高崎 - 長野間の建設・開業
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「北陸新幹線」の記事における「高崎 - 長野間の建設・開業」の解説
1989年(平成元年)1月17日の申し入れを受けて、公団は1985年(昭和60年)12月25日に認可申請した北陸新幹線 高崎 - 小松間の工事実施計画を高崎 - 軽井沢間と軽井沢 - 小松間に分割し、1989年6月23日に高崎 - 軽井沢間の追加申請を行い、6月28日に高崎 - 軽井沢間41.2 kmの工事実施計画(フル規格)が認可された。その後、8月2日に軽井沢駅構内で起工式が行われた。 「運輸省案」では軽井沢 - 長野間について、信越本線を新幹線直通線(ミニ新幹線)化する方式で整備するとしていた。そのため、首都圏と直通する列車の廃止や並行在来線問題を回避できるとして、信越本線沿線で北陸新幹線の駅設置計画がない長野県内の小諸市や御代田町はミニ新幹線の早期着工を主張した。しかし、1990年(平成2年)の「整備新幹線着工等についての政府・与党申合わせ」において、北陸新幹線 軽井沢 - 長野間については、必要な調整を行ったうえで、標準軌新線で平成3年度において、所定の認可等の手続きを経て、その建設に着工すること。建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認することが示された。その後、県による説得が行われ、御代田町が第三セクター化を受け入れ、1991年(平成3年)6月には小諸市も同意した。これにより軽井沢 - 長野間においても標準軌新線(フル規格)着工認可の条件が整った。なお、6月11日には長野市が1998年のオリンピック・パラリンピック開催地に決定している。同年8月22日に軽井沢 - 長野間53.6 kmの工事実施計画(フル規格)が認可され、9月17日に起工式が行われた。佐久市と小諸市は佐久(仮称)駅の駅名をめぐっても対立した。詳細は「佐久平駅」を参照。 1997年(平成9年)10月1日に高崎駅 - 長野駅間が開業した。これにより、東京駅 - 長野駅間の所要時間は最短で1時間19分となった。しかし長野開業時点では、東京から富山・金沢へは越後湯沢駅で上越新幹線からほくほく線経由の在来線特急「はくたか」を乗り継ぐルートが最速ルートであった。このため、JR東日本は東京から北陸方面への旅客の誤乗車を防ぐため、案内名称として長野行新幹線(後に「長野新幹線」と短縮)を用いていた。また、北陸新幹線開業に備え、東京駅のJR東日本の新幹線ホームが1面2線から2面4線に増設された。 厳しい財政状況のなかで建設が開始されたことから、建設費縮減のため様々な新技術が導入された。前述のとおり、勾配の上限を30 ‰に高めることで路線延長を約20 km短縮し、建設費を約1,000億円圧縮することが可能となった。また、高崎起点約3.3 kmの上越新幹線との分岐点では国内最速の分岐器である「38番分岐器」を導入し160 km/hで分岐器側の通過を可能にした。これにより、上越新幹線の軌道をできるだけ長い区間共用することで、下り線の高架橋約2.2 kmを新設せずに済んだ。この他、橋梁においては新幹線初のPC斜張橋、架線においては従来新幹線で用いられていたヘビーコンパウント架線に比べ、経済的で輸送量に見合った高速シンプル架線(CSシンプルカテナリ式)が初めて採用された。 2014年度末に新規開業する長野駅 - 金沢駅間は保安装置がデジタルATCであることから、2013年11月9日夜から10日早朝にかけて、高崎駅 - 長野新幹線運転所までの区間の保安装置が従来のアナログATCからデジタルATCに切り替えられた。これにより、JR東日本の新幹線の全区間がデジタルATC化された。このATC更新により、2014年3月15日のダイヤ改正から東京駅 - 長野駅間で平均して下りで2分、上りで4分所要時間が短縮された。
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