連帯保証の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 21:54 UTC 版)
以下の点で補充性が認められる通常の保証(単純保証)とは異なる。 単純保証の保証人には催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められるが、連帯保証人にはこれらは認められない(454条)。よって債権者は主債務者の状況にかかわらず、いきなり連帯保証人の財産にかかっていけることになる。 通常の単純保証では、保証人が数人いる場合には各保証人は債権者に対して保証人の数に応じて分割された部分についてのみ債務を負担する(456条・427条)。これを分別の利益という。連帯保証の場合には、この分別の利益がなく、連帯保証人が数人いる場合であっても、各連帯保証人は債権者に対して債務の全額について責任を負わなければならない。なお、連帯保証人間の内部関係においては、各連帯保証人には負担部分が存在するので、連帯保証人の一人が自己の負担額を超えて弁済した場合には、他の連帯保証人に求償することができる(465条1項・442条)。 連帯保証の場合には連帯保証人に生じた事由について連帯債務の履行の請求等の規定が準用される(458条)。連帯債務者についての規定が、原則として、連帯保証人について生じた事由に準用されることは従前どおりであるが、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で請求等が相対的効力になるなど主たる債務者に対しても効力が及ぶ絶対的効力事由が改正前に比べて少なくなっている。 連帯保証人について生じた事由は、主たる債務を消滅させる弁済等のほか、458条により更改(438条(旧435条))、相殺(439条(旧436条))、混同(440条(旧438条))は、主たる債務者に対しても効力が及ぶ。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で連帯保証人に対する請求、免除、時効の完成の効力は、主たる債務者に及ばないこととなった。 なお、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従うとされた(441条ただし書)。458条によりこの規定は連帯保証にも準用され、連帯保証人に対する請求など主たる債務者にも効力を生じさせたい事由について、債権者と主たる債務者の間でこれらの事由に絶対効が生じる旨の特約を締結することができる。
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