行政・警察による防犯目的の規制強化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 09:22 UTC 版)
「インターネットカフェ」の記事における「行政・警察による防犯目的の規制強化」の解説
大阪府では2006年から「改正青少年健全育成条例」が施行され、身分証明書を提示させたり会員制とする等によって、未成年の深夜入店を禁止するという、行政と警察の指導による規制強化が実施されている。 東京都では、2010年3月に身分証明書の提示・確認義務を定めたインターネット端末利用営業の規制に関する条例が成立、同年7月1日から施行され、身分証コピーの収集による規制が強化され、業界団体「日本複合カフェ協会」の見解に同意する店舗において、会員制を取る店が大半となってきている。日本複合カフェ協会では、店舗運営ガイドラインに「会員制度の採用の努力義務」が盛り込まれている。そのため、同協会加盟(浜松店を除く)で非会員制がほとんどだったメディアカフェポパイ(サンコー・よしみつ・あらき・タイムス・カキタ・フューチャーマーケティング・堀川商事・信用産業・ファーストネット(同社のみ非加盟)の9社が運営)も2008年4月(広島県などは3月から先行実施)から一部の店舗を除き順次会員制に転換した。ただし、まんがランドやマンボーなどのように非会員制、身分証明書提示不要を一貫して採用する店舗もある。 身分証による本人確認を主張する意見がある一方、インターネットカフェが身分証のコピーを収集することは、個人情報流出の危険が伴うことから、防犯上の対策ならば、防犯カメラの設置による使用者の特定で十分であるという意見もある。この意見によれば、インターネットカフェが採用する使用者特定の方法が、身分証確認によるものでも、防犯カメラの設置よるものであっても、為された犯罪を幇助したことに当たるかどうかというインターネットカフェが負う刑事上民事上の責任については、全く差が生じないからであるという。インターネットカフェが幇助の責任を負うならば、共同不法行為による損害賠償は、共同不法行為を行った者の連帯債務となるのであるから、保管する身分証コピーによって使用者の住所・氏名を割り出せたとしても、使用者を割り出せない場合と同様に、インターネットカフェは賠償責任を負うことになるという主張もなされている。刑事上の責任については、身分証による使用者特定方法を採用しないことは幇助罪に該当しないという自らの法的見解を刑事当局に対して明確に示すこと及び、一部の悪質な利用者について防犯カメラ映像とログを自主的に警察へ提供することによって、幇助罪の嫌疑は免れるという主張がなされている。使用者特定による方法では、いわゆる「踏み台ソフト」を仕掛けられることによって、使用者が知らない間にバックグラウンドで不正な通信がなされることにより、冤罪に問われる危険性もある。貧困者を使った違法なアルバイトとして犯罪が行われる場合もあり、使用者特定による防犯には限界がある。 使用者特定の強化による防犯ではなく、アクセス内容の規制による方法も試みられている。鳥取県では2008年4月1日から「改正青少年健全育成条例」、広島市では2008年7月1日から「青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例」が施行され、18歳未満の者(ただし、利用者の年齢を確認できない場合は、全ての利用者)が、インターネットに接続できる端末設備を通じて有害情報を閲覧できないようにするため、フィルタリングソフトの導入が義務づけられており、違反した場合は罰則(鳥取県。改善命令に従わなかった場合は最高50万円以下の罰金)または事業者名の公表(広島市)がある。 店舗内の構造に対する規制強化も進められている。2008年5月21日、業界団体「日本複合カフェ協会」は、一部の加盟店舗が室内の見通しを悪くしない事という店舗運営ガイドラインを遵守していなかったとして書類送検された。2008年2月18日、広島県警察及び広島中央警察署・広島東警察署は広島県公安委員会の許可を得ずに店内を見通し悪く間仕切りして面積5m2以下の個室を設置し、飲食を提供していたとして、広島市中区のメディアカフェポパイ2店舗(本通店・えびす通り店)及び運営企業のサンコーを風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反(区画席飲食店の無許可営業)で捜索した。これまでにも広島県警察は2回にわたり、店内の設備や営業内容を見直すようサンコーに指導したが、改善されなかったため全国初の捜索に踏み切った。5月15日、サンコー及び社長と店長ら関係者を広島区検察庁に書類送検した。このことを受け、広島市内で緊急集会が開催され、ガイドラインを遵守するよう声明文が出されている。 2010年3月に東京都議会で、身分証明書の提示・確認義務を定めたインターネット端末利用営業の規制に関する条例が成立、同年7月1日から施行されたことを受け、以下の影響が発生している。 事業撤退し、他店舗へ気分転換(現:ゲラゲラ)によると「システム導入に1000万円かかる」ということで事業撤退をしたとのこと 漫画喫茶への転換 一部のパソコンを撤去し、非会員にも開放 パソコンをロックする機能を導入し、非会員にも開放
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