2017年衆院選
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第48回衆議院議員総選挙(10月10日公示、22日投開票)では、衆議院解散当日の9月28日、民進党代表の前原誠司が東京都知事の小池百合子率いる希望の党との事実上の合流方針を両院議員総会に提案し了承された。これに対し、共産党委員長の志位和夫は希望の党を「自民党の補完勢力」と非難するとともに、かつての原則である全選挙区での擁立方針に立ち返ることを表明し、民進党と共産党の共闘は破綻した。ただし、希望の党に参加しない議員や社民党との共闘は継続する考えを示した。 また、自由党代表の小沢一郎が「自公連立政権に対抗する野党勢力の結集」を理由に、希望の党に合流する意思を示しており、自由党も4党共闘の枠組みから事実上離脱することとなった。 9月29日、共産党書記局長の小池晃と社民党幹事長の又市征治が衆院選での選挙協力について協議し、11都府県20選挙区で候補者を一本化することで合意した。 10月2日、民進党代表代行の枝野幸男が新党「立憲民主党」の結成を発表し、政策の不一致などを理由に希望の党との合流を拒否した民進党出身のリベラル系メンバーが参加する見通しとなった。これに対し、共産・社民両党は歓迎するコメントを送り、連携を深め共闘する考えを示し、野党共闘は「民共新党」として結実した。 10月5日、全国に先駆け、北海道で立憲民主党・共産党・社民党の3党の地元組織が共闘に合意した。道内の全12選挙区において統一候補が擁立されたが、民進党から立憲民主党に参加した8人は全員が統一候補になり、共産党は当該8選挙区では候補者を取り下げる一方、立憲民主党の「空白区」である4選挙区では候補者を出すこととなった。 北海道以外の地域でも、立憲民主党・共産党・社民党ないし希望の党への不参加を表明した野党系無所属に候補者を一本化するため、共産党は67選挙区で独自候補を取り下げた。公示直前まで調整が行われ、反与党勢力の統一候補が全289の小選挙区のうち249選挙区で成立した。残りの選挙区のうち、21選挙区(千葉2区・千葉7区・千葉13区・山梨2区・神奈川2区・東京4区・東京8区・東京10区・東京11区・東京13区・東京19区・東京22区・東京24区・東京25区・静岡1区・静岡7区・大阪1区・大阪5区・大阪8区・大阪13区・福岡1区)では立憲民主党と共産党が競合することとなった。 選挙の結果、立憲民主党は選挙前の15議席に対し小選挙区18議席(追加公認1議席を含む)、比例代表37議席の計55議席を獲得して野党第一党に躍進した。なお、1996年の小選挙区比例代表並立制の導入以来、野党第一党が獲得した最低議席数は2012年の衆院選で民主党が獲得した57議席であり、これを下回る立憲民主党の獲得議席数は野党第一党としては史上最小となった。一方、共産党は選挙前の21議席維持の目標に対し小選挙区1議席、比例代表11議席の計12議席に減らし、社民党は小選挙区と比例代表でそれぞれ選挙前と同じ1議席ずつ計2議席を維持するにとどまり、両党は立憲民主党・希望の党の2つの新党の間に埋没する形となった。 なおこの結果を受け、メディア各社では仮に今回の総選挙において、維新を除いた野党勢力(希望・立民・共産・社民・民進や自由から無所属で出馬した野党系候補)の一本化が成功していた場合、選挙結果にどのような影響があったのかを試算。 朝日新聞が今回の総選挙で獲得した野党系候補の票数を単純合算して試算したところ、自民・公明の与党系候補に敗戦した選挙区のうち、3割超の63選挙区で勝敗が逆転することが分かった。 産経新聞の試算でも野党一本化が成功していた場合、小選挙区では自民・公明が勝利した223選挙区(自民党の追加公認含まず)のうち64選挙区で野党側が逆転勝利、もし自民が今回の総選挙で比例区において獲得した66議席を合計したとしても217議席で単独過半数を割り込むことになり、公明党の比例獲得議席の21議席と合わせても246議席にとどまり、両党が実際に獲得した憲法改正発議に必要な3分の2(310議席)には届かなかったことが判明。 さらに、毎日新聞の試算によると、今回総選挙において一本化が成功していた場合、実際には野党分裂により「自民・公明」「希望・維新」「立憲・共産・社民」の三つ巴の構図となった177選挙区のうち52選挙区で野党系候補が与党系候補の得票を上回った。野党が実際に制したのは40選挙区にとどまっており、野党が一本化すれば倍増した可能性がある。また、与党1人に対し野党3人以上が挑む野党乱立型の51選挙区のうち32選挙区で逆転していた可能性があった。 このため、野党勢力の分散が今回の自民党・公明党の与党圧勝の原因の一つとなったとされている。しかし、与党が獲得した議席数は公明党を中心に定数削減分を上回って微減ながらも減らしており(実質3減)、自民党支持票の動向も影響を与えた結果であった。
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