貫通幌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 22:13 UTC 版)
車両間の通路を構成する蛇腹状の覆いは貫通幌(かんつうほろ・主にターポリン製)といい、人が車両から隣の車両へと移動する際、安全に移動できるように設置されている。 両側についている貫通幌を両幌、片側のみに付けられている幌は片幌といわれる。取り外し可能な幌は、常時外して運用することがある。また、多層建て列車の場合は、併合時にどちらにも幌がない、あるいは両方ともに幌があって列車間を貫通させられなくなる事態を避けるため、分割時にどちらの車両に幌を残しておくか、車両や乗務員同様幌にも「運用」が存在することもある。 両幌は両端に金属製の枠があり、これと車体側の枠とをつなげて連結などに使用する。多くの場合上部にはフックなどがあり、折りたたみ時にずれないようになっている。車体に固定する場合は回転式の閂を使って留めるが、鉄道会社によってその取付場所が異なる。 また、編成の先頭(最後尾)に出る車両の貫通扉の周囲を一段凹ませて幌を収納可能にし、幌が付いていてもスマートに見せる仕様も見られる。これらは幌がない場合も、幌枠に似せた金属無地の枠を出しているデザインが多い。 清掃等の整備に手間がかかったり、重量があって作業性が悪いことなどは貫通幌の難点といえる。この難点を解消する為に、自動貫通幌引出装置を搭載した車両や、あらかじめ幌アダプターが搭載された車両がある。 外国の車両ではゴム製の太い筒を貫通路の上部と左右に配置し、これを連結時にいくらか潰して密着させるタイプの幌が広く普及しているが、急カーブなどで幌同士の間に隙間ができる危険がある。 大阪府都市開発3000系電車。先頭車の前面に見える四角いグレーのものが貫通幌 京成3000形電車。幌収納枠を持つ車両の例 米国アムトラックのスーパーライナー。幌枠全体を密着させ合わせる車両の例。カーブなどでは隙間ができるため、幌内での立ち止まりは危険である。
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