国民が自由に知るべきもの」となっている。このように、JISは官報と規格票を通じて公表され、JISの詳細内容は官報に代わって、国 (JISC)名義で公表された規格票に掲載されていることから、官報で規格内容が省略されたことを著作権発生の根拠にすることはできない。また「現在有効な法令約7,400件の中で、JIS規格を引用した法令は約360件(5%)もある」など、「単なる技術標準としてだけでなく、行政制度とのつながりも深いものとなっている」との指摘もなされている。例えば、「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令(平成十三年三月一日法務省令第二十四号)」では次のように日本工業規格を引用し、各規格の内容を知らなければ法令が規定する様式等を理解できず、規格が法令と同様のものとなっている。 (電子署名の方法)第2条 法第62条ノ6第1項第1号及び第62条ノ8第1項第1号に定める措置は、電磁的記録に記録することができる情報に、工業標準化法(昭和24年法律第185号)に基づく日本工業規格(以下「日本工業規格」という。)X5731-8の附属書Dに適合する方法であって同附属書に定めるnの長さの値が1024ビット又は2048ビットであるものを講ずる措置(以下「電子署名」という。)とする。
※この「JISの官報公示内容と著作権」の解説は、「日本産業規格」の解説の一部です。
「JISの官報公示内容と著作権」を含む「日本産業規格」の記事については、「日本産業規格」の概要を参照ください。
- JISの官報公示内容と著作権のページへのリンク