共同不法行為とは? わかりやすく解説

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きょうどう‐ふほうこうい〔‐フハフカウヰ〕【共同不法行為】

読み方:きょうどうふほうこうい

複数行為者共同他人に損害加えること。共同行為者連帯して賠償責任を負う。


共同不法行為

複数の者の加害行為により他人に損害与えることをいいます加害者側は被害者対し連帯してその損害賠償する責任負います
※この「自動車保険用語集」の内容は、チューリッヒ保険会社が扱う保険の内容に即しております。

共同不法行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/25 07:35 UTC 版)

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共同不法行為(きょうどうふほうこうい)とは、複数の人間の関与により、権利侵害の結果を発生させる現象のこと。またはそのような結果を発生させた行為。またはそのような行為に対する民事上の責任不法行為責任)の発生要件と主観的・客観的範囲を定めた私法上の制度。日本法においては、不法行為の特殊類型として民法719条に規定されている。

  • 民法は、以下で条数のみ記載する。

共同不法行為の類型

  • 数人の者が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合(719条第1項前段) - 狭義の共同不法行為
  • 共同行為者のなかで実際に誰が損害を加えたのか明らかでない場合(719条第1項後段)
  • 教唆者・幇助者(719条第2項)

共同不法行為の成立要件

  • 行為者それぞれが709条の不法行為の成立要件を満たす必要は無いと近時の判例は支持しており、これは半ば通説かしている。
古い通説においては、行為者それぞれが通常の不法行為の成立要件(709条)を満たすことが必要とされているが、近時の有力説においては、それでは719条で独自に規定の意義を定めた意味がなくなるとして、因果関係を推定ないし擬制する関連共同性によって成り立つとされている。
  • 行為者の行為に関連共同性が認められること
判例は「共同」とは客観的にみて不法行為が共同で行われたことで足り、共謀といった不法行為者間の主観的な認識を必要としないとする客観的共同説をとる[1]

共同不法行為の効果

行為者は生じた損害全額につき連帯して責任を負うとされる(719条)。複数の工場の廃水がそれぞれ河川を汚染し、そのため下流域において農作物の枯死等の被害が発生した場合、複数の工場のうちどの工場の廃水が原因であるかを確定できないが、そのような場合であっても、被告の工場の廃水だけで作物が枯れる可能性があるのならば、被告は全損害について賠償しなければならないことになる[2]

「連帯」の解釈

「連帯して責任を負う」の解釈について、旧判例は共同不法行為者同士が連帯債務を負うことと解していた[3]。しかし、その後、判例は共同不法行為者の責任は不真正連帯債務であり連帯債務ではないと判示している(最判昭和57年3月4日判時1042号87頁)。

求償の問題

共同不法行為において各共同不法行為者が負う債務は前述の通り不真正連帯債務とされている。不真正連帯債務では連帯債務者間には負担部分がないため当然には生じない。 この点につき判例は、不真正連帯債務でも共同不法行為者の一人が被害者に賠償した場合には、他の共同不法行為者の負担すべき過失割合(責任割合)に応じて求償できるとしている(最判昭和41年11月18日民集20巻9号1886頁、最判平成10年9月10日民集52巻6号1494頁)。

また、共同不法行為者の一人(甲)が被害者に賠償した場合、他の共同不法行為者(乙)の使用者(丙)に対して求償が認められるかの問題(719条と715条とが交錯する場面)について、判例は、「甲が自己と被用者(乙)との過失割合に従って定められるべき自己の負担を超えて被害者に損害を賠償したときは、甲は、被用者(乙)の負担部分について使用者(丙)に対し求償することができる」としている(最判昭和63年7月1日民集42巻6号451頁)。

脚注

  1. ^ 大判大正2年4月26日民録19輯281頁
  2. ^ 最判昭和43年4月23日民集22巻4号964頁
  3. ^ 大判大正3年10月29日民録20輯829頁

関連項目


共同不法行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 04:11 UTC 版)

飲酒運転」の記事における「共同不法行為」の解説

刑事事件として処罰対象となりうるに止まらず飲酒運転事故民事責任も、同様に共同不法行為として賠償責任を負うこととなる(民法719条)。 実例として、2001年平成13年)末、ある男性が、同僚と酒を7時間も飲んでいながら運転を行い当時19歳だった女子大生轢死させた事件があり、運転者危険運転致死罪問われ懲役7年判決言い渡された。ところがその同僚も「運転者知りながら酒を飲ませた」と賠償責任問われ東京地裁2006年平成18年7月28日、その同僚に「注意義務怠った」と5,800万円賠償命令下した判例がある。また、2018年11月には、単なる同乗者2名に対し連帯して6,300万円損害賠償責任を負うとする裁判上の和解例もある。 このような場合単なる同乗起因する損害賠償責任担保する自動車保険交通保険等は無い ため、個人賠償責任保険等に未加入または保険適用対象外となる場合同乗者にも深刻な事態を招く。 車両もしくは酒類の提供や同乗等による違反者運転免許受けていた場合には、当然に違反行為行政処分としてその者らの免許取消停止などの処分なされる。なお、飲酒運転者の犯罪共謀共同正犯または従犯認められる者については、正犯運転者)と同等処分なされる道路交通法上の「重大違反唆し等」は、自動車等の運転行為であることと言う要件がない。 結論として、飲酒運転に関わった者は本人でなくとも、飲酒運転(およびそれによる交通事故)の責任刑事民事行政処分の面から問われる。さらに前述社会的制裁勤め先からの懲戒解雇処分など)も受ける。組織的に行われていた場合捜査令状などにより家宅捜索関係者任意同行する場合があり、新聞週刊誌などで報道されることもある。

※この「共同不法行為」の解説は、「飲酒運転」の解説の一部です。
「共同不法行為」を含む「飲酒運転」の記事については、「飲酒運転」の概要を参照ください。

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