連結車化改造から連接車への再改造まで
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「江ノ島電気鉄道200形電車」の記事における「連結車化改造から連接車への再改造まで」の解説
江ノ電(当時は「江ノ島鎌倉観光」と社名改称)においては、輸送力増強および列車の続行運転解消による運転保安度向上を目的として、1950年代半ば頃より従来は単行での運行のみであった列車の2両編成化を計画した。この際、2両編成化改造の試作車として2両永久連結車と2車体3台車構造の連接車を各1編成導入することとなり、その種車として、江ノ電入線から日が浅く、かつ4両(112・2代目113・2代目114・202)という必要な種車の数と同一両数が在籍した元都電車体流用車グループが選定された。 試作車への改造は連結車が先行して施工され、202が112とともに種車となり、1955年(昭和30年)10月31日付認可・翌1956年(昭和31年)1月1日より営業運転を開始した。車体関連では202・112とも連結面となる側の妻面の運転台を完全撤去して客室化し、妻面に貫通路と貫通幌を新設した程度の軽微な改造に留まった。一方、主要機器には手を加えられ、編成化に伴う総括制御の必要性から従来の直接制御仕様から江ノ電初の電動カム軸式制御装置による間接自動進段制御仕様に改められている。また、202は100形115と台車交換を行いブリル76E2に換装されて112と統一され、トロリーポールについても各車の連結面となる側のものを撤去し、1両あたり1基搭載となった。なお、202は都電170形の車体流用車であるのに対して、112は都電150形の車体流用車であり、幕板部の寸法や屋根部の形状をはじめ、妻面隅柱部の面取りの有無・丸妻形状の妻面の曲率など、各部に種車の相違に起因する差異が存在した。この差異は後年連接車へ再改造された際にも手を加えられることなく存置され、不揃いな外観が同2両の特徴ともなった。 連結車の竣功からやや遅れて、1956年(昭和31年)4月6日付で113・114(ともに2代)を種車とする連接車が竣功、300形301編成となった。同2両は202・112とは異なり、いずれも都電150形の車体流用車であり、外観上の差異は存在しない。 なお、連結車112-202編成・連接車301編成とも改造施工は東洋電機製造および東洋工機が担当した。 詳細は「江ノ島鎌倉観光300形電車#301編成 (301-351)」を参照 この試作車2編成を用いた検討結果については、主に「2編成による比較の結果連接車の優位性が証明され、以降連接車の増備が決定した」と説明される。しかし、江ノ電OBで元鉄道部長の代田良春は、試作車301編成の導入からわずか3か月後には新造連接車である500形(初代)が導入されていることなどを根拠としてこの通説に疑問を呈し、「連接車の本格採用は当初からの決定事項であり、連結車は江ノ電社内の技術担当以外の関係者にも連接車の優位性を証明するための当て馬ではなかったか」と推測している。 連結車への改造後、112は前述した201(初代)が事実上廃車となったことを受けて201(2代)と改番され、連結車は車番が200番台で統一された。なお、両車の連結面の貫通路は急曲線区間の走行時に偏倚が過大となり通行に危険な状態となるため運用開始後間もなく閉鎖され、貫通幌も常時折り畳んだ状態で運用された。1958年(昭和33年)には、100形106・109の300形304編成への改造に際して201(2代)・202との間で台車交換が実施され、従来装着したブリル76E2を100形106・109へ供出し、同2両が従来装着した新潟鉄工所NDE-1台車へ交換されている。 その後、201(2代)・202は1968年(昭和43年)に東急車輛製造において連接車への再改造が施工されて同年12月に竣功、306編成 (306-356) と改番の上で300形へ編入された。同2両は経年による老朽化が進行していたこともあって同時に大規模な車体改修が行われ、構体のノーシル・ノーヘッダー化・客用扉の移設および1,100 mm幅へ拡幅・前照灯のシールドビーム2灯化および腰板部への移設・前面中央窓上への行先表示窓の新設など多岐にわたる改造が施工された。 詳細は「江ノ島鎌倉観光300形電車#306編成 (306-356)」を参照 再改造後は他の連接車各形式とともに運用されたが、車体の老朽化が著しくなったことから新型車両導入に伴う代替対象となって1991年(平成3年)4月21日付で除籍され、江ノ電保有の連接車として初の廃車事例となった。廃車後は2両とも解体処分され、現存しない。
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