不真正連帯債務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 21:25 UTC 版)
各債務者が全額についての義務を負うが、債務者間に緊密な関係がなく、弁済及びこれと同視し得る事由を除いて、一債務者に生じた事由が他の債務者に影響しないものを、不真正連帯債務(ふしんせいれんたいさいむ)という。不真正連帯債務には負担部分がなく求償関係が当然には生じない性質のものとして連帯債務と区別されてきた。 法人の不法行為法人が損害賠償債務(旧民法44条「(現)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条参照」)を負う場合、理事個人も損害賠償債務(709条)を負う(大審院昭和7年5月27日判決・民集11巻1069頁)。この法人の債務と理事個人の債務は、不真正連帯債務の関係に立つとされる。 使用者責任被用者の不法行為による使用者の賠償債務(715条)と、被用者の賠償債務(709条)は不真正連帯債務の関係にあるとされる。使用者が賠償をした場合は、被用者に対し求償することができる(715条3項)。 共同不法行為共同不法行為(719条)において、各共同不法行為者の負う損害賠償債務は、不真正連帯債務であると解されている。一人が賠償をした場合は、不法行為者同士の間における負担割合に応じて他の共同不法行為者に対して求償することができる。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)では連帯債務の絶対的効力事由を極力限定し、不真正連帯債務を連帯債務に取り込むよう改正され、求償のルールは不真正連帯債務にも適用されるよう整備された。
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