1686年、新市街の創設
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「エアランゲン」の記事における「1686年、新市街の創設」の解説
三十年戦争後、この小都市は比較的早く復興された。早くも、1655年12月2日に教区教会が聖三位一体教会という名称で献堂された。1685年にフランス王ルイ14世がナントの勅令を撤回して、反対派から「ユグノー教徒」と呼ばれたカルヴァン派臣下の1598年から続く信仰の自由が失われたことで状況が変わった。これにより、約18万人のユグノー派亡命者の波が、オランダ、ブリテン島、スイス、デンマーク、スウェーデン、ドイツのいくつかの領邦へ押し寄せた。宗教難民の少数はロシアへ、あるいはオランダやイギリスの植民地にまで達した。 クリスティアン・エルンスト辺境伯もこの状況を利用して、三十年戦争の結果荒廃した自分の領邦に居住する権利を与え、その入植者によって近代産業を推進して重商主義経済に対応しようとした。これによって彼は、領邦内にカルヴァン主義を受け容れ、その宗教活動を容認したドイツで最初のルター派諸侯の一人となった。1686年5月17日に最初6人のユグノー教徒が到着し、その後約1,500人がこれに続いた。この他に数百人のワルドー派も流入したが定着できず、再び移っていった。どれほどの難民が流入するかの予測がつく以前から、辺境伯はエアランゲン旧市街の南に、法的に独立した街として「ノイシュタット・エアランゲン」(エアランゲン新市)と呼ばれる小都市を建設することを決めていた。都市建設者と呼ばれる栄誉への欲求は、典型的な絶対主義の流儀で、自国経済を促進するという合理的な動機と結びついていた。 新しい街は、ニュルンベルクに往来する最も重要な広域通商路の1つに面した極めて有利な場所に位置していた。特定の産業のために近くのレグニッツ川から運河を引いて水を得ようとしたが、砂地のために失敗した。辺境伯の上級建築官ヨハン・モーリッツ・リヒターは、「ゴールデン・シュニッツ」を利用して、一見シンプルだが実際には極めて差別化され、技術的要求度の高い平面図に基づき理想的に構築された計画都市を設計した。長方形の都市は、不均等な広さの2つ広場を配し、対称軸として拡張されたハウプト通りと、中核市部を内包する「グランデ・ルー」によって特徴付けられる。グランデ・ルーは、閉じた角が直角で構成されており、ヒンジのように機能して、都市全体に強度と一体感をもたらしている。設計が示す通り、それぞれの建物が異なった外観を持つのではなく、都市全体の一体感が優先された。現在も歴史的中核部は、統一された、比較的装飾の少ないファサードを持つ3階から4階建ての建物が、通りに軒側を向けて真っ直ぐに並んでいる。都市の建設は1686年7月14日にユグノー派教会の礎石を設置することから始まった。最初の都市には、計画された200軒のうち、50軒が完成した。ユグノー教徒の流入は計画に満たず、フランスへの帰還を阻んでいたスペイン継承戦争後に平和条約が結ばれたことで1715年以降、難民のメンタリティーから移民のメンタリティーに変化したことや、フランスを相手にした1688年から1697年のプファルツ継承戦争で最高司令官となった辺境伯が彼らを雇用したことで、さらなる拡張が停止した。1700年から辺境伯の城館が建設され、エアランゲンの宮廷都市への発展が興り、6つある首都の1つとなったことが新たなインパクトを与えた。1706年8月14日、大火によりエアランゲン旧市街のほぼ全域が破壊された後、新市をモデルにして、直線化された道路や広場に、3階建てのやや個性的な家屋形式で復興がなされた。隣接する2つの計画都市から形成されたエアランゲンは、ヨーロッパの理想都市の歴史においてもユニークな特例である。本来はより古く、1812年までは独立して運営されたエアランゲン旧市街は建築史的にはエアランゲン新市街よりも新しいのである。 1701年から創設者にちなんで「クリスティアン=エアラング」と呼ばれた新市街は、ユグノー教徒の移住地というだけでなく、ルター派の人々やドイツ改革派の人々にもユグノー教徒と同様の特権が与えられた街であった。1698年、エアランゲンには1000人のユグノー教徒と317人のドイツ人が住んでいた。しかし移住者であるユグノー教徒は、ドイツの街ではフランス語を話す少数派であった。フランスの影響はその後の時代に払拭された。ユグノー教徒の教会でフランス語による神事が行われたのは1822年が最後であった。
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