麹(こうじ)
コメ、ムギなどに麹菌などのカビを生やしたもの。中国の白酒(ぱいちゅう)ではエンドウマメなども使われる。原料処理法や形状により、散麹(ばらこうじ)と餅麹と(もちこうじ)とに分けられ、麹をつくることを製麹(せいきく)という。カビのつくり出す酵素がデンプンやタンパク質をそれぞれ糖やアミノ酸に分解することを利用して酒類・発酵調味料・漬物・菓子などの製造に使われるが、このような麹を用いる技術はカビの生えやすい高温多湿な夏の訪れる東アジアの照葉樹林帯を中心に発達し、北は日本・中国、南はインドネシアまで広がっている。中国では東魏(とうぎ)(6世紀前半)のころに生の粉砕原料を餅状に練り固めた餅麹は酒造用、蒸した穀粒にカビを生やした散麹は調味料用にと使用法が分化し、以来、日本を除く東アジア地域の酒はほとんど餅麹でつくられている。沖縄の泡盛を除いて、本格焼酎用の麹は明治の末まですべて蒸米に黄麹菌を生やした清酒用麹であったが、大正初期に泡盛菌といわれる黒麹菌が導入され、さらに大正七年、河内(かわち)源一郎により黒麹菌の白色変異株(白子)(しらこ)である和麹菌が開発されてから急速に普及し、現在では沖縄県産以外の本格焼酎はほとんどすべて白麹菌を使っている。泡盛菌や白麹菌はクエン酸をよくつくり、これで仕込んだ醪(もろみ)は酸性が強く細菌汚染を受けにくいので、特に暖地での酒つくりに適している。本格焼酎用の麹は玄米を搗精(とうせい)し、その8~10%を赤糠(あかぬか)として除いた飯米程度の白米(精白歩合92~90%)でつくられる。泡盛は伝統的に東南アジア産インド種の砕米(唐粉米)(からこまい)を使用しており、現在でも沖縄県に限って、タイ国生砕米の輸入が認められているが、他の本格焼酎に使われているコメはすべて国内産日本種の破砕精米である。なお一部、精麦・押麦を使用しているところもある。本格焼酎のうち泡盛、コメ焼酎、イモ焼酎、ムギ焼酎、黒糖焼酎をつくるのに必要な総原料100kg当たり、それぞれ100、30、15、20および30kgの麹用原料が含まれており、たとえばイモ焼酎の原料のうち15%は麹用のコメ、85%がカンショである。
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