2007年:MVNO新規参入へ
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「日本における携帯電話」の記事における「2007年:MVNO新規参入へ」の解説
2007年11月に日本通信とNTTドコモとの相互接続協議にまつわる総務大臣裁定 が下された。これに基づいて、2008年5月に総務省が「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」が改定された。これによりMVNOなどの事業範囲が明確化され、また携帯電話事業者(MNO)とのレイヤー2接続も明記され、仮想移動体通信事業者(MVNO)の新規参入が促進されることとなった。 そして2009年3月に日本通信がNTTドコモと、IIJがイー・モバイルと相互接続を開始し、レイヤー2接続によるMVNOサービスを開始。これ以降MVNOの新規参入が相次ぎ、8年後の2017年9月時点ではMVNO事業者が747社に上り、携帯電話などの契約数のうち約1割を占めている。 MVNOの多くは、当初、データ通信のみのサービスで、のちに音声通話サービスを提供するようになった。MVNOのデータ通信は、インターネット接続をするのにiモードなどキャリアのサービスに依存するフィーチャーフォンでは利用できなかったため、フィーチャーフォンが全盛だった2000年代末までは極めてニッチな存在であったが、2010年代に入り、キャリアのサービスを経由せずにインターネットが利用できるスマートフォンが普及してくると、一般消費者向けにも広まりを見せるようになる。そこで、大手キャリアから通信網を借りることによりネットワーク維持費を削減し、広告宣伝費や実店舗が少なく、人件費が抑えられるMVNOは、主にライトユーザー向けに、大手キャリアよりも安い料金体系で、音声通話・データ通信サービスを提供するようになった。また、2010年代中盤には、ファーウェイやASUS、ZTE、モトローラ・モビリティ(レノボ)など、大手キャリア向け機種をあまり投入していない中国・台湾メーカーを中心に、SIMロックフリースマートフォンが日本でも多数発売されるようになった。それに合わせて、コミュニケーションアプリの「LINE」ですでに高い知名度があったLINEのLINEモバイルや、イオングループなど異業種からも含め、MVNOへの新規参入が相次いだ。このあたりから、MVNOはSIMカードの販売だけではなく、SIMフリースマートフォンをセットで販売するようになり、こうしたスマートフォンは「格安スマホ」と呼ばれるようになる。 一方、大手もこのMVNOの格安プランに対抗し、2014年には、PHS事業を展開していたウィルコムおよびイー・モバイルを運営していたイー・アクセスを買収したソフトバンクは、これら2社の買収を利用し、サブブランドのワイモバイルを、KDDIは自社グループにMVNO「UQ mobile」をそれぞれ立ち上げた。サブブランドは、有名タレントによるテレビCM、大手の販売網を利用した実店舗展開やそれによるアフターサービス、既存のMVNOのネックだった通信速度、事業規模が小さいMVNOでは困難であり、大手の流通網を生かした型落ちのiPhoneの販売などで、差別化を図り、囲い込んだ。また、大手3キャリアでも、2017年ごろから総務省の指導などにより、端末との分離プランの導入や、ある程度の料金の値下げが進んだ結果、大手キャリアからMVNOへの顧客流出に歯止めがかかった。特に、これまでサブブランドを持っていなかったNTTドコモは、菅義偉内閣の値下げ要請を受け、2020年12月に、新プランの「ahamo」を発表し、ソフトバンクやKDDIもahamoに追従する動きを見せている。 こうした動きは、非大手系のMVNOにとっては脅威となった。2010年代後半に入ると、FREETELやDMM mobileの楽天モバイルへの吸収、BIGLOBEのKDDI傘下入り、LINEモバイルのソフトバンク傘下入り、さらには、一時期、SIMフリースマートフォンで高いシェアを誇ったファーウェイがアメリカの制裁を受け、2019年後半以降、Googleサービスに対応したスマートフォンが発売できなくなるなどにより、MVNOは苦戦が見られ、淘汰が進み始めている。また、ドコモやauから回線を借りていたMVNOであった楽天モバイルは、2019年に自社でネットワークを整備するMNOに転換した。さらに、KDDI系のMVNOブランドであったUQ mobileは、それまで同ブランドを展開していたUQコミュニケーションズからの事業承継によりMNOとなった。 ディズニー・モバイルのSIMカード UQ mobileのSIMカード Y!mobileのSIMカード
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