1974年以降の大衆文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:09 UTC 版)
「ドラゴン」の記事における「1974年以降の大衆文化」の解説
世界初のロールプレイングゲーム (RPG) であるテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D) が1974年に発売されて以降、「商業的ファンタジー世界」に欠くべからざるキャラクターとしてのドラゴンが、20世紀後期後半に形成されていった。 架空でありながら非常に存在感のあるドラゴンは、それ以前から各地の大衆文化に取り込まれていたし、様々な分野のクリエイターによって題材にされてもきたが、玉石混交で大量に供給される都市文明の大衆文化におけるキャラクターとして重要な地位を占めるようになったという意味や、人類や正義と対立関係にある強敵という固定されたイメージから飛躍したという点で、それ以前の状況とは大きく異なっている。このような形のドラゴンは、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が登場した頃から本格的に普及し始めたロールプレイングゲームという分野が成長するのに伴い、旧来のイメージを基にしたブラッシュアップを重ねつつ、その時代時代のクリエイターがもたらす創造性と多様性を取り込んだり、他の分野のエスプリに触れて"化学反応"を起こすなどすることで、多種多様なキャラクター性を発揮できる存在へと成長していった結果である。ファンタジーをテーマとした作品は言うに及ばず、数多くの分野に亘る膨大な数の作品に登場する"人気者"になったD&D以降のドラゴンには、人類に味方する強大な知恵者もいれば、単にドラゴンの姿形をしているだけとも言える強力でも何でもないキャラクターなどといった者までいる。 しかしながら、西洋型のドラゴンのイメージがどれほど多様性を獲得しようとも、「典型的」という言葉を冠した場合に想起されるのは、今日でも変わることなく、D&D以前に定着していた中世後期のヨーロッパ人がイメージしていた代表的なドラゴン像であろう。爬虫類型の鱗に覆われ、角を生やし、コウモリのような飛膜の翼を広げ、炎の息を吐く巨大なトカゲのような怪物であり、その姿や咆哮は、見る者、聞く者を恐怖させる。 それ以外には、エキゾチックな色合いで羽毛のある翼と炎のような鬣(たてがみ)を具えているものや、西洋型のドラゴンと東洋型のドラゴン(竜)を合わせたような姿形をしているものも、旧来には無い新しいイメージとして、「典型的」とまでは言い難くはあるものの、比較的多く描かれている。 ファンタジー作品で扱われるドラゴンは、半神的存在であったり、世の中を脅かす悪の権化、人々に恐れられる凶暴な肉食獣、人間と友好的に共存しているもの、兵器や乗り物に活用されているものなど、さまざまである。傾向としては、金銀財宝をため込んだ洞穴を守っており、ドラゴン退治の英雄と結びつけられることが多い。ドラゴンを殺した者、ドラゴンを殺すことのできる武器は「ドラゴンスレイヤー」と呼ばれる。また、現代の小説や映画の中では、言葉を操り、魔法を使うなど高等な知性を持つ生物として尊敬されているという設定のものもよく知られている。また、遙かな昔より生きているとされ、賢明で勇者にアドバイスを与える、あるいは、貪欲で宝をため込んでいるとの描写もある。 ドラゴンの体の一部は、アイテムとして重宝される。ドラゴンの血は、魔法の小道具としてよく作中に登場し、野鳥の言葉がわかるようになったりする。ドラゴンの鱗は硬いとされ、鎧や盾などに加工したものは、非常に高い防御能力や熱などへの耐性が設定されている。またドラゴンの歯から作られる骸骨の戦士である「竜牙兵」、「ドラゴン・トゥース・ウォリアー」(スパルトイをモデルとする)はテーブルトークRPGなどでよく登場する。 ファンタジーではドラゴンと一口に言ってもその姿はさまざまである。 有翼 / 無翼 四足かつ有翼 / 猛禽類のような足と翼がある(=ワイバーン) / 足がない(=ワーム) 有翼かつ飛行可能 / 有翼かつ飛行不可能 / 無翼かつ飛行可能 頭部に角がある / 鼻面に角がある / 角がない これ以外にも、爬虫類以外の鳥獣の特徴を色濃く持つもの(コウモリではなく鳥の翼、鱗ではなく毛皮、など)も見られる。
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