音楽と口白
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 16:56 UTC 版)
定場詩と人形の演出以外、前後場の演出で重要な要素となっているのが音楽伴奏と口白である。後場には人形師の他に音楽、口技表演を担当する者を配し、前場文武劇にあわせて緩急を付けた演出が行われる。布袋劇の演劇効果を高めるこれらの演出を「三分前場、七分後場」と表現することがあり、後場の音楽や口白に対する重要性を示している。 後場の音楽では、伝統布袋劇の伴奏は北管及び南管二種類の音楽が使用される。後場は異なる楽器を用いて武場では打楽器を、文場では弦楽器や撥弦楽器、管楽器を多用して表現している 更に詳しく区分をすれば、武場で使用する楽器は鑼、小鑼、小鼓、通鼓、鈔、鈸、拍板などがあり、文場では二胡、嗩吶、拍板、月琴及び笛が多用される。これら楽器の使用形態により、布袋劇は生旦戯、審場戯、武打戯、連台戯、摺子戯、拳打戯に区分することも可能である。20世紀中期以後、後台での楽器の使用に変化が生じ、京劇の後台音楽の影響を受けたり、洋楽器の使用、歌手による唱歌や、電子音楽音源を使用など新しい様式が誕生している。 閩南或いは台湾の地方言語で演出する口白師は布袋劇に魂を吹き込む人物と言われている。布袋劇での演出の中、後場の口白師は登場人物のセリフを担当し、また布袋劇での唯一名前が出される出演者でもある。このように重要な役割を担う専門口白師は老若男女を問わず様々な登場人物の声質、話しぶり、そして異なる地方の言葉を取得し、更にその情緒の変化を表現する必要がある。また文学や音楽に対する造詣も求められる。実際に一人の口白師は28種類の登場人物とその感情を表現している。また布袋劇の特徴である出場詩の担当も行い、口白師の技量が演出成功の鍵を握っている。 布袋劇の役は「生」、「花臉」、「旦」、「神道」、「精怪」、「雑角」の6種類に大別することができる。 生:男性による明るい役。その中の「小生」が現在主役を占めることが多い。「文生」は智能型、「武生」は動作派の男性役を表す。 花臉:豪快、勇猛な気概を有す男性の役。「紅大花」、「青花仔」、「文木黒大花」などが代表的である。その他題目による独自の役として関公と徐良などがある。 旦角:陰柔な性格の女性の役。花面旦、観音旦、老旦、小旦などがある。 神道:財神、三仙のような神に関する役。題目による独自の役として東海龍王、聞太師などの神明道士などがある。 精怪:牛頭馬面など。 雑角:和尚、小沙弥、缺嘴など 20世紀になると新しいタイプの布袋劇が登場したが、口白に関しては伝統的な布袋劇の影響を強く残している。しかし史豔文、素還真(文生)、乱世狂刀(武生)、横千秋、誅天(花臉)、翼小棠(特殊な武旦)、秦假仙、二歯(丑)などのように斬新なキャラクターが生み出されている。
※この「音楽と口白」の解説は、「布袋劇」の解説の一部です。
「音楽と口白」を含む「布袋劇」の記事については、「布袋劇」の概要を参照ください。
- 音楽と口白のページへのリンク