音楽と作曲様式
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「ジョヴァンニ・ガブリエーリ」の記事における「音楽と作曲様式」の解説
ジョヴァンニ・ガブリエーリは、当時流行の多くのジャンルで作曲したにもかかわらず、明らかに合唱のための宗教曲と器楽曲を好んでいた。声楽のための世俗曲は、すべてかなり初期の作品である。後半生においてガブリエーリは、声楽と器楽のための宗教曲に専念して、音響効果を最大限に追究した。 聖マルコ大寺院のジョヴァンニ・ガブリエーリに前後する作曲家と同じように、彼もまたこの大寺院の異例な空間配置を利用しようとしようとした。左右両陣の互いに向き合う聖歌隊席(と、それぞれに1つずつしつらえられたオルガン)が、著しい空間効果――エコーやディレイ、一種のステレオ効果――が得られるのである。 ほとんどのジョヴァンニ・ガブリエーリの作品は、合唱集団ないしは器楽集団が、まずは左手から聞こえ、それを右手の音楽家集団が追うというように、一種のアンティフォナ様式によっている。このような分割合唱様式は、数十年来の伝統があり、少なくともヴェネツィアにおいて開祖はおそらくアドリアン・ヴィラールトであったにせよ、ジョヴァンニ・ガブリエーリは、楽器法において二つ以上のグループを厳密に方向付けることにより、器楽集団や声楽集団の利用を、細心の注意をもって決定した最初の作曲家となったのである。 聖マルコ大寺院のアコースティックはこの400年の間にほとんど変化していないので、楽器は、適切に配置すれば、遠い地点でも完全に明晰に聞き分けることができる。したがって、たとえば弦楽器の独奏者と金管楽器の集団というような楽器編成は、文字にすると奇妙に見えても、聖マルコ大寺院で響かせてみるなら、完璧なバランスを保っているのである。 ガブリエーリは楽器の活用においてだけでなく、強弱記号の展開においても独創的であった。《ピアノとフォルテのソナタ Sonata pian' e forte》は、おそらく強弱法を用いた最初期の作品である。しかもその上、通奏低音を用いた最初の作曲家の一人でもあった。通奏低音は、1602年にロドヴィコ・ヴィアダーナの曲集によって一般化した作曲技法だったからである。
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音楽と作曲様式
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「カルロ・ジェズアルド」の記事における「音楽と作曲様式」の解説
ジェズアルドが余生において罪悪感に苦しめられたという証拠は無視できないし、自作においては罪の苦しみを表現したのかもしれない。ジェズアルド作品で一番明らかな特徴は、極端な感情を示す語への、風変わりな曲付けである。「愛」「苦痛」「死」「恍惚・喜悦」「苦悶」などといった言葉がジェズアルドのマドリガーレに頻繁に登場しており、歌詞のほとんどが恐らくジェズアルド自身によって作詞されたのだろう。 ジェズアルドは殺人犯として有名になった半面、ルネサンス音楽の最も実験的かつ最も表現主義的な作曲家の中でも、間違いなくとりわけ大胆な半音階技法の作曲家として今なお名高い。ジェズアルドが用いたような半音階進行は、19世紀の後期ロマン派音楽になるまで再び現れることがなく、調性音楽という文脈においては直截に並び立つ存在がなかったのである。 ジェズアルドの出版された作品は、宗教曲、世俗曲、器楽曲の3つのカテゴリーに分けることができる。中でも最も有名なのは、6つのマドリガーレ集(1594年から1611年まで)と、《聖務週間日課のためのレスポンソリウム集》(1611年出版)である。出版作品のほかに、ジェズアルドは大量の手稿譜も遺した。未出版作品の中にも、半音階技法による最も表情豊かな表現力を見ることができるだけでなく、モノディのような前衛的な作曲形態による楽曲も含まれている。そのいくつかはフェラーラ滞在中に、特に同地の卓越した音楽家のために作曲された。 《マドリガーレ第1集》は、様式において同時代の他のマドリガーレ作曲家にきわめて近い。後年のマドリガーレ集では、転調や対斜、リズムの激しい対比の試行が増加しており、《第5巻》と《第6巻》はその最も有名で著しい例となっている(《かなしや吾は死す "Moro, lasso, al mio duolo" 》と《美しい人よ、貴女がいないと "Beltà, poi che t'assenti" 》は、ともに 1611年に出版された《第6巻》に所収)。 ジェズアルド様式の特徴は、部分的な構成にある。つまりは強烈な、ところどころ衝撃的な半音階進行から成る、わりあい緩やかなパッセージと、急速なテンポによる全音階的なパッセージとの交替である。歌詞は、一つ一つの語句に最大限の注意が払われ、音楽によく馴染んでいる。半音階的なパッセージには、単独のフレーズの中に半音階の12の音すべてを含む例もあるのだが、尤もそれらは別々の声部にばら撒かれている。ジェズアルドは半音階的な3度進行をとりわけ好み、一例を挙げると、《かなしや吾は死す》の開始において、イ長調とヘ長調の主和音同士を、また嬰ハ長調とイ短調の主和音同士を連結している。 最も有名な宗教曲は、《聖務週間日課のためのレスポンソリウム集》であろう。様式的には、マドリガーレ・スピリトゥアーレ(聖句に基づくマドリガーレ)として作曲されている。とりわけイエスの苦悩や、聖パウロがイエスを裏切った罪悪感についてのくだりにおいて、後年のマドリガーレ集に見られるような、鋭い不協和音や衝撃的な半音階の並置が使われている。
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