法令の公布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 15:40 UTC 版)
法令(憲法、条約、法律、政令、省令、詔書、告示等)の公布は、公文式及び公式令の廃止以前は法令に基づき、廃止以降は慣例として、官報によりなされる。 法令の公布方法などを定めた公文式(明治19年勅令第1号)では「凡ソ法律命令ハ官報ヲ以テ布告シ」(10条)と定め、これを受け継いだ公式令(こうしきれい、明治40年勅令第6号)も「前数条ノ公文ヲ公布スルハ官報ヲ以テス」(12条)と、法令の公布は官報によって行うことを定めた。日本国憲法の施行に伴い、公式令は内閣官制の廃止等に関する政令(昭和22年政令第4号)により廃止され、その後法令の公布方法を定める法令は定められなかった。 しかし、以後も慣例的に法令の公布は官報によってなされており、判例では「(公式令廃止後も)特に国家がこれに代わる他の適当な方法をもつて法令の公布を行うものであることが明らかな場合でない限りは、法令の公布は従前通り、官報をもつてせられるものと解するのが相当」とし、「たとえ事実上法令の内容が一般国民の知りうる状態に置かれえたとしても、いまだ法令の公布があつたとすることはできない」と述べられている(最高裁判所大法廷判決・昭和32年12月28日)。 なお、人事院規則、最高裁判所規則及び会計検査院規則の公布については、官報をもってすることが明文で定められている(国家公務員法第16条第2項、最高裁判所公文方式規則第2条、会計検査院規則の公布に関する規則第2条)。 公布の時期については、「一般希望者において右官報を閲覧し、または購読し得る」最初の時点とされ、具体的には、国立印刷局本局および東京都官報販売所に掲示される発行日の午前8時30分とされている(最高裁判所大法廷判決・昭和33年10月15日)。 なお、現在、法律、政令及び条約は、憲法第7条第1号に基づき天皇の国事行為として公布されるため、「〇〇法をここに公布する。」といった公布文と「御名 御璽」に引き続く行に掲載される日付は官報発行日と同一であり、この日が公布の日となる。これに対し、日本国憲法施行前(1947年(昭和22年)5月2日まで)の官報に掲載された皇室典範、皇室令、法律、国際条約及び勅令に前置された「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル○○法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム」は上諭であり、その後の「御名 御璽」に引き続く行に掲載された日付は天皇が裁可した日であって、官報発行日より前の日付となっていることがほとんどである。このような場合、「公布の日」は御名 御璽の次の行に掲載された日付でなく、官報発行日であることに留意が必要である。
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