衝突の証拠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 14:06 UTC 版)
「白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅」の記事における「衝突の証拠」の解説
.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left} チクシュルーブ・クレーターの位置 1980年に、ノーベル賞受賞者の物理学者であるルイス・ウォルター・アルヴァレズとその息子で地質学者のウォルター・アルバレス、化学者のフランク・アサロ(英語版)・ヘレン・ミシェル(英語版)は、世界中の白亜紀と古第三紀の間の堆積層でイリジウムの濃度が通常より著しく(最初に研究された3地点でそれぞれ通常の30,160,20倍の濃度)高くなっていることを発見した。イリジウムは鉄と親和性が高いため地球誕生時に起こった分化で多くが鉄と一緒に中心核に沈んでいったため、地球の地殻では非常に希少な元素である。この分化が起こっていない小惑星や彗星ではイリジウムが元の濃度のまま残っているため、アルヴァレズのチームはK-Pg境界において地球に天体が衝突したという説を提唱した。天体衝突が起こった可能性自体はそれ以前から提案されていたものの、この研究は天体衝突説に対する最初の確かな証拠となった。 この説は、最初に提案された際はいささか急進的であると見られていたが、追加の証拠がすぐに明らかになった。K-Pg境界の粘土層中には、テクタイトと呼ばれる衝突時の熱で溶融した岩石から結晶化した微小な球状の構造が多くみられた。また、衝撃石英などのほかの鉱物もK-Pg境界から見つかった。メキシコ湾沿岸やカリブ海に沿って見つかった巨大な津波堆積物も証拠として加わり、アメリカ南部からメキシコ北部にかけて堆積物がメートルサイズまで大きくなっていったことから、天体衝突がその近辺で起こったことも見出された。 さらなる研究により、ユカタン半島先端のチクシュルーブ(英語版)地下にある巨大クレーターチクシュルーブ・クレーターが、K-Pg境界層の粘土の供給源であると特定された。地質学者のグレン・ペンフィールドが1978年に調査した内容に基づき1990年に発表された研究結果によると、クレーターは楕円形でその直径はおおよそ180kmと、アルヴァレズのチームが試算したサイズとほぼ同じであった。衝突仮説から存在が予想されていた巨大クレーターが実際に発見されたことは、K-Pg境界で天体衝突が起こった決定的な証拠となり、それが大量絶滅の原因となったとする説を強くした。 2013年に発表された論文においてバークレー地質年代学センター(英語版)のPaul Renne(英語版)は、アルゴン - アルゴン法による放射年代測定の結果から衝突が起こったのは6604.3万年±1.1万年であるとしており、絶滅はそれから32000年以内に起こったとしている。 衝突した小惑星であるチクシュルーブ衝突体について、2007年に小惑星のバティスティーナ族(英語版)と呼ばれるグループに属しているという説が提唱された。このグループは、過去、ある1つの大きな小惑星がほかの小惑星との衝突した際に砕けた破片に相当する小惑星で構成されており、その中で最大なのがバティスティーナと命名されている小惑星である。この小惑星や族自体の観測が不足していることもあり、この説は反証こそないものの真偽が疑われている。2009年には、バティスティーナの観測から得られた化学的特性が、チクシュルーブ衝突体の合わないことが報告された。さらに2011年には赤外線宇宙望遠鏡のWISEによる小惑星の反射光の観測で、この族の小惑星が衝突によって誕生したのはおよそ8000万年前であると推定され、そこから6600万年前までのわずか1400万年の間に軌道を変え地球に衝突することは困難であるとの見解が示された。アメリカノースダコタ州南西部の化石サイトタニス(英語版)からは衝突イベントについて更なる証拠が見つかっている。タニスもまた、北アメリカ4州にまたがる、多くの重要な化石産出で知られる白亜紀後期~暁新世前期の地層、ヘルクリーク累層の一部分である。その中でもタニスは、チクシュルーブ衝突体の衝突の数分後から数時間後までの情報が非常に詳細に記録されている極めてまれな地点である。このサイトからの琥珀には衝突時のものとされる微小なテクタイトが見つかっている。ただし研究者の中には、現場での調査結果に疑いを持ったり、この発見のチームのリーダーのRobert DePalmaが発見時には地質学の博士号を取得していないことや彼が行っていた商業活動から、この結果を懐疑的に見る者もいる。
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