絶対的効力事由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 21:25 UTC 版)
債権者と一人の連帯債務者の間に以下の事由が生じた場合には、債権者と他の連帯債務者の間にも効力を及ぼす(絶対的効力、絶対効)。 弁済(代物弁済、供託を含む)連帯債務においては、債務者の人数は増えても債権者が最終的に受けるべき弁済額が増えるわけではないから、連帯債務者の一人が債務全額を弁済すれば債務はすべて消滅し、その効力は他の連帯債務者にも及ぶ。 また、連帯債務者の一人が債務の一部を弁済したときは、他の連帯債務者との関係でもその弁済額の限度で債務が消滅する。 更改(438条(旧435条))連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。 相殺(439条(旧436条))連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する(1項)。 債権者に対して債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる(2項)。2017年の改正前の民法では「前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。」とされていた。しかし、他の連帯債務者の反対債権を自働債権として債権者に相殺権を援用できるとするのは、他人の財産権の処分で過剰な介入であると批判され、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で他の連帯債務者は債権者に対し債務の履行を拒むことができるにとどめる履行拒絶権に改められた。 混同(440条(旧438条))連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなされる。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)では、混同も相対効にしたほうが、不法行為責任が競合する場合の責任保険との関係で被害者保護に資するという意見があったが絶対効が維持され条数変更のみとなった。
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